モリブデン加工

監修:高洋電機株式会社

モリブデン加工とは

モリブデン加工とは、モリブデンと呼ばれる金属を加工する技術です。

モリブデンは、元素記号Moの金属で、優れた物理的および化学的特性を備えています。まず、高い融点 (約2,623℃) であり、高温環境でも安定性を保ちます。この特性により、航空宇宙や原子力産業などの過酷な条件下で利用することが可能です。

また、耐食性にも優れ、酸やアルカリに対しても強い抵抗力を有します。導電性と熱伝導性も優れており、電子機器や真空管の部品にも利用されることが多いです。

モリブデンの密度は高く、機械的強度も高いため、構造材料としての用途も多岐にわたります。ただし、その加工は難しいため、専門的な技術と設備が必要です。

モリブデン加工の使用用途

モリブデンは優れた特性から、高度な産業で活用されることが多いです。以下はその一例です。

1. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では、モリブデンが主に高温部品や構造材として使用されます。航空機のエンジン部品やロケットのノズルなど、高温環境にさらされる部品に使用することが可能です。極めて高い融点を有し、熱膨張係数が低いため、航空機の耐久性を向上させることが可能です。

2. 電子機器

モリブデンは電子機器や半導体製造でも重要な材料です。古くは真空管などの材料に使用されていました。近年でも電子ビーム装置の電極として使用され、高い導電性と熱伝導性が重宝されています。

また、モリブデンは薄膜トランジスタの材料としても利用されます。特にディスプレイ技術においては、薄い層での高い性能を維持するために重要です。高温超伝導材料とも相性が良く、先端技術分野での応用も期待されています。

3. 鉄鋼業

鉄鋼業ではモリブデンを直接の加工対象としてではなく、ステンレス材の添加金属として使用することが多いです。モリブデンを添加することで、硬度などを強化することができます。ステンレス鋼の製造には、粉末状にしたモリブデンなどを用います。

モリブデン加工の原理

モリブデンは非常に硬く、加工が難しいため、切削加工には高精度の工具が必要です。硬度が高いため、通常の金属加工機ではなく、超硬合金やセラミック製の工具を使用します。一方で温度の急変で脆くなる場合があるため、加工には十分注意が必要です。

モリブデンの切削時には熱を発生しやすいため、冷却液を使用することが多いです。これにより、急激な温度上昇を抑え、工具の寿命を延ばしつつ仕上がり面の品質を向上させることができます。一般的には油性冷却液や水溶性冷却液が使用されます。

また、モリブデンは高温での塑性加工が可能です。高温下でモリブデンを加熱し、圧力をかけることで目的の形状に成形します。ただし、モリブデンの高融点を考慮して、専用の加熱炉や成形機が必要です。

モリブデンの溶接は、特にその高融点と酸化しやすい性質から注意が必要です。通常はアーク溶接やレーザー溶接が使用されます。溶接時には、酸化を防ぐために不活性ガスを使用したり、真空環境下で行うことが一般的です。

モリブデン加工サービスの選び方

モリブデンの加工を外部へ委託する場合、以下を考慮することが重要です。

1. 技術・経験

加工業者の技術力や業界での経験は非常に重要です。モリブデンは硬く加工が難しいため、専門的な技術とノウハウを持つ業者を選ぶことで、品質の高い製品を得ることができます。過去のプロジェクトや実績を確認し、信頼性を評価します。

2. 加工能力

加工能力が具体的なニーズに合致していることを確認します。切削や粉末冶金、溶接など、様々な加工方法を提供しているか、または特定の加工に強みを持っているかを確認することが重要です。必要な寸法や形状に加工できる設備や技術を有することもチェックします。

3. 品質管理

モリブデン加工は精度の管理が難しいため、品質管理体制がしっかりしている委託先を選ぶことが重要です。ISO認証などを有する委託先は、品質保証に対する取り組みが信頼できることが多いです。検査設備やプロセスについても確認する必要があります。

4. コスト

コストも重要ですが、最安価な委託先が必ずしも最善とは限りません。品質やサービス内容を考慮し、コストパフォーマンスが良い委託先を選ぶことが重要です。複数の企業から見積もりを取得し、比較検討する必要があります。

本記事はモリブデン加工を提供する高洋電機株式会社様に監修を頂きました。

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ハステロイ加工

監修:高洋電機株式会社

ハステロイ加工とは

ハステロイ加工とは、ハステロイと呼ばれる金属を加工する技術です。

ハステロイ (Hastelloy) は、主にニッケルを基にした合金です。腐食に対して非常に優れた耐性を有し、化学プラントや海洋環境での使用に適しています。また、高温環境でも優れた強度と安定性を保つ高機能合金です。

ただし、ハステロイは高い強度を有するために加工が難しく、適切な工具や条件を選ばないと加工が困難です。したがって、適切な技術と経験を基に加工する必要があります。

ハステロイ加工の使用用途

ハステロイは高度な産業で使用される合金です。以下はハステロイ加工技術の使用用途の一例です。

1. 化学産業

化学工業において、ハステロイは反応器や熱交換機などに使用されます。強酸や強アルカリなどの腐食性物質と接触する場合、ハステロイの耐食性が不可欠となります。特に硫酸や塩酸などの強い酸に対して優れた耐性を示すため、化学処理装置や製造プロセスの安全性と効率を向上させることが可能です。また、高温・高圧環境にも耐えるため、多くの化学反応を安全に実施することができます。

