BOXPC

BOXPCとは

BOXPCとは、その名の通り箱型の形状をしたコンピュータの1種です。

小型でありながらも、高いパフォーマンスを持つことが魅力です。省スペースでの設置が可能で、一般的なデスクトップPCと比べて耐久性に優れ、振動や熱、ホコリ等の外部環境からPC内部を保護します。このため、産業用途や厳しい環境下での利用に最適です。

パフォーマンスも、BOXPCは優れた性能を持っています。現代の高性能CPUやメモリ、SSD等を搭載可能であり、用途に応じて最適な構成に設計できます。

これらの特性から、BOXPCはITインフラの構築や更新で重要な選択肢の1つです。小型でありながら堅牢で高性能なBOXPCの採用は、組織の効率化と最適化に大いに貢献します。

BOXPCの使用用途

特に堅牢性と高性能を兼ね備えたBOXPCは、幅広い業務用途でその能力を発揮します。ここでは、特に工場の自動化、外観検査、生産管理、監視システムなどの領域での使用例を紹介します。

1. 工場の自動化

自動化ラインの制御と管理は、精密かつ高速な計算処理が必要です。BOXPCの高性能と堅牢性は、これらの要求を満たし、工場の自動化をスムーズに進行させます。

また、BOXPCの耐久性は、振動や温度変化、ホコリなど厳しい工場環境でも安定したパフォーマンスを保証します。

2. 外観検査

BOXPCは高速な画像処理と分析能力を持つため、生産ラインの外観検査に適しています。BOXPCを用いれば、製品の微細な欠陥をリアルタイムで検出し、品質管理の向上を図ることが可能です。

3. 生産管理

生産管理では、リアルタイムでの大量データ処理と分析が求められます。BOXPCは、そのパワフルな計算能力でこれを可能にし、生産量の最適化、在庫管理、配送スケジュールの最適化などの業務を強力にサポートします。

4. 監視システム

BOXPCは、その小型性と高パフォーマンスにより、監視システムの映像処理や分析、記録に最適です。また、その堅牢性は、長時間にわたる安定した動作を保証し、万が一の事態にも迅速に対応できます。

 

以上のように、BOXPCはその高性能と耐久性を活かして、様々な業務領域でその能力を発揮します。これらの使用用途からもわかるように、BOXPCは幅広い業界での重要な役割を担っています。

BOXPCの特徴

BOXPCの多くは、キャビネッやラックでの設置が想定されています。様々なインターフェイスを使用すれば、BOXPCは1つもしくは複数の場所に分かれたディスプレイもしくはターミナルと接続可能です。

既存のパソコンと接続可能なものや、ファンレスのもの、防塵・防水仕様のもの、医療向け抗菌プラスチックで作られたものなどもあります。このように、BOXPC (産業用PC) には、民生用PCに比べてパーツの長期安定供給、パーツ1つ1つの高信頼性、振動や粉塵の多い箇所でも使用できるなど耐環境性のメリットがあります。

その一方で、民生用のPCに比べて価格も高く、納期がかかる点がデメリットです。

BOXPCの選び方

BOXPCの選択は、用途に応じた性能、耐久性、コストパフォーマンスなど、多様な要素を考慮する必要があります。

1. 性能

BOXPCの使用目的によって求められる性能は異なります。たとえば、高速なデータ処理やグラフィック処理が必要な場合、高性能のCPUやGPU、メモリ容量が重要になります。

2. 耐久性と環境対応

特に産業用途などで使用する場合は、PCの耐久性や環境対応性も重要な選択基準です。例えば、防塵・防水性、高温・低温耐性、振動耐性などのスペックは、特定の環境で使用する場合には必須となります。

3. 拡張性

将来的なニーズ変化に備えて、BOXPCの拡張性の考慮も重要です。例えば、メモリスロットやストレージの追加、またはポート類の種類と数などをチェックします。

4. コストパフォーマンス

最後に、コストパフォーマンスも重要な選択基準です。購入価格だけでなく、エネルギー消費量や保守費用も総所有コストに含まれるため、これらを考慮した上で最適なBOXPCを選ぶことが重要です。

