ブレーキローラとは
ブレーキローラとは、ブレーキ機能を持ったローラのことです。
工場や物流倉庫で広く利用されているローラコンベヤは代表的な搬送機器です。そのローラコンベヤに多数組み込まれているローラーの一部はブレーキ機能を持っています。ブレーキローラが、コンベア上を流れて来る部品や製品の速度を調節したり、停止させることで、スムースな搬送を実現します。このため、ブレーキローラを組み込んだローラコンベヤのことを、ブレーキローラと呼ぶこともあります。この他にも、ブレーキローラは様々な装置で使用されています。
ブレーキローラの使用用途
ブレーキローラは物体の場所を移動させ、その動きを制御する様々な機械で使用されています。
ローラは、円筒形をした回転する部品です。それを多数平行に並べることで、その上に乗せた物体を、ローラを回転させることで移動させることができます。その代表例がローラコンベヤです。多くの場合はローラコンベヤには傾斜が付けられており、物体は傾斜に沿ってコンベヤ上を移動して行きます。ブレーキローラはコンベヤ上に一定間隔で設置されており、ブレーキローラにブレーキがかかることで、移動する物体の速度を抑制させたり、途中で一時停止させることが可能になります。このことで、コンベヤ上を流れる物体どうしが衝突したり、コンベヤから逸脱して破損することを防ぎます。
また、ブレーキローラは、ローラコンベヤ以外にも物体を転がして移動させる様々な機械で使用されています。その具体例としては、缶飲料の自動販売機、印刷機械、医療機械などがあります。
ブレーキローラの原理
ブレーキローラは、円筒の内部に遠心力で膨らむブレーキシューを持ったメカニカルなものや、電動ブレーキを備えた電動式のもの等があります。また、ローラーの外側からブレーキシューを押し当てる外押型ブレーキローラ等もあります。
1. 遠心力を利用したブレーキローラ
遠心力を利用したブレーキローラは、ローラの中に遠心力によって広がるブレーキシューが組み込まれています。このブレーキシューがローラに押し当てられることで回転が減速されます。このタイプのブレーキローラは外部からの動力源を必要とせず、物体の重さや速度に応じて自動的にブレーキがかかるのが特徴です。
2. 電動ブレーキを備えたブレーキローラ
電動ブレーキを備えたブレーキローラは、内部にモーターで動くブレーキシューが組み込まれています。このタイプのブレーキローラは、外部からの電気信号によってブレーキをかけたり、ブレーキの強さを制御することが可能です。よって物体の流れをより精密に、早い速度で制御できる利点があります。
3. 外押型ブレーキローラ
外押型ブレーキローラは、ローラの外周にブレーキシューと、それをローラに押付ける機構が取り付けられています。外押型ブレーキローラは構造が比較的シンプルであり、耐久性が高く、大きな制動力が得られる等の特徴があります。
ブレーキローラの選び方
搬送機器やその他の機械にブレーキローラを使用する場合には、上記の各ブレーキローラの原理の違いや、それぞれの特性を把握した上で、以下のような項目について検討することをお薦めします。
1. 運ぶ物体の大きさと重さ
ローラの上を移動させる物体の大きさと重さに対して、十分に対応できる大きさと耐荷重性を持たせる必要があります。その一方で、組み込む装置や環境の中で、設置可能で空間効率よい大きさを検討する必要があります。
2. 制動力
移動させる物体の大きさや、速度、移動させる面の傾きの大きさ、必要な減速に使える距離等によって、必要となる制動力が異なってきます。また、多数並べられるローラの中でのブレーキローラの間隔や個数によっても個々のブレーキローラに求められる制動力が異なります。
3. 応答速度
迅速な停止が必要な場合、応答性の高いブレーキローラが必要となります。電動ブレーキローラは、相対的に応答性が高いため、高速で物体が流れる搬送ラインなどに適しています。
4. メンテナンス性
消耗品でもあるブレーキシューの交換や、故障した際のブレーキローラの取り換えや修理等を考慮して、ブレーキローラやその周囲にはある程度の作業空間を確保する等、メンテナンス性への配慮も必要です。