2. 原子力発電所

ハステロイは原子炉内の構造部材や冷却系統のパイプラインに使用されます。中性子に対しても優れた耐性を持つため、核反応に関わる設備での使用が可能です。これにより、安全性を確保しつつ、発電効率を高めることができます。

3. 海洋産業

海洋産業において、ハステロイが海水や塩分の影響を受ける部品に利用されます。海洋プラットフォームの構造材やポンプ、バルブなどがその一例です。海洋環境は腐食が激しいため、ハステロイの耐食性が重要な役割を果たします。これにより、メンテナンスの頻度が低減し、運用コストを削減できます。

4. 航空宇宙産業

航空宇宙分野では、エンジンの構成部品や燃料タンクなどにハステロイが使用されます。これらの部品は高温・高圧や極度の振動にさらされるため、耐熱性と強度が必要です。ハステロイは軽量化と耐久性を両立させるための理想的な材料であり、運用コストの削減に寄与します。

ハステロイ加工の原理

ハステロイの加工には、超硬合金や特殊コーティングされた工具が推奨されます。これにより、工具の摩耗を抑え、高精度な加工が可能です。また、工具の形状や刃先角度も加工効率に影響を与えるため、適切な選択が必要です。

コーティングには、TiAlN (チタンアルミニウム窒化物) やTiN (チタン窒化物) などが使用されます。また、切削条件としては、送り速度や切削速度を遅めに設定する傾向です。これにより、工具の摩耗を防止します。

ハステロイは切削加工だけでなく、溶接や鍛造などの加工方法が採用される場合があります。ただし、ハステロイの溶接は技術的に難しいとされ、経験豊富な溶接技術者による正確な操作が求められます。また、鍛造においても熱処理の難しさから難易度が高いため、専門的な知識と技術を有した加工技術者が実施することが重要です。

ハステロイ加工サービスの選び方

ハステロイの加工を外部へ発注する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 専門知識

ハステロイは特殊な合金であるため、加工業者が過去にハステロイを扱った経験が豊富である必要があります。過去実績を確認し、クライアントのフィードバックを参考にすることで、その信頼性や技術力を評価することが可能です。

2. 加工設備

ハステロイは非常に硬い材料のため、特別な加工機械や工具が必要です。加工業者が最新のCNC加工機などを有し、ハステロイ用に設計された超硬合金工具やコーティング工具を使用していることを確認します。これにより、高精度な最終製品を得られる可能性が上がります。

3. 品質管理体制

加工業者がISO認証を有することや、品質基準を維持していることを確認します。加工作品の検査プロセスが整っていることも重要な要素です。材料試験などの実施状況は、最終製品の品質に大きく影響します。

4. 納期

納期遵守や柔軟性についても注意が必要です。過去の顧客のレビューや加工業者の説明を基に、納期を守る能力を有することを確認します。突発的な変更や追加の要求に対する対応力も尋ねることが大切です。

本記事はハステロイ加工を提供する高洋電機株式会社様に監修を頂きました。

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単眼鏡

単眼鏡とは

単眼鏡とは、離れた物体を見るための片眼で使用する光学機器です。

単眼鏡は、遠くの物体を拡大して観察するために使用します。双眼鏡に比べ、小型・軽量で携行に便利です。ポケットに入る大きさのものも多く、例えば、美術館やバードウォッチング、スポーツ観戦などで見たいものを簡単に観察できます。

単眼鏡にもデメリットがあります。片眼なので、どうしても立体感が不足し、視野も狭いことです。

単眼鏡には種々の倍率・最短合焦距離・明るさのものがあり、目的に適した製品を選択します。例えば、美術館や博物館では、比較的近くに対象物があるので、倍率が4~6倍で、最短合焦距離が小さいものが便利です。

単眼鏡の使用用途

単眼鏡の用途は、美術館や博物館での展示品の鑑賞、バードウォッチング、スポーツ観戦、動物観察、植物観察、観劇、音楽会などです。

単眼鏡は、視野が比較的狭く、片眼で立体感が乏しい欠点があり、動きの速いスポーツには適しているとは言えません。例えば、博物館などでガラスケースに入った展示物をじっくり観察する場合などには好都合です。

観劇や音楽会では、演技する人の表情・動作を観察できます。遠くのものを大きくする用途以外では、片方の目の視力が弱い場合や、片方の目に特定の視覚障害がある場合に、視力の補正や視覚の補正に使われる場合もあります。

単眼鏡の原理

1. 倍率

単眼鏡は、双眼鏡などと同じ部類の望遠観察機器とJISで定義されています。即ち遠くにある物体を拡大する用語として、「倍率」が使われます。

倍率は、遠くの物体について、裸眼で見たときの像の角度に対して、単眼鏡から見た像の角度の比率を言います。つまり、単眼鏡で見た像がどれだけ大きく見えるかを表す値です。

例えば、倍率10倍の単眼鏡で見た場合、100m離れた物体が10mの距離にある物体と同じ大きさに見えることを言います。

2. 対物レンズのサイズ

対物レンズの口径は単眼鏡の明るさの目安になり、口径が大きいほど明るさが大きくなります。ただし、口径が大きくなると、単眼鏡のサイズと重量が大きくなり、単眼鏡のメリットが減少します。手持ちで使用できるのは、口径50mmぐらいが限度です。

