はんだ付け装置

はんだ付け装置とは

はんだ付け装置

はんだ付け装置とは、はんだを用いて金属同士を接着する装置です。

はんだは、接着する母材より融点が低い金属です。はんだを溶融状態に加熱し、母材が溶けない温度で母材間の隙間にはんだを流して冷却すると、接合部に合金層ができて接合されます。

はんだは、本来スズと鉛の合金ですが、近年は鉛を使用しない鉛フリーはんだを使うのが一般的です。鉛が人体に有害であるため、EUのRoHs指令で有鉛はんだは「電気・電子機器で鉛などの特定有害物質の使用制限」に該当します。

はんだ付け装置は、こてはんだ方式、フローはんだ方式、リフローはんだ方式などの種類があり、リード線タイプの電子部品にはフロー方式が、リード線の無いタイプにはリフロー方式が使われます。

はんだ付け装置の使用用途

1. こてはんだ方式

はんだこてを使ってはんだ付けを行う方法であり、主に手動で行います。電子部品を少量生産する場合や、複雑な形状にはんだ付けを行う場合などが用途です。

2. 挿入実装技術

リード線付きの電子部品を基板にはんだ付けする場合に使用する装置です。基板の穴に電子部品のリード線を挿入後、はんだを溶解した槽に浸してはんだ付けを行う方法です。フロー方式と呼ばれます。この方法の利点は、短時間で大量の部品を処理できることです。

3. 表面実装技術

基板の接合部分にクリームはんだを塗布し、加熱炉で加熱してクリームはんだの溶解を行ってはんだ付けを行う装置です。リード線がないSMD電子部品の接合に使われます。リフロー方式と呼ばれ、大量生産向けです。

はんだ付け装置の原理

日本工業規格の分類では、はんだ付けは「ろう接」の1つです。はんだ付けは、融点以下の固相の母材に、はんだを溶解状態にして接合する方法で、液相接合になります。

ろう接にはろう付けがあり、ろう付けとはんだ付けの差異は、使用する溶加材 (ろう材、はんだ) の融点温度です。ろう付けが融点温度450℃より高い場合であり、はんだ付けは450℃以下の場合です。

はんだ付け装置の原理では、「ぬれ」と「毛管現象」が重要になります。

1. ぬれ

「ぬれ」とは、溶けたはんだが金属となじむかどうかを表すことです。加熱により溶融金属となったはんだ材は、母材の隙間へ浸透拡散します。金属に溶けたはんだを落とすと、はんだは自らの表面張力により丸くなり、丸くなったはんだの接線と金属のなす角度が接触角です。接触角が小さいほどぬれやすくなり、ぬれの特性を表す指標です。

2. 毛管現象

「毛管現象」とは、2つの金属を接着する場合、溶けたはんだが表面張力により接着する金属の間の隙間に入り込むことです。毛管現象で金属間にはんだを浸透させるためには、隙間を狭くすることが大事です。

3. フラックス

通常空気中にある金属の表面は、酸化膜で覆われており、はんだ付けができません。そこで酸化膜を取り除くためにフラックス (主成分はアビエチ酸) を使います。フラックスは、はんだの中に入っていることや別に塗布する場合があります。そのほかフラックスの機能は、金属表面を綺麗にすることです。

はんだ付け装置の種類

電子部品のはんだ付け装置は、大きく分けて3種類が使われています。

1. 静止槽式

静止槽式はDIP方式とも呼ばれ、溶解したはんだ槽に、基板の下面を浸してはんだ付けを行う方法です。槽の液面は静止しています。古くからある方式で、メンテナンス性に優れているが、はんだが静止しているため、熱循環効率が悪く、品質の面で今一歩といえます。

2. 噴流式

噴流式はフロー方式とも呼ばれ、溶解したはんだを噴流させて熱循環効率を上げ、高品質のはんだ付けを可能にした方式です。ダブルウエーブ式、オーバーフロー式、セレクティブフロー式など多くの種類が確立済みです。

フロー方式は、電子部品をプリント基板に挿入してから、はんだを溶かした槽に浸してはんだ付けします。噴流式においても、流動したはんだの扱いは難しく、細かいメンテナンスと技術者の養成が必要です。

3. リフロー方式

リフロー方式は、基板の接合部にはんだペーストを印刷後、その上に電子部品を置いてフロー炉で加熱し、はんだを溶融させて接合する装置です。基板製造の主流になっています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/75/7/75_7_583/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1998/5/3/5_3_304/_pdf

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