ラップ盤

ラップ盤とは

ラップ盤とは、研削盤などで仕上げられた平面をさらに、平行・平滑、そして狙いどおりの寸法に仕上げるための工作機械です。

ラップ盤では工作物に対して、平行に配置された2つのラップと呼ばれる上定盤と下定盤で挟み込んで圧力をかけ、互いにこすり合わせます。この際に研磨液として塗布されるのがラップ液で、ラップ液とは砥粒を含んだ研磨剤に潤滑油をまぜた液体です。

ラップ加工によって工作物表面は、研磨剤の鋭刃により少しずつ削り取り、定盤の平坦度が工作物へ転写されます。なお、ラップ盤には、加工物の下面と上面を同時に加工できる両面ラップ盤と下面だけを加工できる片面ラップ盤の2種類があります。

ラップ盤の使用用途

ラップ盤は、非常に精密な平面、平行度が要求される部品の製造に使用されます。例えば、長さ測定の基準や測定器具の校正作業に用いられるブロックゲージや精密さを求められるベアリング部品の最終仕上げ、半導体ウエハーといった難加工材の表面処理などです。

ラップ盤の原理

ラップ盤は、3面すりあわせの原理を用いています。3面すりあわせの原理は、ニュートン原器とも言われ、平面の基準を作るために用いられます。3面すりあわせの原理とは、3つの異なる平面が一致する条件は平面しかないというものです。

3枚の平面を互いにこすりあわせ、全面が接触するまで削り取ります。3枚の組み合わせを変えて、いずれも全面が接触するまで削り取ります。すべての組み合わせで全面が面であたるとき、すべての面が真の平面となるという原理です。

3面すりあわせの原理によって、工作機のない時代でも正確な平面、球面を作り出すことを可能とし、レンズやプリズムの作製に使用されていました。16世紀~17世紀にガリレオが天体観測に使用した望遠鏡の工学部品であるレンズにも、3面すりあわせの原理が使用されています。レンズには表面の滑らかさ、正確な球面が必要です。

ラップ盤における3枚の平面は下定盤・上定盤・加工物です。上定盤と下定盤が基準の面として仕上がっているので、その間にある加工物が上下を同時に研磨されます。そのため、平滑かつ寸法精度の高い平面に仕上がります。

ラップ盤の構成

ラップ盤は、遊星歯車機構を応用した構造になっています。遊星歯車機構とは、歯車の組み合わせ構造の1つです。中心にサンギア、外側にサンギアと同じ回転中心軸をもつリングギア (またはインターナルギア) 、サンギアとリングギアの間に複数個のピニオンが駆動し、複数のピニオンを支持するための遊星キャリアから構成されます。

サンギア、リングギア、遊星キャリアの3つの要素のうち1つを固定し、2つの要素の一方を駆動すると、残り1つの要素が2つ目の要素に入力した回転とは異なる回転 (回転数、回転方向) をするものです。ラップ盤では、遊星キャリアに取り付けられるピニオンにワークを取り付け、上下からラップという定盤で挟み込みながら遊星歯車機構を回転させることによって、ワークのラップ加工を施します。

ラップ加工中のワークは、ピニオンの自転をしつつ、遊星キャリアの公転運動によって研磨されます。ちょうど地球が自転しながら、太陽の周りを公転する動きと同じです。

ラップ盤の種類

両面ラップ盤は 、駆動する軸の数によって、2way方式、3way方式、4way方式に分かれます。駆動軸には、下定盤、上定盤、サンギヤ、インターナルギヤの4箇所があります。

1. 2way方式

2way方式は下定盤と上定盤を固定し、インターナルギヤとサンギヤが駆動する方式です。セラミックや金属の加工に使われています。

2. 3way方式

3way方式はインターナルギヤを固定する方式と、上定盤を固定した方式があります。セラミック、金属、シリコン、硝子、水晶などの加工に使われています。

3. 4way方式

4way方式は駆動軸すべてが駆動する方式です。4個のモーターを用いることで上下表面のラップ長さを一致させます。セラミック、金属、シリコン、硝子、水晶などの加工に使われています。

参考文献
https://www.kensaku-kenma.com/
https://www.kousakukikai.tech/lappingmachine/
http://www.kensakuban.net/each_kind/rap.html

ラインモニタ

ラインモニタとは

ラインモニタとは、通信ラインに流れるデータをモニタする機器のことです。

シンプルな通信では、装置1と装置2が通信ラインで接続され、装置間でデータが授受されています。通信をするためには仕様を決めて、それに合うデータを授受する必要がありますが、仕様が曖昧で通信ライン上に問題などがあると通信は失敗します。