3. ひとみ径

「ひとみ径」」は対物レンズの口径 (mm) を倍率で割った値です。ひとみ径の二乗が単眼鏡の明るさです。ひとみ径が大きいほど明るいレンズと言えます。

単眼鏡の種類

単眼鏡は、構造面からいくつかの方式があります。

1. ケプラー式

対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを使い、正立像です。初期の望遠鏡と同じ原理であり、プリズムを使用しないので小型軽量の特徴があります。倍率を上げるのは困難で、多くは2~4倍程度までです。

2. ポロプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。見える像が倒立で、左右も反対に見えるため、プリズムを複数個使って正立像にします。低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界です。光軸を1直線にできないため、やや大型です。

3. ダハプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。ダハプリズムは、屋根型のダハ面を有し、上下と左右を同時に反転させて正立像を得ることが可能です。光軸がずれることなく鏡筒は真っすぐになり、小型でスマートです。ただし、光学性能を上げるためのコストが必要で、ダハ面の精度が高く、精密な技術の加工が要ります。

単眼鏡の選び方

単眼鏡を選定する場合、注意点は倍率、明るさ、最短合焦距離の3つが重要です。

倍率は、主要な目的によって選定します。ライブコンサートの場合は4~10倍程度を選びます。スポーツ観戦なら10倍前後、美術館や博物館なら4~6倍程度が適しています。

明るさは、ライブコンサートやスポーツ観戦では、屋外なら4以上、屋内なら9以上が必要です。美術館・博物館では、7以上が目安で、暗い場合が多いので、極力明るいものを選びます。

最短合焦距離は、単眼鏡からどのくらい近くのものにピントが合うかの指標です。美術館などで、近くの展示物を観る場合に重要になります。50cm以下の距離まで見えるものが適しています。

折りたたみコンテナ

折りたたみコンテナとは

折りたたみコンテナは、物品の輸送や保管に使用される産業用容器です。

使用後に簡単に折りたたむことができ、保管スペースの削減や輸送効率の向上につながる資材の一つです。折りたたみコンテナは、通常のコンテナに比べ、未使用時にはコンパクトになるため、物流業界や製造業で重宝されています。特にスペースやコストの最適化が求められる現場において重要です。素材には耐久性の高いプラスチック製が多く、繰り返し使用できる設計となっているため、長期的なコスト削減にも寄与します。

折りたたみコンテナの使用用途

折りたたみコンテナは、多様な産業で使用されています。製造業では部品や製品の一時保管、物流業では配送時の荷物の保管や倉庫内での在庫管理に便利です。製造業においては、繰り返し使えることが環境負荷の軽減やコスト削減につながります。食品業界でも衛生的な管理が必要なため、洗浄しやすいプラスチック製コンテナの使用が一般的です。また、商業施設や小売店では、季節商品の保管や配送用に折りたたみコンテナが利用されることもあります。使わないときに収納スペースを削減できるため、効率的な運用が可能です。

折りたたみコンテナの種類

折りたたみコンテナには、用途や取り扱う物品の特性によってさまざまな種類が存在します。

1.プラスチック製折りたたみコンテナ

プラスチック製の折りたたみコンテナは軽量で耐久性に優れ、食品や医薬品の保管・輸送に適しており、広く用いられています。特に、繰り返し洗浄できるため、食品の衛生管理が求められる場面に適したコンテナです。プラスチック素材はポリプロピレンがほとんどで、軽量、衝撃に強いなどの特徴があります。長期間使用するためのポイントは、直射日光などの紫外線を受けにくい場所で保管することです。

2.通気性タイプの折りたたみコンテナ

生鮮食品の保管や輸送に向けた通気性タイプの折りたたみコンテナは、メッシュ構造や通気孔が設けられており、湿気がこもりにくい設計になっています。通気性が確保されていることによって、食品の鮮度を保ちながら輸送できるのがメリットです。

3.金属製折りたたみコンテナ

金属製の折りたたみコンテナも、一部で用いられています。耐荷重性が高く、過酷な環境下でも使用可能ですが重たくなってしまう、金属は衝撃などで凹んでしまう、コストも高くなってしまいます。産業用よりは個人向けに、趣向性のある製品として流通することが多い製品です。

4.大型折りたたみコンテナ

大型の折りたたみコンテナは、工場や倉庫での大量の物品保管に利用されます。パレットと併用することで、効率的に大量の荷物を移動させることが可能です。

折りたたみコンテナの選び方

折りたたみコンテナを選ぶ際には、使用環境や取り扱う物品の特性に応じて、最適なものを選ぶことが重要です。以下のポイントを考慮することで、効率的な運用が実現します。

1.耐荷重

取り扱う荷物の重量に応じて、耐荷重性のあるコンテナを選ばなければなりません。軽量の部品にはプラスチック製が適していますが、重い物品を扱う場合は、金属製が推奨されます。

2.サイズ

コンテナのサイズ選びも重要です。大型のコンテナは多くの物品を一度に収納できますが、保管スペースを圧迫する可能性もあります。現場のスペースや積載能力を考慮し、最適なサイズを選択することが重要です。

3.衛生管理

食品や医薬品を扱う業界では、洗浄がしやすいプラスチック製コンテナが適しています。特に衛生面が重視される現場では、耐久性に加え、清掃しやすい構造が求められます。

4.通気性

生鮮食品など通気性が必要な物品を保管する際には、通気孔が設けられたコンテナが理想的です。これにより、湿気のこもりを防ぎ、鮮度を維持できます。

5.コストパフォーマンス

折りたたみコンテナは長期的に使用されることが多いため、耐久性や使用回数を考慮したコストパフォーマンスが重要です。頑丈なコンテナは初期投資が高いかもしれませんが、長期間の使用でコスト削減につながることがあります。

