勘定系システムとは
勘定系システムとは、銀行などの金融機関において使用されているシステムの一種で、顧客預金の入出金や、融資、決済などの金融取引を管理するためのシステムです。
金融機関における業務の中核を担うシステムであり、高い性能と信頼性が要求されることから、メインフレーム (大型のコンピュータ端末) を中心として構築されることが多いです。勘定系システムには、オフラインとオンラインの2種類のシステムがあり、これらが並行して稼働しています。
また、一部では、企業の財務・会計業務の基盤となる情報システムを勘定系システムと呼ぶ場合もあります。
勘定系システムの使用用途
1. 金融機関における勘定系システム
勘定系システムは銀行の勘定処理全般の実行に用いられています。口座や融資における残高管理や利息計算を処理し、為替、ネットワーク、対外システムとの接続を制御することに使用されています。
なお、金融機関で使用されるシステムには、勘定系システム以外にも情報系システム (収益管理、顧客管理など) 、国際系システム (海外支店、外国為替業務など) 、対外系システム (ATM、全銀システム、インターネットバンキングなど)がありますが、これらのシステムは狭義の勘定系システムには含まれません。
2. 企業における勘定系システム
企業における勘定系システムは、会計や決済業務、資産管理、財務報告などを一元的に管理することが可能であり、財務・会計業務全般に寄与します。
勘定系システムの原理
1. 金融系勘定系システム
金融機関における勘定系システムの主な機能は、顧客の口座の入出金や残高管理、利息計算、振込、送金の処理、為替取引、他の金融機関との資金決済などがあります。システムは、オンライン処理とオフライン処理が並行して稼働する仕組みです。
オンライン処理では、ネットワークを経由して、預金の入出金や融資などを瞬時に処理します。オンライン処理したデータを日次・月次でまとめて読み込ませるバッチ処理機能と、定型のオンライン取引 (口座振替など) を一括処理するセンターカット処理機能から主に構成されています。
一方、オフライン処理は、ネットワークを経由せずに行った処理をコンピュータにまとめて読み込ませるため、処理内容が反映されるまで少しタイムラグがあります。オフライン処理の代表的な例がクレジットカードの利用代金や公共料金などの引き落としです。
2. 企業用勘定系システム
企業における勘定系システムの主な機能には、会計管理、決済管理、資産管理などがあります。日常的な取引や支出の記録から、売上金の回収や支払業務、固定資産や流動資産まで、様々な会計業務の効率化が可能です。
また、税金の計算や納税管理などの税務処理機能もあり、税務申告や税務調査への対応に便利です。
勘定系システムの種類
現在の金融系の勘定系システムは、1980年代に設計、開発された「第3次オンラインシステム」をベースとして、メインフレームを中心とした拡張や更改が行われている場合が主流です。一方で、こうした既存のシステムには老朽化や硬直化の問題があります。
インターネットバンキングなどの新しい金融サービスへの対応やDX推進などの観点により、近年導入が進みつつあるシステムがオープン勘定系システムです。オープン勘定系システムは、オープンソースであるLinuxをベースとしている場合が主流です。
また、システムやハードウェアを自社において管理するオンプレミス型は、負担やコストが大きくなる傾向にあります。そのため、一部の金融機関ではクラウド勘定系のシステムへの移行も進んでいます。一方で、クラウド型は、信頼性の高いオンプレミス型に比べて、セキュリティや障害耐性への対応が課題です。