そのような場合において、装置1と装置2の間に流れるデータをモニタするためにラインモニタを接続します。

ラインモニタの使用用途

ラインモニタは、通信に関係する企業のほとんどが使用しています。通信ラインに流れるデータを確認する際に有用です。

通信トラブルの対処として、デバッガを使用することで的確なブレークポイントへ対処したり、通信状態を確かめるデバッグルーチンを使用したりする方法などが挙げられます。しかし、これらの手段は優秀な技術者と時間を要します。

一方、ラインモニタでは比較的工数をかけずに行えるため、時間短縮にも貢献しています。

ラインモニタの原理

1. 通信信号の変換

ラインモニタが担っている役割は、ロジックアナライザオシロスコープ等により通信ラインを電気的に確かめることで代用できます。それらとは異なり、ラインモニタは電気信号を文字列へ変換する機能があるため、電気信号を確かめるより確実かつ容易にデータをモニタします。

コンピュータ同士の通信のほとんどはシリアル通信を使用しています。コンピュータの理解できるデータ単位 (8bitや16bit単位等) のデータを1bitずつ送信する通信方法がシリアル通信です。コンピュータにとってのシリアル通信は、人にとってのモールス信号に似ています。

モールス信号は、トンツートンツーでアルファベットや言葉を表現します。精通した人同士では、トンツートンツーにより会話が可能です。コンピュータ同士のシリアル通信も電気的な信号をモニタしても、その意味は分かりません。ラインモニタは、その電気信号を文字列に変換してモニタすることを可能にします。

2. 解析結果の表示

ラインモニタはパソコンと接続することでパソコンからのリモート操作を行ったり、ラインモニタから送信される大容量のデータを保存したりすることが可能です。また、通信が行えない際に通信設定自動解析機能が使用できます。

通信ができない理由の1つに、機器間の通信設定が異なっていることがあります。通信解析機能を使用すると、お互いの設定の解析が可能です。解析の結果、複数の設定が該当すると複数表示を行います。

シリアル通信には、多数のプロトコルや種類があり、ラインモニタもそれぞれに対応するために多くの種類が展開されています。

ラインモニタのその他情報

1. シミュレーション機能

ラインモニタの中には、送信シミュレーション機能を持つものもあります。テスト対象機器の通信相手となり、プロトコルに従った送受信テストを行うシミュレーション機能です。開発初期段階で相手機器が容易されていない場合でも、実動作に近い状況でテストできます。

送信内容を予め登録しておき、シミュレーションの実行をもとに登録内容の送信が可能です。そのため、任意の通信速度を実現したり、故意に少しずらした通信速度で送信することでマージン評価を行えたりします。

2. トリガ機能

トリガを設定することで、特定の条件におけるアクションを決めておくことが可能です。条件としては、文字一致やエラーの発生等様々な条件を設定可能で、動作としてはブザーや保存、カウンタ等の動作が設定できます。

トリガー履歴を利用すれば、発生した日時も把握することができる便利な機能です。

3. シリアル通信

ラインモニタが観測する対象であるシリアル通信は、コンピュータと周辺機器を接続する通信方法の1つです。シリアル通信では、0か1の1bitの情報を1本の信号線で1bitずつシリアルに送信します。代表的な規格にRS-232やRS422、シリアルATA等があります。

参考文献
https://www.fukufukudenshi.jp/v2/LineMonitor/

モーターシャフト

モーターシャフトとは

モーターシャフト (英: Motor Shaft) とは、電動モーターにおいて、回転運動を伝えるための軸 (シャフト) のことです。

モーターは電気エネルギーを機械的な回転運動に変換するデバイスであり、その回転運動はモーターシャフトを通じて伝達されます。モーターシャフトは一般的に金属製で作られており、強度と耐久性があります。

これにより、長期間の使用や高負荷下でも安定した回転運動を提供することができます。また、さまざまなタイプや形状に設計することが可能です。

異なるモーターの用途に合わせて適切なシャフトを選択することができます。また、シャフトには歯車やプーリーなどの部品を取り付けられ、伝達比や回転速度を調整することも可能です。

モーターシャフトの使用用途

モーターシャフトは、モーターの部品の一部です。モーターを使用するさまざまな産業・分野で使用され、用途を挙げると枚挙に暇がありません。以下はモーターシャフトの使用用途一例です。

1. 自動車産業

自動車には数多くのモーターが使用されており、それらのモーターにはモーターシャフトが不可欠です。近年は、電気自動車の販売台数も増えてきており、エンジンの代替としてモーターが使用されます。

