マシンリーマ

マシンリーマとは

マシンリーマとは、穴仕上げ加工に使用される工作機械のリーマの1種です。

手仕上げに用いる「ハンドリーマ」とは異なり、マシンリーマは機械に取り付けて使用します。柄の部分 (シャンク) は、機械に刃物を固定する道具 (チャック) に取り付けられるように、ストレート形やテーパー形に設計されている点が特徴です。

刃物の形状は、直刃で構成されています。刃部では、刃先を用いて穴を切削する作業が行われます。また、刃の後ろにある「バニシング部」は、表面の凹凸を押しつぶしながら滑らかに仕上げる役割を担っているため、精密な穴仕上げ加工が可能です。マシンリーマは、その高い効率と正確さから、工業分野で広く利用されています。

マシンリーマの使用用途

マシンリーマは、高い精度の穴仕上げ加工に適した工具として、さまざまな用途で使用されています。リーマの基本的な役割は、ドリルで穴あけした後、穴の精度を高める仕上げ作業を行うことです。

マシンリーマを用いることで、ドリルやエンドミルでは得られない高い真円度と面粗さが実現可能です。また、規格が厳密な内径寸法も出すこともできます。そのため、金型の位置決めピンを挿入する穴や、エンジン部品のシャフトなどの摺動部品の加工、そしてノズルのような噴射口の加工に適しています。

リーマはドリルの下穴に従って加工するため、適切な下穴径の選択が重要です。適切な下穴径を選ぶことにより、マシンリーマを効果的に活用し、高精度な穴仕上げ加工を実現することが可能です。マシンリーマは、その特性を活かし、工業分野で幅広く利用されています。

マシンリーマの原理

マシンリーマは、高い穴精度を実現するための原理が備わっています。刃先で穴を加工しながら、バニシング部で穴を整える仕組みにより、精密な穴仕上げ加工が可能です。ただし、リーマ単体では穴あけをすることはできず、下穴が小さいと切りくずが刃物に詰まって加工が不可能になります。

適切な下穴寸法を選ぶことが重要です。リーマ仕上げギリギリの寸法で下穴をあけると、ドリル加工時にできたむしれや傷が消えず、面粗さが良くないままになってしまいます。また、楕円状の穴の修正も難しくなります。通常、下穴加工は仕上げ寸法の0.2〜1.0mmほど小さく加工することが一般的です。

機械で加工するリーマとして、「ブローチリーマ」が挙げられます。マシンリーマと同じ用途で、使い方も変わりませんが、ブローチリーマは直刃ではなく、ねじれた刃を持つ形状が特徴です。切りくずが前方に放出されるため、貫通穴の仕上げに適しています。

また、ねじれ形状により切りくずが詰まりにくく、良好な面粗度で加工できますが、やや高価であることがデメリットです。マシンリーマとブローチリーマは、それぞれの特徴を活かして適切な用途で使い分けることが重要です。

マシンリーマの種類

マシンリーマは、さまざまな工作機械において高精度な穴仕上げ加工を行うために使用される工具です。用途に応じてストレートリーマ、テーパーリーマ、ブローチリーマを使い分ける必要があります。

1. ストレートリーマ

ストレートリーマは、シャンク部分がストレート形状になっているマシンリーマです。一般的な穴仕上げ加工に広く使われており、取り付けや取り外しが容易であることが特徴です。刃先は直刃で、刃数が多いことから、穴の面粗さが良くなります。

2. テーパーリーマ

テーパーリーマは、シャンク部分がテーパー形状になっているマシンリーマです。テーパー穴を仕上げる際に使用されます。テーパー穴は、部品の位置決めや固定に使われることが多く、精度が求められる場合が多いため、テーパーリーマが適しています。

3. ブローチリーマ

ブローチリーマは、刃がねじれた形状を持つマシンリーマです。切りくずが前方に放出されるため、貫通穴の仕上げに適しています。また、ねじれ形状により切りくずが詰まりにくく、良好な面粗度で加工できます。ただし、高価であることがデメリットです。

マグネットリフター

マグネットリフターとはマグネットリフター

マグネットリフターとは、金属製の製品や材料、スクラップなどを吊り上げ、搬送するために使われる強力な電磁石です。

永磁タイプや電磁タイプ、バッテリータイプなどがあり、用途に合わせて様々なタイプを選択できますので、鉄を取り扱う各工場や製鉄所をはじめ、ショベルカーに取り付けたり、水中でも使えるタイプもあるため、リサイクル工場において欠かすことの出来ない搬送機器です。