エアメーター

監修:株式会社荘内計装

エアメーターとは

エアメーターとは、生コンクリートに含まれる空気量を測定するための装置です。

コンクリートはその品質管理において空気量測定を行うことが必要です。空気量試験とは、コンクリートの中に混ざっている空気の量を測定する試験です。コンクリートの空気量は硬化後の耐久性や強度を大きく左右します。空気量が多いと施工性は上がるものの、過多になると強度が不足する可能性があります。エアメーターを用いた空気量測定により、適切な値を保持することが必要です。適正な空気量管理により、コンクリートの凍結融解や収縮によるひび割れの軽減が期待できます。

一般的には、生コンクリートプラントでは1回/6ヶ月、2次製品工場では1回/年の頻度で点検・校正を行なっています。

精確な計測のためには、上記点検・校正とは別に月に一度エア漏れの点検が推奨されます。

エアメーターの使用用途

エアメーターは、コンクリート材料試験の一環として行われる、生コンクリートの空気量測定に使用されます。

コンクリートの空気量は耐久性や強度に影響するため、正確に管理することが必要です。コンクリートに空気を混入させることによって、セメントペーストの体積が増大し、作業性が向上します。また、低温下ではコンクリート中の水が凍結して膨張しますが、この際に小さい粒径の空気泡が圧力の増加を吸収し、コンクリートの組織の破壊を防ぐ効果があります。一方で空気量の増大は強度低下の原因です。空気量が1%違うことで強度が約5%変動します。

コンクリート試験・検査会社や、土木建築業など、コンクリートを取り扱う業種一般で広く使用されています。

JIS A5308で規定されているコンクリートの空気量は、種類別に下記の通りです。

  • 普通コンクリート: 4.5±1.5%
  • 軽量コンクリート: 5.0±1.5%
  • 舗装コンクリート: 4.5±1.5%
  • 高強度コンクリート: 4.5±1.5%
  • その他(指定事項で定めた値): 指定値±1.5%

エアメーターの原理

1. 生コンクリートの空気量測定

ワシントン型エアメーターなどの一般的エアメーターを用いるコンクリートの空気量測定は、ボイルの法則 (体積と圧力が反比例する) に基づく測定です (空気質圧力方法) 。測定用容器に生コンクリートをいっぱいに詰め、取り付け金具を締め込んで密閉します。容器付属のポンプで加圧し、蓋に取り付けられているエアメーターを読み空気量を測定します。

2. 圧力測定の仕組み

ワシントン型エアメーターは、ブルドン管式、もしくは、ベローズ式であることが一般的です。

ブルトン管式は、C形、スパイラル、ヘリカルなどの形状を持つ金属パイプが圧力によって変形し、その変形を指針の動きに変換することで圧力を表示します。変化量の少ないものを増幅しているため、指針の動きがとぎれるように動きます。シンプルで頑丈な構造のため、耐久性が高く、長期間にわたって安定した性能を提供できることが特徴です。広い圧力範囲に対応可能であり、構造がシンプルなので、メンテナンスも容易です。

ベローズ式は、柔軟な金属製の蛇腹状の構造を持つベローズを使用した圧力計です。圧力が加わるとベローズが伸縮し、その動きを指針の動きに変換して圧力を表示します。変化量の増幅率が低いので、ブルトン管よりも指針の動きがスムーズです。低圧領域での測定や高感度の測定が可能ですが、一方で振動や衝撃には弱い構造になっています。

3. 計測容器へのコンクリートの詰め方

ワシントン型エアメーターなどの計測容器に生コンクリートを詰める際は、気泡等が入らないよう、一般的に次のような手順で容器に隈なく詰めます。

  1. 容器に試料を約 1/3 まで入れ、容器の底を突かないように各層を突き棒で 25 回均等に突きます。
  2. 突き穴がなくなり、コンクリートの表面に大きな泡 が見えなくなるように、容器の側面を 10~15 回木づちなどでたたきます。
  3. 容器の約 2/3 まで試料を入れ、 前回と同様の作業を繰り返します。
  4. 容器から少しあふれる程度に試料を入れ、同様の操作を繰り返します。
  5. 定規やへらなどで余分な試料をかきとってならし、コンクリートの表面と容器の上端とを一致させます。

エアメーターの種類

エアメーターにはワシントン型エアメーター、ローリング型エアメーター、デジタルエアメーターなどがあります。ワシントン型エアメーターが最も一般的であり、ブルドン管式とベローズ式とがあります。

ローリング型エアメーターは、一定量の生コンクリートを本器の中でローリングして水とよくかきまぜ、空気を追い出し、その量を測定して含有空気量を求めるエアメーターです。常温、常圧で行われるため軽量コンクリートの空気量測定にも使用できます。

本記事はエアメーターを製造・販売する株式会社荘内計装様に監修を頂きました。

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トラックスケール

監修:株式会社荘内計装

トラックスケールとは

トラックスケール

トラックスケールとは、フロアスケールの一種でトラックなどの車両を載せて重さをはかるための計量器です。

空車重量と総重量をはかることで、積み荷の正味重量を計算することが可能です。台貫や看貫などと呼ばれる場合もあります。金属・紙・砕石・資源・廃棄物の取引や過積載防止など様々な用途で使用されています。地中に埋め込むピット埋込み型や、地上に設置する地上設置型などの種類があり、用途・シーンに合わせて選定することが可能です。

