高周波ケーブルとは
高周波ケーブルとは、高周波を利用した機器の間の接続に使うケーブルです。
通常は、内部導体の周りに包むように絶縁体が配され、これを囲むように同心円状に外部導体が配された構造です。さらに、シースという被覆がされています。
高周波ケーブルの使用用途
高周波ケーブルは、高周波を利用する機器の接続に利用されるため、高周波帯の電波を発信するテレビやインターネットの発信機器とそのモジュール間で多く用いられています。また、電子レンジやプラズマ発生装置などの装置の本体と電源間の接続もよ用途の1つです。
半導体分野などの精密工学分野では、プラズマ反応を多く利用しています。プラズマ発生装置と共に高周波ケーブルは、現代社会にとって不可欠な存在です。
高周波ケーブルの原理
高周波ケーブルは、内部導体と呼ばれる銅線が中心を貫き、この内部導体の周りに包むように絶縁体が配され、さらにこれを囲むように同心円状に外部導体が配された構造です。さらに、シースという被覆がされています。すなわち、内部導体により高周波信号が伝達されています。
高周波信号の伝送効率は内部導体の外径と外部導体の内径の比と、導体の間に挿入された絶縁体の誘電率によって決まります。そのため、高周波ケーブルの特性は外からの見た目ではなく、内部構造によって決まることに留意しなければなりません。
また、高周波ケーブルには、高周波信号を発生電源から各モジュールへ安定的にかつ効率的に伝送することが求められるとともに、外部ノイズからの影響を極力抑えることも必要です。このノイズ対策では、外部導体がシールドとして機能しています。
高周波信号を効率よく伝送するには、内部導体の外径と外部導体の内径の比がケーブル全領域にわたって同心円状に維持されることが必要です。ケーブルを屈曲すると、内部導体の外径と外部導体の内径の比が崩れてしまう可能性があります。そこで、高周波ケーブルでは限界曲げ半径が指定され、内部導体の外径と外部導体の内径の比が維持されるようにしています。
高周波ケーブルの種類
高周波信号の伝送には、一般的に高周波用同軸ケーブルが多く用いられます。高周波ケーブルの使用用途として、代表的なアンテナで受信した信号をテレビやレコーダーに伝送するケースでは、特性インピーダンスが75Ωの高周波用同軸ケーブルが主流です。
高周波用同軸ケーブルは品番で使用が分かるようになっており、例えば下記のように「5D-2V」や「S7C-FB」などの品番が付いています。これらの数字や文字がサイズや素材を表しており、上記の2種類は以下の通りです。
1. 5D-2V
- 5: 外部導体の概略外径5mm
- D: 特性インピーダンス50Ω
- 2: 絶縁体がPE (半透明)
- V: 外部導体が一重導体編組
2. S-7C-FB
- S: 衛星放送対応 Satelliteの頭文字 (DIGITALとの表記もある)
- 7: 外部導体の概略外径7mm
- C: 特性インピーダンス 75Ω
- F: 絶縁体が発砲PE (白)
- B: アルミ箔テープ付編組線
高周波用同軸ケーブルでは、構造上、ケーブルが太くなると内部導体と外部導体間の間隔が大きくなります。そして、ある周波数を超えると特性インピーダンスが変わる、損失が増えてしまう現象が生じます。この周波数は限界周波数と呼ばれ、この周波数よりも低い周波数で使用しなければなりません。
ケーブルが太ければ太いほど限界周波数が小さくなるため、数GHzを超える超高周波の伝送には細いケーブルで同軸構造の外部導体が銅管とされているセミリジッドケーブルが使用されます。
高周波ケーブルのその他情報
高周波ケーブルのコネクタ
高周波用同軸ケーブルには各種のコネクタが用意されているため、用途に応じて最適なものを選定することが大切です。求められる周波数や電力をメインに、インピーダンスや伝送損失および配線形態などを考慮してどの種類を使用するかが決まります。
これに合わせたコネクタを選定することで、接続部のインピーダンスの乱れや、同軸の外部導体の編組の崩れによる不要な反射などを防止できます。また、接続先の形状や抜き差しが多いかなどの接続方法も考慮して、最適なコネクタを選定することが重要です。
参考文献
https://www.stack-elec.co.jp/?p=261
www.satellite.co.jp/coaxial-cable.html
https://www.doujiku-hikari.com/coaxial/connector/type/