その他にもステアリングシステムやウインドウレギュレーターなど、自動車のさまざまな機能においてモーターシャフトが使用されます。

2. 産業機械

工場や製造業の現場で使用される装置は駆動源が電動モーターである場合が多く、これらのモーターにモーターシャフトが必ず使用されます。産業機械は生産プロセスを自動化し、生産性や効率を向上させるために利用されます。モーターシャフトは産業機械において重要な役割を果たしています。

モーターが駆動源のポンプやファンには、モーターシャフトが必須です。工場やプラントで使用されるポンプは、液体やガスを移送・圧送するためのものです。また、ファンは建物の換気や空調システム・局所排気などに使用されます。

3. 家電

家庭用電化製品には多くのモーターが内蔵されており、それらのモーターにもモーターシャフトが使用されます。洗濯機のモーターシャフトは、洗濯槽を回転させるためのものです。また、冷蔵庫やエアコンのコンプレッサーにもモーターシャフトが使用されます。

モーターシャフトの原理

モーターシャフトの原理は、モーターからの回転運動を伝えるための軸としての機能に基づいています。まず、モーターは電気エネルギーを機械的な回転運動に変換するデバイスです。

一般的な電気モーターには固定された磁極・またはコイル (固定子) と回転する導体 (回転子) が配置されます。電流がローターのコイルなどに流れると、回転子は磁場と相互作用して回転運動を開始します。

モーターシャフトは、モーターから発生する回転運動を伝えるための軸としての役割です。モーターの回転部分と直接接続され、モーターの回転力を受けて自身も回転します。

一端には歯車やプーリーなどの部品が取り付けられ、これらを通じて回転力が他の機械に伝達します。モーターシャフトの他端には、モーター冷却用ファンやブレーキが接続されることがあります。

モーターシャフトの構造

モーターシャフトの本体は、炭素鋼などを材料にしています。耐食性を持たせたい場合は、ステンレスが使用されることもあります。一般的には円筒形の形状をしており、回転力に耐えるために強固な設計です。

シャフト本体には、キー溝と呼ばれる溝が設けられることがあります。キー溝は直線状の溝であり、部品に対応するキー (薄板状の部品) を挿入することでモーターシャフトと機械を連動させます。

モーターシャフトは回転する部品のため、スムーズな回転運動を実現するためにベアリングが使用されることがあります。ベアリングは軸受けとも呼ばれ、摩擦を低減しつつシャフトの回転を円滑かつ効率的にサポートします。ベアリングはシャフト上に取り付けられ、シャフトが回転する際に摩擦を抑え、負荷を分散させます。

参考文献
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor.html
https://www.ghc.co.jp/feature/

マルチクレーン

マルチクレーンとは

マルチクレーンとは、小型軽量の手押しクレーンです。

狭い場所や他のクレーン設備の無い場所で、荷物の吊り上げと移動に使用されます。マルチクレーンは、普通のクレーンを小型化したようなアーム形状です。

台座と足には車輪がついており、荷物を吊った状態で台車と同様に人力で移動させます。自重は100kgほどの軽いものがあり、アームと足は折りたたみが可能なため、遠方時に運ぶ際にはライトバンでも運搬可能です。

マルチクレーンには、アームの駆動に油圧を使用したものがあります。このタイプは、アームの上下の移動が容易に行えます。

マルチクレーンの使用用途

マルチクレーンは、他のクレーン設備がない場所や狭い空間内での荷物の積み降ろしが必要な場所で使用されます。軽量なので、運搬が容易なのが特徴です。この特性を活かして、田や畑などの農作業現場で農作業機械の積み下ろしに重宝されています。

また、マルチクレーンは他のクレーンと比較して全体にかなり小型です。アームは小さく、高さも低くなっています。このため、ワンボックスタイプの貨物自動車やアルミボディのトラックの荷台の中にアームを挿入して、荷物を直接吊り上げることができます。従って、狭い空間から荷物を運び出す器具としても有用です。

さらに、人力で手軽に操作できることもマルチクレーンの利点です。工場や倉庫などで、駐車場に到着した平ボディのトラックの荷台に横付けすると、荷物や機械の積み下ろしと移動ができます。

マルチクレーンの原理

マルチクレーンは、車輪が付いた土台の上に支柱があります。支柱の先にアームが付いており、アームを支柱についている油圧シリンダ―を介して手動で上下させる仕組みです。

また、支柱の途中にはウインチが取り付けられています。このウインチも手動です。ウインチからアームの先端までワイヤーが通されており、ワイヤーの先端には荷物を吊り上げるためのフックがあります。荷物を吊り上げる際には、このフックを下げて荷物を吊り、ウインチでワイヤーを巻き上げます。

