ペンレコーダー

ペンレコーダーとは

ペンレコーダーとは、アナログデータをペンによって物理的に記録する装置です。

通常は温度や湿度及び圧力などの測定値を紙の記録紙に自動的に記録するために使用します。測定対象の変動を連続的に記録できるため、主に工場や研究室などで用います。リアルタイムでの監視が可能なため、継続的なデータ追跡や変動の傾向を確認する際に有効です。

ペンレコーダーはデジタル記録計が普及する以前は非常に一般的な装置でした。ただし、現在ではデジタル化が進んでおり、多くの機能を有するデジタルタイプの記録計が普及しつつあります。ただし、現在でも特定の業界やシチュエーションでは活用されています。

ペンレコーダーの使用用途

ペンレコーダーは以下のような用途で使用されます。

1. 製造業

製造業においては、温度や圧力などの重要な環境パラメーターをリアルタイムで監視するために使用されます。ペンレコーダーを使用することで、工程が適切な環境範囲内で行われていることを確認できます。化学プラントや反応炉など、プロセス系の産業で使用されることが多いです。

2. エネルギー産業

エネルギー業界では、発電所での運転データの監視にペンレコーダーが利用されます。発電所ではボイラー温度や蒸気圧力が重要なパラメーターであるため、これらを継続的に記録することによって設備の安全性を確保します。

また、エネルギーの消費量や効率を記録するために使用することで、効率的なエネルギー管理にも寄与します。

3. 環境モニター

ペンレコーダーは気象データの記録などに使用されます。気象観測に用いることで、温度や湿度及び風速などのデータを記録し、環境変動を把握することが可能です。また、河川や水処理施設での水温やpH値を記録するためにも使用されます。

ペンレコーダーの原理

ペンレコーダーには温度や圧力などの物理量を感知するためのセンサーが取り付けられています。センサーによって測定対象から得られる信号を電気信号に変換します。この電気信号を機構部へ伝えてペンを動作させる仕組みです。

ペンレコーダー内部には、記録用紙が取り付けられたドラムが内蔵されています。ドラムが回転することで記録用紙が時間軸に沿って進行し、ペンがセンサーから送られてきた信号に基づいて上下に動きます。これにより、時間に対する測定値の変動がグラフとして紙に描かれます。

回転ドラムが一定の速度で動くため、時間軸に沿ったデータを正確に記録することが可能です。ドラムの回転速度と記録紙の進行速度が定められているため、測定値が適切なスケールで対時間グラフとして表現されます。

ペンレコーダーのペンには、インクを使用しないことが多いです。チャート紙などの感圧紙を使用することで、インクの補充を不要としています。ペンが紙に圧力を加えることで図示し、データを視覚的に表現しています。

ペンレコーダーの選び方

ペンレコーダーを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 入力信号

ペンレコーダーを選ぶ際には入力信号の種類に注意が必要です。熱電対や測温抵抗体および4-20mA入力信号などの種類で販売されています。選定する際は使用するセンサーがどのタイプの信号を出力するかを確認し、適したペンレコーダーを選びます。

また、入力点数も重要です。複数の入力点を備えたペンレコーダーは同時に多くのパラメーターを記録できるため、多データを同時監視する場合に役立ちます。

2. 測定範囲

ペンレコーダーの測定範囲は、対象とする物理量の範囲に合わせて選定します。入力信号の種類によっても測定範囲が異なるため、合致する機器を選定する必要があります。一般的には製品の仕様書などに記載されていることが多いです。

3. サイズ

使用する記録紙のサイズや形式も、ペンレコーダーを選ぶ際の重要な要素となります。レコーダーが記録できる時間や記録項目数に影響を与えるため、記録するデータ量に応じたサイズや形式の製品を選びます。長時間のデータ記録が必要な場合は、大きな記録紙を使用するモデルを選ぶと有利です。