静電容量形近接センサーとは
静電容量形近接センサーとは、非接触型のセンサーの1種で、物体の有無を検知するセンサーです。
物体が電界に入った際の静電容量の変化により、物体を検知することができます。検知できる物質は、金属・水・油・ガラス・プラスチック・紙などさまざまです。また、非金属容器の外側から、内容物を検出することもできます。
ただし、物体の物体の大きさ、厚さ、非誘電率により検出感度や距離が異なることや水や湿気に影響を受けやすいことに注意が必要です。
静電容量形近接センサーの使用用途
静電容量形近接センサーの用途は、容器の外から内容物の検出と非接触でのスイッチです。
1. 容器の外から内容物の検出
壁の裏・タンク内・コンテナの中・カバーの裏などにある液体・紙・ガラス・木材を検知することができます。主に、内容物の検査用や確認用として使われています。
2. 非接触のスイッチ
エレベーターの押しボタンスイッチ、各種パネル等を介してのスイッチ、ライト等の非接触でのスイッチとして使われています。車のルームランプの点灯・調光用のスイッチにも応用されています。
静電容量形近接センサーの原理
静電容量形近接センサーの原理は、物体が電界に入った際の静電容量の変化により、物体を検知できることにあります。電極と大地に対して電圧を加えた場合に、電極と大地間に電界ができます。
物体が電極によって形成されている電界内に入ると、物体は静電誘導により帯電し、電極の静電容量が変化します。
1. 検出回路
静電容量形近接センサー内には、検知電極を持ちます。検出電極が形成する電界内に誘電検出体が入ると、検知電極が対象物とコンデンサを形成します。静電容量は対象物との距離に依存して決定されます。
検出回路には、発振回路を利用するのが一般的です。検出電極の静電容量変化に伴い、発振振幅が変化します。発振回路が開始、停止する振幅の変化を比較することで物体を検知します。静電容量形近接センサーは、検出電極が要素になり、発振をしています。
2. 発振回路
発振回路とは電気的な繰り返し振動を発生する電気回路を指します。コンデンサー (C)と抵抗 (R) から構成されるRC回路を用いており、1/1,000〜数MHzの周波数発振が得られます。
3. CR発振
CR発振は、帰還型と呼ばれる発振回路です。増幅回路の出力の一部を入力にフィードバックさせることで、規則的な電圧の変動を生じさせます。CR発振回路は増幅器の出力の位相を180度回転して入力に戻す回路です。
静電容量形近接センサーのその他情報
1. 相互干渉
高周波発振回路を使用しているため、近くに近接センサがある場合に、相互干渉を起こすことがあります。複数設置する際は、規定以上の距離を取って設置する必要があります。
2. 静電容量の変化
静電容量の変化は、物体の大きさ、厚さ、非誘電率に関係があります。それぞれの値が大きいほど、静電容量も大きくなります。
誘電率とは、各物質の持っている固有の電気的な定数です。誘電率の値は外部から電界を与えたとき各物質の中の電子がどのように応答するかによって決まっています。非誘電率は、物質の誘電率と真空の誘電率の比で表されます。
水や湿気による影響を受けやすいため、選択と設置の検討が重要です。
3. 応差
感応面に対して、標準検出体を接近させ、静電容量形近接センサーのスイッチが検出動作した時の感応面から検出体までの距離を検出距離と呼びます。また、検出動作中のセンサースイッチから検出体を遠ざけるとスイッチは復帰します。この時、感応面と検出体までの距離が復帰距離です。
検出距離に対し、復帰距離と検出距離の差の比を取ったものを応差 (ヒステリシス) と呼び、静電容量形近接センサーの検出特性を示す指標の1つです。検出距離の1~15%程度が目安となっています。
参考文献
http://www.system-electronic-japan.co.jp/src/catalog/A_group.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/
https://www.h-repic.co.jp/descriptions/electrostatic