外付けHDD

外付けHDDとは

外付けHDDとは、パソコンやテレビなどの機器に対して外部接続で使用するHDD (ハードディスクドライブ) です。

一般的なパソコンの内部ストレージとして使用される内蔵HDDとは異なり、USBポートなどに接続して使用される製品です。データのバックアップや、内蔵ストレージの容量が十分でない場合の拡張として使用され、様々な種類の製品があります。

なお、外付けHDDの中でネットワークに対応した製品はNAS (ネットワークハードディスク) と呼ばれます。

外付けHDDの使用用途

外付けHDDの主な使用用途は、データのバックアップ、内部ストレージの拡張、データの持ち運び、テレビの録画などです。

一般的なPCやスマートフォンなどが故障した場合に備えて予め外付けHDDにデータを保存することにより、データの消失を防ぐことができます。バックアップデータを復旧する場合も、デバイスに接続するのみで簡便に使用することが可能です。

PCの内蔵HDDの容量が不足した場合に、内部ストレージを増設するのは簡単ではありませんが、外付けHDDであれば簡単に接続して記録できます。また、ポータブル型の小型の外付けHDDを用いて、USBフラッシュメモリなどでは容量の足りない大きなデータを持ち運ぶことも可能です。

テレビ番組の録画に対応している外付けHDDも多く存在し、記録媒体として使用されます。テレビ番組の録画に使用する際は、録画するテレビでHDDのフォーマットを行うことが必要であり、複数の機器を併用して使用することはできません。

外付けHDDの原理

ハードディスクは、主にプラッタというデータ保存用の磁気ディスクと、データを読み書きする磁気ヘッド、磁気ヘッドを動かすためのアクチュエータから構成されます。通常、複数のプラッタで構成されており、高速で回転するプラッタの両面または片面にデータが記録される仕組みです。

外付けHDDは、パソコンなどの機器に接続するための接続端子を備えています。主な規格はUSB-AやUSB-Cです。USB-Aについては、現在は転送速度5GbpsのUSB3.0以降が主流です。

USB3.0は、従来USB-Aよりも高速化が進んでおり、USB2.0の5倍、USB1.1の200倍以上です。外付けHDDの中には、USB4、Thunderbolt、eSATA、IEEE1394bなどの規格に対応しているものもあります。

外付けHDDの種類

1. 設置タイプ

外付けHDDの形状は、大きく分けて据え置き型とポータブル型があります。据え置きを想定されている製品は、比較的大きさ及び容量が大きく、また、ACアダプターを使用した給電が必要となる場合が多いです。ポータブル型は小型で、USBケーブルからの給電に対応する場合が多いです。

2. 容量

外付けHDDの容量は、大まかには500GBから20TB程度まで幅があります。一般的なデータバックアップやテレビ録画などでは、2TB〜4TB程度の製品が用いられていることが多いです。

3. インターフェイス

外付けHDDには、USB-A、USB-C、USB4、Thunderbolt、eSATA、IEEE1394bなどの端子規格があり、接続したい機器に対応している製品を選択することが必要です。

また、ネットワークハードディスク (NAS) を用いる場合は、ネットワークに接続して1つのHDDを共有したり、複数の機器からアクセスしたりすることが可能です。

4. その他の機能

外付けHDDは製品によって様々な機能が搭載されています。

例えば、複数のHDDをひとつのドライブのように認識・表示できるRAID搭載製品では、HDD故障時のデータ復旧・アクセスが可能になる、複数HDDへの分散書き込みによってデータ保存を高速化できるなどの利点があります。

その他にも、ハードウェア暗号化に対応したもの、静音性の優れたもの、テレビの録画機能に特に特化したもの (24時間連続録画など) 等様々な製品があります。用途に合わせて適切な製品を選択することが必要です。

仮設トイレ

仮設トイレとは

仮設トイレとは、移動可能で一時的に設置されるトイレです。

建設現場やイベント会場、災害時の避難所などで利用されています。種類は汲み取り式、水洗式、バイオトイレ、真空式、化学処理式、バリアフリー型などがあり、用途や環境に応じて選ばれます。それぞれ汚物処理の原理が異なったり、簡易性や快適性が追求されたり、また環境配慮などに特化した特徴があります。

仮設トイレの使用用途

仮設トイレはさまざまな場面で利用され、その用途に応じて適切なタイプが選ばれています。

建設現場での使用

最も一般的な使用例は建設現場です。建設現場では、労働者の衛生環境を確保するために仮設トイレが不可欠です。設置が簡単で移動も容易なため、工事の進捗状況や作業エリアの変更に応じて柔軟に配置を調整できます。

また、長期間にわたる工事では、清潔な環境を保つため、定期的な清掃やメンテナンスが行われます。

イベント会場での利用

仮設トイレはイベント会場でも重要な役割を果たします。特に、大規模な音楽フェスティバルやスポーツ大会などでは、多数の来場者が集まるため、効率的で快適なトイレ設備が必要です。

このような場面では、一度に多くの人が利用できる大型のモデルが用意されることが多く、さらに高齢者や障がい者にも配慮したバリアフリー対応のトイレも設置されます。これにより、すべての来場者が安心して利用できる環境が整備されます。

災害時の避難所での活用

災害時の避難所においても、仮設トイレは衛生環境の確立に大きく寄与します。

災害発生直後は上下水道が使用できないことが多いため、汲み取り式やバイオトイレが多く使用されます。これらのトイレは、水を必要とせず、設置も迅速に行えるため、避難所での衛生問題を軽減する重要な手段となります。

