斜ニッパーとは
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斜ニッパーとは、ニッパーの刃が傾くように作られたニッパーです。
刃の角度がグリップに対して40°弱ほどあるため、一般的なニッパーでは綺麗に切れない出っ張りなどを、上手く切り取ることができます。また、刃には穴の開いているものもあり、ケーブルの被覆を剥がす際に便利です。
斜ニッパーの使用用途
斜ニッパーは、「切る」「割線」「より線皮むき」「ステップル取り外し」など、多数の機能を持つ工具で、主に電気工事などの作業で使用されます。
一般的な使用例は以下の通りです。
- 銅線や鉄線の切断
- 平行線の縦割りカット
- タイラップの切断
- 開けづらいバイアル瓶、カラコン瓶の開封
- はみ出したハンダのカット
標準的なニッパーでは切断しづらい場所の切断などに使用されます。
斜ニッパーの原理
斜ニッパーは刃とグリップに角度があるので、刃を平面と平行にした際にグリップが浮き上がった状態になります。このため、一般的なニッパーでは刃を平面と平行にする際にはグリップも平面と平行になるように寝かせないといけません。このため、一般的なニッパーでは平面から飛び出た釘の頭などを綺麗に切断することは難しいですが、斜ニッパーを使用することで簡単に切断することができます。
また、斜ニッパーは刃の形状からバールのように、てこの原理を利用し釘などを引き抜くことも可能です。この場合は、釘の根元を斜ニッパーで掴んでグリップを倒すことで引き抜きます。斜ニッパーの切断力はその大きさにより変わり、小さいものでは細い線しか切れません。
大きくなればなるほど、より太い線を切断することが可能になります。また、プラモデルの作成などに使用する場合は、柔らかいプラスチックを切断するので、サイズが小さい斜ニッパーでも、ある程度の太さや厚さを持ったプラスチックを切断可能です。
斜ニッパーの構造
斜ニッパーは、一般的に刃先・グリップ・スプリング (戻しバネ) の3つで構成されています。刃の構造は通常、左右どちらにも切刃がついている「両刃構造」と、片方だけに切刃がついた「片刃構造」に分類されます。
また、斜ニッパーには、3枚合せ構造のものがあります。挟み込む構造となっていて、2枚合せ構造と比べた場合、ガタが無く強度があるため、長期間使用することが可能です。
斜ニッパーの選び方
斜ニッパーは、切る物の材質や形状などにより、使用する製品が異なります。それぞれの特徴を十分に把握し、適切な製品を選ぶことが大切です。
1. サイズ
斜ニッパーのサイズは100mm~250mm程度まであり、サイズにより特徴が異なります。一般的に150~160mmのものが使い勝手がよいとされ、商品も多く揃っています。
サイズが大きいと切断能力がアップしますが、その分重くなるため長時間作業した場合、手や腕が疲れてしまいます。斜ニッパーのサイズは、切断能力や作業性に大きな影響を与えるため、適切なサイズの製品を選ぶことが重要です。
2. 素材
ステンレス製
ステンレス製は、耐食性に優れており、湿気のある環境で使用しても錆の発生を抑えることができます。また、耐久性もあるため、長期間清潔な状態で使用することができます。
クロムバナジウム鋼製
炭素鋼にクロムとバナジウムを添加した素材が、クロムバナジウム鋼 (Cr-V) です。耐久性、耐摩耗性、耐腐食性に優れ、長期にわたり高い性能を発揮することができます。
クロムバナジウム鋼製の製品は、硬い材料を効果的に切断でき、刃が欠けにくいため、硬線の切断に使用されます。
3. グリップ
樹脂成型グリップ
樹脂成型カバーを施した斜めニッパーであれば、滑りにくくしっかりとグリップするため、細かな作業でも正確に作業することができます。一般的なグリップと比べ手や腕への負担が少ないため、連続作業や長時間作業のさいに重宝します。
絶縁ハンドル
通電中の機器などの作業では、絶縁性の素材を採用したハンドルを使用する必要があります。絶縁素材で作られているハンドルであれば電気を遮断し、感電を防ぐ役割があるため、安全に作業を行うことができます。