参考文献
https://www.portwell.co.jp/blog/ipc_vs_consumer-pc/
https://www.pr-seed-s.com/fapc/boxpc.html
https://www.kameyama-grp.co.jp/kss-ss/2148.html
http://www.wincomm.jp/index.htm

6輪台車

6輪台車とは

6輪台車とは、6つの車輪がついた台車です。

通常の4輪の台車よりも手持ちの柵の高さが高くなっていて、底面の幅は狭いですが縦に長い形状が多いです。手持ちの柵は1本タイプと2本タイプがあります。4輪台車よりも狭い通路で通りやすい形状になっています。

積載荷重は4輪台車よりも大きく、300kg程度です。6つのキャスターがついていますが、何も載せていない状態では真ん中と片方の端のキャスターが床に接しています。荷重のある荷物を載せるとす、べてのキャスターが床につきます。

6輪台車の使用用途

6輪台車の主な使用用途は以下の通りです。

1. 荷物運搬

台車は荷物や重い箱を効率的に運ぶためのツールとして広く使用されます。ホテル、倉庫、店舗などでの荷物の搬送に便利です。

2. 工業・製造

工場や製造現場での機材や部品の運搬に台車が活躍します。大型の機械を移動させたり、アセンブリラインで部品を運んだりする際に使用されます。

3. 建設・工事

建設現場や工事現場で、重い材料や道具の移動に台車が利用されます。コンクリートブロック、鉄骨、工具などを運ぶのに適しています。

4. 庭園・農業

荷物運搬だけでなく、庭園や農場での作業にも台車が使用されます。土や肥料、農産物などを運ぶのに便利です。

5. 芝刈り機・園芸機具

大型の芝刈り機や園芸用具の運搬・保管に使われることがあります。

6. 商業・イベント

展示会やイベントでの備品や資材の運搬に台車が利用されます。

7. 医療施設

病院や介護施設で、患者の移動や医療機器の運搬に使用されることがあります。6輪台車は4輪台車よりも細長いのでドアを通りやすく、前後の回転もしやすいです。

高さのある手持ちの柵がついているので、荷物を積み上げることができます。倉庫や工場はもちろん、狭い書店で重い本などの運搬にも利用されています。

6輪台車の原理

6輪台車の大きな特徴は、4輪台車よりも安定性がよく、荷重を多く積むことができることです。また、直進性に優れています。真ん中のキャスターが接地して片方の端のキャスターが浮いているタイプの製品は自在に回転させることが可能で、操作性が良いです。

手持ち柵の下にロック機構がついていて、足でロックを踏むと車輪が停止します。すべてのキャスターが固定されるので、安全性が高いです。4輪はブレーキ機構ですが、6輪台車はチェーンが連結していて坂道でもしっかり停止できます。

折りたたむことができない製品が多いですが、ネスティングが可能なので、台車同士を省スペースで収納することができます。日本のドアの一般的な規格サイズである73cm幅では、4輪台車では大量の荷物を積んで通れませんが、6輪台車であれば荷重にも耐えて通ることができます。

付属品の中間棚をつけるとさらに強度が上がり、多くの荷物を積むことが可能です。ただし、6輪台車は片方の端のキャスターが浮いているので、荷物を積んで動かした時にガチャガチャとした騒音が大きく、4輪台車よりも音が気になる場合があることがデメリットとなります。

6輪台車の選び方

台車の選び方の基本は、運ぶ荷物の大きさと重さに合った台車を選ぶことです。台車の荷重容量は重要な指標であり、運搬する荷物の重量を超えないようにします。

また、荷物を運ぶ環境や地形によって輪の種類や数を選びます。固い床面では大きなゴム輪が適しており、不整地や障害物の多い環境では大きめの空気輪が役立ちます。さらに、台座の形状は運搬する荷物の形状に合ったものが必要です。