公共施設や地域行事での利用

仮設トイレは公共施設や地域行事の場でも活用されています。行政や地域団体は、地域住民や観光客の利便性を向上させるため、観光地や祭りなどの行事に合わせて仮設トイレを設置します。

このような臨時の設置は、施設が常設されていない場所でも、清潔で快適な環境を提供する手段として有効です。

研究・試験環境での使用

研究や試験環境における利用も重要です。特に、山岳地帯や僻地での調査活動、野外研究、環境保護活動の現場では、仮設トイレが貴重な衛生設備となります。

こうした環境では、水や電力の供給が困難な場合が多いため、バイオトイレのような持続可能なタイプが選ばれることがあります。

仮設トイレの種類

仮設トイレは、その利用目的や設置環境に応じてさまざまな種類があります。主なものを紹介します。

簡易型仮設トイレ

最も基本的なタイプであり、設置や移動が簡単です。建設現場や土木工事などの短期間の作業現場、小規模な地域イベントなどで多く利用されます。構造がシンプルでコストも低く、必要最低限の機能を備えているため、手軽に使用できます。

水洗式仮設トイレ

水を使用して洗浄するタイプで、家庭用トイレに近い快適さを提供します。水洗式は臭気が少なく清潔感があるため、大型イベントや建設現場など、長期間利用が想定される場所に適しています。ただし、設置には給水や排水設備が必要で、設置場所に一定の条件を要します。

バイオトイレ

水を使わず微生物の力で汚物を分解する環境に配慮したトイレです。自然分解により排水設備が不要で、災害時の避難所や山間部やキャンプ場といった自然環境に適しています。環境負荷が低く、持続可能性の観点からも注目されていますが、適切な微生物の管理が必要です。

コンテナ型トイレ

トラックで運搬可能な大型設備で、多数の利用者に対応できるよう設計されているタイプです。災害時の避難所や仮設住宅地、大規模イベントの会場などで利用されます。内部には複数の個室や洗面所が設置されることが多く、衛生管理も比較的容易ですが、設置には広いスペースが必要です。

バリアフリー仮設トイレ

高齢者や車椅子利用者など体の不自由な方々にも使いやすいよう設計されています。内部は広く段差がない構造で、手すりが取り付けられるなど安全面にも配慮されています。

バリアフリー仮設トイレは、避難所やイベント会場などで、アクセシビリティ向上のために設置されることが一般的です。

仮設トイレの選び方

仮設トイレの仕組みにはさまざまな種類があり、またどのような場面で仮設トイレが必要かによって、選ぶべきタイプは大きく変わってきます。

1. 処理方法

処理方法により違いは下記のとおりです。

汲み取り式:最も基本的でシンプルな仕組みを持つ仮設トイレです。利用者の排泄物が専用のタンクに溜められ、定期的に専用の車両を使って汲み取ります。

構造が簡単で設置場所を選ばず、インフラが整備されていない場所でも使用可能です。そのため、建設現場や災害時の避難所など、特に迅速な設置が必要な場面で広く利用されています。

水洗式:家庭用トイレに近い使用感を提供する仕組みを持っています。タンク内に貯めた水を使い、排泄物を水で流して別の貯蔵タンクに移動させます。

一部の水洗式仮設トイレでは、排水を浄化して再利用する循環型のシステムが搭載されており、水資源の節約が可能です。この仕組みは、利用者の快適性を高めると同時に、環境への配慮も考慮されています。そのため、大型イベントや長期間の利用を想定した場所に適しています。

バイオ式:微生物や有機物分解技術を利用して排泄物を処理します。水を使わずに汚物を自然分解させるため、上下水道が整備されていない場所でも利用可能で、環境負荷が少ないのが特徴です。

分解された物質は肥料として再利用できるモデルもあり、環境保護の観点から注目されています。自然公園や山間部のキャンプ場など、自然環境を損なわずに衛生設備を確保する必要がある場所に最適です。

真空式:真空技術を活用し、少量の水で排泄物を瞬時に吸引して密閉タンクに送る仕組みを採用しています。この方式は、水資源の消費を最小限に抑えながら、高い衛生状態を維持できる点が特長です。

さらに、排泄物が密閉された状態で処理されるため、臭気漏れが少なく、快適な使用環境を提供します。そのため、輸送手段を兼ねた施設や高い衛生基準が求められる場所に適しています。

化学処理式:専用の薬剤を使用して排泄物を分解し、臭気を抑える仕組みです。この方法では、薬剤によって汚物の量が減少し、消臭効果も期待できるため、汲み取り頻度を低く抑えられるメリットです。そのため、長期間の使用を想定した場所や、管理が難しい環境での利用に適しています。

