分銅とは
分銅とは、重さを測定するための基準となる重りです。
分銅は決められた一定の質量を有しており、計測器などに乗せることで校正などを実施することができます。したがって、分銅を使うことで測定機器の精度を確認でき、測定結果の信頼性が高まります。国際的な標準に基づいて製造されており、世界中の異なる場所・時期に行われた測定でも、分銅を用いることで結果を比較することが可能です。
分銅の使用用途
分銅は以下の用途で使用されます。
1. 計測機器業
計測機器の製造業界では、分銅は必須の道具です。天秤や精密秤を作成する際、分銅はその機器の校正に欠かせないものであり、正確な測定を行うためには分銅の精度が非常に重要です。精密な重さ測定が製品品質や安全性に直結するため、分銅を利用した検証作業を必ず実施しています。
2. 物流業
物流や貿易業界では、貨物の重さを正確に測定する必要があります。分銅によって計量器を校正することで、貨物の重量に基づいて運賃を計算したり、規制に従って適正な重量を測定したりします。また、輸出入時に貨物の正確な重量を記録することも重要なため、その際にも分銅を使用することがあります。
3. 化学・製薬業
化学工業や製薬業では、原料や化学製品の重さを正確に測ることが必要です。特に薬品の製造においては、成分の比率や原料の分量を厳密に調整する必要があり、そのために分銅によって校正された計量器を使用します。製造機器の校正や研究所での実験の精度を保つためにも分銅は重要な役割を果たします。
4. 医療
医療においても、薬剤の調合や体重計及び医療器具の重さの確認においても分銅が使用されることがあります。分銅を使って計量機器を校正し、上記が正確な値を指すことを確認することが多いです。これらの値がずれてしまうと、医療の質が低下してしまう恐れがあるため注が必要です。
分銅の原理
分銅は他の物体の質量を測定するための基準として使用されます。したがって、その質量が正確であることを確保するためには、トレーサビリティが重要です。
分銅の質量は国際的に認められた基準に基づいて測定する必要があります。その測定過程や比較重量を文書化し、分銅質量の正確さを証明した証書がトレーサビリティです。分銅質量の正確さを追跡可能にすることで、どのようにして分銅の質量が定められたか、その精度がどのように保たれているかを後から確認することが可能です。
分銅のトレーサビリティは標準質量に基づいています。標準質量は国際度量衡局などの国際的に認められた測定機関によって管理され、提供する基準に基づいて分銅の質量を校正します。標準質量と比較することで、分銅の重量の精度を国際的に担保しています。
分銅の校正は基準となる標準分銅と比較することで実施します。これらの標準分銅の精度は国際的に認められた基準に従っており、最終的には国際度量衡局の管理する国際質量標準にリンクしいます。こうした標準に基づく校正を受けた分銅はトレーサビリティを保証された状態であり、他の測定機器と比較できるようになります。
分銅の種類
分銅は精度や用途に応じて等級が分かれています。以下はその等級による分類です。
1. F1級
F1級は分銅の中で最も高い精度を誇るクラスで、非常に厳密な質量管理が求められる場合に使用されます。精密な測定が必要な場合に使用し、通常は国際的な基準に基づく校正を受けています。品質が最も高く、数十億分の一単位の精度で質量が測定できることが特徴です。
2. F2級
F2級はF1級に次ぐ高精度の分銅で、F1級ほどの精度は要求されないものの、依然として非常に高い精度を有します。特に精密な計測が必要な場面で使用されますが、F1級よりはやや広い許容誤差範囲を有します。天秤や計量器の校正及び研究開発で使用されることが多いです。
3. M1級
M1級は商業的な取引や一般的な計測で使用される標準的な精度を持つ分銅です。F1級やF2級ほどの精度は求められないものの、通常の商業取引や工業での計測において十分な精度を有します。耐久性があり、安定した質量が長期間保持できることが特徴です。
4. M2級
M2級は最も低い精度の分銅で、精度がそこまで重要でない場合や、予算が限られている場合に使用されます。標準的な計測機器や商業的な目的で用いられ、誤差がある程度許容される状況で使用します。安定した使用が可能ですが、高精度を求められる場面では使用しません。