平らな台座が必要ならプラットフォーム台車、立方体状の荷物ならボックス型の台車が適しています。そして、台車の耐久性は長期間の使用を考える上で重要です。特に工業用途では頑丈な台車が必要です。さらに、台車を操作するための取っ手は、適切な高さや形状があると便利です。

参考文献
https://hiroshi.work/six-wheeled-truck/

フロートなしスイッチ

フロートなしスイッチとは

フロートなしスイッチとは、浮きを使わずに液面高さを検知する機器です。フロートは浮きのことで、フロートレススイッチとも呼ばれます。

フロートなしスイッチは、本体と電極保持器電極棒 (電極帯) から構成される電極式レベルスイッチです。一方、フロート (浮き) を浮力で液面に浮かせて液位のレベルの上下に応じて出力するスイッチを、フロートスイッチと呼びます。

フロートなしスイッチの使用用途

フロートなしスイッチは、産業やインフラ設備で多く使用される機器です。以下は、フロートなしスイッチの使用用途一例です。

  • 廃液タンクのレベル制御・液位警報出力
  • 汚水槽のレベル制御・液位警報出力
  • 炭酸カルシウムタンクの液位制御・液位警報出力

汚水や廃液などのスラリー状液体の検知に使用されます。また、炭酸カルシウムタンクなどは放置すると固まるため、一般的に撹拌機で撹拌します。撹拌している液体にフロートスイッチを使用すると水流で故障するので、フロートなしスイッチを使用して液位検知します。

一方、フロートなしスイッチはその原理から導電性の液体に対してしか使用できません。また、水位検知に電気を使用するため、防爆対象の液体に対しては不向きです。重油や軽油のように、絶縁性液体や危険物の液位測定時はフロートスイッチを使用します。

フロートなしスイッチの原理

フロートなしスイッチは、電極棒、電極保持器、フロートレスリレーなどで構成されます。

1. 電極棒

電極棒は、液に直接触れて液位を伝送する部品です。1つのフロートなしスイッチに対して、1~5本使用されます。電極保持器などと接続するために、先端にねじが切ってある場合が一般的です。

材質は一般的に金属が使用され、液の種類に応じて幅広いラインナップで販売されています。雨水や水道水などの液位検知にはSUS304やSUS316が使用され、海水や薬品の場合はチタンやハステロイが使用される場合があります。

電極棒は、1本あたり1m程度で販売されていることが多いです。高さがそれ以上に高いタンクの液位を測定する場合は、接続ナットなどを使用して延長します。延長すると電極同士が下部で接触する危険があるため、セパレータを挟んで引き離します。

2. 電極保持器

電極保持器は、電極をタンクに固定しつつ絶縁する部品です。金属タンクにおいても電極とタンクを絶縁できるように、材質は合成樹脂などの絶縁材料が使用されます。

碍子が使用される場合もあり、2~5本の電極棒を接続できるようになっています。電極をねじで固定しつつ、外部配線と接続できる構造です。

3. フロートなしリレー

フロートなしリレーは電極棒に微弱電圧を発生させて水位を確認しつつ、接点出力するリレーです。フロートなしスイッチの本体とも呼ばれます。専用のソケットに刺してDINレールなどで取り付ける方式が一般的です。

外部からAC100VまたはAC200Vを供給する必要があります。内部に変圧器を有しており、12Vまたは5V程度の微弱電圧を電極間に印加します。液位が上がって2本以上の電極が液に浸かると、フロートなしリレーで液位に応じた出力を発信します。

フロートなしスイッチの選び方

フロートなしスイッチは用途、対象液、電源電圧などの観点から選定します。フロートなしスイッチを使用してタンク液位などを制御する場合は3本の電極棒を使用し、液位高警報も合わせて発報する場合は4~5本の電極棒を使用します。警報のみを発報する場合は1~3本の電極棒で構成可能です。

電極棒や接続ナットの材質は対象液に合わせて選定し、代表的な材質はSUS304、SUS316L、チタン、ハステロイです。電極を複数使用する理由はヒステリシスを持たせるためです。1本は常に液に浸かる長さに設定しておき、残り2本の長さを変えることでヒステリシスを持たせます。