2. 予算

レンタル費用:トイレの種類やレンタル期間によって、費用は大きく異なります。前もってレンタル期間を想定し予算を立てておくことが重要です。

設置費用:設置場所によっては、基礎工事などの費用がかかる場合があるため、設置場所の強度や安全性について事前に確認が必要が必要です。

メンテナンス費用:定期的な清掃や消毒などの費用も考慮する必要があります。

3. 仮設トイレを選ぶ際の注意点

レンタル業者:信頼できるレンタル業者を選びましょう。

契約内容:契約期間、料金、メンテナンス内容などをしっかりと確認しましょう。

安全対策:転倒防止や火災対策などの安全対策も重要です。

衛生面:感染症の予防のため、徹底した衛生管理を行うことが重要です。

MOドライブ

監修:株式会社ユニテックス

MOドライブとは

MOドライブとは、MOディスク (光磁気ディスク、英: magneto-optical disk) の読み込み・書き込みを行うためのドライブ製品です。

MOディスクは基板上に磁性薄膜が形成されており、赤色レーザー光と磁場で磁気状態を記録・再生する仕組みです。MOドライブは基本的に外付けデバイスとして使用され、USBケーブルなどでコンピュータへ接続します。

通常の磁気媒体よりも比較的寿命が長い記録媒体とされている一方、近年ではハードディスク (HDD) やフラッシュメモリーなどに代替され、使用シーンが少なくなっている媒体でもあります。

MOドライブの使用用途

MOドライブは、リムーバルメディア (着脱可能な記憶媒体) であるMOディスクの記録及び再生を行うために使用される装置です。

MOディスクは、長期保管に適した耐久性を有することから、コンピュータのバックアップ、医療画像の保管、映像編集、DTPなどの用途に使用されます。CD-RやDVD-Rなどは一度しか書き込めないのに対し、MOディスクはデータの上書きが可能です。そのため、何度も書いたり消したりできる記憶媒体として使用されます。

MOドライブの原理

1. MOディスクについて

MOディスクは、ほこりや傷を避けるためにカートリッジに収められたフロッピーディスクと同様の形状をしています。5インチと3.5インチの大きさの種類があり、記憶容量は5インチで600MB~1.2GB、3.5インチでは128MB~2.3GBです。

MOディスクは非常に耐久性があり、堅牢であることが特徴です。ケースに覆われた構造であることから埃や衝撃などに強く、加熱しなければ磁性を帯びないため磁石にも強く、耐熱性や耐寒性にも優れます。

2. MOドライブによるMOディスクの読み込みと書き出し

MOドライブは、MOディスクの読み出しを光学的に行い、磁気を利用して書き込みを行います。MOディスクを内部の回転軸で高速回転させ、カートリッジ開口部のシャッターを開いて、ディスク表面にレーザー光を照射する仕組みです。

書き込み時は、まずレーザー光で記録部位を熱して磁性を消失させ、次に冷えるまでの間に電磁石で磁界を与えます。完全に冷えると磁性が固定され、信号の記録が行われる仕組みです。

読み出しの際には弱いレーザーを照射して、磁性による反射光の変化 (カー効果) を読み取ります。

MOドライブの種類

MOドライブは、主に外付けドライブとして提供されています。対応OSにはWindows、Mac、Linuxなど様々な種類があり、ドライブ製品によって異なります。

縦置きで使用できる製品は、省スペース化の上で有用です。オーバーライト方式 (データを書き換える際に、以前のデータを消去せずそのまま上書きする技術) に対応している製品は、特に書き込み速度が速くなる傾向にあります。

ドライブによって対応するディスクの容量が決まっていますが、規定の容量以下のディスクは読み込みと書き出しが可能です 。例えば、540MB用なら230MBディスクと128MBディスクが使用できます。2.3GB用ならそれ以下のすべてのディスクが使用可能です。

MOドライブは基本的にUSBポートからの給電で動作する仕組みになっており、PCからのケーブル一本で使用できます。

本記事はMOディスクを製造・販売する株式会社ユニテックス様に監修を頂きました。

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LTOドライブ

監修:株式会社ユニテックス

LTOドライブとは

LTOドライブとは、データストレージ用途に設計された磁気テープの読み書き装置です。

LTOは「Linear Tape-Open」の略であり、ストレージ用の磁気テープを指します。LTOテープは非常に高いデータ容量を有し、最新機種では最大18TBの容量を提供します。コストパフォーマンスが非常に優れており、大量のデータを安価に長期的に保存可能です。

また、LTOテープは長期間の保存に耐える点も特徴のひとつです。LTOドライブで正しく保存すれば数十年にわたってデータを保持できるため、アーカイブ用途に適しています。

LTOドライブの使用用途

LTOドライブは以下のような用途で使用されます。

1. メディア・エンタメ

メディア業界では大容量の映像や音声データ及び編集ファイルなどを効率的に保存するためにLTOドライブが使用されます。映像データはデータ量が膨大であるため、高速かつ大容量のストレージが必要です。LTOテープは長期間のアーカイブにも耐えられるため、過去の作品や映像データの保管に最適です。

2. 金融

金融業界では顧客データや取引履歴を、規制に基づいてデータ保存する必要があります。LTOドライブは安価で容量も大きいデータストレージであるため、コンプライアンス要件に基づいた長期的なデータ保存を実現することが可能です。

一般的にはテープによるバックアップだけでなく、サーバーやクラウドストレージと併用されることが多いです。

3. 政府・公共機関

政府機関においては、法的な文書や規制に基づくデータを長期間保存する必要があります。LTOドライブはこうした重要データを保存するために使用されることが多いです。災害復旧やセキュリティの観点から、LTOテープはバックアップの一環として使用されます。

LTOドライブの原理

LTOテープは磁性体がコーティングされた長いテープです。通常はカートリッジ内に収められており、テープドライブに挿入して使用します。テープの表面には細かい磁気パターンが刻まれており、これによってデータを保持する仕組みです。

