プッシャ

プッシャとは

プッシャ (英: pusher) とは、押す動作を行う機械装置です。

機械的な力によって、物体を押すまたは押し込むために使用されます。プッシャは機械的な力を利用して物体を押すことができるため、人の力だけでは難しい重い物体を押す場合に重宝します。大きな圧力をかける必要のある物体を容易に移動、押し出すことが可能です。

機械的にプログラムされた動きを再現することができるため、高い精度と一貫性を保ちます。これは、製造ラインや精密な作業において重要です。自動化プロセスに組み込めるので、人の介入を最小限に抑えて作業を進めることが可能です。

ただし、プッシャーを操作する前には適切なトレーニングを受けた作業者が操作することが必要となります。

プッシャの使用用途

プッシャはさまざまな用途で使用されます。以下はプッシャの使用用途一例です。

1. 自動設備

自動製造ラインでは、製品の組み立てや加工の過程で部品を正確な位置に配置する必要があります。このような場面でプッシャーが利用されます。

自動車製造のラインなどで、使用されることが多いです。車体に部品を取り付ける際に、プッシャーが部品を正確な位置に押し込むことで、高精度な組み立てが可能です。

2. ドア

自動ドアやエレベーターの開閉機構にプッシャを使用されます。センサーによって近づいた人や障害物を検知し、プッシャーを用いてドアを開閉する仕組みです。センサーが反応すると、プッシャーがドアを押し出すことで自動的に開閉します。

3. 建設機械

建設現場では土砂や建材を移動させたり、地面を平坦にしたりするために、プッシャーが重機に搭載されています。ブルドーザーはフロントブレードを使って土砂を押し出し、地形を整えることが可能です。これにより、人力での作業よりも効率的な地ならしが可能です。

4. ゲーム機器

アミューズメント施設や遊技場にあるプッシャーゲームとして知られる装置では、コインや景品を押し出すためにプッシャーが使われます。コインをプッシャの台の端に置き、プッシャが後ろから押してコインを押し出すことで、景品を獲得できる仕組みです。 

プッシャの原理

プッシャは、機械的な力を利用して物体を押すという基本的な原理に基づいています。動力源として電気、油圧、空気圧、人力などさまざまです。このエネルギー源を介してプッシャに力が供給されます。

エネルギー源からの力は、リンクやピストンなどの伝達機構を介して動作部分に伝えられることが多いです。動作部分は物体を押し出すための役割を果たします。これは通常、棒や板、プレートなどの形状をしており、物体に直接力を加える部分です。

エネルギー源から伝達された力によって、プッシャの動作部分が物体に働きかけます。その結果、物体が押し出され、移動するまたは押し込まれることになります。

このような原理に基づいて、さまざまな形態で設計されています。油圧プッシャは油圧シリンダーを使用して力を増幅し、物体を押し出すことが可能です。電動プッシャは、モーターや歯車機構を使って力を伝達して物体を押し出します。

プッシャの選び方

プッシャを選ぶ際には、使用する目的や要件に合った適切な製品を選ぶことが重要です。まず、プッシャをどのような用途で使用するかを明確にします。自動製造ラインでの組み立て作業や建設現場での土砂の移動など、用途によって必要なプッシャの特性が異なります。

押し出す対象の物体のサイズや形状などを考慮して、適切なプッシャの能力を選ぶことも必要です。物体の重さや押し出す力が、プッシャの許容範囲を超えないように注意します。

プッシャの動力源は、電気や空気圧、人力などがあります。使用環境や作業要件に応じて、適切な動力源の選定が必要です。屋外や遠隔地で使用する場合は電気や空気圧が利用しやすい場合も多いです。

エキセンプレス

エキセンプレスとは

回転運動を偏心軸を用いて上下運動ないしは水平運動に変換することでプレスする工作機械を言います。
偏心軸プレス、手廻しプレスなどと呼ぶこともあり、金型を取り付けて、切断や穴あけ、および折り曲げ加工を行います。