国内での取引証明に使用する場合、検定付きのトラックスケールを使用する必要があります。また、検定付きのトラックスケールは、計量検定所等の公的機関が実施する定期的な
検査(2年に1度)を受けることが義務付けられています。

トラックスケールの使用用途

トラックスケールは、様々な施設において、積み荷の重さを量るために使用されています。主な利用施設に下記のようなものがあります。

  • ごみ処理施設 (リサイクル施設、中間処分場、最終処分場など)
  • 古紙金属回収業
  • 砂利砕石業
  • 電力ガス水道業
  • 化学工業
  • 土木建築業
  • 食品製造業
  • 生コンクリートプラント
  • アスファルトプラント

これらの業界において、入庫・出荷管理、在庫管理、配車管理などの際に、計量が行われます。例えば、産業廃棄物の中間処理業者などでは、搬入・搬出される産業廃棄物の量を重量で管理することが必要であるためトラックスケールが使用されています。また、ダムやビルの建築現場においては、トラックスケールで土砂等の搬出量を管理する場合があります。

その他、過積載防止の用途で高速道路や国道などの路上に設置されることもあります。

トラックスケールの原理

1. 概要

トラックスケールは、主に

  • 計量対象物を載せる計量台
  • 計測するセンサー荷重検出部 (ロードセル)
  • 重量を表示する表示部 (重量指示計) 
  • 印字記録装置 (プリンター等)

で構成されています。

2. 計量台

計量台は4隅などに、負荷を検知するロードセルが配置されている構造です。ロードセルは荷重によって生じる金属のひずみによる抵抗値の変化を検知し、電気信号として出力します。出力された信号は重量指示計に測定結果として出力されます。

3. ロードセル・重量指示計

多くのトラックスケールで採用されているデジタルロードセルは、計量精度や耐久性、メンテナンス性に優れていることが特徴です。また、重量指示計は、登録データの表示や、日報・月報の出力なども行う場合があります。

4. 外部接続機器

トラックスケールは、上記の基本構成に加え、各種外部接続機器を備えています。主な外部機器としては、集計処理用のパソコン、操作ポストの他、必要に応じて遠隔重量表示器、信号灯、遮断機、料金徴収機などが設置される場合もあります 。

トラックスケールの種類

1. ピット埋込み型と地上設置型

トラックスケールには、大きく分けてピット埋込み型と地上設置型とがあります。ピット埋込み型は、地中にピットを作り、トラックスケールを設置します。計量台面と地上面が同じ高さとなり、フラットに仕上げることが可能です。車輌の進入経路を容易に確保することができます。

地上設置型は、地中を掘削することなく地表面の上にトラックスケールを設置します。乗り入れ用のスロープを設ける必要がありますが、埋込用のピットを掘ることができない場所でも設置が可能です。また、基礎工事のコストが抑えられます。

また、ピット埋込み型・地上設置型共に、中央で分離されているセパレートタイプも製造販売されています。

2. その他

その他、トラックスケールは、載せ台の大きさ (幅・長さ) 、ひょう量 (計測可能な最大重量) 、目量 (最小表示・目盛り) など、様々な種類があり、用途に合わせて選定することが必要です。

更に、高機能な製品では、偏荷重の計測機能や、積荷の重心位置の解析機能などにより、バランスを量ることが可能です。パソコンと連携して計量データの集計ができる製品などもあります。また、タイヤ洗浄機能付きの製品では、環境保全対策を行うことが可能です。

また、防爆構造のトラックスケールも製造販売されています。可燃性ガス、蒸気、粉塵などの原因により、引火による爆発のおそれがある場所においては、火花や高熱が発生する可能性のある一般の機器は使用できないため、防爆構造のトラックスケールが必要です。

本記事はトラックスケールを製造・販売する株式会社荘内計装様に監修を頂きました。

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スプレー洗浄機

監修:スプレーイングシステムスジャパン合同会社

スプレー洗浄機とは

スプレー洗浄機とは、スプレーノズルを用いて洗浄液を噴射する事により、汚れや油脂を効果的に除去するための機器です。

汚れによって、常温水、温水、洗剤などを効率的にスプレーします。高圧で汚れを落とすものや、洗剤の使用量を最小に抑えながら化学洗浄で汚れを引きはがすものなど、幅広く存在しています。

スプレー洗浄機を使用する事により、安定した洗浄効果が得られ、水・エネルギーの消費量の削減や省人化が可能です。また、ブラシなどの物理洗浄による異物混入などのリスクを排除できます。

スプレー洗浄機の使用用途

スプレー洗浄機は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 製薬

製薬業において、PIC/s GMPに適合した再現性があり且つ異物発生リスクの少ない、スプレー洗浄が適しています。
製剤に使用されている各種コンテナ・容器の洗浄に製剤用各種機器の洗浄に使用されていて、汚れに合わせて高圧洗浄から、低圧リンス洗浄迄をカバーできるスプレー洗浄機が活用されています。

2. 食品

油分・糖分・たんぱく質など、様々な汚れを落としたいこの業界では、必要最小限度の洗剤を泡で噴霧するフォーミング洗浄が有効です。温水リンスと組み合わせて使用できるスプレー洗浄機は、容器、コンベアの洗浄には最適です。クロスコンタミを避けるために、あえて洗剤を使用せず、高温水を高圧でスプレーし、汚れを除去するタイプのスプレー洗浄機も使用されています。
また、スプレー洗浄機を使用する事で、HACCPの管理に適応させやすく、洗浄作業者の負担を大きく軽減できる点も評価されています。