LTOドライブには読み書き用のヘッドがあり、テープと接触してデータを記録したり、既存のデータを読み取ったりします。書き込み時にはテープ上に電磁的な信号を送ることでデータを記録します。読み取り時はテープ上の磁気パターンを感知し、その情報をデジタル信号に変換します。

また、LTOはリニアレコーディングを採用しています。テープの幅全体にわたって一方向かつ直線的にデータを書き込むため、効率的に記録することが可能です。データはテープ上の直線トラックに並べられており、複数のトラックを使って並列にデータを書き込むことができます。

LTOドライブには、データの整合性を維持するためのエラーチェック機能が備わっています。データがテープに書き込む際にエラーが発生すると、自動的にエラー訂正を試みることで信頼性を高めます。

また、データの再読み取り機能も備えており、問題が発生した場合でもデータの損失を最小限に抑えます。

LTOドライブの選び方

LTOドライブを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 物理容量

物理容量についてはドライブの世代や保存データの規模を考慮する必要があります。LTOドライブの容量は世代ごとに異なり、LTO-9では非圧縮で最大18TB、圧縮後最大45TBの容量を有します。大規模なデータバックアップが必要な場合、高容量のドライブを選ぶことが重要です。

2. データ転送速度

LTOドライブのデータ転送速度は、LTO-9ではフルハイトモデルで最大400MB/s、ハーフハイトモデルで最大300MB/sとなっており、世代によって異なります。転送速度が速いほど、大量のデータを短時間でバックアップすることが可能です。バックアップの頻度が高く、時間的な制約がある場合には、高速な転送速度のドライブを選ぶと効率的です。

3. ホストインターフェース

LTOドライブは製品に応じて様々なインターフェースをサポートしており、選定時にはシステムに最適な製品を選ぶことが重要です。代表的なインターフェースにはSASやFibre Channel、USBがあります。

SASは多くのLTOドライブで標準的に使用されており、高速かつ安定した転送速度が特徴です。Fibre Channelは大規模なデータセンターで使用され、高速転送が可能です。USBは低コストで導入可能で、容易な接続や拡張性を持たないPCなど小規模な環境に最適です。

本記事はLTOドライブを製造・販売する株式会社ユニテックス様に監修を頂きました。

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熱処理

熱処理とは

熱処理とは、主に金属材料を融点以下の特定の温度まで加熱し、その後一定の条件下で冷やすことで、その材料の特性を変化させる加工プロセスです。

熱処理によって、材料の硬さ、強度、靭性、延性、耐摩耗性、耐食性などの性質を向上できます。熱処理が施される代表的な材質は鉄鋼材料ですが、非鉄金属やプラスチック材料を対象とした熱処理も存在します。

熱処理は、自動車、航空宇宙、建築、エレクトロニクス、医療機器など、さまざまな産業で使用されており、製品の性能を向上させるために不可欠なプロセスです。技術の進歩により、熱処理はより高精度で効率的に行われるようになり、多種多様なニーズに対応しています。

熱処理の使用目的

熱処理の目的は、材料や製品の用途や使用環境に応じて異なります。

1. 硬さの向上

金属表面を硬化させることで、耐摩耗性を向上させます。例えば、工具や切削部品は高い硬度が求められるため、焼入れや窒化処理が必要です。

2. 強度の調整

部品が高い荷重や衝撃に耐えられるようにするために、金属の内部構造を変化させて強度を最適化します。

3. 靭性の改善

靭性は、材料が割れにくい性質を指します。焼戻しや焼なましによって材料の脆さを抑え、衝撃への強さを高めます。

4. 応力の除去

機械加工や溶接によって発生する内部応力を低減することで、材料の寸法安定性や疲労耐性を向上させます。

5. 耐食性の向上

特定の熱処理は、金属の耐食性を向上させる効果があります。これは、化学工業や海洋環境で使用される製品にとって特に重要です。

6. 加工性の向上

金属を柔らかくして延性を高めることで、加工や成形を容易にします。これにより、複雑な形状の製品を効率的に製造するために必要な熱処理です。

熱処理の種類

熱処理にはさまざまな方法があり、それぞれ異なる目的や効果があります。鉄鋼材料に関する主な熱処理を紹介します。

1. 焼入れ (Quenching)

金属を高温に加熱した後、急速に冷やす処理です。焼入れよって、硬さや引張強度が向上します。冷却する際には水、油、空気などが用いられ、冷却速度に応じて特性が変化します。主に工具や機械部品に使用されます。

2. 焼戻し (Tempering)

焼入れ後の金属は硬くなると同時に、脆くもなります。この脆さを改善し、靭性を向上させるために必要な処理が焼戻しです。比較的低い温度に加熱し、適切な硬度と靭性を持つ材料に仕上げます。

3. 焼なまし (Annealing)

金属をゆっくり加熱し、一定温度に保持した後、徐々に冷却する処理です。これにより、材料内部の応力が解放され、加工性や寸法安定性が向上します。鋼材の柔軟性を高めるのに効果的です。

4. 浸炭処理 (Carburizing)

金属表面に炭素を浸透させ、硬化させる方法です。表面だけを硬く、内部は靭性がある性質を持たせるため、ギアやシャフトなどに使用されます。

5. 窒化処理 (Nitriding)