ここでエキセンとは、回転運動をスライドの往復運動に変えるためのエキセン軸で、エキセン軸のメイン軸(主軸)同士をつなぐ位置にある偏心部分のことを意味します。

余談ですが英語のエキセントリックとは、行動や性格が突拍子もない意味もあり、この偏心の動きに由来しています。

エキセンプレスの使用用途

丸形のハンドルを手廻しして用いるプレス機械であり、金属板の圧入加工や打ち抜きプレス加工に用います。例えば、一例をあげると、ストロークとコミ穴にあった金型を作製し、取り付けることで薄い鋼板で板厚が0.3mm程度の板のコーナーをカットする作業などに用いられます。

なお、関東型と関西型があり、前者はストッパーボルト内蔵でストロークの途中で停止させることができます。後者は、標準型とも呼ばれ、両側にある調整ボルドで、ストロークの正確な高さなどの調整ができます。

エキセンプレスの原理

エキセントリック(偏心)は、蒸気機関車によく用いられた機械要素であり、偏心軸を回転運動させることで、上下ないしは水平なロッドの直線往復運動に変換させています。エキセンプレスの原理も同様に、丸形の手廻し用のハンドルを回すことで、偏心軸を回転運動からストロークの上下運動へ変換し、金型を介してプレス工作に活用する動作になっています。

ハンドプレスの場合はレバーの上げ下げに連動したプレス動作ですが、エキセンプレスの場合、ハンドルを回すと、ピストンのように連続した上下運動をするプレスの機構が異なります。この上下運動とコミ穴にあった金型の組み合わせにて、金属板のコーナーカットや、打ち抜き加工を平易な力にて行うことができます。

なお、通常はマニュアルのミシン機械のような手廻しハンドルタイプであり、昨今は中古品のオークション市場で見かける場合も多いプレス機ですが、大型の自動化されたエキセンプレス装置についても、専門の機械メーカーによっては制作販売の取り扱いがなされています。

ワークガイド

ワークガイドとは

ワークガイドとは、機械加工に伴いワーク(被加工物)を決められた位置に固定するための治工具を指し、使用用途によって多種類のものが作られています。

ワークの3次元空間における位置決めは「3-2-1ルール」という原則があり、この原則に従えば、正確な位置決めが可能となるというものです。

この「3-2-1ルール」とは、XYZの3座標からなる3次元空間においてある面を基準面と定め、その面で3ポイント、それ以外の面でそれぞれ2ポイントと1ポイントという座標のポイント数を指しています。

ワークガイドは、必要に応じて、この「3-2-1ルール」に則って適時設置していきます。

ワークガイドの使用用途

ワークガイドは、機能から付けられた名称であり、具体的な形状や材質などは用途に応じ各種製作されています。

たとえば、機械加工の分野では、金属や樹脂をベースとしてL型形状のものやブロックであったり、生産ラインでは製品を傷つけないため、樹脂を材質とした多くのものが必要に応じ製作されています。

ワークガイドは、位置決めといった用途では、加工精度が要求され、生産ラインで使われる場合は、耐久性が求められることから形状や材質が選択されています。

ワークガイドの特徴

ワークガイドは、位置決めという精度に関わる部品となるため、使用される材質など、吟味され製作されています。

ワークガイドの仕様をひとつ例示すると、材質は「SS400」でメッキ厚5~10μmの無電解ニッケルメッキ処理があります。

一般構造用圧延鋼板の一種である「SS400」は、含有する炭素量は、JISに特に規定されていませんが、通常は0.15~0.20%程度と低めで、低炭素鋼のひとつに挙げられるものです。この「SS400」という鋼材は、低炭素のため、熱処理による強度アップができない代わりに、熱によるトラブルは少ないとされています。

また、無電解ニッケルメッキは、被膜硬度が優れていることから、メッキ厚など、きちんと管理されたものであれば、耐食性や耐摩耗性の優れたメッキとして機械部品によく使用されているものです。

無電解ニッケルメッキは、通常リンが含有されており、その含有率により低・中・高という3タイプがあり、それぞれ物性が異なるため、留意する必要があります。ちなみに、中リンタイプのリン含有率は7~9%となります。

ウレタンスプリング

ウレタンスプリングとは

ウレタンスプリングとは、バネ性を活かしてスプリングとして使用するウレタン製の部材です。

モールド成型ウレタンを使用する場合が多く、ウレタンスプリングは柔軟性と弾力性に優れており、衝撃を吸収してクッション性を提供します。これにより、快適性が向上し、振動や衝撃による負担を軽減することが可能です。耐久性にも優れるため、製品の寿命を延ばすこともできます。

