自動潅水装置

自動潅水装置とは

自動潅水装置

自動潅水装置とは、畑への水やりを自動でやってくれるシステムのことです。

規模が大きくなればなるほど、自動潅水装置の効果を発揮します。用途に合わせて、時間や回数、散水パターン、規模などの調節が可能です。

自動潅水装置の使用用途

自動潅水装置は、家庭菜園のような規模が小さい栽培ではなく、工場栽培などの規模が大きい場合によく使用されます。規模が大きくなると、全てを人手でまかなうことが難しいです。

そのため、自動で潅水をしてくれる自動潅水装置を導入することで、作業の効率化が実現します。

自動潅水装置の特徴

長所

自動潅水装置の長所として、潅水作業の負担を軽減できることが挙げられます。システムを設定すれば、決まった時間に潅水が行われるため、人の作業が必要なくなるためです。

また、作物の品種や栽培状況によって、最適な水の量や与えるタイミングが異なります。自動潅水装置は、その最適な条件に合わせた設定で潅水をすることが可能です。

適切な量の潅水は、根腐れや病原菌の増殖を抑制できるため、植物の病気の予防にもつながります。

短所

自動潅水装置の短所として、コストがかかる点が挙げられます。自動潅水装置は効果が絶大な代わりに、大規模な装置の設置が必要になる場合が多いです。そのため、導入コストや機器コストがかかってきます。

また、機械のため定期的なメンテナンスも必要です。初期コストだけではなく、定期的にメンテナンスコストもかかります。

自動潅水装置の種類

自動潅水装置には、様々な種類があります。用途に応じて適切なものを選定することが大切です。

1. 潅水方法による分類

地表潅水
地表潅水は、植物が生育されている畝の間にホースを通すことで、地表全体に潅水することができます。特にハウス栽培などで使用されます。

点滴潅水
点滴潅水も、地表潅水と同様に、植物が生育されている畝の間にホースを通すことで、潅水を行います。少しずつ潅水を行うため、そこまで水量が必要ない、小さな植物の水やりに最適です。

頭上潅水
頭上潅水は、栽培されている植物の上から潅水する方法です。潅水が目的で設置されることが多いですが、栽培ハウス内の湿度や温度を上げる目的でも使用されることがあります。

2. 潅水システムによる分類

タイマー式
タイマー式の潅水システムでは、潅水する時間や散水間隔を細かく設定することができます。給水するタイミングと量を調節可能であるため、植物の品種や季節に応じて、変更できます。

日射比例式
太陽からの日射量に応じて、植物は蒸散の量を調節する方法です。蒸散の働きが増すと、植物体内の水分が減ります。給水がないと、植物体内の乾燥状態は進みます。

そこで、蒸散が日射量に応じて調節されることを利用して、自動で潅水します。

日射比例式×土壌水分制御
日射比例式は、日射量と蒸散量が比例することを前提として潅水を行うシステムですが、植物内の水分量はこれだけで決定しません。土壌の水分量や、植物の吸水量からの影響も考えられます。

そこで日射比例式に加えて、土壌の水分制御も行うことで、より精密に植物の状態を把握して潅水する、比例式×土壌水分制御の自動潅水システムが選ばれる場合もあります。

自動潅水装置の選び方

自動潅水装置として様々なシステムや方法を紹介してきましたが、自動潅水装置は生育する植物やコストに合わせて購入を検討することをおすすめします。

例えば、トマトの栽培であれば、土壌水分量から潅水を行うようにするシステムと葉に水がかからないように潅水する方法が望ましいです。トマトは葉水をすることで、虫の予防につながると考えられていますが、同時に様々なデメリットがあります。

自動潅水装置の使い方

使用する自動潅水装置によって、使い方は異なりますが、大きな使い方の流れを紹介します。

  1. 機器のホースと水栓を直接接続します。
  2. タイマーがあれば、タイマーをセットします。
  3. 潅水したい植物近くにホースを配備したら、完了です。

潅水したい時間または土壌水分%をセットして潅水ができるようになります。場合によっては、大規模な工事が必要になることもあるため、専門家に依頼するケースもあります。

SP包装

SP包装とは

SP包装

SP包装とは、アルミ箔あるいはセロファンに低密度ポリエチレンなどの熱可塑性高分子フィルムを重ねたラミネートフィルムで作られた包装形態です。内容物を封入した後は、フィルム同士を熱で溶かし、癒着させるヒートシール式で密閉します。SP包装は、別名ストリップ包装とも言われています。

