エキセンプレスとは
回転運動を偏心軸を用いて上下運動ないしは水平運動に変換することでプレスする工作機械を言います。
偏心軸プレス、手廻しプレスなどと呼ぶこともあり、金型を取り付けて、切断や穴あけ、および折り曲げ加工を行います。
ここでエキセンとは、回転運動をスライドの往復運動に変えるためのエキセン軸で、エキセン軸のメイン軸(主軸)同士をつなぐ位置にある偏心部分のことを意味します。
余談ですが英語のエキセントリックとは、行動や性格が突拍子もない意味もあり、この偏心の動きに由来しています。
エキセンプレスの使用用途
丸形のハンドルを手廻しして用いるプレス機械であり、金属板の圧入加工や打ち抜きプレス加工に用います。例えば、一例をあげると、ストロークとコミ穴にあった金型を作製し、取り付けることで薄い鋼板で板厚が0.3mm程度の板のコーナーをカットする作業などに用いられます。
なお、関東型と関西型があり、前者はストッパーボルト内蔵でストロークの途中で停止させることができます。後者は、標準型とも呼ばれ、両側にある調整ボルドで、ストロークの正確な高さなどの調整ができます。
エキセンプレスの原理
エキセントリック(偏心)は、蒸気機関車によく用いられた機械要素であり、偏心軸を回転運動させることで、上下ないしは水平なロッドの直線往復運動に変換させています。エキセンプレスの原理も同様に、丸形の手廻し用のハンドルを回すことで、偏心軸を回転運動からストロークの上下運動へ変換し、金型を介してプレス工作に活用する動作になっています。
ハンドプレスの場合はレバーの上げ下げに連動したプレス動作ですが、エキセンプレスの場合、ハンドルを回すと、ピストンのように連続した上下運動をするプレスの機構が異なります。この上下運動とコミ穴にあった金型の組み合わせにて、金属板のコーナーカットや、打ち抜き加工を平易な力にて行うことができます。
なお、通常はマニュアルのミシン機械のような手廻しハンドルタイプであり、昨今は中古品のオークション市場で見かける場合も多いプレス機ですが、大型の自動化されたエキセンプレス装置についても、専門の機械メーカーによっては制作販売の取り扱いがなされています。