台座部分には足が付いています。足は使用時に開く折り畳み式です。足はアームの伸びる方向に対して、上から見るとアームを挟むようにV字型に開きます。足の先端にも移動用の車輪が付いています。台座についた車輪と、脚の先についた車輪との3点支持で、クレーンを支えながら荷物を吊り上げて移動します。

マルチクレーンの種類

マルチクレーンは、吊り上げ荷重が約500kgから約1,000kgで、吊り上げ高さが約2.5m以下と、クレーンの種類の中では最も小型なクレーンです。自重も100kgから200kgのものが主流になっています。

アームの長さは、1m~2m程度のものが一般的です。多くのマルチクレーンでは、アームの長さを2段階か3段階に調整が可能となっています。アームの長さによって、最大つり上げ荷重が変わる機種と変わらない機種があります。

また、マルチクレーンを使った荷物の釣り上げと吊り降ろしでは、荷物を吊り上げた状態でクレーンを回転させて横に降ろす場合もあります。大型クレーンなどでは標準でクレーンを回転させるための機構があり、荷物を吊った状態でクレーンを回転させても、バランスは崩しません。

マルチクレーンにも、クレーンを回転できるものもあります。このタイプのマルチクレーンでは、クレーンがバランスを崩して倒れないようにするために、横方向に支えるための足が付いています。

マルチクレーンの選び方

マルチクレーンを選択する際には、作業中の事故防止の観点から、作業空間の大きさや吊り上げる荷物の大きさを考慮して、最適なサイズと吊り上げ荷重のものを選択することが大切です。

最大吊り上げ荷重よりも重いものを吊り上げると、クレーンの転倒や荷物の落下など、事故につながる可能性があります。

参考文献
https://www.rent.co.jp/sanki/04data/multi_crean.htm
https://www.supertool.co.jp/products/products.php?eid=00055
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223006528761/?HissuCode=SMC500

マグナロック

マグナロックとは

マグナロック

マグナロックとは、非常口のために設計された電磁石による吸着力を使用した電磁錠の商品名です。

マグナロックは場所を選ばずに、セキュリティシステムを構築できるのが特長です。本体が小型であり、一般の電気錠では困難な場所にも、比較的容易に取り付けられます。

なお、マグナロックは、アメリカにあるSECURITRON社の登録商標です。日本においては、スガツネ社が総代理店となっています。

マグナロックの使用用途

火災・震災時の安全に脱出が可能、扉の瞬時開錠が可能なことから、非常口に広く使用されています。後付けの容易さや防水であるため、学校の門扉に使用されています。

また、高い防犯性、一般的に消費電力が3〜4Wと省電力であることを活かし、一般住宅の門扉に使用する場合も多いです。高い吸着力や耐久性も優れているため、オフィスの出入り口にも最適です。

マグナロックは周辺機器を追加することで、開錠操作ができます。外部からの開錠方法は、鍵・暗証番号・非接触ICなどです。内部からの開錠方法は、開錠スイッチ・パッシブセンサーなどがあります。

マグナロックの原理

マグナロックは、電磁石の吸着力によってドアをロックします。ドアを受ける壁面にマグナロック本体を取り付け、ドアにはストライクプレートという金属板をドアが閉じた際にマグナロック本体と接するように設置します。マグナロックが通電すると電磁石となり、ストライクプレートと吸着することによって、ドアがロックされる仕組みです。

マグナロックは電子錠、制御機、操作器、電源で構成されます。操作器にテンキーパッドやカードリーダーを使うことによって、日常のセキュリティーロックとして活用可能です。非常時には電源を手動で切る、または停電になればロックが解除されるので、非常時に閉じ込められてしまうリスクはありません。

マグナロックの特徴

マグナロックはドアのロックに電磁石を応用したことによって、さまざまな特徴があります。

1. 施錠能力が高い

マグナロックは電磁石の吸着力でロックしますが、その吸着力は強力です。一般的な電気ストライク式程度の270kgfから、一般錠と同等の500~800kgfが得られます。

2. 汎用性が高い

マグナロックは開き戸、引戸いずれにも取付けられます。捜査器をドアの片側のみに取り付ければ、入り口専用扉や出口専用扉にすることも可能です。このような使い方であっても非常時に電源が切れれば、自然と解錠される安心感もあります。

3. 非常時でも簡単に解除可能

マグナロックは一般錠と同等の施錠能力を持ちながら、電気を切る等のワンアクションで瞬時開錠が可能です。緊急脱出が必要な際には、日常の行動がとれないパニック状態を想定しなければなりません。

