タンク洗浄ノズル

監修:スプレーイングシステムスジャパン合同会社

タンク洗浄ノズルとは

タンク洗浄ノズル

タンク洗浄ノズルとは、タンク、容器、コンテナなどの内部を洗浄するために使用される特別なノズルです。

液体を効果的に噴射する事で、タンクの壁面や底に付着した汚れや残留物を除去します。洗浄するタンクの形状やサイズ及び汚れの種類に応じて様々な商品が販売されています。360度回転する製品や、特定のパターンで液体を噴射可能な製品などが販売されており、洗浄の効率を高める役割を果たします。

タンク洗浄ノズルを使用すれば洗浄作業省人化を図れ、時間と労力の節約にもつながります。また、自動洗浄システムと組み合わせることで高所作業などの危険作業を無くす事ができ、安全性を高めることも可能です。

また、人手による洗浄では、作業者間のスキルの差により洗浄品質にばらつきが生じますが、タンク洗浄ノズルを使用することで、そのようなばらつきを減少させ、一定の洗浄効果を得ることができます。

タンク洗浄ノズルの使用用途

タンク洗浄ノズルは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 食品業

食品業界では衛生管理が最も重要です。タンク洗浄ノズルで貯蔵タンク、撹拌タンク、IBCなどの内部を洗浄し、残留物や汚れを効果的に取り除きます。そのため、洗浄後の乾燥、除菌作業が、スムーズになり、誰が作業をしても、常に一定の洗浄品質が得られます。

2. 化学産業

化学産業では、定置洗浄、高圧洗浄などでタンク洗浄ノズルを使用します。反応槽、混合槽などは、有毒物質、可燃性物質などの危険物を取扱うケースが多く、また、内部構造も複雑であるため、汚れや残留物の完全除去には、最適な洗浄液を最適なタンクノズルでスプレーし、徹底洗浄する必要があります。

3. 製薬

製薬業界では、製造設備の洗浄に、GMPに基づき厳格な基準が設けられます。

原材料の調合タンク、晶析槽などの反応槽やスプレードライヤー、流動層、など様々な製薬の設備には、洗浄の再現性が求められ、その為にタンク洗浄ノズルでの洗浄が不可欠になっています。

4. エネルギー産業

エネルギー産業の大型貯蔵タンクの洗浄にも、タンク洗浄ノズルが使用されます。
沈殿物やスラッジの除去に、低圧大流量三次元回転ノズルを使用し、洗浄をおこないます。
貯蔵品の入れ替え前、タンクの撤去前には、タンク洗浄ノズルでの洗浄が欠かせません。

タンク洗浄ノズルの原理

タンク洗浄ノズルは、洗浄液を効率的に噴射することによって、汚れを除去します。

ノズルから放出される液体は特定のパターンで噴射され、タンクの内部全体に均等に行き渡るように設計されています。この洗浄により、液体が汚れを化学的、または物理的に剥がし、排液の流れに乗せて排出する仕組みとなります。

タンク洗浄ノズルの材質は使用環境に応じて異なり、ステンレスやプラスチックが主に使用されます。ステンレス鋼は耐腐食性、耐熱性が高く、耐久性にも優れますが、一般的には高価です。プラスチックは軽量で腐食に強い特性を有し、安価な場合が多いです。

タンク洗浄ノズルは、汚れ、洗浄液、洗浄条件、使用環境などを考慮し、最適なノズルを選定する事により、効果的な洗浄を実現します。

タンク洗浄ノズルの選び方

タンク洗浄ノズルを選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 汚れを見極める

洗浄工程において、汚れの特性を正確に把握することは非常に重要です。高圧洗浄が必要か、低圧で十分か、洗浄液の温度や種類は何かなど、汚れの種類や素材、環境によって最適な洗浄条件は異なります。

2. 洗浄条件

洗浄条件の設定は、洗浄の目的、汚れの種類、対象物の材質など、様々な要素を考慮して行う必要があります。詳細な検討を行い、最適な洗浄条件を設定することで、衛生的な製品の製造に貢献することができます。

食品工場においては、交差汚染を防ぐため、洗浄剤の使用を避け、温水による洗浄が一般的です。また、洗浄後の殺菌前に汚れの状況を確認するために、タンクを常温水で一度冷却したい。このようなおおよその洗浄条件を考慮します。

3. ノズルの選定

前述の洗浄条件に基づき、ノズルを選定します。温水を使用するため、耐食性に優れたステンレス製のノズルが適しています。また、温水による洗浄で十分な効果が期待できる場合は、低圧の固定式または二次元回転式のノズルが候補となるなど候補を上げていき、タンク洗浄に使用できる水量とタンクの直径などから、タンク洗浄ノズルを絞り込みます。

4. 固定式と二次元回転式

かけ流し洗浄 (リンス洗浄) で使用するノズルは、固定式ノズルと二次元回転式ノズルの2種類があります。

固定式ノズルは、タンク内全面をカバーするために、非常にたくさんの穴が開いているボール状です。回転による摩擦がないため耐久性があり、発塵が無いという特長がありますが、汚れによっては洗浄が出来ない箇所が発生します。また、たくさんの穴が開いているため、洗浄液の使用量が多くなります。

このような固定式ノズルの短所をカバーした二次元回転式は、固定式よりも穴数を減らし、二次元回転をする事で、全面を均一に洗浄し、洗浄液の使用量を大幅に減らすことができます。但し、回転という動きがありますので、定期的なメンテナンスが必要です。

5. 三次元回転式

汚れによっては、高圧を掛けなければ落とせない、いわゆる頑固な汚れがあります。その時に使用されるのが、三次元回転式ノズルです。高圧ポンプから送られる高圧水流を、水平回転と垂直回転を組み合わせた三次元回転させ、タンク内面全体をまんべんなく、且つ必要最低量の高圧水で洗浄します。

回転部には、直進性の高い専用のノズルが2個または4個接続でき、タンクの大きさ、汚れの状況で使い分ける事ができます。三次元回転式ノズルも、二次元回転式同様に、回転という動きがありますので、作動部分や噴射孔、O-リング等の定期的なメンテナンスが必要です。

本記事はタンク洗浄ノズルを製造・販売するスプレーイングシステムスジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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