SP包装は、防湿性、ガスバリア性、遮光性などに優れており、内容物を空気に晒すことなく保管することができます。基本は使い切りの量をパッキングし、使用後は廃棄するため衛生的な仕様です。

SP包装の使用用途

SP包装は、散剤や顆粒剤の分包品のパッキングに用いられています。特殊なフィルムでできた袋を用いるため、頓服薬等、携帯することを前提とした錠剤の一次包装に採用されています。

また、一次包装のままコンビニエンスストアやドラッグストアでの陳列される一般薬、遮光性を必要とする錠剤に適用されます。また、SP包装は中身が見える透明フィルムにも対応可能で、活用範囲が広い包装形態です。少量ずつパッキングしているため、携帯性に優れており日々の仕事や旅先に持っていくことが容易です。

育苗ハウス

育苗ハウスとは

育苗ハウス

育苗ハウスとは、育苗専用ビニールハウスのことです。

育苗とは、植物の発芽後一定期間、苗を育成することをいいます。育苗後の苗は、畑や水田に移植します。

例えば水稲の栽培方法として、種子を直接水田にまく直播栽培と、苗を水田に植え付ける移植栽培があり、日本では移植栽培が一般的です。移植栽培を行うには、植え付け可能なサイズまで苗を育てる必要があり、その期間に使われるのが育苗ハウスです。

育苗ハウスの使用用途

育苗ハウスは、植物の育苗期間において用いられます。畑や水田に直接種を蒔く方法では、苗づくりの手間が省ける反面、苗が育つまでに気温や降雨の影響を受けやすくなります育苗期間に育苗ハウスを用いることで、気温変動などの環境変化を抑えることが可能です

稲作において、「苗半作」という言葉があります。「苗を育てるまででその作物を半分作り終わったようなものだ」という苗づくりの大切さを表した言葉です。育苗期間は病害虫などの環境要因影響を受けやすいとされています。育苗期間に丁寧な管理を徹底することで、田植え後の生育や収穫量が大きく変わってきます

育苗ハウスのメリット

1. 温度や湿度の管理に役立つ

育苗は温度や湿度の管理が重要です。育苗ハウスを用いることで、直播栽培では難しい温度と湿度の管理が可能になります。

育苗ハウスは閉鎖的な構造であるため、必要に応じて出入り口を開けて風を通すことで、温度や湿度を下げることができます。また反対に、出入り口を閉めて温度や湿度が上がりやすいように調整することもできます。

2. 天候に左右されない

露地栽培では、風雨等天候の影響を避けることができません。そこで育苗ハウスを用いることで、天候の影響を最小限に抑えることができます。

また、作業中に風雨に打たれる心配がなく、集中して農作業に取り組むことができることもメリットの1つです。ただし、台風や大雪等の場合には育苗ハウス自体の倒壊の恐れがあるため、事前に対策を考えておく必要があります。

3. 病害虫の侵入を防ぐ

育苗期間は、特に病害虫等の影響を受けやすいとされています。病害虫が発生すると苗の生育が妨げられたり、農薬を使わざるを得ない状況も考えられます。育苗ハウスを用いることで、病害虫の外部からの侵入を防ぎ、苗の健全な生育を促すことが可能です。また、農薬の使用量を減らすことで、コストの削減にも繋がります。

育苗ハウスのデメリット

1. コストがかかる

育苗ハウスの導入には、当然のことながらコストがかかります。また育苗ハウスの導入後もメンテナンスの必要があり、メンテナンスにもコストが必要です。導入する目的と予想されるコストを照らし合わせて、育苗ハウスの導入を検討することが大切です。

2. 適切な管理が必要

育苗中は、育苗ハウス内の温度および湿度のきめ細やかな管理が不可欠です。管理を怠り適温を外れる状態が続くと、生育不良や病害などのリスクが高まります。育苗ハウスを適切に使用することで、健全な育苗や収穫量の増加、品質の向上などが見込めますが、そのためには徹底した管理が不可欠です。

育苗ハウスの種類

育苗ハウスには、花苗・野菜に適した小型のものから、大規模な育苗に適した大型のものまで、幅広いサイズのものがあります。また、育苗ハウスは大きく分けるとビニールハウスとガラスハウスに分類することができ、それぞれ以下のような素材から構成されます。