短い電極が浸かった後に長い電極が離れるまで出力し続ける場合は、タンク排水制御または液位高警報として使用し、逆の場合はタンク給水制御または液位低警報として使用可能です。リレーの種類は、対象液や電源電圧に応じて選定します。

純水タンクなどに使用する場合は液の電気抵抗が高いため高感度型を使用し、雨水などの場合は一般型を使用します。電圧はAC100V、AC200V、DC24Vなどの製品があり、供給する電源電圧を確認して選定します。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq05651.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/33/207/index.html
https://e-sysnet.com/ekimen/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/levelsensor/type/electrode.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/cat/61f_usecorrectly_ds_j_3_2.pdf

エアモーター

エアモーターとは

エアモーター

エアモーターとは、空気を動力源として回転するモーターのことです。

内部には空気送気用のインレットと空気排出用のアウトレットがあります。空気を送り込むとモーター内部にあるローターが回転し、その動力を利用して機械を動かすことが可能です。

コンプレッサなどによる圧縮空気を動力とすることが一般的で、電気モーターより軽量で構造が簡単な製品が多いです。電気モーターと比較して爆発の危険性が低い点が利点の1つです。

エアモーターの使用用途

エアモーターは、一般的に産業用途で使用される機器です。水や化学薬品にも強いため、食品加工機械や薬品製造装置などの清潔さが重要視される産業分野での使用が多いです。また、船舶や航空機などの機械類でも使用されることがあります。

さらに、油圧モーターと比較してオイル漏れの心配がないため、環境に優しいというメリットがあります。したがって、石油化学工業や鉱業、建設機械や自動車などの産業分野でも重宝されます。そのほか、ネジ締め機バリ取り機なども用途の1つです。

エアモーターの原理

エアモーターの原理は非常にシンプルで、内部にあるローターに空気を送り込むことで回転運動を生み出します。エアモーターの構造は、インレットとアウトレットを備えた本体部分と本体内部に設置されたローター部分からなります。

インレットから外部の空気を吸い込み、ローター部分に送り込むことで回転させます。ローターは、回転負荷の軸に取り付けられます。

ローターが回転する原理は、空気の運動量保存則です。ローターに空気を送り込むと流入した空気は一方向に流れ、アウトレットから排出されます。この際に流入した空気の反作用力によって、ローターが回転します。

空気の供給圧力や排気圧力を調整することで、回転数やトルクを調整することが可能です。したがって、さまざまな用途に応じた設計が可能です。回転数の高速化が可能になる高圧エアモーターも開発されています。

エアモーターの種類

エアモーターには、以下のような種類が存在します。

1. バルブ式エアモーター

空気の供給と排気を調整するバルブを備えたエアモーターです。回転方向の切り替えが可能で、高いトルクを発生させることができます。また、空気圧力を調整することで回転数やトルクの調整が可能です。

2. ピストン式エアモーター

複数のピストンを内蔵したエアモーターで、エアーモーターの中でも高速回転を実現可能です。高速回転により、高いパワーを発揮することができます。

3. ギヤ式エアモーター

内部にギヤを備えたエアモーターです。空気圧力を高くすることで、高いトルクを発揮することが可能です。また、小型のため狭いスペースにも取り付けられる点がメリットです。

4. バレル式エアモーター

バレル式エアモーターは、円筒形の部品を使用しており、空気圧力を利用して回転運動を生み出します。大きなトルクを発生させることができるため、重い機械部品の移動や運搬などに利用されます。

5. ブレード式エアモーター

内部にブレードを備えたエアモーターです。小型軽量であるため、ハンドツールやモデル作成などの用途に利用されます。

エアモーターの選び方

エアモーターを選ぶ際は、種類やトルク・回転数、メンテナンス性、安全性などを考慮して選定します。上述の通り、多くの種類が存在するため、使用する機器や部品の特性に合わせた適切な種類を選定することが重要です。