また、ウレタンは比較的軽量な素材であり、製品の軽量化が実現されます。特に車両や航空機などの輸送機器において、燃費やエネルギー効率の向上に寄与することがあります。ウレタンは高温に弱く、長時間高温にさらされると劣化するケースが多いです。

特に、車両のエンジンルームなど高温の環境では、適切な対策行います。高荷重がかかると変形する可能性もあるため、適切な硬度や厚さのウレタンを選択することが重要です。

ウレタンスプリングの使用用途

ウレタンスプリングはその柔軟性やクッション性、衝撃吸収性などの特性により、さまざまな用途で利用されています。以下はウレタンスプリングの主な使用用途の例です。

1. 自動車

ウレタンスプリングは、自動車のシートにクッションとして使われます。ウレタンの柔らかさと弾力性により、ドライバーや乗客の快適性が向上させることが可能です。また、長時間の運転による疲労を軽減する効果もあります。

2. 家具

ソファやチェアのクッションにウレタンスプリングが使用されます。座り心地がよく、長時間の座っていても疲れにくいです。また、形状を維持しやすいため、長期間使用してもへたりにくいという利点もあります。

マットレスやベッドにもウレタンスプリングが使われます。体圧分散や体のラインにフィットする快適な寝心地を提供することが可能です。

3. 建築材料

地震や風などの外部からの振動を吸収し、建築物の耐震性や安定性を向上させるために利用されることがあります。建築物の構造部材にウレタンスプリングを組み込むことで、建物自体の振動や衝撃を吸収します。結果として、内部の機器や装置へのダメージを軽減することが可能です。

ウレタンスプリングの原理

ウレタンスプリングの原理は、ウレタン素材の特性に基づいています。ウレタンは弾性体であり、外力が加わると変形しますが、外力が取り除かれると元の形状に戻る特性があります。これはウレタン分子の構造によるものです。

外力によって一時的に分子の配置が変化し、外力が取り除かれると元の配置に戻ることで弾性を示します。また、ウレタンの弾性特性により、外力が加わったときにその力を吸収することが可能です。

その結果、クッション性や衝撃吸収性に優れた性能を発揮します。ウレタンスプリングが自動車のシートなどに使用されると、体重や衝撃が加わったときにウレタンが一時的に変形し、その力を吸収することが可能です。

ウレタンは振動を吸収する特性もあります。振動がウレタンスプリングに加わると、ウレタン内の分子が一時的に振動し、そのエネルギーを吸収します。これにより、建築物の振動制御などで振動を軽減することができます。

ウレタンスプリングの選び方

ウレタンスプリングは、形状や材質など、用途に合わせた各種のタイプが製作されています。選び方のポイントは次の通りです。

1. 荷重と硬度

使用する製品や装置にかかる荷重や負荷を考慮して、適切な硬度のウレタンスプリングを選ぶことが重要です。硬度が高いほど耐荷重性が向上しますが、柔軟性や衝撃吸収性は低下します。

逆に、硬度が低いほど柔軟性やクッション性が増しますが、耐荷重性は低下します。物性的な数値把握のため、形状係数や弾性係数といった数値も事前につかんでおくことも大切です。

2. サイズと形状

製品や装置に合わせて、適切なサイズや形状のウレタンスプリングを選ぶことが重要です。必要な寸法や形状を考慮して製品を選定し、必要に応じてカスタムオーダーすることもできます。

3. 快適性と耐久性

ソファやマットレスなどの快適性を重視する用途では、柔らかめのウレタンスプリングが適しています。一方、自動車のサスペンションなどの耐久性が求められる場合には、硬めのウレタンスプリングが最適です。

ロケートリング

ロケートリングとは

ロケートリングとは、成形機と金型の位置合わせに使用されるリングです。

金型に2本もしくは4本で取付けられ、成形機のノズルと金型のスプルーの位置合わせを高精度に行えるよう作られています。成形機を金型へ取付ける際、ロケートリングは重要な役割を果たしています。