1. ビニールハウス (パイプハウス)

ビニールハウスは、支柱部分にU字パイプ、被覆部分に農業用ポリ塩化ビニール (農ビ) やポリオレフィンフィルム (POフィルム) が使用されています。

2. ガラスハウス (鉄骨ハウス)

ガラスハウスは、支柱部分にH鋼や角パイプ、被覆部分にガラスや硬質フィルムが使用されています。育苗ハウスは、素材や構造等によって耐久性や作業性は様々です。目的に合った育苗ハウスを導入しましょう。

参考文献
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single016.html
https://minorasu.basf.co.jp/80560

バックシーラー

バックシーラーとは

バックシーラーとは、包装工程において使用される重要な機器の一つです。その主な機能は、袋状の包装材料を熱を用いて密閉することです。

加熱によって袋の封口部分が溶け、密着することで、中に詰められた商品を外部の環境から保護します。この熱密封のプロセスにより、商品の鮮度や品質を長期間にわたって維持することができます。

バックシーラーの使用用途

1. 食品産業

バックシーラーは食品の包装に欠かせない製品です。新鮮な食材や加工食品を包装して鮮度を保ち、外部からの影響を防ぎます。乾燥した食品や冷凍食品、スナック類など、さまざまな食品を安全に包装するために使用されます。

2. 医薬品産業

医薬品や医療機器の包装においても重要な役割を果たしています。薬品や医療用具は衛生的な状態で保管・出荷される必要があり、バックシーラーはその要件を満たすために使用されます。

3. 家庭用品・化粧品

家庭用品や化粧品もバックシーラーで包装されることがあります。美容製品や清潔用品など、様々な商品を封印し、外部からの影響を避けて品質を保つために活用されます。

4. 工業製品

工業製品や工具、部品などもバックシーラーで包装されることがあります。特に小さな部品や小売包装において、密封された包装は保護と効率的な出荷を実現します。

5. 農産物

野菜や果物などの農産物も、鮮度を保つためにバックシーラーで包装されることがあります。適切な包装によって鮮度を維持し、長期間保存することが可能です。

6. その他の産業分野

電子機器、文房具、衣料品など、さまざまな商品がバックシーラーを使用して包装されています。製品の種類や要件に合わせて異なるタイプのバックシーラーが活用されます。

バックシーラーの原理

1. 熱伝導と溶融

バックシーラーは一般的に封止バー (sealing bar) と呼ばれる部分があり、これが包装材料を挟んで熱を加えます。封止バーは電熱素子を備えており、通電によって加熱されます。包装材料は封止バーに挟まれることで、局所的に高温になり、一部が溶けることで接合が可能です。

2. プレッシャーの適用

封止バーが加熱された状態で包装材料を挟む際、バックシーラーは一定のプレッシャーをかけます。このプレッシャーは接合部分を均一に密着させる役割を果たし、熱が伝わりやすくするための条件を整えます。

3. 冷却と固化

包装材料が一定時間熱にさらされた後、封止バーから離れると冷却されます。この冷却によって、溶けた部分が再び固化し、密封が確立されます。冷却過程は接合部分の強度と耐久性を向上させる重要なステップです。

4. 包装材料の選択

バックシーラーの原理を最大限に活かすためには、適切な包装材料の選択が重要です。熱を効果的に伝導する材料や、溶融しやすい材質が選ばれることで、封止効果が向上します。

バックシーラーの種類

1. 熱封バックシーラー

この種類のバックシーラーは、封止バーを通じて熱を加えて包装材料を密封します。食品や医薬品などの製品に広く使用されており、袋状の包装材料をしっかりと封止するための高い効果を持ちます。

2. 超音波バックシーラー

超音波を利用して包装材料を接合するバックシーラーです。熱を発生させずに接合するため、熱に敏感な製品の包装や、食品の鮮度を保つために使用されます。

3. インパルスバックシーラー

インパルスバックシーラーは、封止バーに間欠的に電力を供給することで熱を発生させ、包装材料を封止します。連続的な加熱が必要なく、エネルギー効率的な封止を実現します。

