ツールバック

ツールバックとは

ツールバックは工具を入れるバックのことですが、実際は工具のみではなくネジやナットなどの小物から大きめの電動工具まで幅広く収納し、工事現場等へ持ち運びを行います。

ツールバックはショルダーに下げるタイプやスーツケースタイプ、さらには背中に背負うバックパックタイプまで普通のバック同様に様々な形状がありますので、使用に合わせて適切なタイプを選択する必要があります。

また、鋭い歯が付いた工具なども入れますので頑丈な素材で作られており、事故防止の役割も果たしています。

ツールバックの使用用途

ツールバックは工具などを現場に持ち運ぶ際に使用するのみではなく、使用後には工具をそのままバックに入れておいて収納にも使用しているケースもあります。

工具類は多岐に渡りますので、搬送のたびに必要な工具を選択してツールバックに仕舞っていくことは手間ですし、何よりも必要な工具を入れ忘れるなどの抜けが出てしまう恐れもあります。このようなミスを無くすという意味もあり、ツールバックにはあらかじめ決められた工具を入れておく使用法もあります。

ツールバックの原理

ツールバックには整理しやすいように仕切りがついたり、小物などを落とさないようにチャックがついているものもあります。特に工具の形状は特殊ですので、純正と言いますが、その工具がぴったりと収まる専用の純正ツールバックがある場合もあります。純正のツールバックは電動工具や精密機器類などの高価なものや壊れやすい物を壊れないように保管し移動する場合に用いられます。

ツールバックの大きさは腰に巻きドライバーレンチなど比較的小物で頻繁に使用する工具を入れておき、現場でも着用できるような小さなポーチタイプから、ホイールの付いた大型のツールバックまで多種多様です。

もちろん使用目的により異なるのですが、一般的には工具を工事現場の作業する場所の近くまで運ぶ際に使用するケースが多いです。

ツールバックに似た入れ物にツールボックスがありますが、ツールボックスは箱ですので持ち運びの際には肩にかけることが難しいので、長距離の持ち運びにはフレキシブルな布で出来ているツールバックの方が適しています。

ソケットアダプター

ソケットアダプターとは

ソケットアダプター

ソケットレンチなどの工具は基本的にサイズがあったソケットしか使用できませんが、サイズの異なるレンチとソケットを使用したい場合にはソケットアダプターを用いることで通う可能になります。このサイズの異なるレンチとソケットを繋げるアダプタをソケットアダプターや変換アダプタ―と呼びます。

ソケットアダプターは工具の使用範囲が広がり便利なツールなのですが、基本的にはイレギュラーな使用になりますので飽くまでその場しのぎの繋ぎであり、正式なサイズのツールを購入する必要があります。

ソケットアダプターの使用用途

ソケットレンチは持っているといざというときに重宝するツールです。

工具が少ない場合は工具の管理が出来るのですが、工具の数が多くなった場合や見慣れていない職場の工具入れなど何があるか分からない場所では工具のサイズが合わない場合が多々あります。ボルトを締めようといざソケットレンチを使おうとするとソケットのサイズが合わずに使えなかったことはよくあります。このような場合にソケットアダプターがあると時間の節約になりますし、大変重宝します。

ソケットアダプターの原理

ソケットレンチのソケット装着部分は四角形になっていて、その四角形の突起にソケットを差し込むのですが、この時四角形の突起とソケットの穴のサイズが一致していないとはめ込みが出来ません。ちなみに、ソケットレンチの突起部には球形のベアリングがはめ込まれており、抜け防止の役割を果たしています。そこで、レンチの突起のサイズに合う穴とその反対側にはソケットの穴に合う突起を持っているソケットアダプターがあれば、このソケットアダプターを介することでサイズの異なるソケットレンチとソケットが使用できることになります。

ソケットアダプターを使用すると、ソケットアダプターの分だけソケットが長くなりますのでソケットレンチの扱いが難しくなりますし、小さなソケットレンチに大きなソケットを取り付けて力いっぱい回してしまうと、ソケットレンチの接合部分に大きなトルクがかかってしまいますので、金属が変形してしまう恐れもありますので注意が必要です。

参考文献
http://www.carlifesupport.net/socket_adapter_change.html
https://blog.f-gear.co.jp/item/how-to/dnba2332/

バッテリーポンプ

バッテリーポンプとは

バッテリーポンプ

バッテリーポンプはバッテリー、つまり電池により動くタイプのポンプです。バッテリーを使用しますので、小型であることが特徴として挙げられます。

工事現場でちょっとした排水を行いたい場合や空気を送り込む必要が生じたときなどに使用されます。特にビーチへ行ったり、ピクニックに行ったときに浮き輪やエアクッションに空気を入れたい際にはバッテリーポンプがあると非常に重宝します。他にも釣りに行ったときに生き餌を活かすためのエアポンプも釣り愛好家の間では必須アイテムになっています。

