システムリセットIC

システムリセットICとは

システムリセットICとは、電源電圧をモニタし、マイコンに対してリセット信号を供給する半導体素子です。

マイコンは、正常動作電圧範囲より下回った電圧が印可された場合、制御プログラムの要求に従う動作ができなくなります。その結果、内部のデータを破壊して電子機器が本来期待される動作を行えなくなり、致命的な事態を招く可能性があります。

システムリセットICの使用目的は、このようなマイコンのプログラムが異常な動作をしないようにするためです。

システムリセットICの使用用途

システムリセットICは、マイコンに印可する電源電圧をモニタし、リセットICの出力信号をマイコンのリセット入力信号端子に接続して使用します。

マイコンは、PCやスマートフォン、タブレット端末を含む情報機器、冷蔵庫やエアコン、洗濯機などの一般の家電機器をはじめ、テレビやBDレコーダー、オーディオなどのAV機器、車やバイクなどの車載機器、プリンターやスキャナーなどの事務機器、測定器や各種試験機器などの業務用機器など多くの機器に搭載されているため、システムリセットICも同様に多くの機器に搭載されています。

システムリセットICの原理

一般的にICは、電源電圧端子 (VDD) 、GND端子、リセット信号出力端子 (OUT) の三端子からなります。ICのVDD端子にマイコンに印可する電源電圧を接続し、ICのOUT端子とマイコンのリセット (RESET) 端子を接続して使います。

ICには電圧検出機能が搭載されており、VDDに入力される電圧が所定の電圧より下回ると、マイコンにリセットをかけてシステムの安定動作を図ります。 

システムリセットICの選び方

システムリセットICは、VDDの電圧が検出電圧より低い場合にマイコンにリセットをかけ、VDDの電圧が検出電圧よりも高い場合に、マイコンへのリセットを解除します。ICの検出電圧は、多くのラインアップが用意されており、使用するマイコンの電圧範囲に合わせてICを選定することが大切です。

システムリセットICの種類

1. 出力タイプ

システムリセットICのOUT端子の出力タイプは、NchオープンドレインタイプとCMOSタイプの2種類があります。Nchオープンドレインタイプの場合、OUT端子に外部プルアップ抵抗が必要ですが、CMOSタイプの場合は、外部プルアップ抵抗は不要です。

Nchオープンドレインタイプの場合、マイコン以外の素子を接続することが可能ですが、CMOCタイプの場合は、ICとマイコンを1対1で接続する必要があります。

2. WDT (Watch Dog Timer) 搭載タイプ

所定の電圧を検出して、単にシステムにリセットを発生させるのみのタイプの製品に加えWDT (Watch Dog Timer) を内蔵するタイプもあります。WDTとは、マイコンのプログラムが暴走・停止していないかをモニタする機能です。

マイコンの動作を常に見張るため、番犬のような役割を果たします。WDTを内蔵するタイプは、電圧をモニタしてシステムにリセットを発生させる機能に加え、マイコンの動作が異常となった場合に、マイコンに対してリセットを発生させる機能が搭載されています。

WDT機能は、マイコンから出力されるWDT信号をリセットICに接続して使用します。マイコンから出力されるWDT信号は、マイコンが正常動作している場合は一定の周波数を持ったパルス信号です。しかし、マイコンが不安定な動作になった場合、WDT信号は一定の周波数ではなくなります。

リセットICは、WDT信号の周波数をモニタして周波数が異常な場合にマイコンにリセットをかけます。

3. ディレイタイマ搭載タイプ

ディレイタイマを内蔵するタイプもあります。マイコンへのリセットを解除する際に、設定された時間が経過した後にリセットを解除する機能です。 過度的な電圧変動が発生した場合でも、安定してリセットを解除することができます。

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