FPC用コネクタとは
FPC用コネクタとは、回路部品であるコネクタの1種です。
FPCと呼ばれるフレキシブル基板を接続します。機器内部の基板同士の接続に用いられるため普段目にすることはありません。
FPC用コネクタの使用用途
FPC用のコネクタは電子機器内部のリジッド基板に実装され、FPCの接続に利用されます。具体的には、自動車、医療機器、携帯電話、ノートパソコン、液晶テレビ、デジタルカメラ、ゲーム機器などです。
FPCやFPCコネクタは、電化製品の小型化や省スペース化に大きく貢献しています。電化製品やポータブル機器はさらに小型化が進む傾向にあり、今後の需要も増えていく見込みです。
FPC用コネクタの原理
FPCコネクタは、電気信号の接続を行うコンタクト部分と、コンタクト部分を保護するためのハウジング部分から構成されます。この構成は、通常のコネクタと同様です。
コンタクト部分の材料は金属です。銅の表面を金や銀、スズで表面処理した導通性の良い材料が用いられます。異種の金属同士の接触による腐食等を避けるため、接続対象であるFPCの表面処理と同種の金属を選択することが多いです。
ハウジング部分には、樹脂が利用されています。リジッド基板上に半田付けされるため、樹脂には耐熱性樹脂が使用されています。コンタクト部を覆うようにして金属端子の変形や破損を保護します。コンタクトとハウジングは、一度挿入したFPCをロックして勘合を維持する構造を取ります。
FPCコネクタの構造
前述したように、FPCコネクタにはロック機構があります。このロック機構には、ZIF構造とNon-ZIF (N-ZIF、非ZIF) 構造の2種類があります。
1. ZIF構造
ZIF構造では、コネクタに挿入したFPCをレバーでロックします。ロックした際に端子同士が接触します。
挿入に必要な力が少なく摩擦が軽減できるため、数十ピン以上の端子数でも作業性や接触性に問題が出づらいです。そのため、多くのFPCコネクタに採用されています。
2. Non-ZIF構造
Non-ZIF構造では、ばね性のある端子に対してFPCを圧入するように差し込みます。圧入するため差し込むだけでロックがかかります。
差し込むだけで接続が完了するため作業性は良いものの、摩擦が大きくなりコネクタ自身やFPCを破損させる恐れがあるため、数十ピンを超える端子数には不向きです。
FPCコネクタの種類
FPCコネクタは4種類に大別されます。FPCの接続方向で2種類、ロック機構で2種類あるため、2×2の組合せで下記4パターンに分類されます。
- 水平接続ZIF
- 水平接続Non-ZIF
- 垂直接続ZIF
- 垂直接続Non-ZIF
接続方向は、水平接続と垂直接続の2種類です。水平接続では、リジッド基板と水平にFPCを挿入します。垂直接続では、リジッド基板と垂直にFPCを挿入します。
ロック機構は、ZIFとNon-ZIFの2種類です。ZIFはFPCコネクタに挿入したFPCをロックレバーで固定する構造です。Non-ZIFにはロックレバーはなく、金属コンタクト部分にばね性を持たせるなどしてFPCを圧入気味に押し込んで固定する構造をとっています。
FPCコネクタの選び方
FPCコネクタには、前述した項目以外にも選ぶ上で考慮すべきパラメータがあります。使用用途や搭載する機器の特性に合わせた部品を選ぶことが大切です。
1. 端子間ピッチ
電極の中心から隣の電極の中心までの距離をピッチと呼びます。FPCの配線ピッチに合致したコネクタを選択する必要があります。
2. FPCの厚み
勘合の安定性と電気的な接続安定性を保証するために、FPCの厚みに合致したコネクタを選択する必要があります。
3. 電極数
リジッド基板やFPCの回路設計に応じて、適切な電極数を選択する必要があります。
4. 接点表面処理
信号の導通性や腐食防止の信頼性の観点から、接点がFPCと同じ金属となるようにコネクタを選択する必要があります。
5. 接点方向
FPCとの接点には上・下・両面の3種類が存在します。使用する機器の構造に併せて適切な接点方向を選択する必要があります。
6. 信号の種類
大電力用、高速伝送用など、FPCを通す信号の特性に合わせて専用のコネクタを選択する必要があります。
参考文献
https://www.elephantech.co.jp/pickups/how-to-choose-flex-pcb-connector/
https://ac-blog.panasonic.co.jp/nyumon_connector
https://ac-blog.panasonic.co.jp/