バッテリーポンプの使用用途

バッテリーポンプは基本的に電源がない場所で使用されます。

バッテリーポンプはバッテリーで駆動しますのでパワーはそれほど高くない上にバッテリーが消費されますので使用時間が限られてしまうというデメリットがあります。バッテリーポンプはこれらのデメリットを補える場合に使用されます。

バッテリーですので、バッテリーの電気を使い果たすと充電すれば再度使用できますが、中には充電式ではなく乾電池で駆動するタイプのバッテリーポンプもありますので、電池を使い果たすと電池を交換する必要が出てきますので購入の際には注意が必要です。

バッテリーポンプの原理

ポンプには基本的に空気などの気体用のポンプと液体用のポンプとがありますが、両者ともに機構的に見ると一方向から空気や水を吸い込んで別なラインへと排気するという動作を行っています。

空気用のポンプでは、空気を吸い込む用途で使用する場合には真空ポンプと言われ真空パックなどに利用されていますが、空気を吐き出す用途で使用する場合はエアポンプのように熱帯魚の水槽内に空気を送り込みます。このように空気用のポンプは吸い込む力を利用するか、吐き出す空気を利用するかにより分かれます。

液体用のポンプの場合は液体を吸い上げる用途ではポリタンクから灯油を吸い上げる給油ポンプなどが例として挙げられますが、液体の場合にはある場所から液体を吸い上げて別の場所に排水させる用途で使用されます。

この液体と気体の差ですが、液体ですと一か所に溜まりますので別の場所に移動するという作業を行います。空気の場合は別な場所へと移動させることに加えて容器内の圧力を変化させるという用途も加わりますので、この点が液体用と気体用のポンプ使用用途の違いになります。

参考文献
https://channel-ash.com/electric-air-pump

鉄工ヤスリ

鉄工ヤスリとは

鉄工ヤスリ

鉄工ヤスリは、金属を加工するためのヤスリであり、鉄工という用途に特化したヤスリです。
鉄工ヤスリには、目の荒いものから目の細かいものまで、様々な種類があります。荒目のヤスリは、金属の表面を削り落とす粗加工に適しており、目の細かいヤスリは、表面を仕上げる細かい加工に適しています。
鉄工ヤスリには、片刃ヤスリと両刃ヤスリの二種類があります。片刃ヤスリは一方向にしか削れず、削り跡が目立たないので表面の仕上げに適している一方、両刃ヤスリは交差する二方向に削れるため、荒削りや中間加工に適しています。

鉄工ヤスリの使用用途

1. 金属の切削加工

鉄工ヤスリは金属を切削するために使用され、特に薄い板金やアルミニウムなどの柔らかい金属の加工に適しています。切削加工により、金属の形状を変えたり削りくずを取り除いたりできます。

2. 金属の仕上げ加工

鉄工ヤスリは金属の表面を滑らかにするための仕上げ加工にも使用されます。この場合、目の細かいヤスリを使用して傷や凹凸を取り除いて表面を均一な状態に整えます。

3.穴あけ加工

鉄工ヤスリは穴あけ加工にも使用されます。専用の鉄工ドリルであけた穴に、ヤスリを使用して微調整をしたり、形状を整えたりできます。また小さな穴をあける場合には、直接ヤスリで穴をあけられます。

4. 形状加工

鉄工ヤスリは、金属を自由に形成できるため、形状加工にも使用されます。例えば穴をあけたり角を取り除いたり円筒形に形成したりできます。

5. キズ取り

金属製品にできた傷や凹みを取り除くために鉄工ヤスリが使用されます。キズや凹みを削り落とし、表面を均一に整えられます。

6. 木材加工

鉄工ヤスリは、木材の加工にも使用されます。特に細かい部分の仕上げ加工に適しています。木材の場合、目の粗いヤスリから目の細かいヤスリまで、目的に合わせて使い分けることが重要です。

鉄工ヤスリの原理

鉄工ヤスリは、硬い素材の表面を削り取るために使用されます。

鉄工ヤスリの表面には硬い鉱物粒子が砥粒として付着しており、これらの粒子が削り取る素材の表面に食い込んで削りるのが,鉄工ヤスリの原理です。

鉄工ヤスリは刃先に砥粒が付いた細長い棒状の工具であり、削りたい部分に押し付けるようにして使います。素材の表面を均一に削るには、砥粒の大きさや密度、削り方の力加減や角度、速度などが重要です。

