育苗ハウス

育苗ハウスとは

育苗ハウス

育苗ハウスとは、育苗専用ビニールハウスのことです。

育苗とは、植物の発芽後一定期間、苗を育成することをいいます。育苗後の苗は、畑や水田に移植します。

例えば水稲の栽培方法として、種子を直接水田にまく直播栽培と、苗を水田に植え付ける移植栽培があり、日本では移植栽培が一般的です。移植栽培を行うには、植え付け可能なサイズまで苗を育てる必要があり、その期間に使われるのが育苗ハウスです。

育苗ハウスの使用用途

育苗ハウスは、植物の育苗期間において用いられます。畑や水田に直接種を蒔く方法では、苗づくりの手間が省ける反面、苗が育つまでに気温や降雨の影響を受けやすくなります育苗期間に育苗ハウスを用いることで、気温変動などの環境変化を抑えることが可能です

稲作において、「苗半作」という言葉があります。「苗を育てるまででその作物を半分作り終わったようなものだ」という苗づくりの大切さを表した言葉です。育苗期間は病害虫などの環境要因影響を受けやすいとされています。育苗期間に丁寧な管理を徹底することで、田植え後の生育や収穫量が大きく変わってきます

育苗ハウスのメリット

1. 温度や湿度の管理に役立つ

育苗は温度や湿度の管理が重要です。育苗ハウスを用いることで、直播栽培では難しい温度と湿度の管理が可能になります。

育苗ハウスは閉鎖的な構造であるため、必要に応じて出入り口を開けて風を通すことで、温度や湿度を下げることができます。また反対に、出入り口を閉めて温度や湿度が上がりやすいように調整することもできます。

2. 天候に左右されない

露地栽培では、風雨等天候の影響を避けることができません。そこで育苗ハウスを用いることで、天候の影響を最小限に抑えることができます。

また、作業中に風雨に打たれる心配がなく、集中して農作業に取り組むことができることもメリットの1つです。ただし、台風や大雪等の場合には育苗ハウス自体の倒壊の恐れがあるため、事前に対策を考えておく必要があります。

3. 病害虫の侵入を防ぐ

育苗期間は、特に病害虫等の影響を受けやすいとされています。病害虫が発生すると苗の生育が妨げられたり、農薬を使わざるを得ない状況も考えられます。育苗ハウスを用いることで、病害虫の外部からの侵入を防ぎ、苗の健全な生育を促すことが可能です。また、農薬の使用量を減らすことで、コストの削減にも繋がります。

育苗ハウスのデメリット

1. コストがかかる

育苗ハウスの導入には、当然のことながらコストがかかります。また育苗ハウスの導入後もメンテナンスの必要があり、メンテナンスにもコストが必要です。導入する目的と予想されるコストを照らし合わせて、育苗ハウスの導入を検討することが大切です。

2. 適切な管理が必要

育苗中は、育苗ハウス内の温度および湿度のきめ細やかな管理が不可欠です。管理を怠り適温を外れる状態が続くと、生育不良や病害などのリスクが高まります。育苗ハウスを適切に使用することで、健全な育苗や収穫量の増加、品質の向上などが見込めますが、そのためには徹底した管理が不可欠です。

育苗ハウスの種類

育苗ハウスには、花苗・野菜に適した小型のものから、大規模な育苗に適した大型のものまで、幅広いサイズのものがあります。また、育苗ハウスは大きく分けるとビニールハウスとガラスハウスに分類することができ、それぞれ以下のような素材から構成されます。

1. ビニールハウス (パイプハウス)

ビニールハウスは、支柱部分にU字パイプ、被覆部分に農業用ポリ塩化ビニール (農ビ) やポリオレフィンフィルム (POフィルム) が使用されています。

2. ガラスハウス (鉄骨ハウス)

ガラスハウスは、支柱部分にH鋼や角パイプ、被覆部分にガラスや硬質フィルムが使用されています。育苗ハウスは、素材や構造等によって耐久性や作業性は様々です。目的に合った育苗ハウスを導入しましょう。

参考文献
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single016.html
https://minorasu.basf.co.jp/80560

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