そうした状況下では、つまみを回す、レバーを下げるなどの通常の行為さえも難しいです。ただ単純に「押す」というワンアクションで、ドアが開けられるので、安心して使用できます。

4. 信頼性が高い

マグナロックは面同士で吸着するという単純な施錠構造なため、多少の狂いでは基本動作にはまったく影響ありません。また、メンテナンスも容易です。

従来の電気錠は、経年により扉の建付けが狂うとセンサーやかんぬきの位置がずれ、動作不良が起こる、または異常信号を発することがあります。

5. 屋外でも安心して使える

結露や雨など悪天候下であっても耐久性が強く使用できます。ラッチ・ギアなどの機械的な可動部がないため、日常において完全防水で使えます。動作環境は-40~+60℃と広範囲であり、国内では炎天での直射日光下や、寒冷地での風雪時であっても問題なく機能します。

6. 設置が容易である

マグナロックは基本的に、ドア枠に面付けで設置するため、設置・配線工事とも容易です。開錠操作直後の残留磁力がほとんど残らないため、スイッチを押してから開錠するまでわずか0.05秒しかかかりません。タイムストレスなく、扉を開けることが可能です。

7. 一般の電子錠よりも省電力

マグナロックは省電力で使うことができます。M62シリーズの3.0WからM82シリーズの4.2Wと、非常に小さな消費電力を実現しています。

参考文献
https://mazken.jp/mazken/goods/Securitron/index.htm
https://locksystem.co.jp/security/ls/magnalock

マイクロマニピュレータ

マイクロマニピュレータとは

マイクロマニピュレータ

マイクロマニピュレータは、マイクロやナノオーダの微細な物を対象に掴み、移動するための装置になります。非常に小型の掴むためのアームや、制御が必要となる装置になります。マイクロマニピュレータの製品の多くは、対象物を固定するステージや画像センサ、異物や対象物の状態をもとに、適切な動作を行えるような処理機能が付いています。マイクロマニピュレータの制御には、電圧によって伸縮し、微小な変位が可能な素子が主に使用されます。

マイクロマニピュレータの使用用途

マイクロマニピュレータは、医療現場や半導体、バイオ、特殊な材料などの実験の場面で使用されます。医療の現場やバイオでは、細胞に微細な材料を注入して培養し、医療や経過の観察などをする際に使用されます。半導体や特殊な材料の実験現場では、異物や微細な生成物の除去や採取の際に使用されます。マイクロマニピュレータの選定の際には、操作可能な物質のオーダ、対応しているアプリケーションなどを考慮する必要があります。

マイクロマニピュレータの原理

マイクロマニピュレータの動作原理を説明します。マイクロマニピュレータは、操作目的の物質などを実際に操作する動作部と、測定部、制御部で構成されています。動作部では、電圧によって微小な変位だけ伸び縮みするアクチュエータと、薬液などを注入するためのシリンジや微小な物体を吸着するための先端構造などで構成されています。測定部では、実際に測定対象の表面などの状態や、目的の動作が行われていることをモニタリングするためのイメージセンサなどがあります。制御部では、微小な変動値の制御や、目標の動作が行われているかをモニタリングし、制御するためのアルゴリズムが組み込まれています。

動作の際は、制御部に対して入力した動作に応じて、制御部が動作部に電圧を印加し、その電圧量に応じてアクチュエータが伸縮し、微小で精密な動作を行います。その動作が行われているかを測定部のセンサなどで観測します。動作部の先端は、マイクロシリンジの様な形になっており、細胞などに薬液を注入するほか、先端が平らになっており、目的の物質を吸着し、移動させることができます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejsmas1995/117/11/117_11_545/_pdf
https://www.aist.go.jp/science_town/reading/19/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/56/526/56_526_1470/_pdf

マイクロシリンジポンプ

マイクロシリンジポンプとは

マイクロシリンジポンプとは、液体を輸送するポンプです。

一般的にはシリンジと呼ばれるシリンダー型の容器とピストンで構成されており、ポンプを押すとマイクロリットル単位の微量な液体の輸送を行うことが可能です。主に医療現場や化学薬品の合成など、非常に正確な液体の制御が必要な環境下で使用されます。

使用時は装置が高いところにあり、マイクロシリンジポンプと接続したチューブの中の液体や圧力によって想定された液体量よりも多い量が排出される恐れがあるため、注意が必要です。

マイクロシリンジポンプの使用用途

マイクロシリンジポンプは、その小型化と高い制御性能によって、医療現場や製薬・化学薬品の実験などさまざまな用途で活用されています。マイクロシリンジポンプの選定の際には、時間当たりの液体の輸送量や連続での輸送可能時間、安全性、警告装置の有無などを考慮する必要があります。