4. 連続バックシーラー

連続的に封止作業を行うことができるバックシーラーです。コンベアベルトや封止ローラーを使用して、効率的に大量の包装作業を行う際に活用されます。

5. 手動バックシーラー

操作者が手動で封止バーを下ろすことで封止を行うタイプのバックシーラーです。小規模な作業や特定の形状の包装に適しています。

胴付き長靴

胴付き長靴とは

胴付き長靴

胴付き長靴とは、胸まである防水ズボンと長靴が、防水接合によって一体化した防水ブーツのことです。

胴長靴また釣り分野ではウェーダーとも呼ばれます。膝から胸までの水深にも対応できる防水靴として利用されています。

胴付き長靴の使用用途

胴付き長靴の用途は多岐に渡りますが、水や油で汚れやすい環境で使用されています。清掃や洗浄作業に適した製品です。

農業では、水稲やレンコン、セリなど泥水内での作業や洗浄を伴う出荷調整などに用いられます。水産業分野では、漁船や漁港での分別や清掃、浅瀬での漁などです。その他、河川や水路、溝などでの作業、救助活動、釣りやキャンプなどの、レジャーの場面でも使用されています。

胴付き長靴の特徴

長所

通常の長靴に雨具を合わせる場合と異なり、靴と衣類の境目からの浸水を防げるので、水や泥など、より深い場所での作業ができます。

短所

水中での転倒などで、胴付き長靴内に一度水が入ってしまうと、水の重さで身動き出来なくなってしまいます。そのため、最悪の場合溺死の危険性があり、注意が必要です。

胴付き長靴の種類

膝上から胴部分の素材と長靴、それぞれに種類があり、その組み合わせによって分類されます。

1. 膝上~胴部分の素材による分類

PVC
胴付き長靴の最も一般的な素材で、手入れも比較的簡単です。非常に種類が豊富で、価格は大変幅広いです。しかし、破損しやすいという欠点があり、穴が開くと、専用の接着剤でないと、補修品を張り付けてもはがれてしまいます。

そのため、修復パーツ付の胴付き長靴もあります。また、水中作業では、破損時の浸水防止にライフジャケット着用が無難です。防水加工は片面と両面があり、両面防水は汗で皮膚に張り付きやすく、やや動きにくいですが、防水性は高く、汚れも落ちやすいです。

片面防水は、裏地は汗を吸い取るため、汚れたままで放置すると、カビが生えて、洗っても落ちなくなるので注意が必要です。

ナイロン
安価で種類豊富ですが、蒸れやすいという欠点があります。

ゴム
丈夫で長持ちなうえ、手入れも比較的容易で修理可能です。しかし、流通量が少なく、重くて高価という短所があります。また、直射日光に当たると、ひび割れなど、劣化しやすくなります。

防水・透湿素材
商品名ゴアテックスなどの素材です。PVCとナイロンの複合素材が多く、軽量で種類豊富です。しかし、防水性や耐油性は低く、油で汚れる環境には向きません。

また、手入れに手間がかかり、修理も難しいため、作業で頻繁に使用するよりも、レジャー向きです。

クロロプレンゴム
商品名としてはネオプレーンで、ウェーダーと呼ばれる釣り用の胴付き長靴に使用されることが多いです。ウェットスーツ布地として利用され、水に浮きます。

また、冷気を通しにくいので、冷水内での作業や、冬の屋外作業に適しています。しかし、高価で修理が難しく、破損した箇所も見つけにくいのが短所です。

2. 長靴・底 (ソール) による分類

耐油長靴
一般にPVC製で、油に強く、滑りにくく、安価で丈夫な万能タイプです。

ゴム長靴
柔らかく伸縮があるため、足にフィットして履きやすいのが、ゴム長靴です。しかし、経年劣化でひび割れしやすく、価格帯による品質の差がはっきり分かれます。

安全長靴
足を保護する、安全靴機能を合わせ持つタイプの胴付き長靴もあります。耐油性が高く、つま先芯や、釘などの鋭利なものから足裏を守る、踏み抜き強度の高い機能を持ち合わせています。

ウェーダーの靴底
ウェーダーと呼ばれる、釣り用の胴付長靴には、滑りにくいグリップ仕様の「ラジアル底」、岩場でも滑りにくい「フェルト底」、金属のスパイク付きで、苔の上でも滑りにくい「フェルトスパイク底」などがあります。

 

