作業ベルト

作業ベルトとは

作業ベルトとは、作業着を着るときに腰に巻きつけるベルトのことです。

作業ベルトは普通のベルトよりも頑丈に作られているため、工具類を入れた作業袋をぶら下げたり、工具類をくくりつける際に役立ちます。普通のベルトにあるような穴はなく、ベルトをバックルで挟んで固定するタイプが一般的です。

作業ベルトは上下が分かれている作業着を着用している場合に、作業着のパンツがずり下がることを防止し、パンツの裾を踏んで転倒するなどの事故や怪我から作業者を守ります。ただし安全帯や命綱として作業ベルトは使えません。 

作業ベルトの使用用途

ズボンがずり落ちないように固定する目的でベルトがよく使用されますが、作業現場では重要性がさらに高いです。ズボンが下がって裾が余っていると動きにくく、裾が引っ掛かって転倒する危険性が高くなり、裾が機械に巻き込まれると大事故につながる可能性もあります。作業時の安全を確保するためにも作業ベルトの着用が推奨されます。

世の中には様々なベルトが販売されていますが、ほとんどのベルトがファッション用途です。作業用ベルトには伸縮性や耐久性などが備わっており、作業現場で使う場合には激しい動きにも耐えられるものが適しています。

作業ベルトの原理

作業ベルトを作業着のベルトループに通し、バックルで固定します。バックルのタイプによって固定の方法が異なります。

1. ワンタッチ式

バックルのロック箇所とベルトの長さを調節する箇所が別々になっているため、装着前に身体の大きさに合わせてベルトの長さを調節しておきます。腰骨の上の位置でしっかりと締まる長さが適切です。装着時にはベルトの長さを調節してからベルトループに通してバックルをはめます。

2. ローラー式

ベルトループにベルトを通してからバックル部分にあるローラー芯を動かし、ベルトの生地を軽く挟み込み締め付け度合いを調節します。ベルトの生地を引き絞り、ローラー芯をしっかりと嚙みこませてベルトを固定します。

3. フィンガー式

スライドバックル部分を開き、ベルトの先端部分を通した後、バックル部分の穴にベルトを差し込みます。余ったベルトはベルト通しに通すことが重要です。くくりつけたい工具類の数が多くて重くなる場合には、クッション入りのサポートベルトを作業ベルトの内側に巻くと、腰の痛みを緩和できます。

作業ベルトの種類

素材によって特性は大きく違うため、使用用途に合ったものを選ぶ必要があります。

1. ナイロン

ナイロン素材のものは濡れてもすぐに乾きやすく、摩擦に強く、耐久性が高いです。軽いため腰への負担も軽減できます。

2. 綿

綿素材は吸水性に優れ質感も柔らかいため、腰に良くフィットします。長時間つけることが多い場合に腰の負担を軽減できます。

3. レザー

レザーはしなやかで腰にフィットしやすく、丈夫で長年使えます。しかし水に弱く汗などの匂いも残りやすいため、作業用としてはあまり適していません。

4. エナメル

革の表面を樹脂でコーティングしているため、革に比べて耐水性が高いです。暑さや熱に弱く高温で使用すると表面が溶ける可能性もあるため、作業用にはあまり向いていません。

5. ゴム

ゴムには伸縮性があり、腰にしっかりと巻き付きます。良く水をはじき匂いも付着しにくいため、水中や水辺で作業する場合に適しています。

6. ポリエステル

ポリエチレンテレフタレートを繊維状にした素材です。引っ張りや摩擦に強く、クセが付きにくいです。耐薬品性や耐熱性も高く、熱がこもりやすい場所や薬品を使う環境でも耐久性を失いません。

作業ベルトの選び方

選択のポイントを以下にまとめます。選んだものによっては作業効率が落ちたり、トラブルにつながる可能性もあるため、適切なものを選択する必要があります。

1. 長さ

自分のウエストに合った長さを選ぶことが大切です。締め付けがきつすぎると作業中に体調不良になる危険性があり、事故や怪我につながります。人のウエストのサイズは変わりやすいため、すぐにサイズを調整できるものが適しています。

2. 幅

作業着のベルトループの幅を調べて、ベルトループにスムーズにベルトが通るものを選ぶことが重要です。ベルトとベルトループの幅が合っていないとフィット感に欠け、安全性も低下します。

