グローブバルブ

グローブバルブとは

グローブバルブ

グローブバルブ (英: Globe Valve) とは、プロセス配管で用いるバルブの1つです。

流路の全開・全閉と、流量・圧力を調整する場合に用いられています。そもそもプロセス配管とは、化学製品などのプロセス流体を輸送するための配管を指します。場合によっては特別な配慮が必要なため、流体機械などの作動流体を輸送するための配管と区別されています。

グローブバルブは、弁箱 (ボディ) 部分が丸みを帯びていて、内部の流路は曲線を描いているのが特徴です。弁箱の形状が玉形をしていることから、玉型弁やグローブ弁とも呼ばれています。

グローブバルブ_図1

図1. グローブバルブの構造

グローブバルブの使用用途

グローブバルブは、流体の遮断と流量・圧力調整に優れているため、流体を漏洩なく遮断したい場合に止弁として使用されます。ただし、圧力損失が大きいため、「常時開」で使用する場合は圧力損失の小さいゲートバルブ (仕切弁) 、ボールバルブバタフライバルブが使用されることがあります。

グローブバルブは、一般産業において工場や発電所のユーティリティ関係の水・蒸気・空気配管で用いられ、配管が敷設されている設備や機器で使用される機会が多いです。また、家庭の水道メーターやガスメーター、給湯器周辺の配管などでも使用されています。

高温・高圧・大口径用など多くの用途に対応しているため、使用用途は非常に幅広いです。ただし、小径配管で流量を微量調節する場合には、ニードルバルブの使用が最適と言えます。弁体がテーパで針状になっていて、微量の流量を調整することが可能です。針状の弁体を上下させ開閉させため、基本的な構造はグローブバルブと変わりません。

グローブバルブの原理

グローブバルブの弁箱内 (ボディ) の弁体 (ディスク) は、弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルやアクチュエータ (駆動装置) により回転し上下動します。これによって弁体が弁座 (バルブシート) に密着し、流体を遮断します。

ハンドルやアクチュエータを回転させる程度で、弁体と弁座の距離が変わり、流路の断面積が変化するため、流量・圧力調整を行うことが可能です。流量・圧力調整が必要な蒸気、冷却水、温水、圧縮空気、真空ラインなど、ユーティリティの量を調整する弁として用いられます。

弁箱が玉形をしていて、入口から弁座部を通過し出口へ向かう流路は、S字状になっています。弁体内で、流れ方向が変更され、流路が急拡大・急縮小するため、非常に圧力損失が大きくなります。

ただし、バルブを閉弁するときは、弁体を上から弁座に押し付ける構造となっているため、漏洩が少なく高い遮断性能を発揮します。また、弁体位置を細かく調整できるため、流量の微調整が可能です。

グローブバルブのその他情報

1. グローブバルブの開閉方法

グローブバルブの開閉操作方法は、手動操作式と自動操作式の2通りです。

手動操作式
手動操作式は、一般的に丸形ハンドルを回転させ弁軸を上下動させ、バルブを開閉します。

自動操作式

グローブバルブ_図2

図2. 自動操作式グローブバルブ

自動操作式の場合、アクチュエータ (駆動装置) に電気作動式と空気作動式があります。電気作動式は電動機 (モーター) と減速機の組み合わせで、弁軸を上下動させ、バルブを開閉します。

一方で、空気作動式はエアシリンダの上下に圧縮空気を投入し、シリンダーと弁軸を上下動させ、バルブを開閉します。

2. 他型式バルブとの比較

グローブバルブ_表

図3. バルブの特徴比較

ボールバルブ
ボールバルブは、中間開度で使用すると流量調整は可能です。しかし、中間開度で使用すると弁座 (ボールシート) とボールの間に流体が溜り、漏洩や弁座が損傷する可能性があります。

したがって、ボールバルブは全開・全閉の用途で使用します。特にボールバルブは、ハンドルを回すだけで簡単に全開・全閉操作が可能です。ただし、メーカによっては中間開度で使用できるボールバルブも販売されています。

一般的に、遮断と流量調整の両機能が必要な場合はグローブバルブ、遮断が主な用途で簡単に全開・全閉する場合は、ボールバルブを使用します。

ゲートバルブ
ゲートバルブは、中間開度でも使用できますが、弁体が振動することがあるため、全開・全閉で使用します。一般的にボールバルブと同様、遮断と流量調整の両機能が必要な場合はグローブバルブ、遮断が主な用途で簡単に全開・全閉する場合は、ゲートバルブを使用します。

バタフライバルブ
バタフライバルブは、中間開度で使用すると流量調整は可能です。バタフライバルブは、グローブバルブよりも圧力損失は小さいですが、弁体が板状をしていることから不平衡トルクやウォーターハンマーが生じやすいことがデメリットです。

弁箱が小さく面間寸法 (流体入口から出口間の距離) が短く、遮断性能に優れています。一般的に、遮断と流量調整の両機能が必要な場合で、全開・全閉時間に余裕がある場合はグローブバルブ、全開・全閉時間を短時間で行い、面間を短くしたい場合は、バタフライバルブを使用します。

なお、それぞれの構造は以下の図4をご参照ください。

グローブバルブ_図3

図4. 各バルブ型式の構造

2. グローブバルブの長所・短所

グローブバルブの長所・短所を簡単にまとめると下記のようになります。

長所

  • 漏洩が少なく遮断性能に優れている。 
  • 流量調整に優れている。

短所

  • 全閉~全開のためハンドルやアクチュエータを何回も回す必要があり、時間がかかる。
  • 弁箱内の圧力損失が大きくなる。

参考文献
https://j-valve.or.jp/valve/letslearn/
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/type_index.html
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/type_globevalve.html
https://www.fujikin.co.jp/support/basic/standard.html

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