金型のスプルーブッシュと成形機の射出ノズルの位置ずれは、射出材料の漏出や成形品の不良につながり、大きなトラブルの原因となります。

ロケートリングの使用用途

ロケートリングは、射出成形機の射出ノズルとスプルーブシュの入口および金型の固定側取付板の穴との位置決めのため、金型の最上部へ取付けて使用されます。

射出成形機と金型の位置関係を高精度で確保する目的のほか、金型の射出成形機への取付けを容易に行うために使用されています。

ロケートリングの種類

現在、JISにおいてA形・B形・AJ形・BJ形の4種類が規定されています。2000年のJIS改正で、従来のA形はAJ形、B形はBJ形に変わり、新たにA形とB形が規定追加されました。

これは、将来的に変更 (ISOに準拠するため) になるまでの暫定として、混乱を避けるためです。従来規定されていた2種類をAJ形とBJ形として残しています。

現在のAJ形とBJ形は、ロケートリングの内側の形状によるものです。AJ形はテーパのないタイプ、BJ形はテーパとなっているタイプです。ロケートリングが使われるようになったのが射出成形機と金型の位置合わせであることから、篏合 (かんごう) を容易にできるテーパ付きも導入されたと推測されます。

機械加工の分野では、従来からテーパを利用して機械同士の篏合を容易にする手法が用いられています。ちなみに、改正後のA形はテーパのあるタイプで、B形は内穴すらないタイプと規定されています。

ナックルジョイント

ナックルジョイントとは

ナックルジョイントとは、指のように可動域が存在する継手です。

機械や車両において使用される接続機構の1種で、回転運動を伝達する場合などに使用されます。ナックルジョイントは軸の間で柔軟な運動を可能にします。これにより、振動や角度の変化に対して柔軟に対応できるようになります。剛性も高く、運動を正確に伝達可能です。

また、頑丈で耐久性がある点も特徴の1つです。高い負荷や振動にも耐えられ、長期間の使用においても安定した性能を維持します。回転運動などを伝達する際は、グリースを使用してスムーズな運動を実現します。

ただし、適切なシールが欠ける場合にグリースの漏れが発生することも多いです。これにより、潤滑不足などが生じ、動作の品質や寿命に影響を与える可能性があります。

ナックルジョイントの使用用途

ナックルジョイントは産業界で広く使用される重要な部品です。以下はナックルジョイントの使用用途一例です。

1. 自動車

自動車のフロントサスペンションに使用されます。フロントサスペンションは車体とホイールハブの間の振動や衝撃を吸収し、スムーズな乗り心地を提供する役割を果たす機構部です。ナックルジョイントはステアリング軸とホイールハブを接続し、車両の操縦性や操舵性が向上させます。

また、ドライブトレインにおいても重要な役割を果たします。ドライブトレインは、エンジンからの動力を駆動輪に伝達するシステムです。ナックルジョイントはエンジンの出力を駆動輪に伝え、車両が前進または後退を補助します。

2. 産業機械

ナックルジョイントは、関節部分や回転運動の伝達に使用されます。産業機械やロボットアームなどでは、関節の動きを制御するためにナックルジョイントが使用される場合も多いです。ナックルジョイントにより、機械の動作範囲や可動性が向上し、必要な運動や位置制御が可能になります。

また、プレス機にも使用されることがあります。ナックルジョイントを使用したプレス機は、曲げ加工や穴あけ加工を実施することが可能です。

3. 航空機

航空機においてもナックルジョイントは、さまざまな用途で使用される部品です。航空機の操縦系統では、ステアリング操作や制御面の運動を伝達するためにナックルジョイントが使用されます。また、格納機構などにもナックルジョイントが用いられます。

ナックルジョイントの原理

ナックルジョイントは、一般的に金属で構成される部品です。強度が重要なため、ステンレス鋼や鉄などが使用されます。部品としては、主に本体、ピン、割りピンなどで構成されます。

1. 本体

ナックルジョイントの本体は、ピンと割りピンを収める外部の構造です。頑丈な金属製で、各部品を保持する役割を果たします。めねじなどが切られており、これを装置にねじ込んで取り付けられます。