3. 重量

軽量のタイプが理想的ですが、軽さにこだわりすぎると耐久性が低い可能性もあります。機能と重量のバランスを考えることが重要です。

4. 固定方法

ワンタッチ式
装着前にあらかじめ身体の大きさに合わせてベルトの長さを調節し、バックルの位置を決めることで、ワンタッチで着脱可能です。不意に外れる可能性も低く、安全に使用できます。

ローラー式
バックルにベルトを挟み込んで固定するため、ベルトの長さを無段階で調節できます。わずかなサイズ調整も可能なため、より作業者の体形にフィットした状態で装着できます。

フィンガー式
作業着の状況に応じてすぐにベルトの長さを調整できます。作業状況によって作業着の厚みや形態が変わる現場や、頻繁に着脱する現場に適しています。

ツールバッグ

ツールバッグとは

ツールバック

ツールバッグとは、電動工具ドライバーなどの小型工具、小物類を収納するための専用のバッグです。

腰道具に入りきらない工具類を収納しておくことで、必要なときにすぐ取り出せるだけでなく、腰道具に装備する工具の重さを軽減することもできます。

工具を収納するためのツールとして工具箱がありますが、重くて持ち運びにくいことから、頻繁に移動がある現場ではツールバッグが便利です。また、ソフトケースの素材のツールバッグであれば、現場にある施工用の材料や資材を傷めることがありません。 

ツールバックの使用用途

ツールバックは工具などを現場に持ち運ぶ際に使用するだけでなく、使用後に工具をそのままバックに収納する際にも使用されることがあります。

搬送のたびに必要な工具を出し入れする手間を省いたり、必要な工具を忘れることを防止するためにあらかじめ決められた工具を入れて保管する用途もあります。

ツールバックの種類

ツールバックには整理しやすいように仕切りやチャックがついているものや、工具がきれいに収まる純正ツールバックがあります。純正のツールバックは電動工具や精密機器類などの高価なものや壊れやすい物を保管し移動する場合に用いられます。

ツールバックの大きさは腰に巻きドライバーレンチなど比較的小物で頻繁に使用する工具を入れておき、現場でも着用できるような小さなポーチタイプから、ホイールの付いた大型のツールバックまで多種多様です。一般的には工具を工事現場の作業する場所の近くまで運ぶ際に使用する場合が多いです。

ツールバックに似た入れ物にツールボックスがありますが、ツールボックスは箱のため持ち運びが難しいので、長距離の持ち運びにはフレキシブルな布で出来ているツールバックの方が適しています。

ツールバッグの選び方

ツールバッグは、大きさ、機能性などさまざまなものがあるため、持ち運びをする頻度、開閉をする頻度などを考慮して作業環境に適したものを選びます。また、耐荷重量や工具類が飛び出さないような仕組み (ファスナーなど) があるかなどの安全性も確認します。以下にツールバッグを選ぶときのポイントをまとめます。

1. 大きさ

小さめでコンパクトタイプのツールバッグは、予備の工具の持ち運びがしやすいです。大きめのツールバッグは、持ち手が長い工具も簡単に入れることができます。

2. 素材

布製のものは、頑丈で耐久性があるため、頻繁に出し入れする工具を収納するのに便利です。ポリエステル素材のものは、撥水加工が可能なため、雨天時の屋外や濡れる可能性がある現場に適しています。革素材のものは、ナイフやキリのような鋭利な刃物がある工具、先端が尖っている工具を安全に収納することができます。

3. カバーの有無

カバーがあるものの場合、粉塵やほこりなどから工具類を守ることができます。またツールバッグ内部に汚れが付きにくく、掃除もしやすいです。カバーがないものの場合、工具類を取り出しやすい反面、粉塵がでるような現場には向いていません。

4. ポケット

ポケットの数が多く、さまざまな大きさのポケットがついている方が、たくさんの工具類、小物類が入ります。また、工具類の収納場所を決めておくことで、工具類の紛失を防ぐこともできます。

5. 持ち手のタイプ

トートタイプ、ショルダータイプ、リュックタイプ、キャリータイプなどさまざまなものがあります。またハンドルがついているものは、可動式がどうかも確認します。運搬時はハンドルがあった方が運びやすいです。対して作業中は、ハンドルがないほうが工具類を取り出しやすいです。 

