丸ペンチとは
丸ペンチ (英: round-nose plier) とは、線材を曲げるのに適した工具です。
先端部が丸く細いため、通常のペンチとは異なる用途で使われます。先細長ペンチもあり、細かい作業に適しています。ラジオペンチ (英: needle-nose plier) によく似ていますが、丸ペンチには刃が付いていないため、切断機能がないラジオペンチです。電気関係の作業では丸ペンチがよく使われるため、柄の部分にビニールカバーを付けたタイプも多いです。
丸ペンチの使用用途
丸ペンチは一般的なペンチとは異なり先端部分が円錐状になっていて、ワイヤーやピンなどを曲げる他、コイルなどを巻き付けるなど細かい作業に適しています。主にテレビやラジオの配線の組み立てや修理などに使われ、銅線や鉄線などの曲げ加工にも使用可能です。
アクセサリー作りなどハンドメイドの際にもワイヤーを曲げるためによく使われ、ハンドメイド用の丸ペンチも多数販売されています。長時間使用しても疲れにくいように配慮されたタイプも多いです。
丸ペンチの原理
ペンチは刃先の平らな部分を使って、銅線や針金を曲げる、挟む、切る、ねじる、引っ張るなどの作業を行う工具です。先端は自由に開閉でき、先端同士が噛み合う構造になっています。丸ペンチは他のペンチと比べて小さく先が細いです。似ている道具にヤットコやラジオペンチなどがあります。
普通のものとは異なり先が細く小型なため、強い力が必要な作業には使用できません。先端に線材を挟んで細工を行う際には、力を入れ過ぎないように気をつける必要があります。
丸ペンチの種類
先端の形状には主にロングタイプ、ショートタイプ、先細タイプの3種類があります。
1. ロングタイプ
ロングタイプは奥まで差し込む場合に役立ちます。コイル巻きなどにも使われます。
2. ショートタイプ
ショートタイプは力を加えてもよじれにくいです。ワイヤーなどの線材を急激に曲げる場合などに適しています。
3. 先細タイプ
先細タイプは根元から先端に向かって細くなっています。細かい作業に適しており、アクセサリー加工などで細い線材を曲げる際に使用されます。
丸ペンチの選び方
選択のポイントは以下の通りです。使用用途に合わせて適切なサイズや素材を選ぶことが重要です。
1. サイズ
手の大きさに合ったサイズを選ぶと長時間使用しても疲れにくいです。115〜125mmのコンパクトなものが最も選ばれます。
2. 素材
普通のタイプと同様に素材には炭素工具鋼SK7や機械構造用炭素鋼S55Cなどが使われます。錆びにくく耐久性に優れているのはステンレスです。硬度を重視する場合にはクロムバナジウム入り70カーボン鋼の丸ペンチがおすすめです。
丸ペンチのその他情報
1. ヤットコとの違い
ヤットコはやっとこばさみとも呼ばれ、ハンドメイドに使われることが多い道具です。取っ手側が長く、てこの原理によって人の力よりも強い力で線材を曲げたり、Cカンをつぶす際に使われます。丸ペンチに似た形状の先端を持つタイプや2本の先端の形状が異なるものもあります。
ペンチは内側がギザギザになっているタイプが多いのに対して、ヤットコはフラットです。ペンチは根元を使って切断できますが、ヤットコは切断できません。
2. ラジオペンチとの違い
ラジオペンチは昭和のラジオ全盛期に登場した工具で、先端が細く滑り止め加工が施されています。ニッパー としても使える場合が多く、線材を曲げたり引っ張ったり切断できます。
ラジオペンチでも繊細な作業が可能ですが、丸ペンチの先端の刃部には滑り止めの溝がないため、誤って細かいパーツを傷つけることがありません。ただし丸ペンチのつかむ力は強くないため、力を入れる作業にはラジオペンチが適しています。