3. 科学

IBC (1tコンテナ)を数多く、通いで使用するケースが多い業種では、やはりスプレー洗浄機による自動/半自動洗浄が不可欠です。多くのIBCを人手で洗浄するのは、かなりの労力、時間、エネルギーの消費になってしまいます。スプレー洗浄機を使用する事で、省人、節水、また洗浄時間の短縮に繋がります。

スプレー洗浄機の原理

スプレー洗浄機の原理は、汚れ、被洗浄物の形状などに合わせて、様々なスプレーパターンのノズルの中から最適なものを配置する事により、ブラシなどの物理接触なしに、被洗浄物に付着した汚れを落とします。

各種薬液もスプレーする事が可能なため、洗剤、溶剤、殺菌剤など用途に合わせ使用する事が可能です。
また、被洗浄物によっては、ブロアによる除水/乾燥まで可能なものもあります。

スプレー洗浄機の選び方

スプレー洗浄機を選ぶ際には、以下のような重要ポイントを考慮する必要があります。

1. 汚れを見極める

洗浄工程において、汚れの特性を正確に把握することは非常に重要です。高圧洗浄が必要か、低圧で十分か、洗浄液の温度や種類は何かなど、汚れの種類や素材、環境によって最適な洗浄条件は異なります。

2. 被洗浄物の形状と大きさ

被洗浄物の形状によって、適したノズル洗浄機が異なります。
被洗浄物がコンベアや板状の厚みの無い形状なのか、それとも容器状の物なのかなどで分類する必要があります。
なお、入り組んだ形状の被洗浄物では、スプレー洗浄機では洗浄できない可能性もあります。

被洗浄物の大きさは、ポンプの吐出量、吐出圧に大きく関係し、洗浄効果、洗浄時間、節水効果に大きく影響します。正しい設備を選定する上で、見逃せない要素です。

3. 被洗浄物の1日当たりの洗浄数量

1日の洗浄数量によって、自動洗浄が望ましいのか、バッチ洗浄で十分なのかを判断できます。1日当たりの洗浄数量の最大を念頭に置き、検討する事が重要です。

4. 設置場所

設置場所により、防爆仕様、屋外・防水仕様等、装置の基本的な仕様を決定します。

本記事はスプレー洗浄機を製造・販売するスプレーイングシステムスジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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タンク洗浄ノズル

監修:スプレーイングシステムスジャパン合同会社

タンク洗浄ノズルとは

タンク洗浄ノズル

タンク洗浄ノズルとは、タンク、容器、コンテナなどの内部を洗浄するために使用される特別なノズルです。

液体を効果的に噴射する事で、タンクの壁面や底に付着した汚れや残留物を除去します。洗浄するタンクの形状やサイズ及び汚れの種類に応じて様々な商品が販売されています。360度回転する製品や、特定のパターンで液体を噴射可能な製品などが販売されており、洗浄の効率を高める役割を果たします。

タンク洗浄ノズルを使用すれば洗浄作業省人化を図れ、時間と労力の節約にもつながります。また、自動洗浄システムと組み合わせることで高所作業などの危険作業を無くす事ができ、安全性を高めることも可能です。

また、人手による洗浄では、作業者間のスキルの差により洗浄品質にばらつきが生じますが、タンク洗浄ノズルを使用することで、そのようなばらつきを減少させ、一定の洗浄効果を得ることができます。

タンク洗浄ノズルの使用用途

タンク洗浄ノズルは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 食品業

食品業界では衛生管理が最も重要です。タンク洗浄ノズルで貯蔵タンク、撹拌タンク、IBCなどの内部を洗浄し、残留物や汚れを効果的に取り除きます。そのため、洗浄後の乾燥、除菌作業が、スムーズになり、誰が作業をしても、常に一定の洗浄品質が得られます。

2. 化学産業

化学産業では、定置洗浄、高圧洗浄などでタンク洗浄ノズルを使用します。反応槽、混合槽などは、有毒物質、可燃性物質などの危険物を取扱うケースが多く、また、内部構造も複雑であるため、汚れや残留物の完全除去には、最適な洗浄液を最適なタンクノズルでスプレーし、徹底洗浄する必要があります。

3. 製薬

製薬業界では、製造設備の洗浄に、GMPに基づき厳格な基準が設けられます。

原材料の調合タンク、晶析槽などの反応槽やスプレードライヤー、流動層、など様々な製薬の設備には、洗浄の再現性が求められ、その為にタンク洗浄ノズルでの洗浄が不可欠になっています。

4. エネルギー産業

エネルギー産業の大型貯蔵タンクの洗浄にも、タンク洗浄ノズルが使用されます。
沈殿物やスラッジの除去に、低圧大流量三次元回転ノズルを使用し、洗浄をおこないます。
貯蔵品の入れ替え前、タンクの撤去前には、タンク洗浄ノズルでの洗浄が欠かせません。

タンク洗浄ノズルの原理

タンク洗浄ノズルは、洗浄液を効率的に噴射することによって、汚れを除去します。

ノズルから放出される液体は特定のパターンで噴射され、タンクの内部全体に均等に行き渡るように設計されています。この洗浄により、液体が汚れを化学的、または物理的に剥がし、排液の流れに乗せて排出する仕組みとなります。