ツールバッグのその他情報

ツールバッグの使い方

ツールバッグを使用する前に切り傷やほつれ、変形している箇所がないか確認します。工具類を収納するときは、以下のことに注意します。

  • 刃がある工具の場合は必ず刃を閉じ、刃部分が取り出し口に向かないように収納します。
  • 電動工具類は誤作動を防ぐためにバッテリーを抜く、ロックをかけるなどしてから収納します。
  • ツールバッグの耐荷重量以上のものを入れないようにし、ツールバッグから工具類が飛び出したり、溢れ出したりしていないか確認します。
  • 火気や高熱が発生する電気工具の近くに置かないようにします。

ホースプライヤー

ホースプライヤーとは

ホースプライヤーは、自動車や二輪車などのエンジン周りにおいて、ホース類の脱着作業に使用する工具です。ホース類に力を加えて無理に引き抜くと亀裂の原因になることから、工具を用いて適切に作業を実施します。

ホース類の外し方により、ホースリムーバープライヤー、ホースプーラープライヤーと呼ばれている工具もあります。

また接続部分における、スプリング式のホースクリップの取り外しに使用する工具を、ホースクリッププライヤーといいます。 

ホースプライヤーの使い方

ホースプライヤーでホースを挟み込み、ホースを外します。

ホースリムーバープライヤー(ホースプーラープライヤー)を使用する場合は、ホースと金属パイプの間に差し込み、ハンドルを握るとホースが外れます。なお差し込む向きが決まっています。「HOSE」を表示されている方をゴムホース側に、「TUBE」と表示されている方を金属パイプ側に向けて使用します。

ホースクリッププライヤーは、ホースクリップを挟み込みハンドルを握ると、スプリングが緩みクリップを取り外せます。

いずれの作業においても、ホースが外れた時に中の液体が噴き出ないように、予め内部の液体を抜き取るなどの措置を講じた後に行います。

ホースプライヤーの選び方

ホースプライヤー、ホースリムーバープライヤー、ホースクリッププライヤーそれぞれの選び方について説明します。

  • ホースプライヤー
    ホースプライヤーは、使用可能なホースの直径が決まっています。ホースのサイズに合わせて選びます。複数のサイズのホースを扱う場合は、複数サイズのセットを準備しておくとよいでしょう。また奥まった箇所におけるホースの脱着が想定される場合は、全長の長いホースプライヤーを選択します。
  • ホースリムーバープライヤー
    製品により、使用可能なホースの直径が決まっています。例えばφ4〜10mmのように幅を持たせてあることから、ホースのサイズに当てはまるものを選びます。
  • ホースクリッププライヤー
    作業性を考慮して選びます。クリップの掴み易さでは、先端の爪が可動するタイプ、先端の掴み部分の面積が広いタイプ、先端の掴み部分に凹凸の歯が付いているタイプがあります。また奥まった箇所のクリップを脱着する場合は、全長の長いプライヤや、ワイヤーで操作行うワイヤータイプを選択します。 

丸ペンチ

丸ペンチとは

丸ペンチ (英: round-nose plier) とは、線材を曲げるのに適した工具です。

先端部が丸く細いため、通常のペンチとは異なる用途で使われます。先細長ペンチもあり、細かい作業に適しています。ラジオペンチ (英: needle-nose plier) によく似ていますが、丸ペンチには刃が付いていないため、切断機能がないラジオペンチです。電気関係の作業では丸ペンチがよく使われるため、柄の部分にビニールカバーを付けたタイプも多いです。

丸ペンチの使用用途

丸ペンチは一般的なペンチとは異なり先端部分が円錐状になっていて、ワイヤーやピンなどを曲げる他、コイルなどを巻き付けるなど細かい作業に適しています。主にテレビやラジオの配線の組み立てや修理などに使われ、銅線や鉄線などの曲げ加工にも使用可能です。

アクセサリー作りなどハンドメイドの際にもワイヤーを曲げるためによく使われ、ハンドメイド用の丸ペンチも多数販売されています。長時間使用しても疲れにくいように配慮されたタイプも多いです。

丸ペンチの原理

ペンチは刃先の平らな部分を使って、銅線や針金を曲げる、挟む、切る、ねじる、引っ張るなどの作業を行う工具です。先端は自由に開閉でき、先端同士が噛み合う構造になっています。丸ペンチは他のペンチと比べて小さく先が細いです。似ている道具にヤットコやラジオペンチなどがあります。