その他、胴部分の裏地にフリースを使い保温性を高めた品や、膝や尻パット付きで耐久性の良い製品、靴底の土踏まず内部に、スチールシャンクと呼ばれる型崩れ防止の細い金属版を入れ疲労軽減効果を高めたタイプなど、さまざまな機能を備えた胴付き長靴もあります。

胴付き長靴の選び方

PVCはあらゆる分野で使用されており、手入れも容易で種類や価格も豊富です。ナイロン製は蒸れやすいですが安いので、予算を抑えたい場合に選びます。身頃も靴もゴムの製品は、流通量も少なく高価ですが、特に貝漁など水産業で好まれます。

寒冷地での作業には、クロロプレンが向いており、足元に油のある場所か否かによって、長靴を耐油性かゴム長靴かを選択します。立つ/しゃがむを繰り返す農作業用には、胴部分がややゆったりと作られた製品がおすすめです。

一方、釣りやレジャーでは、水に浮き耐寒性の高いクロロプレンや、透湿防水素材が着心地面で優れています。胴付き長靴を選ぶ際は、自分のサイズに合うものを選ぶことが大切です。足サイズだけでなく、胸囲、股下、腰回り、胴囲のサイズを参照にします。

胴付き長靴の使い方

胴付き長靴使用の際は、着用前に、穴があいていないことを確認することが大切です。水位が変化する可能性がある場合、安全確保のため常に水位を確認しながら作業します。

一度胴付き長靴内に水が入ってしまうと、動けなくなり、命を危険にさらしかねません。靴に水が入らないよう、ウエストのベルトはしっかりと閉め、製品の注意書きにも表記されていますが、水中での胴付き長靴使用の際は、ライフジャケットを着用することが推奨されます。

使用後は表面の泥や油を落とし、洗濯洗剤や石鹸を使い、手洗いします。防水性を維持する専用の洗剤も市販されていますが、ゴシゴシこするのではなく、押し洗いやもみ洗いでやさしく洗うのが重要です。

大量の汗をかいた場合など、裏返して洗うと、カビ対策になります。乾燥には陰干ししますが、特にゴム製は長時間直射日光に当たると、劣化しやすいので、注意が必要です。適切なお手入れにより、胴付き長靴を長持ちさせることができます。

検電テスター

検電テスターとは

検電テスター

検電テスターとは、電気配線の調べたい箇所が、電気を帯びているか調べる機械です。

配線に電気が流れているかいないかは見た目では分からず、間違った配線コード接続に通電してしまうと大変危険です。通電確認にとどまらず、電圧、直流・交流、プラス・マイナスの極性など、さまざまな項目を確認したり、数値を調べたりするタイプもあります。

検電テスターの使用用途

検電テスターは、農業分野において獣害用の防獣フェンスや電気柵などの、通電状態確認に使用します。通電しているかどうかの確認をするだけでなく、電圧値の表示がある機種では検電テスターの結果を元に、獣害対策として必要な電圧に調整可能です。

その他、車・バイクの電装、配電盤の修理や、電気工事の現場で、感電防止のため停電状態を確認するなど、電気系統一般の様々な用途で使用されます。プロの現場で使用するイメージがありますが、家庭でコンセントのチェックなどにも使用可能です。

検電テスターの特徴

長所

長期保管品の電気配線など、使えるか分からない場合でも、通電するかどうかの確認が可能です。獣害対策用の電圧値チェックができるタイプでは、電気柵などの機械本体の電圧低下も確認できます。また、検電テスターの重量は数百グラムと軽く、女性や高齢の方でも手軽に取り扱えます。

短所

獣害対策には、高圧電力が必要であるため検電作業にも危険が伴います。検電中は検電器の握り部分以外は危険なので、触れないよう注意が必要です。

検電テスターの種類

検電テスターの種類は、低圧用、高圧用、特別高圧用などの使用電圧によって大きく区別できます。農業分野では、高圧の検電が必要になりますが、これは防獣用の電気柵で効果を得るために必要な電圧が、通常は数千ボルト、最大10,000ボルト程度になるためです。

検電テスターで測定できるのは、項目や範囲も様々、価格帯も多岐に渡ります。通電だけを確認する簡易なものから、極性、電圧や抵抗、直流・交流、電流、静電容量、ダイオードや周波数などマルチにチェックできるものまでさまざまです。

