インボリュートスプラインとは
インボリュートスプラインとは、インボリュート曲線を用いて歯形が形成されている要素のことを指します。一般的なキー溝を利用したものよりも精度が良く、より大きなトルク伝達が可能です。
スプラインとは、外歯・内歯が切られた構造物同士を嚙み合わせることで動力伝達を行う締結要素です。外歯同士を嚙み合わせるギア(平歯車)と根本的な原理は変わりません。
日本では、インボリュートスプラインはJISによって規格化されています。機械装置への組付けを検討する際は、必ずJIS規格に準じたものかどうかを確認する必要があります。
インボリュートスプラインの使用用途
ここでは、インボリュートスプラインの使用用途について説明していきます。
角形スプラインやセレーションなどといった他のスプラインと比較すると、製造方法が容易で精度が良いことから、数多くの機械装置に利用されています。
例えば、自動車やバイクなどの変速装置において、歯車を軸に沿ってスライドし、変速させる用途などに利用されています。
一方で、インボリュートスプラインを削りだしで加工するには、一定の高さの歯たけが必要になるため、細軸や薄肉の軸には適していません。このような場合には、セレーションタイプを使用することで、安定した回転を実現させることが出来るようになります。
インボリュートスプラインの原理
ここでは、インボリュートスプラインの原理について説明していきます。
特徴的な歯形の形状は、「インボリュート曲線」と言われる特殊な曲線を描くことで形成されます。描き方は次のような手順になります。
円筒の外周に糸を巻き、その糸の先に鉛筆を取り付けます。糸をピンと張った状態からほどいていき、この時の軌跡を鉛筆で描いていきます。これを繰り返すことで出来た曲線が、「インボリュート曲線」となります。
こうして出来た2つの歯形を嚙み合わせて回転運動をさせると、両歯形の接点が同一曲線上をスムーズに移動していくのが分かります。このような特徴から、インボリュート曲線は歯形の曲線に適した曲線といえます。
特徴としては、トルク伝達時に自動調心されることや、歯元が太く伝達効率が高いことなどが挙げられます。製造や精度確保も容易に出来ることから、従来の角形スプラインよりも汎用性の高いスプラインとなっています。
スプラインにはそれぞれに特徴があることから、用途に合わせて適切なもの選定する必要があります。
参考文献
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/pdf/gear_guide_060817.pdf
https://gijyutsu-keisan.com/mech/engineer/element/spline/spline_1.php