窒化処理は、金属表面に窒素を浸透させることで、硬度や耐摩耗性を向上させます。低温で行われるため、寸法変化が少なく、高精度の部品に適した熱処理です。

熱処理の選び方

適切な熱処理方法を選択することは、製品の品質や性能を最大化するために重要です。以下は、熱処理を選ぶ際のポイントです。

1. 材料の特性を把握する

材料の化学組成や構造は、適用できる熱処理の種類に大きく関係します。例えば、鉄鋼材料は焼入れや焼戻しに適しており、アルミニウム合金には析出硬化が適しています。

2. 目的に合った方法を選ぶ

部品の使用目的や環境に応じて、最適な熱処理方法を選びます。例えば、耐摩耗性が求められる場合は焼入れや窒化処理が、寸法安定性が重要な場合は焼なましや応力除去処理が向いています。

3. コストと効率を考慮する

熱処理プロセスには時間やコストがかかるため、製造工程全体での費用対効果を考慮する必要があります。効率的なプロセスを採用することで、品質を維持しながらコストを抑えることが可能です。

4. 信頼できる事業者を選ぶ

熱処理は高度な技術と設備が求められる作業です。経験豊富で信頼できる事業者を選ぶことで、品質とスピードの両方を確保できます。

熱処理に関するその他情報

非鉄金属の熱処理

鉄鋼材料以外でも熱処理は施されます。例えば、アルミやアルミニウム合金における熱処理は調質と呼ばれ、溶体化処理、焼き入れ処理、時効処理が行われます。時効処理では化合物を析出させることで材料強度を高めます。

プラスチックの熱処理

プラスチック製品についても熱処理が施されることがあります。ここでは3つの熱処理を挙げます。

まず乾燥は、プラスチックが吸湿した水分を除去する処理です。多くのプラスチックは吸湿性があり、吸湿によって膨潤すると寸法が変化します。

次にキュアリングは、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性プラスチックや、ポリアミドイミド等の熱可塑性プラスチックに行われます。成形中に反応しなかった部分を化学反応させ、寸法変化や有害ガスの発生を抑える処理です。

アニーリングは成形中に生じた残留応力を除去するもので、素材のガラス転移温度付近で行われます。またプラスチックの熱処理は、切削加工する際に必要になる場合もあります。

ドライバーズエイド

ドライバーズエイドとは

ドライバーズエイドとは、運転指示装置 (システム) とも呼ばれ、自動車の開発や試験において、ドライバーに正確な走行パターンを指示し、試験の精度向上に大きく貢献するシステムです。

各自動車メーカーの研究開発や、試験ラインでは、ガソリン車およびディーゼル車の厳しい排ガス規制の適合性や燃費向上試験、EV車の電池性能試験のために、ドライバーがシャシローラ上に乗せた車両を実際に運転します。

その際、ドライバーに対し、試験毎に走行パターンをモニタ画面上のグラフィック表示で指示するシステムがドライバーズエイドです。モニタ画面に、時間と車速の変化と試験車の実車速をグラフィック上に指標して表示したり、音声でドライバーに知らせるシステムもあります。また、マニュアルミッションの車では、どのタイミングで変速するかの指示も行います。

ドライバーズエイドの使用用途

正確な走行パターンを再現し、ドライバーの操作によるバラつきを最小限に抑えることで、試験の精度向上に貢献するドライバーズエイドは下記のような用途に使用されます。

1. 排ガス認証試験

シャシダイナモと呼ばれる装置上で、車両を固定し、様々な走行パターンを再現しながら排ガスを測定し、法定基準を満たしているか確認します。

2. 燃費向上試験

加速、減速、一定速度走行など、燃費に影響を与える様々な走行パターンを正確に再現するため、ドライバーの運転操作によるバラつきを最小限に抑え、高精度な燃費データを取得できます。

3. エンジンの開発

市街地走行や高速道路走行など、様々な運転条件下での燃費性能を評価するために実用的な走行パターンを再現し、エンジンの効率性を検証します。

4. 自動車燃料の開発

従来の燃料と比較して、新燃料がどのような燃費改善効果をもたらすのかを、客観的に評価することができます。

5. 自動車部品の開発

新しい部品を搭載した車両の燃費性能を評価するために、ドライバーズエイドが活用されます。例えば、低燃費タイヤやエアロパーツの効果を、実走行に近い状態で評価することができます。

ドライバーズエイドの原理

ドライバーズエイドシステムは、コントローラ、リモコン (有線・無線) 、ペンレコーダー、モニタ (レール吊り下げ、車載、台車、ハンドル固定、アーム、吸盤、保温ボックス)などから構成されています。

コントローラは、パソコンに相当する機能を有する装置で、試験する運転パターンの各種データ (時間毎の車速およびシフト) をメモリに保持。そのメモリから演算によって、モニタに運転パターンとして表示するためのグラフィックデータを作成しています。

またコントローラは、外部から新たな運転パターンのデータを入力するための通信 (インタフェース) 機能も有し、シャシローラの回転をセンサによって検出し、検出した信号から車速を計算し、モニタに指標として表示するための信号に変換してモニタに送ります。また、基準の運転パターンデータに対して上下限の許容範囲の演算も行い、グラフィック表示や音声出力を行います。

リモコンのスタート指令によってグラフィック表示をスクロールさせ、基準車速と実車速の比較を行いながら、許容範囲から逸脱していないか判定を行います。さらに、運転中の基準車速、実車速、上下限車速などのアナログ信号をペンレコーダー用として出力します。