片刃ヤスリは砥粒が一方向に配置されているため、素材を引っかけることなく滑らかに削れます。一方、両刃ヤスリは砥粒が交互に配置されているため、素材を両方向から削れます。両刃ヤスリの方が片刃ヤスリよりも削りムラを少なくできます。

鉄工ヤスリは手動で使用するものから、エアーヤスリや電動ヤスリなど高速回転するものまで様々な種類がありますが、いずれも砥粒が素材表面に食い込んで削る原理は同じです。

鉄工ヤスリの特徴

長所

(形状に合わせて自由に加工ができる)
鉄工ヤスリは柔軟性があり、様々な形状に合わせて使い分けられます。このため狭い隙間や凹凸のある部分など機械加工が難しい箇所でも手作業により加工できます。

(細かいところまで綺麗に加工できる)
鉄工ヤスリは非常に細かい砥粒を持っているため、精度の高い仕上げ加工ができます。細かいヤスリを使うことで、微細な傷を取り除いたり表面を均一に仕上げたりできます。

(切削加工よりも精度が高い)
鉄工ヤスリは切削加工よりも細かい加工ができるため、高精度の加工が可能です。また切削加工に比べて加工量を少しずつ調整できるため、削りすぎることなく仕上げられます。

(幅広い用途に使用できる)
鉄工ヤスリは粗加工から仕上げ加工まで幅広い用途に使用できます。また加工する素材に応じて適切なヤスリを選べるため多種多様な素材に対応可能です。

(手軽に使用できる)
鉄工ヤスリは電源を必要とせず、軽量かつコンパクトなため、手軽に使用できます。

短所

(切れ味が落ちやすい)
鉄工ヤスリは金属を削るために砥粒が付着しているため、使用するうちに砥粒が減り切れ味が落ちやすくなります。そのため砥ぎ直しをする必要があります。

(使用時に粉じんが発生する)
鉄工ヤスリを使用する際には、削りくずや金属粉じんが発生します。これらの粉じんは、健康被害の原因となるため、マスクや保護メガネなどを着用する必要があります。

(加工箇所によっては使いにくい)
鉄工ヤスリは特定の形状や角度を削りにくい場合があります。加工箇所によっては使いにくく、加工作業に時間がかかる場合があります。

(難しい形状の加工が困難)
鉄工ヤスリは、ある程度の平面を持った形状にしか加工できません。特に凸凹のある曲面など、複雑な形状の加工には向いていません。そのため加工箇所によっては、別の工具を使う必要がある場合があります。

鉄工ヤスリのその他情報

鉄工ヤスリの形状によって分類した場合の種類の一部は以下の通りです。

1. 平ヤスリ

平たい形状のヤスリで、幅広のものから狭いものまで様々なサイズがあります。表面の平坦化や金属の角を落とすのに適しています。

2. 丸ヤスリ

先端が丸みを帯びた形状のヤスリで、穴あけや内部の凹凸加工に適しています。サイズも様々で小さなものから大きなものまであります。

3. 角ヤスリ

角がついた形状のヤスリで、角の部分を加工するのに適しています。平ヤスリよりも角を取り除くのに適しています。

4. 半丸ヤスリ

半円状に湾曲した形状のヤスリで、丸ヤスリと角ヤスリの中間の形状をしています。内部の曲面や小さな穴の加工に適しています。

5. 三角ヤスリ

三角形状のヤスリで、細かい部分の角を取り除くのに適しています。角ヤスリと同様に角の部分を加工するのに適しています。

 

強力ニッパー

強力ニッパーとは

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強力ニッパー (または強力ニッパ) とは、金属線などを挟んで切断する手動工具 (ニッパー/ニッパ) の一種です。

日本工業規格 (JIS )によるニッパーの規格は、強力ニッパー (JIS B 4635)と斜ニッパー(JIS B 4625)の2種類あります。

強力ニッパーの使用用途

強力ニッパーは、主に金属線 (針金や電線) の切断に使用されます。切断する対象に応じて、ニッパーは使い分けられます。強力ニッパーと呼ばれるものは、基本的にすべて「強力ニッパ」というJIS規格に準拠したニッパーですが、刃部形状やその材質によって切断能力が異なるためです。

JIS規格で表す切断能力とは、JISによって決められた鉄線を規定の荷重以下で切断できることを表します。ニッパーの刃部中央に、決められた試験用鉄線を挟み、試験用鉄線をくわえる点の荷重を規定された値以下で切断できなければなりません。