普通のものとは異なり先が細く小型なため、強い力が必要な作業には使用できません。先端に線材を挟んで細工を行う際には、力を入れ過ぎないように気をつける必要があります。

丸ペンチの種類

先端の形状には主にロングタイプ、ショートタイプ、先細タイプの3種類があります。

1. ロングタイプ

ロングタイプは奥まで差し込む場合に役立ちます。コイル巻きなどにも使われます。

2. ショートタイプ

ショートタイプは力を加えてもよじれにくいです。ワイヤーなどの線材を急激に曲げる場合などに適しています。

3. 先細タイプ

先細タイプは根元から先端に向かって細くなっています。細かい作業に適しており、アクセサリー加工などで細い線材を曲げる際に使用されます。

丸ペンチの選び方

選択のポイントは以下の通りです。使用用途に合わせて適切なサイズや素材を選ぶことが重要です。

1. サイズ

手の大きさに合ったサイズを選ぶと長時間使用しても疲れにくいです。115〜125mmのコンパクトなものが最も選ばれます。

2. 素材

普通のタイプと同様に素材には炭素工具鋼SK7や機械構造用炭素鋼S55Cなどが使われます。錆びにくく耐久性に優れているのはステンレスです。硬度を重視する場合にはクロムバナジウム入り70カーボン鋼の丸ペンチがおすすめです。

丸ペンチのその他情報

1. ヤットコとの違い

ヤットコはやっとこばさみとも呼ばれ、ハンドメイドに使われることが多い道具です。取っ手側が長く、てこの原理によって人の力よりも強い力で線材を曲げたり、Cカンをつぶす際に使われます。丸ペンチに似た形状の先端を持つタイプや2本の先端の形状が異なるものもあります。

ペンチは内側がギザギザになっているタイプが多いのに対して、ヤットコはフラットです。ペンチは根元を使って切断できますが、ヤットコは切断できません。

2. ラジオペンチとの違い

ラジオペンチは昭和のラジオ全盛期に登場した工具で、先端が細く滑り止め加工が施されています。ニッパー としても使える場合が多く、線材を曲げたり引っ張ったり切断できます。

ラジオペンチでも繊細な作業が可能ですが、丸ペンチの先端の刃部には滑り止めの溝がないため、誤って細かいパーツを傷つけることがありません。ただし丸ペンチのつかむ力は強くないため、力を入れる作業にはラジオペンチが適しています。

ペダルレンチ

ペダルレンチとは

ペダルレンチは、自転車などのペダルを取り外す目的に特化したレンチです。ペダルを取り外すためにはペダルとクランクの間の狭い隙間にあるナットを外さなくてはなりません。そのためペダルレンチは一般的なレンチよりもヘッドが薄く、力を入れやすいように柄にある程度の長さがあるのが特徴です。

女性など力の弱い人でも使用できるように、グリップ部分に工夫が凝らされたものも多くあります。口径部の傾きや柄の長さにより使い心地に変化があります。

ペダルレンチの使用用途

自転車などのペダルを外すのに特化したペダルレンチは、自転車のペダル交換だけでなく自動車の整備にも使われます。

ロードバイクやクロスバイクのペダルをビンディングペダルに交換するためにペダルレンチが使われることも多いです。1つのペダルレンチで複数の自転車に対応できるよう、口径部の大きさを変えられるものもあります。

ペダルレンチが一本あると様々な場合に処置ができるため、ツーリングなどで携帯されることもあります。

ペダルレンチの選び方

ペダルレンチを選ぶ際のポイントをご紹介します。

  • ヘッドの厚み
    ペダルレンチはペダルとクランクの間に差し込むため、ヘッドの厚みが5mm以内のものを選びましょう。持ち運びのしやすさを重視する場合は厚みが2~3mmのものを選ぶと良いでしょう。
  • 口径部の角度
    柄に対して口径部が15°の角度で取り付けられているペダルレンチが最も一般的です。複数の角度で使用したい場合は、異なる角度の口径部が両端についているペダルレンチを選べば、裏表で角度が異なることから1本で4種類の角度で使用することが可能です。
  • グリップの長さ
    グリップの長さは30cmを目安に選びましょう。ツーリングの際に携帯する場合など、扱いやすさよりも持ち運びのしやすさを重視する場合は、20cm程度のものを選ぶと良いでしょう。
  • 握りやすさ
    グリップの形状が製品によって異なります。円柱状や滑り止め付きのグリップなどの握りやすいペダルレンチは、女性が使う場合や錆びついてしまったナットを緩める時に適しています。