また、空気圧力によってトルクや回転数が変化します。使用する機器や部品の要件に合わせて、適切な空気圧力を選択する必要があります。

工場で利用する場合などは、長時間使用することも多いです。したがって、耐久性やメンテナンス性に優れた製品が適しています。また、エアモーターは高速回転するため、安全カバーや停止装置が備わっていることも重要な選定ポイントです。

参考文献
http://www.taiyo-ltd.co.jp/kpl_jp/product/Catalogue/pdf/actuator/015.pdf
https://www.futaba-ss.com/product/index.html

除電ガン

除電ガンとは除電ガン

除電ガンとは、対象物の帯電を中和する機械のことです。

空気をイオン化させ、空気とともに対象物に向けて放出することで対象物の帯電を中和します。イオナイザのガンタイプと類似した役割で、静電気除去ガンとも呼ばれています。

高圧の空気を対象物に放出するため対象物に付着している塵も一緒に取り除くことが可能です。塗装や製造の現場では静電気によるほこりを除去するために利用されます。

除電ガンの使用用途

塗装対象物に向けて除電ガンを使用すると、静電気だけでなく塵やほこりを取り除くことができ、不良の軽減につながります。塗装対象は大変多く、自動車や家具、楽器、ガスコンロ、プラスチックなどがあり、除電ガンは塗装下地の前処理に利用されています。用途によっては空圧が高く特に除塵能力が高い除電ガンが好まれています。

また、電子部品や印刷フィルム、半導体や液晶、磁気ヘッドなどの製造や、各種計測器の組み立て、補修などの際にも静電気障害を防止するために使われています。

除電ガンの原理

除電ガンは、空気等をイオン化し対象の帯電を中和する機能と、同時に送風することで対象の表面に付着したほこりなどを除去する機能から構成されています。

1. 帯電を中和する機能

図1-除電ガンによる除電のイメージ

図1. 除電ガンによる除電のイメージ

物体の表面は、なんらかの原因で+もしくは-の電荷が過剰に増え帯電したり不均一になったりしています。そこで除電ガンを利用して、+と-のイオンを照射して中和します。

除電ガンにはコロナ放電型と呼ばれる方式が多く利用されています。コロナ放電とは、金属針の先に高電圧を加えたときに、針の先端で生じる弱い放電のことです。この放電により針の近くにある一部の空気がイオン化し、帯電した対象物に正負反対の電荷をもつイオンが接触することで帯電が中和されます。

図2-交流電源を用いる除電ガンの種類と特徴

図2. 交流電源を用いる除電ガンの種類と特徴

コロナ放電型の除電ガンは、加える電圧によって、イオンの発生量や周期が変化します。加える電圧の種類は、DC (直流) 、AC (交流) 、パルスDC、パルスAC、高周波AC、SSDCなどがあり、除電の範囲、速度、イオンバランスといった除電性能が異なるため、用途に合った電圧の種類を選択する必要があります。

除電ガンに一般に使われるACを用いる方式では、+と-のイオンが周期的に発生します。イオンバランスが良い代わりに、電圧が小さいと除電速度が遅くなります。また、同じ電極針から正負の両方のイオンが出るために、電極針から距離が離れるに電荷の再結合が起こり、除電能力が低下する傾向にあります。

電極針にはタングステンや、シリコン、SUSなどが利用されています。使用していると電極とその周辺が汚れるため定期的に清掃する必要があります。また、長い間使用すると放電電極先端部から金属原子が飛び出し、その部分が摩耗したように形状が変化すると言われているため、電極針は定期的 (1年から2年程度) に交換する必要があります。

この現象は、空気の汚染が問題になる半導体産業などでは避ける必要があります。石英の薄いカバーを付ける、シリコン製の電極針を使用するなどして対策することが必要です。

2. 表面のほこりを除去する機能

図3-除電ガンによる除塵のイメージ

図3. 除電ガンによる除塵のイメージ

物体の表面に付着したほこりは帯電している場合があります。そこでエアを使用して対象物の表面に付着した異物を取り除き、イオンを同時に照射することで除電も行い、異物の除去と再付着の防止を行います。