これは、刃の硬度と鋭さが一定以上の水準であることを示すものです。ニッパーの大きさを表す呼び寸法によって、試験用鉄線の線径や荷重の基準値は異なります。

強力ニッパーの原理

強力ニッパーは、概ねペンチと類似した形状の工具ですが、ペンチと異なり挟む箇所は刃となっています。強力ニッパーはこの刃部、支点となる接合部、柄部から成ります。強力ニッパーは頑丈さに重点をおいたつくりで、厚く丈夫な刃部と頑丈な接合部が特徴です。

使用するときは、切断したい線を刃にくわえ、柄部を手で強く握り、てこの原理で強い力を刃部に与えます。刃は鋏のような交差する刃ではなく、対称的に正対する刃がついています。この刃で金属線などをしっかりと押し切ります。

刃がきちんと正対した状態で押し切る動作が必要なため、接合部は「遊び (がた) 」が無いことが重要です。そのため、JIS規格で遊びが無いことが求められています。

強力ニッパーの選び方

強力ニッパーは、切る対象物に応じて選びます。〇〇用などの表示を目安にするのもよいでしょう。

これは、以下に示す通り、切断能力・使いやすさ・価格は相反することがあり、バランスが重要となるからです。JIS規格は最低限の性能を定めているに過ぎないため、規格に準拠した強力ニッパーでもさまざまなものがあります。その中から切断能力と使いやすさを考えて、対象物に適したニッパーを選ぶこと大切です。

1. 材質 (鋼材)

ニッパーの材質は、炭素工具鋼材や機械構造用炭素鋼鋼材、または、同等以上の品質となる鋼材が用いられています。鋼材の違いによって価格帯がわかれます。

材質は主に刃の機能に関係し、硬い材質を用いれば切断能力が高く、耐摩耗性も高くなりますが、衝撃に弱く欠けやすくなります。その反対に、やわらかい材質を用いた場合は硬いものを切ることができず、摩耗にも弱いです。そこで、必要な切断能力をそなえながら、用途にあった性質をもつ鋼材を使用し、切断能力と価格・使いやすさのバランスをとっています。

2. 刃部の形状

刃部形状によっても用途がわかれ、強力刃タイプは高い耐久性があり、ピアノ線や軟鉄線などの硬質材の切断に適しています。一方、薄刃タイプはシャープな切れ味があり、電線や線など柔らかいものの切断に適しています。

強力ニッパーの種類

強力ニッパーにはJ型とI型があり、JISでそれぞれに標準的な寸法 (呼び寸法) や品質、機能、機械的性質の規格が定められています。JIS B 4625は、2002年改正 (JIS B 4625:2002) で大きく改正され、下記との整合が図られました。

  • ISO 5743:1988 (Pliers and nippers−General technical requirements
  • ISO 5744:1988 (Pliers and nippers−Methods of test)
  • ISO 5749:1988 (Pliers and nippers−Diagonal cutting nippers−Dimensions and test values)

J型は国内メーカーの製品でよくみられるタイプで、掲載画像に示すような形状です。I型はJ型より薄いタイプですが、現在国内ではほとんどつくられておらず、国内流通はJ型の形状をしているタイプがほとんどとなっています。

強力ニッパーはその刃部の断面形状の違いにより、さらに強力刃タイプと薄刃タイプに分類されます。なお、斜ニッパーは、切断箇所が見やすいように刃部が斜めになっており、主に電気配線における精密な作業に適したニッパ―です。そのため、電子基板の余分な半田の切断や平行線の分割に使用されます。

参考文献
https://blog.f-gear.co.jp/item/comparison/nipper_kyouryoku/

精密ヤスリ

精密ヤスリとは

精密ヤスリ

精密ヤスリは非常に細かな砥粒を備えたヤスリです。主に金属やプラスチックや木材などの精密な加工に使用されます。精密ヤスリは狭い箇所や微細な部分の加工に向いており、高い加工精度が要求される場合に使用される工具です。
精密ヤスリには軟質材質のものと硬質材質のものがあります。軟質材質のヤスリは柔らかい材料の加工に適しています。一方、硬質材質のヤスリは硬い材料の加工に適しています。
精密ヤスリには様々形状があり、それぞれの形状によって使い分けます。また手動で使用するものから電動のものまで様々な種類があります。

