精密ヤスリ

精密ヤスリとは

精密ヤスリ

精密ヤスリとは、非常に細かい目や細かい砥粒をもったヤスリです。

主に金属やプラスチックや木材などの精度が高い緻密な加工で用いられます。狭い箇所や微細な箇所の加工に向いており、高い加工精度が要求される場合に使用される工具です。精密ヤスリには、刃が片面のみ設けられている片刃と両面に設けられている両刃があります。また、様々な断面形状のものがあります。削る素材や用途に応じて片刃あるいは両刃、断面形状の使い分けが必要です。

精密ヤスリの使用用途

精密ヤスリの使用用途としては、機械加工、電子機器の修理、医療器具の製造、宝飾品の製造が挙げられます。

1. 機械加工

精密ヤスリは金属の細かい加工や形状加工に使用されます。例えば細かい部品の加工や特殊な形状の削り出しで使われます。

2. 電子機器の修理

小さな部品を扱う電子機器の修理に使用されます。例えば小さな端子やコネクターの接触不良を修理する際に活躍します。

3. 医療器具の製造

医療器具は精密な加工が必要なため、精密ヤスリが使用されます。具体的には内視鏡や手術用器具などが挙げられます。

4. 宝飾品の製造

宝飾品の製造には細かい加工が必要です。精密ヤスリは宝石の形状を整えたり金属の表面を仕上げたりする際に使用されます。

5. その他

上記以外にも、例えば時計の修理や製造、眼鏡フレームの製造などにも好適です。

精密ヤスリの原理

精密ヤスリの原理は、細い棒状の精密ヤスリ所定の面を素材に押し当てながら動かし、素材の表面を削り取ることです。

精密ヤスリの表面には、金属を溝加工して形成された目があります。目の形状は様々で、最も基本的な形状はヤスリの長さ方向に対して斜めの溝が形成されているものです。この溝を押し当てて動かすと素材の表面が削り取られる仕組みです。目の細かさや形状、削る力加減や角度、速度などで加工の精度や表面の仕上がりが左右されます。

ヤスリ表面に微細な砥粒を付着させたものもあります。精密ヤスリの所定の面を素材に押し当てながら動かして、素材の表面を削り取る仕組みです。表面の砥粒が硬い素材の表面に食い込んで削り取ります。砥粒の大きさや密度、削り方の力加減や角度、速度などが、加工の精度や表面の仕上がりを左右する要因です。

精密ヤスリの種類

精密ヤスリの種類を刃の種類と形状で解説します。

1. 精密ヤスリの刃

精密ヤスリには、片刃ヤスリと両刃ヤスリの2種類があります。

片刃ヤスリ
片刃ヤスリは、一方の面にのみ溝よりなる目が形成されるあるいは砥粒が付着しています。すなわち片面でのみ削る作業が可能で、片面のみを使用して加工する工具です。一般的に平面研磨や平面削り取りに好適です。

両刃ヤスリ
両刃ヤスリは、両面に溝よりなる目が形成されるあるいは砥粒が付着しています。すなわち両面で削る作業が可能で、両面を使用して加工する工具です。片刃ヤスリよりも使い勝手がよく研磨範囲も広いため、研磨作業の効率が良いとされています。ただし切れ味が片刃ヤスリに比べるとやや劣る場合があります。

2. 精密ヤスリの形状

精密ヤスリには様々な形状のものがあります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

平型
平型は最も一般的なもので、断面が四角形で板のような形です。バリ取りや研磨、切削が主な用途です。

丸型
円形の断面を持つのが丸型です。ヤスリの曲面で削るようになっており、素材に曲面部分があっても合わせることが可能で曲面部分を傷つけません。

半円型
半円型は断面がかまぼこのような形となっています。かまぼこのような形状であることから、曲面部分と平らな部分を有するのが特徴です。半円部分と角部分を用途に応じて使い分け可能です。

角型
角型のヤスリは断面が正方形です。角型であることから、角型の穴を作成したり穴に挿入して削る穴を拡大したりする用途に向いています。また直角のバリ取りにも好適です。

三角型
三角型は断面が三角錐型です。三角の角部などは鋭角な部分の加工および仕上げに好適です。

精密ヤスリのその他情報

1. 精密ヤスリの長所

高精度
非常に細かい砥粒を持っており、微細で高精度な加工が可能です。金属やプラスチックなどの素材を細かく加工する場合に向いています。

長寿命
高品質の素材で作られており、耐久性が高いため長期間使用できます。また使用後に適切に手入れをすれば溝よりなる目や砥粒の劣化を防げます。

さまざまな形状に対応できる
様々な形状に対応できるように設計されています。平面や凹凸のある曲面などにも対応できます。

仕上げ加工ができる
精密ヤスリには細かい目や砥粒があり、仕上げ加工向きです。また研磨や磨き上げの際にも使用されます。

精密な部品加工ができる
精密ヤスリは高精度であるため精密な部品加工向きです。時計や精密機械などの加工に使用されます。

柔軟性が高い
手作業で使用できて柔軟性が高いため、機械加工が難しい箇所でも加工できます。

2. 精密ヤスリの短所

素材を傷つける場合がある
非常に細かい目や砥粒を持っているため、加工の精度が高い反面、素材を傷つける可能性もあります。適切な力加減や削り方を理解し慎重に扱う必要があります。

切削量が少ない
一度に削れる量が非常に少ないため、時間がかかる場合があります。大量生産や大型の加工物には向かないケースもあります。

研ぎ直しが難しい
非常に細かい目や砥粒を持っているため、研ぎ直しを行う際には特別な工具が必要となる場合があります。

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