2. ピン

ピンは運動を伝達するための軸として機能する部品です。一般的に円柱状の部品です。ナックルジョイントの中心軸となり、回転運動が行われます。

3. 割りピン

ピンを固定するための割りピンが使用されます。割りピンは通常ピンの一端に挿入され、広がることによって固定することが可能です。割りピンによってピンが外れることを防止し、安全な固定を提供します。

ナックルジョイントの種類

ナックルジョイントは材質や大きさに応じて種類があります。具体的には、大きく1山ナックルジョンと2山ナックルジョイントに分類することが可能です。

1. 1山ナックルジョイント

1山ナックルジョイントは、本体にピンを通す穴が1山のみあるナックルジョイントです。ジョイント対象がコの字の場合は、1山ナックルジョイントが使用されます。

2. 2山ナックルジョイント

2山ナックルジョイントは、本体にピンを通す穴が2山あるナックルジョイントです。ジョイント対象が1山の場合は2山ナックルジョイントが使用されます。

1山と2山は、基本的にセットで使用されます。一方を1山として他方を2山とすることで、軸を自在に駆動させることが可能です。

フラップシール

フラップシールとは

フラップシール (英: flap seal) とは、接着剤を使わずに保護し、隙間をふさいでくれるゴムや樹脂でできたシール材です。

扉やパーテーション廻りにクッション性のあるフラップシールを装着して、人が怪我しないように保護にも役立てられており、「トリムシール」や「エッジシール」とも呼ばれています。

フラップシールの使用用途

フラップシールは、建機や農機、特殊車両、介護・福祉機器などの分野でも利用されています。

建築分野では、建具の周辺保護や外部からの埃や塵の侵入を防ぐ目的に使われています。産業分野では、機械扉の開閉時の緩衝材や、板金や鉄板のエッジを保護して怪我をしないように安全対策としても利用されます。

そのほか、電車の窓枠や配電盤等の扉の防塵用ゴムパッキン、配線の保護などで使用されています。

フラップシールの特徴

フラップシールは、様々なタイプのものがあり、使用用途や環境によって取り付けるものを選定する必要があります。

「tpe (英: thermoplastic elastomer) 」は、熱可塑性エラストマーと言われ、樹脂としての特性とゴムのような特性を併せ持つため、加工が容易かつリサイクル可能で環境にやさしい材質です。また、耐油性に優れた耐油tpeと呼ばれる素材は、機械加工現場の使用に適しています。

pvc (塩化ビニール) やepdm (エチレンプロピレンゴム) などを使ったものも製作されています。pvcは難燃性や耐候性に優れ、epdmはクッション性に優れた素材として知られています。

そのほか、アルミの芯金が入ったものは、接着剤がなくても簡単に取り付けできるため重宝されます。

センサーレール

センサーレールとは

センサーレール (英: Sensor Rail) とは、センサーやその他のデバイスを取り付けるためのレール状の構造物です。

一般的に、工業や自動化などの分野で使用されます。センサーレールには穴やスロットがあり、センサーやデバイスを簡単に取り付けることが可能です。交換やメンテナンスが容易となる点が特徴です。また、レールに沿って配線を通すことで、外観を整えられます。

センサーレールには標準化された規格が存在し、さまざまなメーカーやデバイスに対応しています。これにより、異なるセンサーやデバイスを同じレールに取り付けることが可能です。

センサーレールに取り付けるセンサーやデバイスの電気的な特性や要件に留意が必要です。適切な絶縁や接地が必要な場合もあります。

センサーレールの使用用途

センサーレールはさまざまな応用用途が存在します。以下はセンサーレールの使用用途一例です。

1. 工業

自動化および制御システムでは、センサーレールはさまざまなセンサーやデバイスを設置するために使用されます。工場の生産ラインではセンサーレールに位置センサーや温度センサーなどを取り付けることで、生産プロセスの監視や制御を行うことが可能です。センサーレール上のデバイスは制御装置やコントローラなどと連携し、自動化プロセスを制御します。

2. セキュリティ

センサーレールはセキュリティシステムにおいて重要な要素です。監視カメラなどはセンサーレールに取り付けられることもあります。

動き検知センサーやドアアクセス制御装置もセンサーレールに取り付けられ、不正な侵入や動きを検知してセキュリティを強化します。人感センサーなども取り付けられることが多いです。センサーレール上のセンサーからセキュリティシステムの中枢にデータ送信され、適切なアクションが実行されます。

