撹拌子

撹拌子とは

攪拌子のイメージ図

図1. 攪拌子のイメージ図

攪拌子とは、液体を攪拌する際に使用する、小さな磁石でできた実験器具です。

スターラー・バー、スターラー・チップ、回転子などと呼ばれることもあります。撹拌子を入れた容器をマグネチックスターラーの上に載せ、撹拌子を回転させるのが一般的な使用方法です。マグネチックスターラーの磁石の動きに伴って容器中の撹拌子も回転し、液体を攪拌することができます。 

撹拌子の使用用途

磁気攪拌機は化学や生物学、薬学、医学の分野をはじめとする、液体の撹拌が必要なあらゆる分野の実験・開発・分析などで使用されています。

単純な棒状の磁石自体よりも効率的に攪拌ができるという長所があります。また、破損や磨耗する可動の外部部品を持たないため、ギア駆動の電動攪拌機よりも使用しやすいです。良好な撹拌状態にするために、マグネチックスターラーの速度を細かく調整することが大切です。

ただし、粘性のある液体や厚い懸濁液を扱うことは困難であり、大きな容積またはより粘性のある液体を攪拌するためには、形状、大きさが異なる撹拌子を用いる必要があります。

撹拌子の原理

攪拌子の使用方法

図2. 攪拌子の使用方法

撹拌子は通常マグネチックスターラーとセットで使用します。マグネチックスターラーと撹拌子によって容器の中の液体が撹拌される仕組みは下記のようになります。

  1. 撹拌容器に液体と撹拌子を入れ、マグネチックスターラーの上に置きます。
  2. マグネチックスターラーの中には磁石が入っているので、撹拌子とマグネチックスターラーの中の磁石が引き合います。
  3. マグネチックスターラーの電源を入れると、マグネチックスターラーの中の磁石が回りはじめ、攪拌子も一緒に回転します。
  4. 撹拌子の回転によって液体が攪拌されます。

攪拌子は小さいため、他の装置や攪拌棒よりも容易に洗浄および殺菌することが可能です。ただし、粘性のある液体や濃厚な溶液を混合する場合は、撹拌力が十分でない可能性があるため、別の攪拌方法を用いる方が望ましいとされます。

複雑な密閉など条件を必要とせず、磁気に影響を与えない容器であれば使用が可能です。一般的には、バイアルビーカーなどの、実験用のガラス器具において使用されます。

また、攪拌子は通常はテフロンまたはガラスでコーティングされており、化学的に不活性です。混合中の混合物を汚染したり、反応したりすることはありません。

撹拌子の種類

様々な攪拌子

図3. 様々な攪拌子

撹拌子の撹拌力は、撹拌する液体や容器の形状によって変わってきます。様々な形状の製品が市販されており、大きさは数ミリから数センチまで様々です。

1. 棒状の撹拌子

最も使用されている一般的な撹拌子です。底面が平面である、ビーカーなどの容器を撹拌する際に使用されています。

2. フットボール型の撹拌子

フットボールのように先細りになっている、テーパーがついている撹拌子です。先細りの構造になっているため、丸底フラスコやナスフラスコなどでもスムーズな撹拌が可能です。

3. オクタゴン型の撹拌子

断面が八角形の形状をしており、回転のために中心に帯がついていることが特徴です。中心の帯によって、撹拌の際に容器に当たりにくくなっています。

4. 三角型の撹拌子

断面が三角形の撹拌子です。撹拌力が強く、沈殿物を含む液体や、粘性の強い液体を撹拌するときに使用されています。

5. クロス型の撹拌子

上から見た時に十字型の形をしている撹拌子です。その形状から、撹拌の際に渦を作り出せるため強力な撹拌力を所持しています。

撹拌子の選び方

撹拌子は撹拌するものの量や状態、使用する容器やスターラーのモーターの力などに合わせてよって選択します。多種多様な撹拌子がありますが、基本的には自分の使用目的を明確にした上で、撹拌子の仕様書に書かれている内容を目安に選択することをおすすめします。

撹拌子に使用されている磁石の一例は以下の通りです。

1. ネオジム磁石

ネオジム、炭素、ホウ素を合わせて焼結することで作られた磁石です。永久磁石の中でも高い磁性を示します。値段が高いことと、温度によって磁性が変化することが欠点です。80 ℃以下で使用する必要があります。

2. フェライト磁石

酸化鉄とバリウムを合わせて焼結することで作られた磁石です。安定した磁性を示すだけでなく値段も安価です。大型のものにも使いやすい磁石です。

3. サマリウムコバルト磁石

サマリウムとコバルトを合わせて作られた磁石です。希少な金属を利用しているため、ネオジム磁石よりさらに高価です。高温でも磁性が安定しているため撹拌子の材料としても使用されることがあります。

4. 希土類磁石

ネオジム、ホウ素、鉄を焼結させて製造されたものであり、最高の磁気特性を有しています。温度特性が低いため80℃以下で使用する必要があります。強磁力スターラーや超強磁力スターラーとして使用されています。

攪拌子のその他情報

1. 回転子によるコンタミネーション防止

回転子はコンタミネーションの原因となりやすい器具です。溶液から取り出したあとは、使用した溶液が除去できる適切な方法で洗浄します。

また、使用前には表面が清浄であることを確認し、黄ばみがある場合には廃棄します。

2. 回転子の取り出し

回転子を使用後には、マグネットを容器の外からあてたり、マグネットでできた棒などを用いたりして、回転子を取り出します。取り出し後は不用意に触らず、洗浄します。

参考文献
https://axel.as-1.co.jp/asone/s/A0020500/
http://www.nissinrika.co.jp/product/st_mayottara.html

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