胴付き長靴とは
胴付き長靴とは、胸まである防水ズボンと長靴が、防水接合によって一体化した防水ブーツのことです。
胴長靴また釣り分野ではウェーダーとも呼ばれます。膝から胸までの水深にも対応できる防水靴として利用されています。
胴付き長靴の使用用途
胴付き長靴の用途は多岐に渡りますが、水や油で汚れやすい環境で使用されています。清掃や洗浄作業に適した製品です。
農業では、水稲やレンコン、セリなど泥水内での作業や洗浄を伴う出荷調整などに用いられます。水産業分野では、漁船や漁港での分別や清掃、浅瀬での漁などです。その他、河川や水路、溝などでの作業、救助活動、釣りやキャンプなどの、レジャーの場面でも使用されています。
胴付き長靴の特徴
長所
通常の長靴に雨具を合わせる場合と異なり、靴と衣類の境目からの浸水を防げるので、水や泥など、より深い場所での作業ができます。
短所
水中での転倒などで、胴付き長靴内に一度水が入ってしまうと、水の重さで身動き出来なくなってしまいます。そのため、最悪の場合溺死の危険性があり、注意が必要です。
胴付き長靴の種類
膝上から胴部分の素材と長靴、それぞれに種類があり、その組み合わせによって分類されます。
1. 膝上~胴部分の素材による分類
PVC
胴付き長靴の最も一般的な素材で、手入れも比較的簡単です。非常に種類が豊富で、価格は大変幅広いです。しかし、破損しやすいという欠点があり、穴が開くと、専用の接着剤でないと、補修品を張り付けてもはがれてしまいます。
そのため、修復パーツ付の胴付き長靴もあります。また、水中作業では、破損時の浸水防止にライフジャケット着用が無難です。防水加工は片面と両面があり、両面防水は汗で皮膚に張り付きやすく、やや動きにくいですが、防水性は高く、汚れも落ちやすいです。
片面防水は、裏地は汗を吸い取るため、汚れたままで放置すると、カビが生えて、洗っても落ちなくなるので注意が必要です。
ナイロン
安価で種類豊富ですが、蒸れやすいという欠点があります。
ゴム
丈夫で長持ちなうえ、手入れも比較的容易で修理可能です。しかし、流通量が少なく、重くて高価という短所があります。また、直射日光に当たると、ひび割れなど、劣化しやすくなります。
防水・透湿素材
商品名ゴアテックスなどの素材です。PVCとナイロンの複合素材が多く、軽量で種類豊富です。しかし、防水性や耐油性は低く、油で汚れる環境には向きません。
また、手入れに手間がかかり、修理も難しいため、作業で頻繁に使用するよりも、レジャー向きです。
クロロプレンゴム
商品名としてはネオプレーンで、ウェーダーと呼ばれる釣り用の胴付き長靴に使用されることが多いです。ウェットスーツ布地として利用され、水に浮きます。
また、冷気を通しにくいので、冷水内での作業や、冬の屋外作業に適しています。しかし、高価で修理が難しく、破損した箇所も見つけにくいのが短所です。
2. 長靴・底 (ソール) による分類
耐油長靴
一般にPVC製で、油に強く、滑りにくく、安価で丈夫な万能タイプです。
ゴム長靴
柔らかく伸縮があるため、足にフィットして履きやすいのが、ゴム長靴です。しかし、経年劣化でひび割れしやすく、価格帯による品質の差がはっきり分かれます。
安全長靴
足を保護する、安全靴機能を合わせ持つタイプの胴付き長靴もあります。耐油性が高く、つま先芯や、釘などの鋭利なものから足裏を守る、踏み抜き強度の高い機能を持ち合わせています。
ウェーダーの靴底
ウェーダーと呼ばれる、釣り用の胴付長靴には、滑りにくいグリップ仕様の「ラジアル底」、岩場でも滑りにくい「フェルト底」、金属のスパイク付きで、苔の上でも滑りにくい「フェルトスパイク底」などがあります。
その他、胴部分の裏地にフリースを使い保温性を高めた品や、膝や尻パット付きで耐久性の良い製品、靴底の土踏まず内部に、スチールシャンクと呼ばれる型崩れ防止の細い金属版を入れ疲労軽減効果を高めたタイプなど、さまざまな機能を備えた胴付き長靴もあります。
胴付き長靴の選び方
PVCはあらゆる分野で使用されており、手入れも容易で種類や価格も豊富です。ナイロン製は蒸れやすいですが安いので、予算を抑えたい場合に選びます。身頃も靴もゴムの製品は、流通量も少なく高価ですが、特に貝漁など水産業で好まれます。
寒冷地での作業には、クロロプレンが向いており、足元に油のある場所か否かによって、長靴を耐油性かゴム長靴かを選択します。立つ/しゃがむを繰り返す農作業用には、胴部分がややゆったりと作られた製品がおすすめです。
一方、釣りやレジャーでは、水に浮き耐寒性の高いクロロプレンや、透湿防水素材が着心地面で優れています。胴付き長靴を選ぶ際は、自分のサイズに合うものを選ぶことが大切です。足サイズだけでなく、胸囲、股下、腰回り、胴囲のサイズを参照にします。
胴付き長靴の使い方
胴付き長靴使用の際は、着用前に、穴があいていないことを確認することが大切です。水位が変化する可能性がある場合、安全確保のため常に水位を確認しながら作業します。
一度胴付き長靴内に水が入ってしまうと、動けなくなり、命を危険にさらしかねません。靴に水が入らないよう、ウエストのベルトはしっかりと閉め、製品の注意書きにも表記されていますが、水中での胴付き長靴使用の際は、ライフジャケットを着用することが推奨されます。
使用後は表面の泥や油を落とし、洗濯洗剤や石鹸を使い、手洗いします。防水性を維持する専用の洗剤も市販されていますが、ゴシゴシこするのではなく、押し洗いやもみ洗いでやさしく洗うのが重要です。
大量の汗をかいた場合など、裏返して洗うと、カビ対策になります。乾燥には陰干ししますが、特にゴム製は長時間直射日光に当たると、劣化しやすいので、注意が必要です。適切なお手入れにより、胴付き長靴を長持ちさせることができます。