勘定系システム

監修:株式会社ユニテックス

勘定系システムとは

勘定系システムとは、銀行などの金融機関において使用されているシステムの一種で、顧客預金の入出金や、融資、決済などの金融取引を管理するためのシステムです。

金融機関における業務の中核を担うシステムであり、高い性能と信頼性が要求されることから、メインフレーム (大型のコンピュータ端末) を中心として構築されることが多いです。勘定系システムには、オフラインとオンラインの2種類のシステムがあり、これらが並行して稼働しています。

また、一部では、企業の財務・会計業務の基盤となる情報システムを勘定系システムと呼ぶ場合もあります。

勘定系システムの使用用途

1. 金融機関における勘定系システム

勘定系システムは銀行の勘定処理全般の実行に用いられています。口座や融資における残高管理や利息計算を処理し、為替、ネットワーク、対外システムとの接続を制御することに使用されています。

なお、金融機関で使用されるシステムには、勘定系システム以外にも情報系システム (収益管理、顧客管理など) 、国際系システム (海外支店、外国為替業務など) 、対外系システム (ATM、全銀システム、インターネットバンキングなど)がありますが、これらのシステムは狭義の勘定系システムには含まれません。

2. 企業における勘定系システム

企業における勘定系システムは、会計や決済業務、資産管理、財務報告などを一元的に管理することが可能であり、財務・会計業務全般に寄与します。

勘定系システムの原理

1. 金融系勘定系システム

金融機関における勘定系システムの主な機能は、顧客の口座の入出金や残高管理、利息計算、振込、送金の処理、為替取引、他の金融機関との資金決済などがあります。システムは、オンライン処理とオフライン処理が並行して稼働する仕組みです。

オンライン処理では、ネットワークを経由して、預金の入出金や融資などを瞬時に処理します。オンライン処理したデータを日次・月次でまとめて読み込ませるバッチ処理機能と、定型のオンライン取引 (口座振替など) を一括処理するセンターカット処理機能から主に構成されています。

一方、オフライン処理は、ネットワークを経由せずに行った処理をコンピュータにまとめて読み込ませるため、処理内容が反映されるまで少しタイムラグがあります。オフライン処理の代表的な例がクレジットカードの利用代金や公共料金などの引き落としです。

2. 企業用勘定系システム

企業における勘定系システムの主な機能には、会計管理、決済管理、資産管理などがあります。日常的な取引や支出の記録から、売上金の回収や支払業務、固定資産や流動資産まで、様々な会計業務の効率化が可能です。

また、税金の計算や納税管理などの税務処理機能もあり、税務申告や税務調査への対応に便利です。

勘定系システムの種類

現在の金融系の勘定系システムは、1980年代に設計、開発された「第3次オンラインシステム」をベースとして、メインフレームを中心とした拡張や更改が行われている場合が主流です。一方で、こうした既存のシステムには老朽化や硬直化の問題があります。

インターネットバンキングなどの新しい金融サービスへの対応やDX推進などの観点により、近年導入が進みつつあるシステムがオープン勘定系システムです。オープン勘定系システムは、オープンソースであるLinuxをベースとしている場合が主流です。

また、システムやハードウェアを自社において管理するオンプレミス型は、負担やコストが大きくなる傾向にあります。そのため、一部の金融機関ではクラウド勘定系のシステムへの移行も進んでいます。クラウド型は、信頼性の高いオンプレミス型に比べて、セキュリティや障害耐性への対応に課題があると言われていましたが、近年ではクラウド技術の進化により、これらの課題も徐々に解決されつつあります。

本記事は勘定系システムを製造・販売する株式会社ユニテックス様に監修を頂きました。

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ペンレコーダー

ペンレコーダーとは

ペンレコーダーとは、アナログデータをペンによって物理的に記録する装置です。

通常は温度や湿度及び圧力などの測定値を紙の記録紙に自動的に記録するために使用します。測定対象の変動を連続的に記録できるため、主に工場や研究室などで用います。リアルタイムでの監視が可能なため、継続的なデータ追跡や変動の傾向を確認する際に有効です。

ペンレコーダーはチャートレコーダーやアナログ記録計の一種です。ペンレコーダーは、温度・電圧の信号をそのまま波形として記録するため、「データの改ざん」をしづらく、品質データの信頼性向上に寄与します。

ペンレコーダーの使用用途

ペンレコーダーは以下のような用途で使用されます。

1. 製造業

製造業においては、製品出荷時の品質データを記録・保存するために使用されます。また、温度や圧力などの重要な環境パラメーターをリアルタイムで監視するために使用されます。ペンレコーダーを使用することで、工程が適切な環境範囲内で行われていることを確認できます。

自動車メーカーでは、排ガス分析や車速の記録を行う用途として数多く採用されています。

2. エネルギー産業

エネルギー業界では、発電所での運転データの監視にペンレコーダーが利用されます。発電所ではボイラー温度や蒸気圧力が重要なパラメーターであるため、これらを継続的に記録することによって設備の安全性を確保します。

また、エネルギーの消費量や効率を記録するために使用することで、効率的なエネルギー管理にも寄与します。

3. 環境モニター

ペンレコーダーは気象データの記録などに使用されます。気象観測に用いることで、温度や湿度及び風速などのデータを記録し、環境変動を把握することが可能です。また、河川や水処理施設での水温やpH値を記録するためにも使用されます。