タンク洗浄ノズルの材質は使用環境に応じて異なり、ステンレスやプラスチックが主に使用されます。ステンレス鋼は耐腐食性、耐熱性が高く、耐久性にも優れますが、一般的には高価です。プラスチックは軽量で腐食に強い特性を有し、安価な場合が多いです。

タンク洗浄ノズルは、汚れ、洗浄液、洗浄条件、使用環境などを考慮し、最適なノズルを選定する事により、効果的な洗浄を実現します。

タンク洗浄ノズルの選び方

タンク洗浄ノズルを選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 汚れを見極める

洗浄工程において、汚れの特性を正確に把握することは非常に重要です。高圧洗浄が必要か、低圧で十分か、洗浄液の温度や種類は何かなど、汚れの種類や素材、環境によって最適な洗浄条件は異なります。

2. 洗浄条件

洗浄条件の設定は、洗浄の目的、汚れの種類、対象物の材質など、様々な要素を考慮して行う必要があります。詳細な検討を行い、最適な洗浄条件を設定することで、衛生的な製品の製造に貢献することができます。

食品工場においては、交差汚染を防ぐため、洗浄剤の使用を避け、温水による洗浄が一般的です。また、洗浄後の殺菌前に汚れの状況を確認するために、タンクを常温水で一度冷却したい。このようなおおよその洗浄条件を考慮します。

3. ノズルの選定

前述の洗浄条件に基づき、ノズルを選定します。温水を使用するため、耐食性に優れたステンレス製のノズルが適しています。また、温水による洗浄で十分な効果が期待できる場合は、低圧の固定式または二次元回転式のノズルが候補となるなど候補を上げていき、タンク洗浄に使用できる水量とタンクの直径などから、タンク洗浄ノズルを絞り込みます。

4. 固定式と二次元回転式

かけ流し洗浄 (リンス洗浄) で使用するノズルは、固定式ノズルと二次元回転式ノズルの2種類があります。

固定式ノズルは、タンク内全面をカバーするために、非常にたくさんの穴が開いているボール状です。回転による摩擦がないため耐久性があり、発塵が無いという特長がありますが、汚れによっては洗浄が出来ない箇所が発生します。また、たくさんの穴が開いているため、洗浄液の使用量が多くなります。

このような固定式ノズルの短所をカバーした二次元回転式は、固定式よりも穴数を減らし、二次元回転をする事で、全面を均一に洗浄し、洗浄液の使用量を大幅に減らすことができます。但し、回転という動きがありますので、定期的なメンテナンスが必要です。

5. 三次元回転式

汚れによっては、高圧を掛けなければ落とせない、いわゆる頑固な汚れがあります。その時に使用されるのが、三次元回転式ノズルです。高圧ポンプから送られる高圧水流を、水平回転と垂直回転を組み合わせた三次元回転させ、タンク内面全体をまんべんなく、且つ必要最低量の高圧水で洗浄します。

回転部には、直進性の高い専用のノズルが2個または4個接続でき、タンクの大きさ、汚れの状況で使い分ける事ができます。三次元回転式ノズルも、二次元回転式同様に、回転という動きがありますので、作動部分や噴射孔、O-リング等の定期的なメンテナンスが必要です。

本記事はタンク洗浄ノズルを製造・販売するスプレーイングシステムスジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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木箱

木箱とは

木箱とは、木材を使用して作られた箱型の梱包材で、物品の保管や輸送、整理などに利用されます。

木箱は特に木材の強度と耐久性を活かして、重い物や壊れやすい品物の輸送に幅広く使われており、製造業や農業、物流業など多くの分野で重宝されています。頑丈な構造により、輸送中に物品が損傷するリスクを減らすことができるため、今でも重要な梱包材として利用される資材です。

木箱の使用は歴史的に古くから続いており、工業製品の輸送や農産物の保存に活用されてきました。現代においても、木材が環境に優しい再利用可能な素材として注目され、エコロジーの視点からも高く評価されています。

木箱の使用用途

木箱は多くの用途に対応しており、特に重い物や壊れやすい物品の輸送に最適です。以下に、代表的な使用用途を挙げます。

1. 製造業での梱包・輸送

機械部品や工業製品を安全に輸送するために、木箱は製造業で欠かせない存在です。特に大型で重量のある製品は、木箱の頑丈さにより保護され、長距離輸送にも耐えることができます。

2. 農産物の保存・輸送

農業分野では、収穫物を木箱で保護し、品質を保ちながら輸送しています。木材の通気性により湿気がたまりにくく、果物や野菜の腐敗を防ぐことができる輸送資材です。

3. 美術品や貴重品の保管

美術品や貴重品の保管にも木箱は用いられ、木材の吸湿性が物品の長期保存に適しています。防虫・防腐処理が施された木箱を選ぶことで、長期保管にも安心です。

4. 展示・装飾としての利用

自然素材の魅力を活かし、木箱はディスプレイやインテリアとしても使われます。店舗の商品陳列や展示会での利用だけでなく、アンティークやヴィンテージ風のデザインが特に人気です。

木箱の種類

木箱には、使用目的や形状に応じて様々な種類があります。代表的な木箱の種類を以下に示します。

1. 密閉型木箱

密閉型木箱は、外部の空気を遮断して保管したい品物に適しており、電子機器や精密機械の輸送によく使われます。防水加工が施されることもあり、湿気や汚れからも保護できることが特徴です。