しかし、有風型の除電器は異物を吹きつけたりホコリを巻き上げたりして異物不良の原因になるため、近年では無風型の除電器が主流になりつつあります。

除電ガンの除電効果は、設置距離、角度、風量・エア圧力によって大きく変わります。

除電ガンのその他情報

1. ハイパワー化された除電ガン

帯電量の多い対象物の帯電除去には、高い除電能力だけでなく、高い衝突力を併せ持つ強力な除電ガンが必要です。

ハイパワー化された除電ガンは、圧力損失を最小限に抑えた大流量電磁弁を搭載し、内部構造も最適化することで高効率なエア排出を実現しています。また、微細なくびれを持つ収縮拡大形状が特徴のラバールノズルなど、ノズル形状にも工夫が見られます。ハイパワーな除電ガンの筐体は、ガン先端から発射される高圧エアに耐えられるように一般的な除電ガンよりも更に頑丈に設計されています。

ノズル先端でのエアーの初速は音速を超える数値を記録します。その威力は離れた距離においても有効で、実際の作業条件に近い約30cm先の対象物へ最大風速50 m/s (0.7 MPa時)もの圧縮エアを噴射可能です。

2. 確実な静電気除去に不可欠な除電ガンの除塵機能

対象物の静電気除去を効果的に実施するために欠かせない工程が、適切な除塵作業です。帯電を取り除いてもほこりが残留していては前処理として不完全になってしまいます。

除電ガンが持つ静電気除去能力を十全に引き出すための除塵機能は、パルスエア機能とダストチェックライトが代表的です。

パルスエア機能
電磁弁の動きを制御することで強力エアの間欠放出をすることが可能です。パルスエアの噴射によって、対象物の周囲には振動した空気がムラなく全方位的に注がれ、より確実な静電気除去および強力な除塵能力を発揮します。パルスエアの効率は連続噴射と比較して約2倍であり、半分の出力で同等の効果を得られる省力化のメリットがあります。

ダストチェックライト
除電ガンを使用する作業の前後で大切なのが、対象物に付着したチリ・ホコリ等の異物確認です。ノズル面に面発光LEDを搭載した除電ガンは、高輝度でムラのない作業照明として重宝します。ライトなしでは見逃してしまうような微細な異物も容易に視認できるので、不良率低減と作業効率改善に寄与します。

参考文献

https://www.keyence.co.jp/ss/products/static/static-electricity/lineup/gun.jsp
https://www.vessel.co.jp/product/staticelectric/gun/detail/623045
https://www.vessel.co.jp/product/staticelectric/gun

エアクランプ

エアクランプとは

エアクランプ

エアクランプとは、圧縮空気を利用して動作するクランプです。

クランプは、対象物を押さえつけて固定する器具を指します。手動より強い力で押さえることが可能です。工場などで広く使用されており、金属製品や木材などの素材を加工する際に必要不可欠なツールの1つです。

電気を使わないため、作業現場での火災や感電のリスクを低減できます。ただし、適切なメンテナンスが必要であり、定期注油によってクランプの動作をスムーズにし、寿命を延ばします。また、過剰な空気圧力によって、クランプや作業品の損傷を招くため、適切な空気圧力に設定することが大切です。

エアクランプの使用用途

エアクランプは工場などで広く採用されます。以下はエアクランプの主な使用用途です。

1. 金属加工

金属加工において、金属板やパイプを切断する際に使用されます。また、溶接やボルト締結などの工程でも必要不可欠なツールです。エアクランプは高いトルクと力を発揮できるため、高い精度で作業を行うことができます。

2. 木工

木工においては木材を切断や穴をあけの際に使われます。また、木材を接着する場合に用いられることもあります。しっかりと木材を抑えることができるため、作業精度が向上します。