測定項目のお知らせ方式も、通電状況を光や音で知らせるもの、数値をデジタル表示するものなど、対象や用途によって異なります。基本的に電池式ですが、電気柵に流れている電気を使うため、電池不要のタイプもあります。

検電テスターの選び方

最初に、低圧・高圧・特別高圧用など、テストしたい電気製品の電圧範囲をカバーする製品を選び、交流または直流の確認をします。通電確認だけであれば、シンプルなものでも対応可能です。

通電を確認すると、光やブザーでお知らせします。操作も簡単で、低圧用は抑えた価格帯ですが、高圧の検電が出来る製品は、価格がかなり上がります。

農業分野では、獣害対策の電気柵に必要な3,000~10,000ボルト付近まで、電圧値も計測可能な品が便利で、手頃な価格帯の製品が出回っています。電気を使う工作や、電装などで検電テスターを使用する場合、プラス・マイナスの極性も確認できるものがおすすめです。

極性を間違った配線では、誤作動となります。なお、極性によって検出時の光の色や音が違うなど、プラス・マイナスを判別しやすいタイプが最適です。さらに、本格的に測定したい場合は、電装に十分な電圧かどうかも測定できる製品が適しています。

検電テスターの使い方

検査対象のコンセントや配線などに検電器を当て、光や音で活線状態を確認します。電気柵用の場合、電圧表示が出るものが使いやすいです。例えば、イノシシは3,000ボルトで十分撃退できますが、下草が伸びた場合など、多少の漏電を考慮して、4,000ボルト程度に調整します。

電圧が高過ぎる場合、防護機能は高まりますが、無駄に電力を消費することになり、電気代が上がります。逆に弱いと防獣の効果が出せず、作物の被害につながります。検電テスターで、人間が通る場所に通電していないかチェックをすることも可能です。

作業は心臓から遠い方の右手で行い、高圧部から60cm以内に手が近づく場合、絶縁ゴム手袋を着用します。直流用の検電テスターで交流の電気製品をチェックすると、感電の危険があるため、絶対に使用しないでください。

サンライザー

サンライザーとは

サンライザーとは、ビニールハウス内などで散水する際に、スプリンクラー本体と排水管を繋ぐためのパイプのことです。サンライザーは、パイプとチューブがセットになって、(株)サンホープから販売されています。塩ビ式とポリ式の2つのタイプがあり、価格も2千円台からと安価です。

一般的に、ライザーとは、スプリンクラーシステムの垂直供給パイプのことで、スプリンクラー用立上り管(ライザーパイプ)とも呼ばれています。

ライザーパイプには、三脚式・二脚式、伸縮ライザーなどがあります。

サンライザーの使用用途

サンライザーの主な用途は、散水用スプリンクラーと排水管を繋ぐことです。サンライザーには、塩ビ管に繋げる塩ビ式とポリエチレンパイプに繋げるポリ式の2種類があります。工業用樹脂製品で出来ているため、農薬や肥料に侵される心配もなく、2千円台からと安価で丈夫です。

サンライザーは、一列配管でムラ無く均一に潅水ができ、ハウス栽培から露地栽培まであらゆる場所で利用されています。低圧、小水量タイプであるため、水道で使用することができます。潅水での使用用途の他、お茶園の凍霜害防止などにも使われています。

杭打ちハンマー

杭打ちハンマーとは

杭打ちハンマー

杭打ちハンマーとは、防獣フェンスなどの杭打ちに使用するためのハンマーです。

通常の掛矢のようなハンマーとは、使い方が異なります。パイプ柄に杭を差し込み、パイプと杭を起こし、上下に勢いよく打込みます。

通常のハンマーでは、打点が高く、無理な姿勢で打込まなければなりませんが、杭打ちハンマーを使用すれば、自然な体勢で安全に確実に杭を打ち込むことができます。

材質も掛矢のように木製のハンマーではなく、鉄とアルミで出来ているため、朽ちることなく、長期的に使用することができます。

杭打ちハンマーの使用用途

杭打ちハンマーの用途は、農作業時の杭を打込むことです。害獣対策用柵の設置などの場面でよく利用されています。

害獣対策用柵を設置する場合、支柱を地面に30センチから40センチほど差し込む必要があります。通常のハンマーでは、無理な姿勢での作業を強いられますが、杭打ちハンマーを使用すれば、パイプ柄に杭を差し込み、スライドさせるだけなので簡単に杭を打込むことができます。