2. 開放型木箱

通気性を確保するために、開放型木箱が農産物や一部の工業製品に使われます。風通しが良いため、カビや腐敗を防ぎ、特に収穫物の輸送に適した木箱です。

3. パレット一体型木箱

パレットと一体化した木箱は、フォークリフトで簡単に移動でき、工場や倉庫での使用に適しています。重い部品や製造材料を効率よく運搬できるため、非常に実用的です。

4. 折りたたみ式木箱

折りたたみ式木箱は、使用しないときにコンパクトに保管できるため、保管スペースを節約できます。一時的な輸送や保管が必要な場合に便利です。

木箱の選び方

木箱を選ぶ際には、用途や条件に応じて適切な種類を選ぶことが大切です。以下に、選び方のポイントを紹介します。

1. 強度と耐久性

輸送する物が重い場合や壊れやすい場合は、強度の高い木箱が必要です。長距離輸送や長期保管を考慮するなら、耐久性を重視した木箱を選ぶことが大切です。

2. 防湿・防虫処理

木材は湿気を吸収する特性があるため、湿気に弱い品物を輸送する場合には、防湿処理が施された木箱が推奨されます。また、農産物を扱う場合は、防虫処理が施された木箱が適しています。

3. サイズと形状の適合性

輸送する物に合ったサイズの木箱を選ぶことも重要です。大きすぎる箱は輸送コストを無駄にし、逆に小さすぎると物品が傷つく可能性があります。開放型や密閉型など、必要な機能に合わせた形状を選ばなければなりません。

4. JIS Z 1402に基づく品質

木箱の品質基準として「JIS Z 1402 木箱」があります。この規格は、梱包用木箱の材質や構造、製作方法について定めており、特に輸出や重要な品物を扱う場合には、この規格に準拠した木箱を選ぶことが推奨されます。

木製パレット

木製パレットとは

木製パレットとは、主に木材で作られた荷物を運搬するための台です。

パレットとは1つの単位にまとめた貨物を置くための面があり、フォークリフトやハンドリフトなどによって運搬するためのものです。木製パレットは平パレットの中に区分されます。

木製パレットは、段ボールやプラスチック製の通い箱と呼ばれる製品を輸送するための箱などをまとめて載せられるのが特徴です。工場や倉庫、流通現場で使用され、フォークリフトやハンドリフトを用いて荷物を効率的に移動・保管するために利用されます。木材の特性を生かし、耐久性が高く、環境にも配慮した選択肢として広く使われています。また、経済的で再利用可能な点も魅力の一つです。

平パレットには、木製以外にもプラスチックや金属製のものがありますが、木製パレットはその手軽さとコストの面で優れています。廃棄時にも比較的処理がしやすく、リサイクルにも向いているため、特に物流業界では欠かせないアイテムです。

木製パレットの使用用途

木製パレットは、製造業や物流業を中心に様々な分野で使用されています。

1. 倉庫内の保管

木製パレットは、倉庫内で荷物を積み上げ、整理整頓するために使用されます。パレットを使うことで、フォークリフトでの荷物の移動が容易になり、効率的な在庫管理が可能となります。

2. 輸送業

トラックやコンテナでの輸送時にも使われるのが木製パレットです。荷物をパレットに乗せて固定することで、輸送中の荷崩れを防ぎ、安全に運ぶことができます。

3. 製造ラインの一部として

製造業においては、製造ラインの途中で部品や製品を移動する際にも木製パレットが使用されます。特に多くの工場では、木製パレットを使ってスムーズなライン作業をサポートするために有効です。

木製パレットの種類

木製パレットには様々な種類があり、それぞれの用途に応じて選ばれます。以下は代表的な木製パレットの種類です。

1. 一方向パレット (片面パレット)

一方向パレットは、片面にのみ荷物を置けるタイプのパレットです。軽量で経済的なため、使い捨てや短期使用に適しています。輸送時に一度だけ使用することが多いですが、使い終わった後も再利用やリサイクルが可能です。

2. 両方向パレット (両面パレット)

両方向パレットは、上下両方に荷物を置ける構造になっています。これにより、強度が増し、長期的な使用に耐えることができます。倉庫内での保管や移動に適しており、再利用率が高いのが特徴です。

3. フォークエントリーパレット

フォークリフトが差し込む穴が二方向または四方向に設けられているパレットです。二方向パレットは経済的で強度が高く、四方向パレットはフォークリフトの操作性が高くなります。作業効率を重視する現場では、四方向パレットが多く使用されます。

4. 熱処理パレット

木材の防虫処理として熱処理を施したパレットです。輸出品を運ぶ際には、害虫の持ち込みを防ぐために熱処理パレットが使用されます。植物検疫措置に関する国際基準No.15「国際貿易における木材こん包材の規制のための指針」に則した消毒や表示をしなければなりません。この処理により、国際的な基準をクリアし、世界各地で安心して使用できるパレットとなります。

木製パレットのその他情報

木製パレットのサイズ

木製パレットのサイズは「JIS Z 0604-1989 木製平パレット」によって規定されており、一辺の長さが1100mmと1200mmのものがあります。さらに他の辺の長さが800,900,1100,1300,1400などとの組み合わせによって、合計7種類が規定されています。比較的広く用いられているサイズは1100x1100x144mmですが、例えば酒類業界においては1100x900x140mmが広く用いられています。

欧州では1200x800x144、または1200x1000x144mmが主流、豪州では1165x1165x150mmが主流など、世界では地域による違いも見られます。