協働ロボット

協働ロボットとは協調ロボット

協働ロボットとは、人とロボットが同じ作業エリアで働くことができるロボットです。

従来のロボットといえば、例えば自動車などの製造現場で組み立てや搬送などを行う産業用ロボットが主でしたが、設置場所は自動化専用ラインであり、人が立ち入るのはメンテナンス時などに限られていました。

このような自動化専用ラインは人手による作業に対して飛躍的に生産性が向上する一方、設計も含め大きな初期投資が必要になりがちな上、小さなトラブルの発生時や製造品目の変更に対する柔軟性が人手と比較して低くなります。

このような中、2013年の規制緩和により人と隣り合って作業をする協働ロボットの導入が可能になりました。協働ロボットは安全柵なしに人と同じ作業エリアで共に働けるため、人手不足の解消に役立ちます。従来の自動化専用ラインに比べて初期投資も抑えられる上、ラインの稼働を止めることなく追加導入などもできるため中小企業での採用も容易になりました。

現在では、食品、自動車、電子部品など様々な製造現場で利用されている他、飲食業での配膳ロボットなども開発され、日常生活の中でも目にすることが増えてきています。

協働ロボットの使用用途

協働ロボットは比較的小型で、狭い作業スペースで細かい作業を行うことが可能です。カメラを搭載して画像処理能力を備えたものが一般的なため、幅広い業界で導入されています。

特に、これまで部品の挿入などは向きや位置等を人手でセットした状態でラインに供給していましたが、画像処理能力の獲得により、ロボットは大量の部品の色や形状、向きなどを判別してピッキングを行い、次工程に供給することが可能となり生産性の向上に大きく貢献しています。

協働ロボットの原理

協働ロボットは従来の産業用ロボットよりも柔軟な作業に対応しており、5軸や6軸といった関節を持ち、高速で高精度な作業が可能です。また、カメラやセンサを搭載し、画像処理により対象物だけでなく周辺環境も認識します。ロボットの動作指示をアームに付いているボタンで操作できるようになっているモデルもあります。

また、人と同じ作業エリアで協調して働くために安全対策が取られています。多くの協働ロボットは形状に丸みをつけて人にケガをさせないように配慮しており、人に触れるとセンサが感知し動作が停止するものがほとんどです。

他には、例えばロボットアームにロボットの状態を表示するLEDライト機能を付けて、稼働状態を確認できるように工夫されているものもあります。導入にあたって、安全性に配慮した設計はされていますが、リスクアセスメントにより導入事業者自らによる安全性の確保は必要です。

協働ロボットのその他情報

ロボットの導入にあたっては、産業用ロボットか協働ロボットかを問わず、作業の動作を定めてロボットの制御システムにセットするティーチングが必要です。ティーチングには以下のようにいくつかの方式があります。

1. オフラインティーチング

オフラインティーチングはプログラムを作成し、それをロボットにインストールします。パソコンがあれば作成可能ですが、実際の動作や環境を確認しながらの作成ではなく、プログラミングエラーの可能性もあり、複雑な動作や複数のロボットが同時に作業を行うようなケースでのプログラミングは難易度が高くなります。これに対してはデジタルツイン技術を適用し、リアルに動作を再現するアプローチが進められています。

2. オンラインティーチング

オンラインティーチングは実際の現場でリモコン操作をしながら、その動作履歴からプログラムを構成する方式です。様々なケースを想定し現場現物で実施するため、その間は稼働を停止する必要があります。

3. ダイレクトティーチング

ダイレクトティーチングは、人が直接的にロボットを手で動かし、ロボットに動作を覚えさせます。ロボットアームには力覚センサートルクセンサー、またはトルク検知が可能なサーボモーターが内蔵されています。これによって、外部から加えられた力や速度、回転の角度を自動で演算しプログラムを構成する方式であり、特に協働ロボットでよく取り入れられている方式です。

4. AIを利用したティーチング

近年ではAIを活用し、作業目標だけを与えてAIがプログラムを自動で作成するような技術が開発され、容易に短時間で作業プログラムを作成できるようになってきています。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/robotics/collaborative/collaborative_outline/
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/topics/2020/04_robot/factory/index.html
https://www.robot-befriend.com/blog/direct-teaching/
https://www.automation-news.jp/2020/01/45819/

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