絶縁工具セットとは
絶縁工具セットとは絶縁工具がセットになったものです。
工具が絶縁体で覆われているのが特徴で、ドライバーやラチェットなど相手部品と接触する箇所以外は全て絶縁されています。電気を通さない特殊な樹脂が絶縁体として使用され、作業者を感電から守ります。
工具の表面は目立ちやすい赤色の被膜になっているのが特徴で、二重の被膜構造になっています。赤色の部位が剥がれたら使用を禁止するようメーカーの説明事項に記載されています。
絶縁工具セットの使用用途
絶縁工具セットは、高電圧の電気が流れるハイブリット車や燃料電池、電気自動車の他、通電する箇所を整備するときに使用します。労働安全衛生法では通電の恐れがある箇所には必ず絶縁保護具を使用することが義務付けられています。
また、絶縁工具セットは電気技師の資格取得者のみ整備することができます。絶縁工具セットの規格であるIEC60900では、絶縁工具を使用する際、絶縁グローブを使い二重の安全性を確保するよう決められています。
絶縁工具セットの選び方
絶縁工具は、IEC60900に準拠したものを選ぶ必要があります。IEC60900は電気電子の分野に関する国際規格です。絶縁物でもある一定以上の電圧が流れると絶縁破壊が起き、電気が流れるため、絶縁されていればどの設備にも適用できるとは限りません。
規格では、5000Vで3分間通電しても破壊や発火が起きないことを規定しており、対応できる電圧には上限があります。
取扱説明書やカタログの仕様欄に記載された耐電圧が、使用する機器に流れる電圧よりも高いかどうか確認することが必要です。絶縁箇所に亀裂があると低い電圧で絶縁破壊が起きるため、絶縁体の損傷が見られる場合は使用を控えます。
通電の他にも不燃性や凍結時の衝撃に関する規定が規格にはあります。規格に適合することで、ある程度の燃焼しにくさや強度を確保した工具であることが証明されています。
規格では工具自体の性能の他に、メーカーの異なる絶縁工具や、絶縁されていない工具の使用を禁止しているため、合ったものを選ぶことが大切です。