3. ビル管理システム

ビル管理システムにおいて、センサーレールはさまざまな環境データの収集に使用されます。照明制御システムでは照明センサーや光センサーをセンサーレールに取り付け、明るさの変化を検知して照明の制御を行うことが可能です。

また、温度センサーや湿度センサーもセンサーレールに取り付けられ、快適な環境の維持やエネルギー効率の向上に役立ちます。

センサーレールの原理

センサーレールは、センサーやデバイスを取り付けるための物理的な構造物です。センサーレールの目的は、センサーやデバイスを一定の規格に基づいて配置し、効率的な配線や取り付けを可能にすることです。

通常のセンサーレールは軽量かつ低コストであることが望ましく、部材としてアルミニウムが多く用いられます。ただし、耐食性が重要な場合にはステンレスのセンサーレールが使用されることも多いです。レールの長さは用途に合わせて切断されます。

センサーレールには、一連の穴やスロットがあります。これらの穴やスロットに、センサーやデバイスを取り付けることが可能です。センサーレールは、センサーやデバイスを正確に位置決めし、必要な場所に取り付けるための基盤となります。

センサーレールの種類

センサーレールには以下のような種類が存在します。

1. ツバ平行型

ツバ平行型は、上部に平行なツバがあるセンサーレールです。ツバはセンサー取り付け用スペースを提供し、装置を保持する役割も果たします。センサーを横方向に配置するのに適しています。

2. ツバ直交型

ツバ直交型は、上部に直角に突き出たツバがあるセンサーレールです。ツバ平行型と比べてセンサーやデバイスの取り付け方向が垂直です。ツバ直交型のセンサーレールは、狭いスペースや複雑な配置が必要な場合に使用されます。

3. ストレート型

ストレート型は上部にツバがない直線状のレールです。センサーはストレート型のセンサーレールに取り付けられ、一直線に配置されます。シンプルなセンサー配置が必要な場合や、センサーやデバイスの密度を高めたい場合に適しています。

ブレーキローラ

ブレーキローラとは

ブレーキローラとは、ブレーキ機能を内蔵したローラです。

生産ラインなど広範囲で使用するブレーキローラは、ローラに内蔵されたブレーキシューが遠心力で広がることにより、滑走スピードを抑制します。滑走するワークの重さと滑走スピードに比例した力が働くため、滑走の抑制がスムーズで電力も不要です。ただし、ローラを取り付ける際は回転方向と高さ位置に注意する必要があります。

ブレーキローラの使用用途

工場などの生産ラインで使用されます。また、先入れ先出しという在庫管理を行うフローラックのような傾斜した棚に取付けられて利用されることもあります。その他、プリンタや業務用スキャナといった事務機器の分野でも媒体の送り出しなどの制御部品として使用されます。

ブレーキローラのその他情報

モーターローラー

ブレーキローラと同様に幅広く使用されているものとして、電源供給が必要なモーターローラーがあります。駆動の抑止などの制御が可能となるため高低差のある製造ラインにも対応できます。しかし、ライン制御に加え適切なブレーキ機能も働かせる必要があるため、制御設計が煩雑になります。

アンギュラピン

アンギュラピンとは

アンギュラピン (英: angular pin) とは、アンダーカットのある射出成型品用金型に使用されるピンです。

アンダーカット処理をするためにスライドコアという専用の金型を使用しますが、このスライドコアを動かすためにアンギュラピンを使用します。アンギュラピンとスライドコアの連動によって、射出成型品における複雑な形状の製造が可能です。

アンギュラピンは、一般的に円柱状または円筒状の形状です。スライドコアと擦れあう使用状況から、高い精度と耐久性が要求されます。このため、アンギュラピンは高強度な工具鋼など耐摩耗性のある材料で作られます。

アンギュラピンの使用用途

図1. アンギュラピンの使用用途

アンギュラピンは、部品を成型及び取り出すための機構の一部で、スライドコアを動かすために使用されます。スライドコアは主に、アンダーカット部位や複雑な形状を実現するために使用されます。