また、通常のハンマーのように頭部打撃面を使い、ハンマーとしても、地ならしにも使用することができます。

止水プラグ

止水プラグとは

止水プラグとは、水の流れを止めるための器具です。

用途により、空気圧を利用して、管に密着させるタイプのボール・プラグと、空気圧を使用せずに、蝶ネジを手で締めることで拡径させて管に密着させるタイプのメカニカル・プラグがあります。

ボール・プラグは、空気を入れるだけで簡単に使用することができます。そのため、災害発生後の復旧作業の下水排水管内清掃、下水排水管路維持管理作業など、一時的に止水が必要な時に使用される場合が多いです。

止水プラグの使用用途

止水プラグの主な用途は、水の流れを止めることです。用途により、「ボール・タイプ」と「メカニカル・タイプ」があります。

1. ボール・タイプ

コンプレッサなどを使い、膨張させて、管内に密着させることで止水します。一時的な止水にのみ利用できます。また、バイパスがついたものは、大流量排水タイプで、バイパスキャップを外すことで水を排水することが可能です。

2. メカニカル・タイプ

蝶ネジを手で締めることで管に密着させます。長時間の止水が可能です。細経管に使用するKSタイプ、管口で使用するGタイプ、パイプ内に挿入して使用するIGタイプなどがあります。

止水プラグの特徴

長所

止水プラグは非常に簡単に水の流れを止める事が出来るという特徴があります。清掃、補修時などの一時的な止水に向くものから長時間の止水が可能なものまでさまざまなタイプがあります。使い方や構造がシンプルなため、初心者でも簡単に使用できるものが多く、様々な場面で活躍します。

大きさや止水方法のタイプなど多くの製品があるため、使用目的や使用場所に合わせて選ぶことが可能です。

短所

止水プラグは、水の流れを止めるという特徴から化学薬品、ガス類、圧力管に使用することができません。これらに使用するとプラグの故障や破裂の危険があるため、絶対に使用しないように注意が必要です。

止水プラグの種類

前項で紹介した「ボール・タイプ」と「メカニカル・タイプ」のほかに、エアープラグと呼ばれる空気圧でプラグを膨らませ止水するタイプもあります。さらに、バイパスという水量が多い管で水や空気を排出するための装置が付いたもの、ついていないもの、大口のパイプで常設するものに分類可能です。

サイズ展開が豊富で、製品によってそれぞれ対応する管の口径が異なります。手のひらサイズのものから公共下水道に用いられるサイズのものまで、多種多様な製品が展開されています。

止水プラグの選び方

1. 使用期間

止水プラグを選ぶ際は、使用する期間によってタイプを考える必要があります。一時的な止水に利用する場合は、ボール・タイプやバイパスなしのエアープラグを使用します。長時間の止水を想定している場合は、メカニカル・タイプやバイパスありのエアープラグ、特殊タイプのエアープラグが最適です。

2. 直径

管と呼び径が合わないものを使用すると、止水プラグの効果を発揮することができません。

3. 耐圧性・材質

水圧が強くかかることが想定されるため、耐圧性や材質について確認することも重要です。

止水プラグの使い方

作業時はヘルメットや安全メガネを着用し、止水プラグを管に入れる前に管径と止水プラグの大きさが合っているかを必ず確認します。水圧がかかるものなので、事故が起こる可能性があることを十分に考慮して作業を行う必要があります。

止水プラグはシンプルな構造のものが多く、使い方も簡単です。ボールタイプ、エアープラグは管に差し込み膨張させることで効果を発揮しますが、設置時に管口から管の直径分程度離れた場所まで差し込む点に注意します。

メカニカルプラグは製品によって少し仕様が異なりますが、上記のエア注入式の止水プラグと比べ拡径率が低くあまり膨らまないのが欠点です。必ず管径にあったものを使用し、丁寧に蝶ネジを締めます。

メーカーや製品によって細かな仕様が異なるため、必ず説明書に目を通し安全に配慮して使用することが大切です。

カルシウム剤

カルシウム剤とは

カルシウム剤とは、農作物の生育に不可欠な栄養素であるカルシウムの欠乏を防ぐため、農作物のカルシウムを補給するのに使用される薬剤のことです。

農業分野でカルシウムは植物体の細胞組織を強くし、組織づくりに大切な成分です。さらに、土の酸性化を中和し適切なpH値に調整する働きもあります。チッソ、リン酸、カリに続く農作物の生育に必要な中量要素と言われています。

