単眼鏡とは
単眼鏡とは、離れた物体を見るための片眼で使用する光学機器です。
単眼鏡は、遠くの物体を拡大して観察するために使用します。双眼鏡に比べ、小型・軽量で携行に便利です。ポケットに入る大きさのものも多く、例えば、美術館やバードウォッチング、スポーツ観戦などで見たいものを簡単に観察できます。
単眼鏡にもデメリットがあります。片眼なので、どうしても立体感が不足し、視野も狭いことです。
単眼鏡には種々の倍率・最短合焦距離・明るさのものがあり、目的に適した製品を選択します。例えば、美術館や博物館では、比較的近くに対象物があるので、倍率が4~6倍で、最短合焦距離が小さいものが便利です。
単眼鏡の使用用途
単眼鏡の用途は、美術館や博物館での展示品の鑑賞、バードウォッチング、スポーツ観戦、動物観察、植物観察、観劇、音楽会などです。
単眼鏡は、視野が比較的狭く、片眼で立体感が乏しい欠点があり、動きの速いスポーツには適しているとは言えません。例えば、博物館などでガラスケースに入った展示物をじっくり観察する場合などには好都合です。
観劇や音楽会では、演技する人の表情・動作を観察できます。遠くのものを大きくする用途以外では、片方の目の視力が弱い場合や、片方の目に特定の視覚障害がある場合に、視力の補正や視覚の補正に使われる場合もあります。
単眼鏡の原理
1. 倍率
単眼鏡は、双眼鏡などと同じ部類の望遠観察機器とJISで定義されています。即ち遠くにある物体を拡大する用語として、「倍率」が使われます。
倍率は、遠くの物体について、裸眼で見たときの像の角度に対して、単眼鏡から見た像の角度の比率を言います。つまり、単眼鏡で見た像がどれだけ大きく見えるかを表す値です。
例えば、倍率10倍の単眼鏡で見た場合、100m離れた物体が10mの距離にある物体と同じ大きさに見えることを言います。
2. 対物レンズのサイズ
対物レンズの口径は単眼鏡の明るさの目安になり、口径が大きいほど明るさが大きくなります。ただし、口径が大きくなると、単眼鏡のサイズと重量が大きくなり、単眼鏡のメリットが減少します。手持ちで使用できるのは、口径50mmぐらいが限度です。
3. ひとみ径
「ひとみ径」」は対物レンズの口径 (mm) を倍率で割った値です。ひとみ径の二乗が単眼鏡の明るさです。ひとみ径が大きいほど明るいレンズと言えます。
単眼鏡の種類
単眼鏡は、構造面からいくつかの方式があります。
1. ケプラー式
対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを使い、正立像です。初期の望遠鏡と同じ原理であり、プリズムを使用しないので小型軽量の特徴があります。倍率を上げるのは困難で、多くは2~4倍程度までです。
2. ポロプリズム式
対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。見える像が倒立で、左右も反対に見えるため、プリズムを複数個使って正立像にします。低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界です。光軸を1直線にできないため、やや大型です。
3. ダハプリズム式
対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。ダハプリズムは、屋根型のダハ面を有し、上下と左右を同時に反転させて正立像を得ることが可能です。光軸がずれることなく鏡筒は真っすぐになり、小型でスマートです。ただし、光学性能を上げるためのコストが必要で、ダハ面の精度が高く、精密な技術の加工が要ります。
単眼鏡の選び方
単眼鏡を選定する場合、注意点は倍率、明るさ、最短合焦距離の3つが重要です。
倍率は、主要な目的によって選定します。ライブコンサートの場合は4~10倍程度を選びます。スポーツ観戦なら10倍前後、美術館や博物館なら4~6倍程度が適しています。
明るさは、ライブコンサートやスポーツ観戦では、屋外なら4以上、屋内なら9以上が必要です。美術館・博物館では、7以上が目安で、暗い場合が多いので、極力明るいものを選びます。
最短合焦距離は、単眼鏡からどのくらい近くのものにピントが合うかの指標です。美術館などで、近くの展示物を観る場合に重要になります。50cm以下の距離まで見えるものが適しています。