1. 医療分野

医療現場では、投与の量に細かい調整が必要な麻薬性の鎮痛剤などを投与する際に使用されます。例えば、薬物の注入やドラッグデリバリーシステムにおいて、正確な流量制御と微細な注入が求められる場合などです。

また、生体内への液体の移送やバイオセンサーの動作制御など、微小なスケールでの操作が必要な場合にも利用されます。

2. 分析化学

製薬や化学薬品の実験などでは、薬品の価格が非常に高価な場合や、マイクロリットル単位の調合が必要な場面が多いため、非常に多く使用されています。例えば、質量分析計やクロマトグラフィー装置などの分析システムなどです。

3. 生命科学研究

生命科学の研究においても、マイクロシリンジポンプは重要な役割を果たしています。細胞培養や遺伝子操作などの実験において、微小な試薬や溶液の注入が必要とされます。マイクロシリンジポンプは、このような微量な操作を正確かつ安定して行うために使用されます。

4. マイクロ流体

デバイスマイクロシリンジポンプで多い使用用途は、マイクロ流体デバイスの制御目的です。マイクロチャネルやマイクロ反応装置などの微細な構造を持つデバイスでは、微小な流体の制御が必要とされます。

マイクロシリンジポンプは、これらのデバイスにおいて正確な流量制御を実現するために使用されます。

マイクロシリンジポンプの原理

マイクロシリンジポンプはシリンジとピストンで構成されており、シリンジには流体が充填され、ピストンは流体を移送する役割を果たすことが可能です。シリンジ内には、ピストンと反対側に配置されたバルブがあります。シリンジ内の圧力の変化によって制御されるという仕組みです。

また、注射器の様な構造をしたマイクロシリンジには、ステージ、モータ、制御装置も備え付けられており、モータには、正確に一定の角度のみ移動するステッピングモーターが主に使用され、一定の流量で液体を輸送します。マイクロシリンジは、動作時に内圧の変化によって容積が膨張しないようにするために、剛性の高いシリンジが使用されます。

最初に、ピストンがシリンジ内の流体を吸い込むために引かれますが、このときバルブは閉じられており、吸入された流体が逆流しないように工夫されていることが特徴です。その後、ピストンが推進され、バルブが開いて流体をポンピングします。モーターがピストンを正確に制御し、所望の流量や圧力を実現するために、高精度な制御を行います。

さらに、フィードバック制御やセンサーを組み合わせて、ポンプの効率や正確性を向上させることがあります。製品によっては、入力値の桁を間違えないようにするため、入力方法をタッチパネル式でなくダイヤル式を採用している製品も多いです。

マイクロシリンジポンプの特徴

マイクロシリンジポンプは、そのコンパクトさ、高い制御性、そして微小な流体の扱いに適している点が特徴です。今現在も、さまざまな用途に対応できるよう異なる容量や流量範囲のポンプが開発されています。また、一部のマイクロシリンジポンプには、自己駆動型や無線制御型などの進化したバージョンも存在します。

総括すると、マイクロシリンジポンプは、圧力の制御によって液体を移送するデバイスであり、小型で高精度な流体操作が可能です。その利点や応用範囲から、さまざまな研究や産業分野で重要な役割を果たしています。

ポーラスチャック

ポーラスチャックとは

ポーラスチャックのイメージ

図1. ポーラスチャックのイメージ

ポーラスチャックとは、多孔質体の吸気孔から空気を引くことでウェハーやガラスなどの薄い物体を真空吸着するツールです。

被計測物・被加工物を吸着する目的で、加工機や検査装置のテーブル、ダイシングソーに使用されています。また搬送用の吸着パッドとしても活用されているツールです。薄いものを破損・変形なく吸着固定することに優れています。金属などのボディ (本体) にアルミナセラミックなどのポーラス (多孔質体) がはめ込まれた構成です。ポーラスバキュームチャック、多孔質真空チャックなどの別名で呼ばれることもあります。

ポーラスチャックの使用用途

ポーラスチャックは、吸着固定するという用途で検査装置・測定装置など様々な装置に使用されています。主な用途に下記のようなものがあります。

  • ウェハ、薄型半導体デバイス、3次元メモリ基板などの板状対象物などの加工時における固定治具
  • 各種、測定装置、検査装置の固定治具
  • フィルムシートや金属基板、薄膜などの加工時における固定治具