略して「リフマ」や「リフマグ」と呼ばれることも多いです。

マグネットリフターの使用用途

製鉄所においては、主に鋼板、プレス製品の吊り上げ搬送、リサイクル工場においては金属スクラップや、工作機械から排出された切りくずの吊り上げ搬送に使われています。

マグネットの種類により、吊り上げ能力(何kgまで吊れるか)が異なり、吊り上げることが出来るサイズや材質が大幅に変わります。

マグネットや材料にゴミや粉塵が付いていても吸着力は変わりますので、安全に使用するには、用途に合ったマグネットを選定する必要があります。

マグネットリフターの原理

マグネットリフターには様々な種類があり、主に電源不要な永磁タイプ、磁力を変更できる電磁タイプ、脱着の時のみ電磁力を使う永電磁タイプ、コードレスを可能にしたバッテリータイプの4種類があります。

永磁タイプは、小型ながらも高い磁力を持ち、電源不要なため吊り上げ途中に停電しても落ちないので、安全です。しかし、手動で磁力のON/OFFを切り替えるため、遠隔での操作ができません。

電磁タイプは、磁力を変更することができますので、決められた鉄板の枚数分だけ搬送することができます。また、遠隔での磁力切り替えができますので、離れた場所でも操作できます。デメリットは、消費電力が大きい、停電時に落下する恐れがあることです。

2つの特性を組み合わせた永電磁タイプは、脱着のみ通電するので、吸い付けた後は永磁石で固定されます。なので、吊り上げた後に停電したとしても、落下の恐れはありませんし、消費電力も抑えることができます。

バッテリータイプは、ワイヤレスなので機動性に優れ、断線の心配がないことが挙げられます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0053.html

ボタンダイ

ボタンダイとは

ボタンダイ (英: button die) とは、金型の下型ダイプレートに入れ子として使う部品です。

ボタンダイはボタンダイス、ねじ切り調整丸ダイス、丸割駒、調整丸ダイスとも呼ばれます。通常は、下型ダイプレートを使用し、メンテナンスでプレートの表面を研磨可能です。そのためプレートの厚みが薄くなり、下型ダイプレートの取り外しなどの手間がかかります。しかし、ボタンダイは入れ子式のため、ボタンダイのみを取り外し可能です。研磨や交換が可能なため、長期的に使えます。

ボタンダイの使用用途

ボタンダイは焼き入れしないダイプレートに、入れ子として組み込んで用います。金型を容易に製作したり、金型をメンテナンスしたり、長期的に使えます。ハサミで刃に当たる部分であり、ボタンダイのみでは機能せず、刃の相方となるパンチも必要です。ボタンダイが下側の刃で、パンチが上側の刃となって穴加工ができます。

穴加工を繰り返すと刃が摩耗するため、研磨が必要です。下型ダイからボタンダイを取り外して研磨でき、下型ダイにはめ込むと再度使用できます。

ボタンダイの原理

ボタンダイは刃にあたる部分であり、摩耗対策として焼き入れが必要です。ただし下型ダイは、焼き入れをしなくても問題ありません。

パンチが入ることで加工可能です。加工の際に穴詰まり対策として、切断した屑が下に落ちるように貫通させる必要があります。穴詰まり対策を行わないと、パンチが折れ製品を傷つける可能性があります。また、加工した残り屑がボタンダイの表面から飛び出すこともあり、その状態で加工すると製品に打痕が残るため注意が必要です。

ボタンダイの構造

ボタンダイの穴は逃がし部とランド部からなり、断面には3種類あります。材料の通過を考えて、ランド部がテーパーを有するボタンダイもあります。ただし再研磨の際に、穴が徐々に大きくなることが欠点です。

再研磨で必要となる箇所をストレートにして、再研磨で穴の寸法が変わらないようにしたボタンダイもあります。その一方で、ランド部の下部を大きく逃がさずに、ストレートのランド部を下部のテーパーで逃がしたボタンダイは、アンギュラーボタンダイ (英: Angular Button Dies) と呼ばれています。かす詰まりを考慮し、小径穴の抜きに使用しやすいです。

ボタンダイの種類

ストレートなタイプのボタンダイは、軽くプレートに圧入して使います。組込導入部が部品に付いており、組み込みは容易です。標準的なボタンダイはつば付きです。ボタンダイの材質には、粉末ハイス、超硬合金、SKD11、SKH51などが使用されています。

ボタンダイの刃先形状にも複数の種類があります。穴に方向性があるタイプには、回り止めが必要です。寸法と回り止めの作り方は、細かく設定できます。断面も変更可能で、加工する材質や板厚に合わせます。

つばがないボタンダイでは、裏に研磨分のスペーサを敷いて対応可能です。それに対して、つば付きのボタンダイでは、スペーサをつば上に入れる必要があります。再研磨でスペーサは増加しますが、数が多くなり過ぎないように、スペーサの厚さを変えます。