精密ヤスリの使用用途

1. 機械加工

精密ヤスリは金属の細かい加工や形状加工に使用されます。例えば細かい部品の加工や特殊な形状の削り出しに使用されます。

2. 電子機器の修理

精密ヤスリは小さな部品を扱う電子機器の修理に使用されます。例えば小さな端子やコネクターの接触不良を修理する際に使用されます。

3. 医療器具の製造

医療器具は精密な加工が必要なため、精密ヤスリが使用されます。例えば内視鏡や手術用器具などが挙げられます。

4. 宝飾品の製造

宝飾品の製造には細かい加工が必要です。精密ヤスリは宝石の形状を整えたり金属の表面を仕上げたりする際に使用されます。

5. その他

精密ヤスリは様々な分野で使用されます。例えば時計の修理や製造、眼鏡フレームの製造などが挙げられます

精密ヤスリの原理

精密ヤスリの表面を素材にこすりつけて素材の表面を削り取ることが,精密ヤスリの原理です。精密ヤスリは、微細な砥粒が付着した細い棒状の工具で、高い精度で加工できることが特徴です。

砥粒はヤスリの表面に塗られた砥石粉末からできており、硬い素材の表面に食い込んで削り取ります。砥粒の大きさや密度、削り方の力加減や角度、速度などが、加工の精度や表面の仕上がりを左右する要因です。

ダイヤモンドは最も硬い天然鉱物であり非常に高い研磨力を持っているため、精密加工に使用されることがあります。ダイヤモンドヤスリは微細なダイヤモンド粒子を固着した金属棒でできており、硬い素材の表面を滑らかに削り取れます。

精密ヤスリの特徴

長所

(高精度である)
精密ヤスリは非常に細かい砥粒を持っており、非常に精密な加工が可能です。金属やプラスチックなどの素材を細かく加工する場合に向いています。

(長寿命である)
精密ヤスリは高品質の素材で作られており、耐久性が高いため長期間使用できます。また使用後に適切にお手入れをすることで砥粒の劣化を防げます。

(さまざまな形状に対応できる)
精密ヤスリは様々な形状に対応できるように設計されています。平面や凹凸のある曲面などにも対応できます。

(仕上げ加工に適している)
精密ヤスリは細かい砥粒を持っているため、仕上げ加工に適しています。また研磨や磨き上げの際にも使用されます。

(精密な部品加工に適している)
精密ヤスリは高精度であるため精密な部品加工に適しています。時計や精密機械などの部品加工に使用されます。

(柔軟性が高い)
精密ヤスリは手作業で使用できて柔軟性が高いため、機械加工が難しい箇所でも加工できます。

短所

(耐久性が低い)
精密ヤスリは非常に細かい砥粒を持っているため、使用するうちに砥粒が減り、切れ味が落ちることがあります。短期間で切れ味が落ちることがあるため、定期的な研ぎ直しが必要となります。

(素材を傷つける場合がある)
精密ヤスリは非常に細かい砥粒を持っているため、加工の精度が高い反面、素材を傷つける可能性もあります。適切な力加減や削り方を理解し、慎重に扱う必要があります。

(切削量が少ない)
精密ヤスリは一度に削れる量が非常に少ないため時間がかかることがあります。大量生産や大型の加工物には向かない場合があります。

(研ぎ直しが難しい)
精密ヤスリは非常に細かい砥粒を持っているため、研ぎ直しを行う際には特別な工具が必要となる場合があります。また研ぎすぎると砥粒が削られてしまうため、研ぎ直しの技術が必要です。

精密ヤスリのその他情報

精密ヤスリには、片刃ヤスリと両刃ヤスリの二種類があり、これらは刃の数や研磨粒子の付着面によって区別されます。

片刃ヤスリは、一方の面にのみ砥粒が付着しているため、片面のみを使用して加工する工具です。一般的に、平面研磨や平面削り取りに向いています。材質によっては、片面の砥粒で十分な加工ができる場合があります。

一方、両刃ヤスリは、両面に砥粒が付着しているため、両面を使用して加工する工具です。片刃ヤスリよりも使い勝手がよく、研磨範囲も広いため、研磨作業の効率が良いとされています。しかし、切れ味が片刃ヤスリに比べるとやや劣る場合があります。

どちらを使用するかは、加工物の形状や材質次第です。例えば、狭い隙間や細かい部分の加工には片刃ヤスリが適しています。一方、広い面積の研磨には両刃ヤスリが適しています。

油圧電磁弁

油圧電磁弁とは

油圧電磁弁

油圧電磁弁とは、油の圧力・流量を制御するためのバルブです。

主に油圧系統内で使用され、液体の流れを制御するために電磁力を利用します。油圧・油流を制御するための重要な機械装置であり、産業および機械工学の分野で幅広く使用されています。

油圧電磁弁は電磁力を使用してバルブを正確に制御するため、非常に高い制御精度です。油圧システム内で圧力、流量、および方向の制御が必要な場合に適しています。電気信号を受けて迅速にバルブを開閉できるため、高速な制御応答が可能な点も特徴です。