農作物のカルシウムが欠乏すると、芯腐れや変形果などといった生理障害が起こります。カルシウム剤を農作物に施すことによって、そのような生理障害を防ぐことが可能です。

カルシウム剤の使用用途

カルシウム剤は、農作物中のカルシウムが欠乏するのを防ぐために、農作物の植え付け前に土壌に混和したり、葉面に散布したりして施します。カルシウム剤の主な使用目的は以下の4つです。

1. 生理障害の予防

カルシウム剤を農作物に使用することによって、尻腐れ果や変形果、芯腐れやチップバーン、しみ症などといった、果菜類・葉菜類・根菜類などの農作物に起こる、カルシウム欠乏による生理障害を防ぐことができます。

高温や乾燥など厳しい気象条件が続く時期などは、より生理障害が助長されるので、そのようなときはこまめに施すことが望ましいです。また、芯腐れやチップバーンは収穫後に中身を切ってみないと分からないことも多いので、予防で早い時期から施すと効果的です。

2. 農作物の品質向上

カルシウム剤は、果実や葉物野菜の日持ちを向上させる効果や、豆類などの農作物の生育を促進する効果、さらに農作物の収量を増加させる働きがあります。これはカルシウムが細胞組織を強化し、農作物を強く成長させるためです。

3. 病害虫の予防

カルシウム剤を農作物に使用することによって、病気や害虫の予防の効果があります。カルシウム剤により、植物の細胞が強化され、病気に対する抵抗力が高くなったり、虫がつきにくくなったりします。

4. 根の生育促進

カルシウム剤には、植物の根の生育を促進させる効果があります。植物の根が発達すると、より多くの水分や肥料分を吸収できるようになり、植物全体の生育促進につながります。

また、根の張りがよくなると、風で植物が倒れてしまうリスクを下げる働きもあります。

カルシウム剤の特徴

長所

  • 葉面散布で使用できるため、散布したいタイミングで散布が可能 (カルシウム欠乏が出てしまった後や高温、乾燥など厳しい気象条件のとき) 。
  • 農薬でなくても、病害虫の予防ができる。
  •  農薬と混合して使用できるものもあるため、作業の省力化につながる。

短所

  • コストがかかるため、コストに見合う成果が出るか検討して取り組む必要がある。
  • カルシウム剤を入れすぎると、マンガン亜鉛などの微量要素の吸収阻害を引き起こす。

カルシウム剤の種類

カルシウム剤は形状により次のような種類に分けることができます。

1. 固体状カルシウム剤

固体状のカルシウム剤は、粉状と粒状のものになります。固体状のものは基本的に、農作物の植え付け前に土壌に散布、混和して植物の根からカルシウム分を吸収させます。

生育の初期から吸収させることができるので、生育初期の生理障害予防や根の生育促進に効果的です。

2. 液状カルシウム剤

液状カルシウム剤は、液体のカルシウム剤を水で希釈し、農作物の葉面に散布して使用します。葉面に散布して吸収させるので、ある程度農作物を成長させてから使用するのがポイントです。

固体状カルシウム剤と比べ、農作物への吸収が早いため、追肥やカルシウム欠乏症状が出てしまったときの対処に効果的です。また、農薬散布時に混ぜて使用できるものもあるため、作業の省力化につながります。 

カルシウム剤のその他情報

カルシウムが不足する要因

土壌のカルシウム分が不足している以外の理由で、農作物にカルシウム欠乏が出る場合があります。それは、土が乾燥しすぎているときです。カルシウム分やその他の肥料分は土の中の水分に溶け出して、根から吸収され植物内に入ります。

そのため、土の中の水分がほとんどない状態だと、カルシウム分を吸収できないためカルシウム欠乏が起こる可能性があります。また、強い肥料で植物の根が肥料やけ (水分や養分を根から吸収しにくくなる) を起こしたり、害虫などに根を傷つけられたりしたときも、根から吸収できなくなりカルシウム欠乏を起こす可能性があります。

このような場合は、液状カルシウム剤で葉面散布を行い、カルシウム分を補給することが有効です。