ボタンダイの選び方

ボタンダイの金型は切れ刃の痛みとともに、再研磨によって切れ刃を再生可能です。金型の再研磨の方法は、プレート全体の研磨と入れ子部品のみの研摩から選択します。

プレート全体の研磨では、プレートが薄くなりますが、入れ子部品も同じように変化するため問題ありません。その一方で、入れ子のみの研摩では、研磨分の調整が必要です。適切な調整ができないと、凸凹がプレート面に生じ、品質が悪くなります。

L寸法が穴径に対して長いと、詰まりやすいです。小径穴の場合には、短い方が適しています。加工によってプレートが厚くなって、穴径に対してL寸法が長くなる場合もあります。バランスの悪いときには、ボタンダイの後部にカラーを入れて、長さを調節可能です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr04/c0128.html

インチねじ

インチねじとは

インチねじ

インチねじとは、ねじの基本となる寸法がインチ単位で規格化されたねじのことです。

日本で広く普及しているねじはメートルねじで、基本となる寸法はメートル単位で規格化されています。インチねじはアメリカ、イギリス、カナダで広く使われています。

インチねじの使用用途

インチねじは主に以下の用途で使われています。

  • 土木建築: 電気、水道、空調機器、配管
  • PC関連: ハードディスク、筐体ケース
  • 精密機器: カメラ
  • 音楽機器: ドラム、スピーカー

その他、航空機や輸入家具にも使用されています。

インチねじの原理

インチねじの原理は、通常のねじの原理と同じです。ねじの斜面を使って重たいものを持ち上げることによって、ねじ本体を引っ張り、大きな締結力つまり軸力を発生させます。ねじを締め付けても弛まないのは、ねじの斜面に摩擦力があるためです。重力の斜面成分の分力よりも摩擦力が大きいことによって、弛まずに締結力が保持されます。

インチねじの種類

インチねじは、「ユニファイねじ」と「ウィットねじ」に大別されます。

1. ユニファイねじ

ユニファイねじは、アメリカのANSI (アメリカ国家規格協会) によって定められた規格です。ユニファイねじにはさらに2種類あります。「ユニファイ並目ねじ」と「ユニファイ細目ねじ」です。細目ねじは並目ねじよりも、ねじ山の間隔 (ねじピッチ) を小さくしたねじです。ピッチが細かいほうが緩みにくい性質がありますが、締結時に多く回さなければならないので、作業性は低下します。並目と細目の2種類があるのは、メートルねじでも同じです。

2. ウィットねじ

ユニファイねじ以外のインチねじとして、ウィットねじがあります。ウィットねじは世界で初めて規格化されたねじとして知られています。メートルねじやユニファイねじのねじ山角度が60°であるのに対して、ウィットねじは55°で定められています。日本では1968年にウィットねじを規格化したJISが廃止されましたが、一部の業界ではまだ使用されています。 

インチねじのその他情報

1. 取扱上の注意

インチねじでも取扱上で注意すべき点はメートルねじと変わりません。ただし、インチねじのねじ穴に、メートルねじを使ってしまうなどという誤使用を避けるように気を付ける必要があります。ねじだけを見ても、メートルねじなのかインチねじなのかを見分けるのは困難です。

ノギスなどを用いてねじの外径やピッチを測る必要があります。規格がわからないねじ穴にねじを締め付ける際に異変を感じたら、無理に作業せずねじのサイズを測ることを推奨します。

2. インチねじの表記

インチねじであるユニファイねじは、ねじの太さ (呼び) や長さを、1インチを8等分を基準にした分数で表記します。この分数について日本では、以下の例のように呼ばれています。

  • 1/8: いちぶ (一分)
  • 5/32: さんにのご
  • 3/16: いちぶごりん (一分五厘)
  • 1/4: にぶ (二分)

また、並目ねじは略号UNC、細目ねじは略号UNFが付けられています。インチねじの表記はこれらの分数や規格を用いて、①ねじの呼び (太さ) 、②ねじの山の数、③規格、 ④長さの順に記します。例としては以下のようになります。

1/4-25UNCx5/8

もう一つのウィットねじはWをつけて表記します。

参考文献
https://www.onoue1950.co.jp/nejichishiki/kikaku/3191/
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/inch/inch_screw.html
https://www.rakuten.ne.jp/gold/nejiya/chiebukuro/info_inchikikaku.html
https://www.tsurugacorp.co.jp/special/inchkoneji.html