特殊ドライバー

特殊ドライバーとは

特殊ドライバーとは、日常生活において一般的に使用するプラス、マイナス以外の形状をしたネジの、締め付けや取り外しに使用するドライバーです。

プラス・マイナスドライバーのような一般的な工具で簡単に取り外せないよう、盗難やいたずら防止に加え、ネジの耐久性やデザイン面を評価して採用している製品もあります。特殊ネジのひとつ「トルクスネジ」は、Apple製のコンピューターやハードディスク、携帯電話や携帯ゲーム機、あるいはBMWのバイクなどに使用されています。 

特殊ドライバーの使い方

対象となるネジの形、サイズに合わせたものを使用します。一般的なプラス、マイナスドライバーと同じようにネジに差し込んで回転させ、締め付けや取り外し作業を行います。

代表的な特殊ネジの名称を以下に示します。

  • 「トルクス」
  • 「ヘクスローブ」/「ヘクスローブ(いじり止め)」
  • 「ラインリセス」/「ラインリセス(いじり止め)」
    ※上記2つの「いじり止め」とは、中心に突起のついた凸型のネジをいいます。
  • 「三角穴」
  • 「Y型」
  • 「ペンタロープ」
  • 「丸型」
  • 「U型」 

特殊ドライバーの選び方

作業を行うネジの形、サイズに合わせたものを選びます。業務において使用する特殊ネジが限定されている場合は、ドライバー単体を選択するとよいでしょう。様々な種類の特殊ネジを使用する、あるいは家庭用であれば、特殊ドライバーセットという選択肢もあります。

特殊ドライバーセットには、ビットとグリップが一体型のタイプ、ビットを差し替えて使用するタイプがあります。一体型の場合、一般的に使用されている特殊ネジに合わせてセットされているものの、10本セットなど本数が限られています。ビットを差し替えるタイプは、30種類や58種類、中には103種類のビットが用意されているセットもあり、種類の豊富さが特長です。

なおトルクスドライバーは、「T1」「T2」のように、ローマ字「T」と数字を組み合わせてサイズを表示しています。数字の大きさが、先端のサイズの大きさです。トルクスドライバーセットの場合、多くの場合T4〜T10の範囲でセットされています。

フレキシブルドライバー

フレキシブルドライバーとは

フレキシブルドライバー (flexible driver) とは、シャフトが自由に曲がる特徴を持つドライバーです。

これにより、通常のドライバーではアクセスが難しい狭い場所や、角度のある場所でも容易に使用できます。フレキシブルドライバーは、特にメンテナンスや修理作業で効率と精度を向上させるために不可欠なツールです。自在に曲がるシャフトがついたドライバーのほか、ラチェット本体、フレキシブルシャフト、ビットがセットになった製品があります。また電動ドライバー向けのフレキシブルシャフトもあり、電動工具に取り付けることで自在にねじ締めなどの作業ができます。

フレキシブルドライバーの使用用途

シャフトが曲がるフレキシブルドライバーは、腕の入らない狭い所や壁際での作業に使用されます。狭隘部や角度がある箇所でのネジ締め作業などに便利な工具です。具体的には、家具の組立や修理、家電の修繕、エンジンルームなどの狭いスペースでのメンテナンス作業、配線や機器の設置作業、外科手術などで使われます。また、作業員が立入できない高所、放射線域などの危険な場所での遠隔作業でも活躍します。

フレキシブルドライバーの原理

フレキシブルドライバーは、2つの離れた場所の間で回転力を伝達するシステムを原理としています。フレキシブルシャフトが回転し、トルクを伝達する仕組みです。シャフト内部のコアは屈曲状態を維持しながらトルクを伝えます。コアを覆うチューブは、往々にして厳しい環境下での作業に用いられるシャフト部を湿気や干渉から守るだけでなく、コアの安定性も保つ役割も果たす重要な部品です。回転部はシャフトと軸端部で接続し、トルクを伝えます。

フレキシブルドライバーの回転力の源は、手回しからモーターまで幅広い速度に対応可能です。駆動側と従動側の位置関係に制限がないため、機器の配列は自由に選べます。また、回転時に発生する振動も吸収し、チューブで覆われているため作業の安全性も高めます。動いている、あるいは振動している対象物へもトルクを伝える優れた機構です。ただし、電動ドライバーに取り付けて使用する際、シャフトの外側は高速で回転するので手で触れないように注意します。