ポーラスチャックと共に使用される装置としては、

  • 平面研削盤
  • ロータリー研磨機
  • ラップ加工機
  • ダイシングソー
  • グラインダー
  • ポリッシャー
  • CMP
  • ボンディングマシン
  • 外観検査装置
  • 画像検査装置
  • 二次元測定器、及び三次元測定機

などが挙げられます。

ポーラスチャックの原理

1. 材質

ポーラスチャックに用いられるポーラス (多孔質体) の材質には、アルミナセラミック、炭化ケイ素 (SiC) 、ステンレス (SUS)、樹脂などがあります。アルミナセラミックが最も標準的であり、炭化ケイ素は静電気対策に使用され、ステンレスは導電体です。樹脂は柔らかい素材であるため、吸着ワークへのダメージが少ない特徴があります。ボディにはステンレス、アルミニウム、セラミックなどが使用されます。

2. 仕組み

ポーラスチャックの模式図

図2. ポーラスチャックの模式図

ポーラスチャックはポーラスの吸気孔から空気を引いて負圧にすることで真空吸着し、対象物を固定します。面全体に対象物を乗せることで、変形させること無く均一に吸着固定することが可能です。気孔径は約2μm〜約230μmですが、標準的には55μm、120μm、10μm、2μmなどが使用されることが多いです。反対側のポーラス面には溝があり、ポーラスを通してワークに対する負圧を受けるようになっています。

ポーラスの粒が粗い場合、ワークの表面に凸凹が生じるため、ポーラスの粒が細かいほど平面度が高くなります。また、全面を対象物で覆わなくても吸着することが可能です。これは、ポーラスチャックは綿密な気孔が全面に広がっているため、エアーの漏れが発生しづらいことによります。液体を使用する工程や対象物が濡れている場合など、湿式での使用もできます。

ポーラスチャックの種類

色々なポーラスチャック (左: 角形ポーラスチャック、右: 面発光ポーラスチャック)

図3. 色々なポーラスチャック (左: 角形ポーラスチャック、右: 面発光ポーラスチャック)

ポーラスチャックには、前述の通り、素材・ボディなどに様々な種類があります。また、形状は丸形の他、角形もあります。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

1. 素材別種類

最もスタンダードな仕様のポーラスチャックは、平均気孔径55μm、材質はポーラス/ボディが、アルミナセラミック/SUSです。気孔径2μmなどの特に緻密なポーラスを用いたポーラスチャックは、ファインポーラスチャックと呼ばれ、特に薄い対象物の吸着や部分吸着力に優れています。

炭化ケイ素 (SiC) を用いたポーラスチャックは帯電除去素材であり、また傷にも強い素材です。特にレーザー加工に適しています。ボディにセラミックやアルミを採用したものでは、スタンダード仕様よりも軽量化が図られています。ポーラスにSUS素材を採用したメタルポーラスチャックでは対象物であるワークとポーラス間で導通させることが可能です。

2. 特殊機能の付加

ポーラスチャックの中には光源を内蔵して発光機能を追加したものや、ヒーターを内蔵して加熱機能を付加したものなどがあります。面発光ポーラスチャックは、多層ウェハの内部検査や、エッジ検査の精度向上などに役立ちます。加熱機能のあるポーラスチャックは吸着と同時に250℃程度までの加熱が可能です。

参考文献
https://www.nittan.co.jp/member/admin/document_upload/takousituceramicsinkuucyaku.pdf

ポイントレーザー

ポイントレーザーとはポイントレーザー

ポイントレーザーは、レーザーによってポイントを対象の場所に表示するための装置になります。ポイントレーザーによって、図面などを現場に描写させることや、測定位置の調整などに使用されます。ポイントレーザーによって、示された点に応じて作業を進めていくことになるため、正しい位置を示しているかが重要となるため、メンテナンスや取り扱いの方法を正しく理解しておく必要があります。水平を保ち、正確にポイントを出力するための原理としては、ジンバル式と電子整準式に分けられます。

ポイントレーザーの使用用途

ポイントレーザーは、建設現場や電気工事の現場、工場の生産ラインなどで使用されます。建設現場や工事現場においては、目標となる設計図や図面の情報を作業の現場に正確に描写することで、正しく作業を進めることができるようにすることに使用されます。工場の生産ラインにおいては、レーザーによってポイントを示すことによって、測定位置を正確に作業者が認知できる様にするために使用されます。ポイントレーザーの選定の際には、精度や光の強度、到達距離などを考慮する必要があります。

ポイントレーザーの原理

ポイントレーザーの動作原理を説明します。ポイントレーザーは、水平を保つための機構と、レーザーを出力する装置で主に構成されています。レーザーは、瞬間的に見ても安全性の高い波長が400~700nmの可視光のレーザーである、クラス2程度のレーザーを使用している製品が多くなります。水平を保つための原理としては、ジンバル式と電子整準式があり、正確なポイントを指示するために、機器の水平を保っています。それぞれの原理を説明します。