モーノポンプ

モーノポンプとはモーノポンプ

モーノポンプとは、容積形ポンプの中の回転式ポンプに分類されるポンプです。

さまざまな液体を傷めずに移送できる点が最大の特徴です。モーノポンプを使用することによって、無脈動、定量移送も実現できます。

モーノポンプの使用用途

モーノポンプは低粘度から超高粘度の液体まで移送することができるため、化学工業から食品工業まで幅広く使用されています。また、モーノポンプは固形物が入った液体や固体の二相流体、気相も含む混相流体までも移送することが可能な唯一のポンプです。具体的な使用用途は、以下の通りです。

1. 単相流体

各種薬品、溶融樹脂、樹脂溶液、接着剤など

2. 二相流体

各種スラリー、食品類、塗料、ホイップクリームなど

3. 混相流体

脱水ケーキ、海底原油、工事現場の地盤改良をする際のグラウト (注入材) の輸送、泡を含む液状物など

モーノポンプの原理

モーノポンプのは、雄ねじに相当する金属製のローターと、雌ねじに相当する弾性材質製のステーターから構成されています。ローターはねじのようにねじりまがった構造となっており、これがステーターの中で回転することにより、定量で液体などを送液することが可能です。

ローターをステーターに装着すると、両者の間の接線によって密閉されたらせん状の空間ができます。ローターを回転させるとステーター内を回転しながら往復運動し、空間容積に充満された液体はピストン運動により吸込側から吐出側に移送されます。

吐出量は回転数により変化するので、回転数を変更するだけで簡単に吐出量を変更することが可能です。また、ローターとステーターの長さを変えることで吐出圧力が変化するので、高圧で吐出する必要がある場合は、長さによる制約がなければ、長いローター、ステーターを使用することで実現できます。

モーノポンプの大きな欠点は、ローターとステーターが常に接しており摩耗しやすいことです。そのため、ドライ運転を実施してしまうと簡単にローターが損傷してしまうことがあります。特にローターが損傷して送液する液体などと一緒に排出されてしまうと、食品業界などでは異物混入で大きな問題につながってしまう可能性が高いです。

モーノポンプの選び方

モーノポンプを選定する際は、使用する用途に応じて選択する必要があります。確認するべきポイントは、以下の通りです。

1. 吐出量

吐出量はローター形状、ローター径により変わります。またローター回転数によっても変えることができますが、常に高回転で運転すると摩耗による劣化や、液体の粘度による制約を受けるため、使用吐出量に応じた機種の選定が必要です。

2. 液性状

吐出量に影響するローター回転数に許容される値は、移送する液体の性状 (粘度、摩耗性) に大きく関係します。粘度は高くなるほど、許容回転速度が小さくなります。液体しか含まない単相流体は摩耗性が低いため高回転で使用できますが、硬度の高い固体粒子などを含む二相、混相流体の場合は使用できる回転数が小さくなります。

3. 液体種類

ステーターの部分は弾性材料が使用されますが、これらは各種ゴムおよび樹脂製の材料が使われています。送液する流体に含まれる物質に対する耐性に応じて選定する必要があります。選択を間違えるとステーターが破損、溶解するといった致命的な不具合が発生するため重要な項目です。

4. 吐出圧力

吐出圧力はローター・ステーターの長さ、すなわち段数 (らせんの数) に比例します。高圧で吐出したい場合は、装置の長さを長くする必要があるため、スペース面での制約を受けやすくなります。

モーノポンプのその他情報

モーノポンプのメンテナンス

モーノポンプを稼働していると、ローターとステーターの摩耗による交換が必要です。寿命は使用環境や流体など各機器の仕様によって左右されます。多くのモーノポンプではローターよりもステーターのほうが柔らかい材質を使用しているため、ステーター側の交換が主となります。

軸封部にはメカニカルシールが採用されることが多く、メカニカルシールもメンテナンス対象となります。メカニカルシールに不具合があると、使用流体が外側へ漏れ出すことになるため、流量減少や危険物の漏洩などにつながります。整備周期をあらかじめ決めておき、定期交換をすることが大切です。

各可動部にはゴム製のパッキンが取り付けられています。パッキン類は摩耗しますのでこちらも周期的な整備対象となります。使用流体が固着性を持つものであったり、スラリーなどであったりすると、可動部に潜り込み円滑な動きを阻害する可能性も考えられます。可動部は可能な限り水洗し、きれいな状態で使用することが重要です。

参考文献
http://www.mohno-pump.co.jp/about/construction.html
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/b1a.html?time=1907&site=01&code=01&article=01
http://www.mitukura.net/japan/value/motor/1238.html