フレキシブルドライバーの選び方

フレキシブルドライバーは、ドライバー単体、ドライバーセット、フレキシブルシャフト、チャック能力にさまざまな選択肢があります。それぞれ以下に詳しく解説します。使用する場所、作業内容、シャフトのリーチ長などの条件を十分に考慮し、適切な組み合わせを選ぶ必要があります。

  • ドライバー単体:シャフトの長さが作業に適しているか、グリップの材質が用途に合っているかを考慮して選択する。
  • ドライバーセット:作業に必要となるドライバービットが適切な長さのフレキシブルシャフトにセットできるものを選択する。
  • フレキシブルシャフト:手回し作業や使用する電動工具に適合している製品を選択する。

フレキシブルシャフトは製品により、電動ドライバー専用、電動ドライバー、インパクトドライバー兼用など適応工具が異なっているため、仕様をよく確認してください。シャフト長は100㎜程度から、長いものでは1m以上まであります。家庭用は200〜300㎜程度です。

併せてチャック能力を確認します。チャック能力とは、装着可能なビットのサイズのことです。必要なビットサイズを予め確認しておくことが重要です。例えば、5㎜の場合、5㎜以下のシャフトが使えます。また、最低チャック能力の確認も大切です。最低チャック能力が1.5㎜では、1㎜の先端工具は固定できません。

持ち手を変えずに左右の反復回し動作でネジを締める必要がある場合、フレキシブルシャフト付きのラチェットドライバーを選びます。可変トルクを管理しながらネジを締める必要がある場合、オーバートルクを防止できるプレセット型の空転式がおすすめです。

検電ドライバー

検電ドライバーとは

検電ドライバーは検電器の一種であり、コンセント等において通電の有無を確認するための道具です。

マイナスドライバーに似た形態からそう呼ばれていますが、基本的にはネジを締めるものではありません。先端部を確認する箇所に接触させ、そこが通電している場合はランプが点灯し、非通電であればランプ不点灯となります。

確認する対象や用途により、低電圧タイプや高電圧タイプ、交流専用、交直両用などの種類があります。

検電ドライバーの使用用途

検電ドライバーは、ドライバー部分を回路に直接触れさせ、回路が活電状態か否かを確認するために使用されます。通常、電気工事や点検は対象となる電気設備の電源を落とした状態で実施しますが、万一活電状態のまま作業者が触れると感電事故に至ります。

そのため、作業の前に検電ドライバーを用いて活電、非活電の確認が必須の手順となっています。また、オーディオ機器の接続の際、コンセントのホット側とコールド側の判別にも使用されるケースが多いです。

検電ドライバーの原理

検電ドライバーにおいて、活電時に点灯するランプにはネオン管とLEDランプの2種類があります。

1. ネオンランプ

ネオンランプは放電管の一種で、比較的低い電圧 (60V~) で放電し、わずかな電流でも電極周辺がぼんやりと赤く光ります (グロー放電) 。従って、活電部から人体を通して大地 (アース) に微小電流を流し、その途中にネオン管を挿入することで、検出が可能になります。

なお、人体に流れる電流を抑制するため、1MΩ以上の高抵抗をネオン管に直列に繋ぎます。放電管なので直流でも、反応や電源が不要で使い易い反面、わずかな電流で点灯しているために明るさが不足気味で、明るい環境下では点灯状態を確認しにくいことが欠点です。

2. LEDランプ

LEDランプはネオンランプよりも明るく光るため、点灯状態がわかりやすいメリットがありますが、点灯させるために電子回路が必要です。検電ドライバーを人が握って交流の活電部に先端を接触させると、検電ドライバーと人体、人体と大地 (アース) 間に静電容量があるため、極めて微小な電流が流れます。その電流を電子回路が検出してLEDを点灯します。

ただし、電子回路の電源として電池が必要ですが、電池が消耗していると活電部に当ててもLEDランプが点灯しません。「活電部ではない」と誤判断する恐れがあること、直流には反応しないことに注意します。