  • ジンバル式
    ジンバル式は、機器の中に振り子がつるされており、その振り子が地球の中心方向を向くことを利用して、水平を保つ仕組みになります。シンプルな構造でメンテナンスしやすいことが特徴です。
  • 電子整準式
    電子整準式は、整準センサという液体中の気泡の位置の検出によって、水平を測定するセンサを利用します。定期的なメンテナンスが必要ですが、故障がしにくいことが特徴です。

参考文献
https://shop.leica-geosystems.com/jp/ja-JP/blog/laser-levels-101

ボードカメラ

ボードカメラとはボードカメラ

ボードカメラとは、基板に取り付けることを目的としたカメラです。

一般的には接続用の基盤上にレンズがついているカメラがあることが多くなります。多くの製品では、カメラにCOMS (Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) イメージセンサが使用されていますが、CCD (Charge-Coupled Device) カメラが使用されている製品もあります。

一辺20mm程度のものが基本です。使用されているセンサの画素数に応じて、取得される画像や映像の鮮明さが異なります。

ボードカメラの使用用途

ボードカメラは、カメラによって情報処理や監視をする装置に多く使用されます。使用例としては、PCやタブレットのカメラ、ドライブレコーダーのカメラ、実験装置の付属のカメラなどです。

製品によって、接続端子の種類や、送信される映像情報の規格の種類、対応している光の波長の種類が異なっており、それらを考慮して適切に選定する必要があります。また、サイズや動作時に使用する電力量、画素数なども考慮に入れることが大切です。

ボードカメラの原理

ボードカメラはCOMSイメージセンサ、接続端子、センサから得られた画像処理装置や端子からの出力の規格に変換する処理装置などで構成されています。集光のためのレンズがついているものも多いです。

動作時は、レンズによって集光された光がCOMSイメージセンサに照射され、色の強度によって電気信号が出力されます。その電気信号をノイズを除去し、それらをUSBなどの出力の規格に合う様に変換され、接続端子から出力されます。出力のデータをもとに、ボードカメラが接続されている基板の他の装置が動作する仕組みです。

COMSイメージセンサは、赤、緑、黄の色の強度に応じて画素数の数だけ電気信号が出力され、その出力がノイズや急激な勾配の変化などを緩和します。そのため、画像の正確さは、画素数と処理のアルゴリズムによって決まります。

ボードカメラの選び方

1. 解像度

ボードカメラの解像度とは、画像やビデオの詳細さや鮮明さを表す指標です。解像度は通常、ピクセル数で表され、水平方向と垂直方向のピクセル数の組み合わせで表現されます。

例えば、1920×1080の解像度は水平方向に1920ピクセル、垂直方向に1080ピクセルの解像度を持つことを意味します。使用する環境や必要な映像の品質に合わせて、適切な解像度を選ぶことが重要です。

2. イメージセンサーのタイプ

ボードカメラのイメージセンサーには、CMOSとCCDの2つの主要なタイプがあります。CMOSセンサーは個々のピクセルにアナログ信号を処理する回路を備えており、高速な読み出しや機能の統合が可能です。一般的に、コンシューマーレベルのボードカメラや一般的なアプリケーションに使用されます。

一方でCCDセンサーはイメージセンサーチップ上に光電変換素子が直接配置されており、アナログ信号を非常に正確にキャプチャすることができます。そのため、高い画像品質を必要とする専門的な用途や低光環境での撮影に使用されることがあります。

3. レンズ

ボードカメラのレンズは、焦点距離、視野角、可変焦点と固定焦点、光学性能などの観点から選ぶことが望ましいです。特に視野角はどのくらいの範囲をカバーできるのかも重要ですが、広範囲であれば詳細な情報が欠ける場合もあるため、使用目的と撮影環境に合わせた適切なものを選ぶ必要があります。

また、将来の撮影ニーズに合わせてレンズの交換頻度が高くなれば、レンズの交換のしやすさも重要となってきます。

4. インターフェース

インターフェースは、ボードカメラを接続するために重要です。一般的なインターフェースとして、USB、HDMI、イーサネットなどが挙げられます。

自身の保有する端末やシステム、デバイスとの互換性を確認し、適切なインターフェースを選択することが必要です。カメラの購入時に付属されるケースがほとんどですが、必ず付属している訳ではないため購入時に確認します。

参考文献
https://www.baslerweb.com/jp/
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/cameras/board-level-cmos-cameras/index.html