リリーフ弁

リリーフ弁とは

リリーフ弁

リリーフ弁は配管やタンク内部の圧力が異常に高まった際に、自動で開いて圧力を放出する弁となります。

ボイラーや圧縮機などは気体を圧縮するなどで高圧の気体を生成するなどしますが、これらは非常に大きな危険を伴います。

もし、タンクの設計圧力以上の圧力が発生してタンクが破裂すると大きな事故につながります。このようなところにリリーフ弁は使用され、大きな事故が発生する前に圧力を放出します。

その他にも、容積式ポンプの出口などにも取り付けられます。

リリーフ弁の使用用途

リリーフ弁は大きな圧力を保持するタンクに備え付けられます。特に第一種圧力容器や第二種圧力容器と呼ばれる圧力容器には、法律で必ず設置するように決められています。

このような圧力容器では万が一設計圧力以上に加圧されてタンクが破裂すると大きな事故につながります。

また、それ以外でも容積式ポンプの出口にも使用されます。

容積式ポンプではその構造上出口側が閉塞していると圧力が上昇します。そのような場合ポンプの故障を避けるためにもリリーフ弁が取り付けられます。

リリーフ弁の原理

リリーフ弁自体の構造は非常に単純でバルブの開閉をスプリングで制御しているだけとなります。そのスプリングの強さで圧力を決定することができます。

しかし、大体のリリーフ弁では減圧弁のようにセットハンドルを回転させることで、リリーフ弁が開くときの圧力を調整することが可能です。

しかし、注意点としてはリリーフ弁はほとんどあくことがありません。ですが万が一の時に明かないと危険な状態になるので毎年既定の圧力で開するかをチェックする必要があります。また、一度開いたリリーフ弁も正常に閉まらなかったり、開する圧力が若干低くなったりする可能性があるので、一度作動したリリーフ弁は同様に検査する必要があります。

そのため、リリーフ弁を検査時には当該設備が使えなくなりますが、それが嫌だからと言ってリリーフ弁1次側に手動弁などを入れるのは絶対にやめましょう。開けるのを忘れてリリーフ弁を取り付けると、リリーフ弁の意味がなくなり大きな事故につながります。

実際に過去、手動弁を閉めていたことが原因で大きな事故が発生しています。

参考文献
https://www.tacmina.co.jp/library/glossary/relief_valve/
https://www.sankyo-s-s.co.jp/technology/006.html

小型ACモーター

小型ACモータとは

小型ACモータとは、交流電源 (AC電源) を使用して動作する小型の電動モーターのことです。

ACモーターは電気エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換するデバイスであり、多くの家電製品や産業用機械などで使用されています。小型ACモーターは非常にコンパクトなサイズです。したがって、限られたスペースや小型機器に組み込むことが容易です。

さらに、適切なメンテナンスが行われれば、小型ACモーターは長期間にわたって安定して動作し続けることができます。また、一般的に比較的低いコストで入手可能です。そのため、製品の費用を抑えることができます。近年の小型ACモーターは効率も高く、エネルギー消費も最小限に抑えることが可能です。

ただし、小型ACモーターは一般的に低出力であるため、過負荷がかかると故障する可能性があります。適切な保護回路を備えるか、過負荷を避ける設計を行う必要があります。

小型ACモータの使用用途

小型ACモーターは、そのコンパクトなサイズと簡単な制御性からさまざまな用途で使用されます。以下は小型ACモーターの主な使用用途の一例です。

1. 家電製品

さまざまな家電製品に対して、小型ACモーターが使用されます。小型冷蔵庫の圧縮機・ファンや小型扇風機などがその一例です。

また、電動歯ブラシはブラシの振動によって歯の清掃を助けるために小型ACモーターを使用します。電動シェーバーは刃の振動や回転によって剃刀を駆動するため用途の1つです。

2. 電動工具

電動ドリルは、モーターを回転させることによってドリルビットを駆動する工具です。小型ACモーターは高速で回転するため、電動ドリルの効率的な穴あけのために使用されます。

また、電動のこぎりは小型ACモーターを搭載し、ブレードを振動させることで素早く切断することができる工具です。サンダーに小型ACモーターを用いることで、研磨紙を振動させて表面を研磨することができます。

3. OA機器

プリンターにおいて、小型ACモーターは用紙の給紙やプリントヘッドの移動に使用されることも多いです。これにより、プリンターの正確な動作をサポートします。また、スキャナーのスキャンヘッドの動きや用紙の送り出しに利用されます。

小型ACモータの原理

小型ACモーターは、電気エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換するデバイスです。一般的な小型ACモーターの原理は、電磁誘導と相互作用する磁場によって成り立っています。誘導電動機と呼ばれる種類のモーターが使用されることが多く、主要な構成要素は回転子と固定子です。