一般的に頑丈で耐久性があり、高い圧力に耐えることができます。また、長寿命であることが多く、適切なメンテナンスが行われる限り数年以上にわたって信頼性を維持できます。

油圧電磁弁の使用用途

油圧電磁弁はさまざまな産業で使用され、油の流れを制御するために広く採用されます。以下は、油圧電磁弁の主要な使用用途です。

1. 製造業

金属成形プロセスでは高い圧力が必要なので、油圧プレスを利用することが多いです。油圧プレス機の動作を制御するために、油圧電磁弁が使用されます。また、金属加工機械やプレス機における固定用クランプの制御に使用されることも多いです。

2. 建設機械

油圧電磁弁は油圧ショベルのアームやバケットの制御に使用されます。これにより、土や岩石を掘削および移動させることが可能です。また、クレーンやリフティング装置のアームを上下に移動させるためにも油圧電磁弁が使用されます。

3. 農業

農業トラクターでは、油圧電磁弁がリフトアームなどの制御に使用され、農業作業を効率化します。ハローおよび荷物を持ち上げるためのアタッチメントを操作することが可能です。また、収穫機では、刈り取りヘッダーの高さ調整や収穫物の排出位置を制御するために油圧電磁弁が使用されます。

4. 自動車

自動車のブレーキシステムでは、油圧電磁弁がブレーキ圧力を制御して安全に制動することが可能です。ABSなどの高度なブレーキ制御にも使用されます。また、パワーステアリングなどにおいても油圧電磁弁が助力制御に使用されることが多いです。

油圧電磁弁の原理

油圧電磁弁の動作原理は、スプール (弁芯) と電磁コイルという2つの主要な部品に基づいています。

1. スプール

スプールは、弁の内部に配置された円筒状の部品で、一般的に金属やプラスチックで製作されます。油の流れを制御するための孔やチャンネルを有し、スプールが移動することでこれらの孔が開閉する仕組みです。スプールの位置に応じて、油の流れがブロックされたり通過したりします。

2. 電磁コイル

電磁コイルは弁の周囲に配置され、電流を通すことによって電磁場を生成することが可能です。スプールは金属製であり、電磁場に引かれる力によって移動します。電流が供給されている間はスプールが電磁コイルに引かれ、油の通路が開閉します。

油圧電磁弁の選び方

油圧電磁弁を選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は油圧電磁弁の選定要素一例です。

1. 電源電圧

電源電圧は、油圧電磁弁の動作に必要な電力を提供するために重要です。一般的な電源電圧は、24VDCや110VAC、220VACなどがあります。システムの電源供給に応じて適切な電圧を選択する必要があります。

2. 最大使用圧力

最大使用圧力は、電磁弁が耐える最大圧力です。選択する油圧電磁弁は使用中に印加される最大圧力に耐える必要があります。過度の圧力で動作させると油圧電磁弁が損傷する可能性があるため、最大圧力に耐える油圧電磁弁を選ぶことが重要です。

3. 接続口径

油圧電磁弁の接続口径は、流体の通路のサイズを示します。系統内のパイプやホースとの適合性が重要です。通常はインチ単位またはミリメートル単位で表されます。

また、雌ネジによるねじ込み接続口を持つ油圧電磁弁が多いです。適切な接続口径を選択して、油の漏れなどが無いようにする必要があります。

4. 電磁弁の種類

油圧電磁弁にはシングルソレノイドとダブルソレノイドの2つの主要なタイプがあり、用途に応じて選定します。シングルソレノイドは電源供給を切断すると、ばねにより元の位置に戻る単純な構造です。一方、ダブルソレノイド弁は通電時と非通電時で異なる位置に滞在し、バルブの開閉状態が保持されます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M3500000000/M3503000000/M3503090000/

斜ニッパー

斜ニッパーとは

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斜ニッパーとは、ニッパーの刃が傾くように作られたニッパーです。

刃の角度がグリップに対して40°弱ほどあるため、一般的なニッパーでは綺麗に切れない出っ張りなどを、上手く切り取ることができます。また、刃には穴の開いているものもあり、ケーブルの被覆を剥がす際に便利です。

斜ニッパーの使用用途

斜ニッパーは、「切る」「割線」「より線皮むき」「ステップル取り外し」など、多数の機能を持つ工具で、主に電気工事などの作業で使用されます。

一般的な使用例は以下の通りです。

  • 銅線や鉄線の切断
  • 平行線の縦割りカット
  • タイラップの切断
  • 開けづらいバイアル瓶、カラコン瓶の開封
  • はみ出したハンダのカット

標準的なニッパーでは切断しづらい場所の切断などに使用されます。

斜ニッパーの原理

斜ニッパーは刃とグリップに角度があるので、刃を平面と平行にした際にグリップが浮き上がった状態になります。このため、一般的なニッパーでは刃を平面と平行にする際にはグリップも平面と平行になるように寝かせないといけません。このため、一般的なニッパーでは平面から飛び出た釘の頭などを綺麗に切断することは難しいですが、斜ニッパーを使用することで簡単に切断することができます。