地中や海底に埋没している不発の機雷、爆弾、砲弾の探知用として、探知器メーカ-の磁気探知器の信号記録用にも使用されています。

4. その他

分析計の出力波形記録・各種試験器の出力波形記録・大学、研究機関、企業における各種実験用

ペンレコーダーの原理

ペンレコーダーに温度や圧力などの物理量を検知するためのセンサーを接続して使用します。
センサーは、測定対象から得られる情報を電気信号に変換します。この電気信号を機構部へ伝えてペンを動作させる仕組みです。

ペンレコーダ-は、ドラムの回転により記録紙を設定した速度で送り出し、入力信号を受けてペンが左右(プラス/マイナス)に動くことにより、記録紙に波形として描かれます。
回転ドラムが一定の速度で動くため、時間軸に沿ったデータを正確に記録することが可能です。ドラムの回転速度と記録紙の進行速度が定められているため、測定値が適切なスケールで対時間グラフとして表現されます。

ペンレコーダーには、ペンと記録紙を使用します。
現行製品ではインクの補充が出来ないため、ペンは消耗品として交換する必要があります。
入力信号を受けペンが記録紙上で動くことでアナログ波形を描きます。

ペンレコーダーの選び方

ペンレコーダーを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 入力信号

ペンレコーダーを選ぶ際には入力信号の種類に注意が必要です。熱電対や測温抵抗体および4-20mA入力信号などの種類で販売されています。選定する際は使用するセンサーや試験機、分析器がどの様な出力信号かを確認し、その信号に適応したペンレコーダーを選びます。

また、入力点数も重要です。複数の入力点を備えたペンレコーダーは同時に多くのパラメーターを記録できるため、多くのデータを同時に記録監視する場合に役立ちます。

2. 測定範囲

ペンレコーダーの測定範囲は、対象とする物理量の範囲に合わせて選定します。入力信号の種類によっても測定範囲が異なるため、合致する機器を選定する必要があります。一般的には製品の仕様書などに記載されていることが多いです。

3. サイズ

使用する記録紙のサイズや形式も、ペンレコーダーを選ぶ際の重要な要素となります。レコーダーが記録できる時間や記録項目数に影響を与えるため、記録するデータ量に応じたサイズや形式の製品を選びます。

ペンレコーダーのその他情報

ペンレコーダー、チャートレコーダー、アナログ記録計は、いずれも測定データをアナログ形式で記録する装置です。ペンレコーダーは、その中でも最もシンプルな構造を持ち、直感的にデータを読み取ることができます。チャートレコーダーは、ペンレコーダーを包含するより広義の言葉で、様々な記録方式に対応可能です。アナログ記録計は、これらの装置を総称する言葉です。

ペンレコーダーとチャートレコーダー、およびアナログ記録計の関係性は以下の通りです。

1. チャートレコーダーとの関係

チャートレコーダーは、ペンレコーダーを包含するより広義の言葉です。ペンレコーダーがペンで記録するのに対し、チャートレコーダーには、ペンだけでなく、打点式、サーマル式など、様々な記録方式を持つものがあります。つまり、ペンレコーダーはチャートレコーダーの一種と言えるのです。

2. アナログ記録計との関係

アナログ記録計も、チャートレコーダーと同様に、測定データを連続的な信号として記録する装置の総称です。ペンレコーダーは、アナログ記録計の中でも最も一般的なタイプの一つです。

焼結合金加工

監修:大森精工有限会社

焼結合金加工とは

焼結合金加工とは、金属粉末を高温で焼結させて合金を作り上げる加工技術です。

焼結とは、金属粉末を溶融点以下の温度で加熱し、粉末の粒子が相互に結びついて固体となる現象です。金属を直接溶かして成形するのではなく、金属粉末を圧縮して加熱することで合金の成形を行います。したがって、鋳型による成形よりも精密で複雑な形状を作ることが可能です。

焼結合金は溶解を伴わないため、高温での金属の溶融を必要とせず、低温での処理ができます。高温での酸化や変形が抑えられ、材料特性を保ったまま製造が可能です。また、必要に応じて合金の成分を調整することで、特定の性能を持った材料を作ることができます。

焼結合金加工の使用用途

焼結合金加工は下記のような用途で使用されます。

1. 自動車

自動車産業では、耐摩耗性や強度が求められる部品に焼結合金を使用します。具体的にはギアやベアリング及びエンジン部品などが挙げられます。これらの部品を焼結合金によって製造することで、軽量化や耐久性向上及びコスト削減などの効果が期待できます。

2. 工具

工具産業でも超硬工具などの製造に焼結合金が広く使用されており、特に切削工具や研磨工具など、摩耗に強い部品に利用されることが多いです。焼結合金は高硬度のため、長寿命工具の製造に役立ちます。摩耗に強く、加工精度が求められる部品において、焼結技術は非常に効果的です。

3. 医療

焼結合金はインプラントや義肢に広く使用されています。生体適合性を有する材料を用いた焼結合金を骨折治療用インプラントや義肢部品に適用することで、軽量で強度のある部品を製造することが可能です。

高い精度が求められる部品にも最適であるため、医療機器の精密部品にも焼結技術が活用されます。

焼結合金加工の原理

焼結合金加工は金属粉末を高温で加熱し、固体の合金を形成する加工技術です。

最初に金属粉末を所定の形状に圧縮することで粒子の密度を高め、加熱工程へ移行します。焼結温度は金属の融点よりも低いものの、粉末粒子が接触し、原子間で結びつく程度には十分に高い温度です。この加熱プロセスによって粉末粒子同士が物理的に結びつき、強い結合が形成される仕組みです。