1. 回転子

回転子は、主に導体で構成されるモーターの回転部分です。通常は回転子に巻線が巻かれていますが、小型ACモーターではアルミニウムや銅などの導電性素材で構成された短絡リングの使用が一般的です。この短絡リングにより、回転子に電流が誘導されます。

2. 固定子

固定子は、回転子の周りに巻かれたコイルで構成されるモーターの静止部分です。これらのコイルは交流電源によって供給される電流により、磁場を生成します。

小型ACモーターの選び方

小型ACモーターを選ぶ際には、以下の要素を考慮します。これらの要素を検討して、具体的な用途に適したモーターを選ぶことが大切です。

1. 電源仕様

モーターの動作に必要な電源仕様を確認します。主な要素として、電圧、周波数、相数があります。使用する電源に適したモーターを選ぶことが必要です。

2. 出力

モーターの出力は、モーターが提供する機械的な動力の強さを示します。使用する機器や装置に合った適切な出力を選びます。単位はワット(W)を使用される場合が一般的です。

3. 回転数

モーターの回転数は、モーターが1分間に何回転するかを示す指標です。使用する応用用途に合わせて適切な回転数を選びます。

4. サイズと重量

小型ACモーターのサイズと重量は、モーターの用途や設置スペース、動作要件に合わせて重要な要素となります。一般的にモーターのサイズが小さいほど、設置場所や機器内部への組み込みが容易です。

モーターを設置するスペースが限られている場合、コンパクトなサイズのモーターを選ぶことが重要です。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/ac_kiso_1_4/
https://www.orientalmotor.co.jp/om/knowledge/uroko_ac/index.html
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/ac_motor01/
https://www.orientalmotor.co.jp/products/speed_control/overview_2/

インボリュートスプライン

インボリュートスプラインとは

インボリュートスプラインとは、インボリュート曲線の歯形を有する歯車を使用した動力伝達部品 (機械要素の1つ) のことです。

歯車は、お互いの歯の山と谷が噛み合って動力を伝達します。この歯車の歯形には、三角形や台形を始めいくつかの形があります。その中でインボリュート曲線は、円筒形の筒に巻きつけられた糸を筒を回転させながら弛まないように引き出していった際に、その糸が描く曲線と定義されています。

インボリュート曲線の歯形を持った歯車の特性として、大きなトルクをガタツキや振動無しに伝えることができる、正確な位置決めがしやすい、組付けや取り外しがしやすいといったメリットが挙げられます。

インボリュートスプラインの使用用途

インボリュートスプラインは、自動車や電動工具、産業用ロボットなどの様々な機械で使用されています。

1. 自動車

自動車のトランスミッションやディファレンシャルギアは、それぞれの構成要素として複数のギアが複雑に組み合わされています。これらのギアの歯形にもインボリュート曲線が採用されています。自動車の動力の伝達には大きな力がかかり、またトランスミッションでは変速の度にギアの切り離しとかみ合わせが起こります。このような動作にはインボリュートスプラインが適しています。

2. 電動工具

電動工具では、モーターに直結したシャフトと、チャックを取り付ける部分にインボリュートスプラインが採用されています。シャフト側の外歯車とチャック側の内歯車の歯形をインボリュート曲線にすることで、双方の連結を強固にし、チャックをガタツキなく安定して回転させることができます。

3. 産業用ロボット

産業用ロボットは、電気信号を受けてアームを瞬時に様々な方向に動作させる必要があります。この動作には複数のギアが複雑に噛み合い、スムースで正確な回転力の伝達と高い位置決め精度が要求されます。そのため産業用ロボットでは、アームの関節部分にインボリュートスプラインが採用されています。

インボリュートスプラインの原理

特徴的な歯形の形状は、インボリュート曲線と言われる特殊な曲線を描くことで形成されます。

インボリュート曲線の描き方としては、まず円筒の外周に糸を巻き、その糸の先に鉛筆を取り付けます。糸をピンと張った状態からほどいていき、この時の軌跡を鉛筆で描いていきます。これを繰り返すことでできた曲線がインボリュート曲線となります。

できた2つの歯形を嚙み合わせて回転運動をさせると、両歯形の接点が同一曲線上をスムーズに移動していくのが分かります。インボリュート曲線は歯形の曲線に適した曲線といえ、トルク伝達時に自動調心されることや、歯元が太く伝達効率が高いことなどが特徴です。製造や精度確保も容易にできることから、従来の角形スプラインよりも汎用性の高いスプラインとなっています。

インボリュートスプラインの選び方

インボリュートスプラインには多種多様なものがありそれぞれに特徴があることから、機械に組み込む最適なスプラインを選択するためには、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。 以下の事項を検討した上で、機械の仕様に合わせた形状や大きさのスプラインを選択する必要があります。

