7050アルミとは
7050アルミは、高強度と優れた耐応力腐食性を持つアルミニウム合金です。
主成分として亜鉛 (Zn) を多く含み、さらにマグネシウム (Mg) や銅 (Cu) を添加することでジュラルミンに分類される合金です。特にT7451やT7651といった熱処理材は、強度と靭性、耐久性のバランスに優れ、航空宇宙産業で広く採用されてきました。
7050は同系の7000番台合金の中でも強度が高く、厚板でも均一な機械特性を得られる点が大きな特徴です。また応力腐食割れに強いため、長期的な信頼性が求められる構造材として適しています。切削加工性も良好で、精密部品の製造にも用いられています。このように7050アルミは、高強度材の中でも特に厳しい要求を満たす先進的なアルミ合金として位置づけられています。
7050アルミの使用用途
7050アルミは主に下記の用途で使用されます。
1. 航空機の主要構造部材
航空機は、飛行中の振動、温度変化、および大気中の水分に常にさらされます。特に主翼や胴体フレームの下部構造など、応力が集中しやすく、腐食の危険性も高い部位に使用されます。厚肉の部材にT7451処理を施すことで、軽量化を維持しつつ、疲労破壊や応力腐食割れを防ぎ、機体の安全性と長寿命化に決定的な役割を果たしています。
2. 産業機械・ロボット
精密な動作と高い耐久性が求められる産業用ロボットや工作機械において、アーム部や関節部など高負荷が集中する箇所に適用されます。この合金の持つ優れた疲労強度と破壊靱性は、ロボットの高速・高頻度の動作サイクルに耐え、長期間にわたる安定した稼働を保証します。
3. 高速鉄道車両(台車・構体部材)
高速鉄道車両は、運行時の高い速度と振動、および頻繁な加減速による厳しい疲労荷重に耐える必要があります。7050合金は、その優れた強度重量比により、台車や構体フレームの軽量化を実現し、運行エネルギー効率の向上に貢献します。