また、斜ニッパーは刃の形状からバールのように、てこの原理を利用し釘などを引き抜くことも可能です。この場合は、釘の根元を斜ニッパーで掴んでグリップを倒すことで引き抜きます。斜ニッパーの切断力はその大きさにより変わり、小さいものでは細い線しか切れません。

大きくなればなるほど、より太い線を切断することが可能になります。また、プラモデルの作成などに使用する場合は、柔らかいプラスチックを切断するので、サイズが小さい斜ニッパーでも、ある程度の太さや厚さを持ったプラスチックを切断可能です。

斜ニッパーの構造

斜ニッパーは、一般的に刃先・グリップ・スプリング (戻しバネ) の3つで構成されています。刃の構造は通常、左右どちらにも切刃がついている「両刃構造」と、片方だけに切刃がついた「片刃構造」に分類されます。

また、斜ニッパーには、3枚合せ構造のものがあります。挟み込む構造となっていて、2枚合せ構造と比べた場合、ガタが無く強度があるため、長期間使用することが可能です。

斜ニッパーの選び方

斜ニッパーは、切る物の材質や形状などにより、使用する製品が異なります。それぞれの特徴を十分に把握し、適切な製品を選ぶことが大切です。

1. サイズ

斜ニッパーのサイズは100mm~250mm程度まであり、サイズにより特徴が異なります。一般的に150~160mmのものが使い勝手がよいとされ、商品も多く揃っています。

サイズが大きいと切断能力がアップしますが、その分重くなるため長時間作業した場合、手や腕が疲れてしまいます。斜ニッパーのサイズは、切断能力や作業性に大きな影響を与えるため、適切なサイズの製品を選ぶことが重要です。

2. 素材

ステンレス製
ステンレス製は、耐食性に優れており、湿気のある環境で使用しても錆の発生を抑えることができます。また、耐久性もあるため、長期間清潔な状態で使用することができます。

クロムバナジウム鋼製
炭素鋼にクロムとバナジウムを添加した素材が、クロムバナジウム鋼 (Cr-V) です。耐久性、耐摩耗性、耐腐食性に優れ、長期にわたり高い性能を発揮することができます。

クロムバナジウム鋼製の製品は、硬い材料を効果的に切断でき、刃が欠けにくいため、硬線の切断に使用されます。

3. グリップ

樹脂成型グリップ
樹脂成型カバーを施した斜めニッパーであれば、滑りにくくしっかりとグリップするため、細かな作業でも正確に作業することができます。一般的なグリップと比べ手や腕への負担が少ないため、連続作業や長時間作業のさいに重宝します。

絶縁ハンドル
通電中の機器などの作業では、絶縁性の素材を採用したハンドルを使用する必要があります。絶縁素材で作られているハンドルであれば電気を遮断し、感電を防ぐ役割があるため、安全に作業を行うことができます。

ローラー距離計

ローラー距離計とは

ローラー距離計

ローラー距離計(英: Roller Distance Meter)とは、車輪が動いた長さを測る計測機器です。

一般的に車輪の付いたデバイスであり、測定したい距離を測定対象の地表に沿って車輪を転がして計測します。ウォーキングメジャーとも呼ばれます。

ローラー距離計は、非常に簡単に距離を測定することが可能です。車輪を対象物の表面に転がすだけであり、特別なトレーニングや技能が必要ありません。リアルタイムで測定できるため、すばやく距離を把握することが可能です。

また、屋外での距離測定に適しており、不均一な地形やアクセスの難しい場所でも使用できます。比較的低コストで入手でき、メンテナンスが簡単な点も特徴です。高度な測量機器やGPSシステムに比べて、コストが抑えられます。

ローラー距離計の使用用途

ローラー距離計の代表的な使用用途は、以下の通りです。

1. 建設現場

建設プロジェクトでは建物寸法や敷地寸法を正確に把握する必要があります。ローラー距離計は建設物の長さや幅などを測定し、プロジェクトの計画や進行に役立つツールです。

また、道路やトンネルなどの土木工事においては、地形調査が必要です。ローラー距離計を使用して地形の起伏や地物位置を測定し、プロジェクトの設計に役立ちます。

2. 不動産

不動産業者は、不動産物件のサイズと特性を評価するためにローラー距離計を使用します。これにより、物件の価値を客観的に判断することが可能です。また、不動産の境界線を特定するためにも使用される場合があります。