1. 動作条件

用途に合った動作条件を検討する必要があります。動作条件には、回転速度、負荷、位置決め精度の把握が重要となります。

高速回転の場合は、歯の強度と振動特性を考慮する必要があります。負荷の把握では、軸方向、半径方向、トルク方向の負荷を正確に把握して、スプラインの強度を設計します。位置決め精度では、機械の位置決め精度の要求に応じた精度のスプラインを選択します。

2. 使用環境と材料

温度、湿度、腐食性環境など、使用環境に合わせた材料と表面処理を選択する必要があります。またスプラインに架かる力の大きさから必要な強度を割り出し、長寿命化を必要とする際にはさらに耐摩耗性も検討します。

参考文献
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/pdf/gear_guide_060817.pdf
https://gijyutsu-keisan.com/mech/engineer/element/spline/spline_1.php

ジェットクーラ

ジェットクーラとは

ジェットクーラとは、圧縮空気を用いて物体を冷却する装置です。

小型の冷却装置であるため、場所を選ばず利用することができます。環境に優しい、壊れにくいといった特徴もあります。他の冷却装置ではフロンなどの冷媒が用いられていますが、冷媒が大気中に放出されると、環境に悪影響を与えることがあります。ジェットクーラは圧縮空気を用いるだけなので、環境に優しい冷却装置となっています。またジェットクーラは、摺動部品がなく非常に単純な構造です。そのため部品故障が少なく、長く用いることができます。

ジェットクーラの使用用途

ジェットクーラは様々な産業分野で冷却用途に用いられています。

1. はんだ付け工程

ジェットクーラが使われる主な場面は、はんだ付けです。はんだ付けとは、スズと鉛の合金 (はんだ) を熱で溶かして固めることで部品同士を接合する方法です。主に電子部品で使われています。

近年では、人体への影響から鉛フリーのはんだが使われるようになりました。しかし鉛フリーでは不均一に固まることがあり、不均一に固まるった場合、クラックが発生するなどし製品不良につながります。均一にはんだを固めるために、ジェットクーラを用いて急冷を行います。ジェットクーラによる急速冷却がはんだの結晶構造を微細化し、均一な凝固を促進します。

2. その他の用途

ジェットクーラは、はんだ付け工程以外にも様々な用途で用いられています。

  • 金属加工:切削加工や研削加工における工具や加工物の冷却
  • プラスチック成形:成形品の冷却時間の短縮、製品の品質向上
  • 食品加工:食品の急速冷却による鮮度維持
  • 電子機器:発熱部品の冷却による性能維持、寿命延長

ジェットクーラの原理

ジェットクーラは、渦の力を利用して冷たい風を生み出しています。まずはコンプレッサを使って、装置内に圧縮空気を送り込みます。空気を圧縮することでエネルギーが蓄えられ、強い力を生み出すことができます。圧縮空気の送り込み、渦の生成、温度による空気の分離を繰り返すことで、定常的に冷却を行うことが可能になります。

1. 渦流の生成

圧縮空気は装置内にある渦流発生器を通ります。発生器では接線方向に空気が放出され、高速回転します。高速回転により渦が発生します。

2. 遠心力による温度変化

渦は回転しているため、遠心力が働きます。遠心力の働きにより圧力と密度が上昇します。ボイルシャルルの法則により、圧力と密度の上昇に伴い温度も増加します。

3. 冷風と熱風の分離

渦は出口に向かって動きます。出口に移動するとき空気が膨張するため、渦の中心部では温度が下がります。中心部から外側に向かって熱が放出されるため、渦の中心と外で温度差ができます。冷たい中心部の空気は出口から放出され、冷却に使われます。温かい外側の空気は逆方向から排出されます。

ジェットクーラの構造

ジェットクーラは大きく分けて、渦流発生部と冷風・熱風分離部の2つの部分で構成されています。

1. 渦流発生部

渦流発生部は、圧縮空気を高速で回転させ渦流を発生させる役割を担います。この部分は、円筒形のケーシングと、その内部に接線方向に設けられた複数のノズルで構成されています。コンプレッサーから供給された圧縮空気はこれらのノズルから勢いよく噴射され、ケーシング内で高速の渦流を形成します。

2. 冷風・熱風分離部

冷風・熱風分離部は、渦流発生部で発生した渦流を温度差に基づいて冷風と熱風に分離する役割を果たします。この部分は、渦流発生部に接続された円錐形のチューブと、その両端に設けられた冷風出口と熱風出口で構成されています。渦流は円錐形のチューブ内を移動する過程で、遠心力によって中心部と外周部に分離されます。中心部は低温の冷風となり冷風出口から、外周部は高温の熱風となり熱風出口から排出されます。