検電ドライバーの選び方

検電ドライバーを選ぶ際のポイントは、前述したランプの種類以外に以下の2つがあります。

1. 測定できる電圧の強さ

低電圧タイプ
低電圧用の検電ドライバーは一般的に利用されるもので、300V以下の電圧を測定することができます。家庭内配線の電圧は100Vまたは200Vなので、通常低電圧用の検電ドライバーを使います。

高電圧タイプ
高圧用の検電ドライバーは2500V~数万Vの電圧を検出することができます。車やバイクなどのスパークフラグの検査が主な用途です。なお、高電圧施設など安全性を重視する場合は、検電ドライバーではなく専用の検電器を使います。

2. 検電ドライバーの先端形状

検電ドライバーは、一般的にマイナスドライバーと同じ様な形状をしています。これはコンセントのプラグ等に差し込むことを想定しているためです。しかし、ドライバーとして使うことはあまりおすすめできません。

一方、ビット交換式のドライバーセットの中には、取っ手の部分にネオンランプを組み込んで、検電ドライバーとして使えるものもあります。これは元々ドライバーとして製作されているものであるため、ネジの締め込みなどに使用可能です。

また、プラスドライバーも含め何種類かのビットが用意されています。検電ドライバーとして使う際は、接触箇所の形状や大きさを踏まえてビットを選択することになりますが、この場合もプラス形状のビットはほとんど使いません。

カテゴリー
転職

【2021年】メーカー研究職の転職情報

メーカーの研究職への転職を希望する方向けに、メーカー研究職の転職に強い求人転職サイトを実際に調べてみましたので是非ご覧ください。

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パソナキャリアのメーカーの研究職の転職情報

 

メーカー研究職の仕事内容

各メーカーの研究職の仕事内容のインタビューをご紹介します。

三菱マテリアル 

中央研究所 分離精製領域

1年目は、電解スライムから収益に直結するロジウム・ルテニウムなどの貴金属の回収率改善。2年目は貴金属以外の研究にも着手し、コバルトやニッケル、希土類磁石の分離回収に挑戦しました。3年目になると再び貴金属に戻り、“スライムクロリネーション反応解析”というテーマで電解スライムを酸溶液に溶解させる反応を解析することに挑戦。4年目は電解スライムからヒ素を取り除く研究に従事。5年目からは、貴金属の溶媒抽出による分離・回収に取り組み、現在も継続して研究しています。

 

 

絶縁工具セット

絶縁工具セットとは

絶縁工具セットとは絶縁工具がセットになったものです。

工具が絶縁体で覆われているのが特徴で、ドライバーラチェットなど相手部品と接触する箇所以外は全て絶縁されています。電気を通さない特殊な樹脂が絶縁体として使用され、作業者を感電から守ります。

工具の表面は目立ちやすい赤色の被膜になっているのが特徴で、二重の被膜構造になっています。赤色の部位が剥がれたら使用を禁止するようメーカーの説明事項に記載されています。

絶縁工具セットの使用用途

絶縁工具セットは、高電圧の電気が流れるハイブリット車や燃料電池、電気自動車の他、通電する箇所を整備するときに使用します。労働安全衛生法では通電の恐れがある箇所には必ず絶縁保護具を使用することが義務付けられています。

また、絶縁工具セットは電気技師の資格取得者のみ整備することができます。絶縁工具セットの規格であるIEC60900では、絶縁工具を使用する際、絶縁グローブを使い二重の安全性を確保するよう決められています。

絶縁工具セットの選び方

絶縁工具は、IEC60900に準拠したものを選ぶ必要があります。IEC60900は電気電子の分野に関する国際規格です。絶縁物でもある一定以上の電圧が流れると絶縁破壊が起き、電気が流れるため、絶縁されていればどの設備にも適用できるとは限りません。

規格では、5000Vで3分間通電しても破壊や発火が起きないことを規定しており、対応できる電圧には上限があります。
取扱説明書やカタログの仕様欄に記載された耐電圧が、使用する機器に流れる電圧よりも高いかどうか確認することが必要です。絶縁箇所に亀裂があると低い電圧で絶縁破壊が起きるため、絶縁体の損傷が見られる場合は使用を控えます。

通電の他にも不燃性や凍結時の衝撃に関する規定が規格にはあります。規格に適合することで、ある程度の燃焼しにくさや強度を確保した工具であることが証明されています。

規格では工具自体の性能の他に、メーカーの異なる絶縁工具や、絶縁されていない工具の使用を禁止しているため、合ったものを選ぶことが大切です。