3. 電気工事

電気工事では電線やケーブルを敷設する際に、正確な長さを測定することが重要です。ローラー距離計は、配線が通る経路の長さを測定するのに役立ちます。これにより、購入するケーブル長を決定し、経済的な電気工事を計画することが可能です。

ローラー距離計の原理

ローラー距離計は車輪の回転に基づいて距離を計測する仕組みです。計測車輪やハンドル、表示器などで構成されます。

1. 計測車輪

計測車輪は、ローラー距離計の中心部に位置し、距離を計測するための車輪です。この車輪が地面に転がることで、距離が計測されます。一般的には軽量な樹脂などが材料となることが多いです。

2. ハンドル

ハンドルはローラー距離計を操作するための部品です。ユーザーはこれを握ってローラー距離計を移動させます。ハンドルは測定をより正確に行うために、一定の高さに配置されています。

3. 表示器

表示器は現在距離を表示するための部品です。アナログダイアルやデジタルディスプレイなどの形態で表示され、ユーザーに計測された距離を示します。デジタルディスプレイの製品は、電池が必要となることが多いです。

ローラー距離計の選び方

ローラー距離計を選ぶ際は、以下の点を考慮する必要があります。

1. 測定可能距離

ローラー距離計の測定可能な最大距離は、その使用用途に合わせて選ぶ必要があります。建築現場や土木工事では長距離の測定が必要なことが多いです。屋内の測定には短い距離のローラー距離計が適している場合もあります。

2. 表示デバイス

表示デバイスの主要な種類は、アナログダイアルとデジタルディスプレイです。

アナログダイアル
アナログダイアルは構造が簡単で耐久性があります。一般的には、デジタルディスプレイの製品よりも安価です。ただし、読み取りがやや難しいことがあります。

デジタルディスプレイ
デジタルディスプレイは数値が読み取りやすく、正確な値を提供します。バックライトを有するディスプレイの場合は、暗い中でも測定することが可能です。ただし、電池が必要となる場合が多いです。

3. 測定誤差

ローラー距離計は測定誤差を持つことがあります。誤差はメーカーやモデルによって異なるため、高精度の測定が必要な場合は誤差が小さい製品を選ぶことが必要です。精度要件に合わせて測定誤差を確認し、比較することをおすすめします。

4. 最小単位

ローラー距離計の最小単位は、デバイスが測定できる最小の距離単位です。1mの製品や1cmの製品が存在します。測定精度が高いほど小さな距離の差を測定できるため、使用目的に合った最小単位を選びます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_health/T2400000000/T2406000000/

検電器

検電器とは

検電器

検電器とは、電圧をチェックする機器のことです。テスター等とは異なり、電圧の値を確認することはできません。

手で持った検電器を、調査したい充電路へあてるだけで確認することができ、電圧がある場合には、「ピー」といった音がなるものが多いです。また検電器により低圧専用のものや高圧用のもの、交流専用や交直両用のものがあるため、使い分けが必要です。また、対象の充電路に対しても、交流か直流かを把握しておく必要があります。

検電器の使用用途

検電器は、充電路の無電圧を確認するために使用されます。

低圧の電気工事の場合では、該当の端子台が無電圧であるかの確認を、作業をする直前に行います。また高圧の場合は、遮断器断路器等で電源を開放した後、その下位の充電部で検電作業を行います。

高圧の電路は比較的交流の場合が多いですが、遮断器開放後は、残留電荷と呼ばれる直流成分の電気を帯びている場合もあるため、交流・直流両方の検電器にて検電を行う必要があります。

検電器の原理

最近の検電器は、電圧を検出するとランプが光るものや、音が出るものが多くあります。

これらの仕組みは内部の増幅器で、検出した微小な電気信号を増幅し、内蔵された電池を通して音を出したり、発光させたりしています。電流を検知するには、電気を流す必要があるため閉ループである電気回路を作る必要があります。検電器ではこの電気回路をつくるために、充電部の電気を検電器にて検出し、検電器(人間)との対地静電容量を利用して、電気回路をつくっています。

対地静電容量とは、あるモノと地面との間にあるコンデンサー成分のことで、これを利用しています。直流回路の場合、コンデンサーは一度充電をしてしまうと電気を流さなくなり、絶縁物となります。そのため直流回路の検電を行った場合、一定時間をすぎると電圧検出ができなくなってしまいます。

また交流回路の場合は、コンデンサーが充電/放電を繰り返すため、絶縁物となることがなく電圧を検出し続けることができます。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/