参考文献
https://www.jreco.or.jp/furontaisaku_pdf/materials-1.pdf
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/BN_0025
https://nissin-san.co.jp/publics/index/74/
http://www.kogi.co.jp/bumon_kikai_13.html

はすば歯車

はすば歯車とは

はすば歯車

はすば歯車とは、軸に対して歯筋がねじれている形をした歯車で、ヘリカルギアと呼ばれています。軸に対して平行な歯筋をしている平歯車よりも歯車同士の噛み合い率が高いため(歯車同士が噛み合っている面積が広い)強度と静音性に優れています。

各伝達装置や減速機、静音性や高い伝達効率を求められる自動車のトランスミッションなどに幅広く採用されている歯車です。らせん状の角度は種類により様々で、噛み合う歯車同士の角度が合っている必要があります。

はすば歯車の使用用途

振動が少なく、滑らかに噛み合うので、静粛性と乗り心地を良くし、エンジンからの出力を効率良く動力に変えることができる特性から、一般的な乗用車のトランスミッションには、ほとんどがはすば歯車を採用しています。

また、モーターから得た動力源を一定の速度に保つ「減速機」、速度を自在に変更することができる「変速機」などでも採用されています。この2つは、モーターで動かすものには必ずと言って良いほど付いている機械なので、はすば歯車の存在は大きな役割を果たしています。

はすば歯車の原理

平歯車のように断続的に噛み合うのに対してはすば歯車は連続して噛み合うので、高速回転時においても騒音を発生させにくく、強度も高いメリットがある一方、シンプルな平歯車よりも複雑な作りをしているため、製造コストがかかってしまいます。

また、はすば歯車ならではの欠点として、構造上歯車の軸方向に推力が発生してしまいます。(スラスト荷重)

スラスト荷重は、動力が大きくなるほど強くなりますので、これを受け止めるための軸受けが別途必要になります。軸受けがないと、摩耗や回転不良の原因になってしまいます。

歯車とは別にスラスト軸受けが必要になることから、軸受けを設けるためのスペースが必要になります。

応用として、はすば歯車の欠点であるスラスト荷重を抑えるために右ねじれと左ねじれの歯車を組み合わせた「やまば歯車」があります。(ダブルヘリカルギア)

やまば歯車はスラスト荷重が働く方向を打ち消しあう特性があるため、スラスト荷重が発生しません。

はすば歯車のその他情報

はすば歯車の設計

歯直角方式のはすば歯車では、歯の正面で見たかみ合いが平歯車と同じになるため、平歯車と同じ計算式を使用することができます。

計算式はメーカー技術資料に詳しく記載がありますが、歯車の中心間距離など、歯車の取付設計に必要な寸法や、強度計算に必要な値を計算することができます。

気を付けなければならないのが軸方向の力です。はすば歯車は歯が斜めになっているため、歯の接触面で軸方向の力が発生します。ねじれ角が大きいほど力も大きくなり、回転方向とねじれ方向で力の向きが変わります。

そのため、軸受には軸方向の荷重を受けられるものが必要となり、アンギュラベアリングなど軸方向荷重を受けられる軸受を使用します。正転逆転の両方を行う場合には両方向に力が発生するので、組合せベアリングで両方の荷重を受けられるようにします。一般的には片側を軸方向固定とし、もう片側を支持とする方法が多く用いられます。

また、材質も金属や樹脂などがあり、用途にあった材質を選択する必要があります。

はすば歯車のバックラッシ

はすば歯車のバックラッシ量の計算は、JIS規格に規定されている「バックラッシ算出数値表」を使用し、歯厚減少量を求めることで、歯と歯の隙間を算出し、それを角度に変換します。

例えば、JIS5級で、歯直角モジュールを2、歯数を30と60、ねじれ角を30°の歯車では、正面モジュールは2.31、ピッチ円直径が69.3と138.6、となります。これらの条件から歯厚減少量は、小歯車が60~250ミクロン、大歯車が70~300ミクロンとなり、歯の最小隙間は60+70=130ミクロン、最大隙間が250+300=550ミクロンとなります。

使用用途によっては、規定よりも歯の隙間を小さくしたい場合や、隙間の公差範囲を小さくしたい場合があります。この時、またぎ歯厚と呼ばれる値の公差を小さく設定することで、小さくすることが可能ですが、小さくしすぎると潤滑油が不足し、潤滑が不十分になり、歯の摩耗が早くなったり、駆動トルクや騒音が大きくなったりします。特に高速運転では小さくしすぎないように注意が必要です。大きすぎる場合には停止時のガタツキ、負荷変動時の振動などが発生します。

参考文献
https://nagatatekko.co.jp/topics-news/faq/440
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/basic_guide/KHK365.html