アンダーカットとは、成型品を金型から外す際、通常の金型抜き方向に障害がある形状のことです。アンギュラピンによって、金型の一部であるスライドコアを成型品から抜く方向にかからない位置にずらすことができ、一度の成形でアンダーカット部位を形成可能です。

例えば、シンプルな取手の付いていないコップのような形状であれば、通常の金型でも抜くことが可能ですが、取手の付いたコップになると「アンダーカット」形状が発生してしまうため、スライドコアが必要になります。このほか、建築部品の窓枠やドアハンドル、電子機器のハウジングなどをはじめ、さまざまな樹脂成型品の製造で使用されています。

アンギュラピンの原理

アンギュラピンの原理は、金型内のスライドコアや別の動作要素と連動して、アンダーカット部分の成形と部品の取り出しを可能にすることです。アンギュラピンは通常、成型金型内のスライドコアやスライドコアプレートと連動しています。

スライドコアは金型内で動く部品で、アンダーカット部分を形成するための主要な要素です。アンギュラピンはスライドコアに取り付けられ、スライドコアの動きを制御します。

アンギュラピンのその他情報

1. アンギュラピンとスライドコアの動き

図2. アンギュラピンとスライドコアの動き

プラスチック材料の射出・充填
プラスチック材料を充填するとき金型は閉じた状態です。アンダーカット部はスライドコアとアンギュラピンによって閉じられています。

金型開放
成形材料が硬化したのち、金型が解放されます。通常、アンギュラピンは回転またはスライドし、アンダーカット部を金型から解放します。

製品の取り出し
アンギュラピンがアンダーカット部から解放されると、通常は成型機の取り出し機構によって製品が取り出されます。製品が取り出されたのち、再び金型は閉じられ、プラスチック材料の充填が始まります。

2. アンギュラピンの取り付け角度

アンギュラピンを金型が動く直線方向に対して、傾斜 (英: angular) をつけて金型に設置されます。より大きなスライド量を求める場合、金型の動作方向に対して、大きな角度をつけることで実現できますが、それだけピンが折れやすくなってしまいます。

通常、おおよそ20度までを目安に傾斜をつけるのが一般的です。また、同様の目的でアンギュラピンの長さを増やすことでも対応可能です。しかし、アンギュラピンを長くすると、金型の移動量を増やす必要があり、設備のスペースの問題が発生します。

3. アンギュラピンの材質

アンギュラピンは、常にスライドコアの孔と摺動するため、耐摩耗性や強度が必要です。また、射出成型で充填される材料の温度は200度近くまで上がることもあります。このため、熱変形、ヒートサイクルによる腐食への耐性も必要です。

アンギュラピンの材質としては、SUJ-2などをはじめとした高炭素鋼が使用されたり、焼き入れによって硬度を確保したり、コーティングによって耐摩耗性を確保したりと様々な処理が施されています。

4. アンダーカット処理の種類

図3. アンダカット処理の種類

スライドコア方式
主にアンギュラピンとスライドコアを組み合わせた比較的単純な構造です。アンギュラピンは固定側の型に設けられます。可動側にはスライドコアがあります。可動側の型が固定側に近づくにつれ、アンギュラピンにスライドコアが接近。アンギュラピンとスライドコアの孔が勘合後、アンギュラピンの傾きによってスライドコアを動かし、アンダーカット部を形作ります。

傾斜スライド方式
小さなアンダーカット部の成形に用いられやすい方式です。アンギュラピンは使用しません。エジェクタプレートには、スライドロッドと傾斜スライドを動かすためのスライドユニットが設けられています。

成型完了後、型が開いたのち、可動側の型が固定側から離れるにつれて、スライドユニットが製品の内側まで移動し、製品をエジェクト (押し出し) します。金型の直動方向に対して、スライドユニットは直角方向に動くため、スライドロッドには大きな力を強います。スライドコア方式よりも高価な傾向です。

油圧駆動スライド方式
油圧シリンダを使用して、スライドコアを移動させる方式です。固定型側にスライド機構を設け、型開きとは別のアクションとしてスライドを移動させることができます。また、大きなスライドコアを動かすことができます。