焼結温度は材料によって異なり、一般的には金属の融点の約60~80%程度です。焼結過程では粒子間の隙間が縮小し、その後粒子同士がさらに接合されて強固な結合が成立します。これにより、金属の密度が向上し、機械的特性が改善します。

焼結が進行する間、微細構造も変化します。空隙が縮小し、高強度で均質な材料となります。焼結後、材料を冷却し、所定の形状と特性を持った合金が完成する仕組みです。

焼結合金加工は金属を直接溶かして成形するわけではなく、粉末を使うことによって材料の無駄を最小限に抑えます。複雑な形状の製品を一度に製造できる点も特徴です。

焼結合金加工サービスの選び方

焼結合金加工を代行するサービスを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 加工品質

加工精度と品質管理は重要な選定基準です。焼結合金加工は高い精度が要求されるため、加工精度を維持するための設備や技術を有していることを確認します。ISOなどの国際品質規格に準拠していることや、品質管理プロセスをしっかりと実施していることを確認する必要があります。

2. 対応材料

材料についても考慮することが重要です。焼結合金には様々な材料を使用しますが、目的に適した材料を提供できるサービス企業を選定する必要があります。材料の種類や仕様について、事前に確認しておくことが大切です。

3. 生産能力

生産能力と納期も重要な要素です。焼結合金の加工は大量生産が可能ですが、納期が重要となる場合は生産能力についても確認する必要があります。試作や少量生産を依頼する場合には、スケジュール通りに納品できることもチェックするべきポイントです。

4. 価格

コストも検討すべき要素です。複数の企業より見積もりを取って比較し、コストパフォーマンスの高い企業を選ぶことが重要です。また、見積書に材料費や加工費及び諸経費などが明確に提示されていることも確認する必要があります。

本記事は焼結合金加工を提供する大森精工有限会社様に監修を頂きました。

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治具設計

治具設計サービスとは

治具設計サービスとは、製造や組み立て工程における効率化や精度向上を目的として、特定の作業に適した「治具」を設計・提供するサービスのことを指します。

治具は、加工や組み立て、検査などの場面で使用される補助的な工具や装置であり、生産性や品質管理に大きな影響を与えます。治具設計サービスを活用することで、製品の品質を均一化し、作業効率を向上させるだけでなく、人的ミスを減少させる効果も期待できます。

企業が治具設計を内製するには、専門知識や設備が必要であり、コストや時間の面で負担が大きい場合があります。専門的な治具設計サービスを利用することで、外部の専門知識を活用し、コア業務に集中することが可能です。多くの治具設計サービスでは、治具の制作まで行うのが一般的です。

治具設計サービスの使用用途

治具設計サービスは、さまざまな分野や工程で活用されています。以下は、主な使用用途の例です。

1. 加工治具の製作

加工治具は、部品の位置を固定したり、特定の形状に加工したりするために使用されます。これにより、加工精度が向上し、不良品の発生を減少させることが可能です。例えば、切削加工や溶接、穴あけ作業において治具が利用されるケースが多いです。

2. 組立治具の製作

組立治具は、部品同士を効率よく正確に組み立てるためのツールです。特に、小型部品や複雑な構造を持つ製品の組み立てには、治具が不可欠です。自動車や電子機器の生産ラインでは、組立治具の使用により生産スピードと精度が向上しています。

3. 検査治具の製作

製品の品質を確認するための検査治具は、検査工程を効率化し、データの一貫性を確保する役割を果たします。例えば、寸法測定や電気特性検査のための専用治具が広く利用されています。

4. 試作・プロトタイピング用治具の製作

新製品の開発過程は、試作やプロトタイピング用の治具が使用される分野です。製品の構造や機能の確認が効率的に行え、製品化に向けた課題を早期に発見できます。

5.試験治具の製作

試作品を試験装置に取り付けるために、治具製作サービスが利用されます。治具の精度や剛性などが低いと、試験結果に悪影響を及ぼす場合があります。治具製作のノウハウを持った専門サービスを利用することで、自社リソースを無駄にせず、適切な試験治具の用意が可能です。

治具設計サービスの種類

治具設計サービスには、さまざまな種類があり、用途や目的に応じて最適な選択が求められます。以下に、代表的な治具設計サービスの種類を紹介します。

1. 標準治具設計サービス

標準治具設計サービスは、既存の設計やテンプレートを基に治具を製作するサービスです。汎用性が高く、コストを抑えた治具を短期間で提供できるのが特徴です。一般的な製造業務や検査業務に適しています。

2. カスタム治具設計サービス

特定の作業や製品に特化した治具を設計するサービスです。独自の要件や仕様を満たす治具を作成するため、設計の自由度が高い反面、製作コストや時間がかかる場合があります。精密加工や特殊な用途に適した治具を必要とする場合に利用されます。

3. 自動化治具設計サービス

生産ラインの自動化を目的とした治具の設計サービスです。ロボットや自動機械との連携を前提とした設計が行われ、人手作業の削減や生産性の向上を実現します。特に、量産体制が整った企業での活用が進んでいます。

4. 3Dプリンティングを活用した治具設計サービス

近年注目されているのが、3Dプリンティング技術を活用した治具設計サービスです。従来の製造方法では難しかった複雑な形状や短納期での製作が可能で、プロトタイピングや少量生産に適しています。