3. 自動車整備

自動車整備ではエンジン部品の交換や調整、タイヤ交換などの作業で使用されます。エアクランプの高いトルクによって、重量がある自動車部品をしっかり押さえます。

4. 塗装

塗装においてスプレーガン固定のために使用される場合があります。エアクランプによって固定されたスプレーガンはブレが少ないため、均一な塗装を実現することができます。

エアクランプの原理

エアクランプは、圧縮空気を動力源として対象物を固定するトグルクランプの1種です。圧縮空気の排出源は、一般的にエアコンプレッサーなどの装置です。圧縮された空気をエアラインを通してエアクランプに送ります。

エアクランプの中には、クランプを開閉するためのシリンダーがあります。シリンダーは圧縮空気が流れ込んでくることでピストンを押し上げてクランプを閉じ、シリンダーから空気を抜くとクランプを開くことが可能です。動作を電磁弁などで制御する方法が一般的であり、ボタン操作やフットペダルによって電磁弁に指令を発信して動作させます。

クランプ部分はトグル機構を用いることが多いです。トグル機構は2つのリンクとスライダーにより構成されるリンク機構の1種で、加えられた力が倍力構造によって増大して対象物を強く固定します。

エアクランプの種類

エアクランプはさまざまな産業分野で広く使用されています。以下はエアクランプの種類一例です。

1. 一体型エアクランプ

一体型エアクランプは、クランプとシリンダーが一体化されたエアクランプです。コンパクトな設計であり、設置場所を選ばず使える点が特徴です。また、取り付けが簡単であることも魅力と言えます。

2. パラレルグリッパー

複数のアームを使って作られたクランプです。アーム同士が平行に動くことで、物品をしっかりと把持します。特に、大型物品を取り扱う際に威力を発揮することが多いです。

3. ロータリークランプ

物品を回転させながら加工することができるクランプです。物品を固定したままクランプを回転させることができるため、作業効率が大幅に向上します。

エアクランプの選び方

エアクランプは作業効率を大幅に向上させる便利な工具ですが、適切なエアクランプを選ぶためにはいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

1. 使用用途

用途に応じて、適切なサイズと力を選びます。大型の部品を取り扱う場合は大きなサイズと力のあるエアクランプ、小型の部品を取り扱う場合は小さなサイズのエアクランプを選ぶことが適切です。

2. 形状

ストレートタイプやアングルタイプなどさまざまな形状があり、ベース取り付けやフランジ取り付けなどの取り付け方法も選べます。作業内容や設置場所に応じて、適切な形状と取り付け方法を選ぶことが重要です。

3. クランプ速度・繰り返し精度

クランプ速度と繰り返し精度も重要な要素の1つで、作業効率に大きく影響します。短時間で多くの作業を行う場合は、速いクランプ速度が求められます。また、精密な作業を行う場合は、高い繰り返し精度が重要です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0300000000/M0303000000/M0303090000/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0053.html
https://www.pisco.co.jp/dl/pdf/CBS1-01.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/387/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0300000000/M0303000000/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0300000000/M0303000000/M0303090000/
https://jp.misumi-ec.com/ec/incadlibrary/detail/000534.html

大電流コネクタ

大電流コネクタとは

大電流コネクタ

大電流コネクタとは、電源や動力などを対象として使用する、大きな電力、高電流に対応しているコネクタです。

コネクタとは、電気回路同士を容易に繋げたり切り離したりするための部品です。主に機器内の電気接続に使用されます。大電流コネクタは、多面接触方式を用いることにより、小型で大電流を通電させることが可能です。

大電流コネクタの使用用途

大電流コネクタは、数千Aもの大きな電流に耐えられるため、電力、車両、情報機器をはじめとして、加工・製造や、医療機器など様々な業界分野で使用されています。特に、電源設備やUPS周りなどは分野を超えて広く使用されている設備です。

1. 電力

電力分野では下記のような用途があります。電力分野では大きな電流を取り扱うことが多く、大電流コネクタは汎用されている重要な部品です。

  • 遮断機、断路器、変流器などにおける開閉器
  • 各種ケーブル機器 (ケーブルヘッダー、分岐接続など)
  • タップチェンジャー
  • 変圧器、変成器
  • ソーラー発電、風力発電、燃料電池などの再生可能エネルギー
  • ビル内配線、受配電設備

2. 車両

各種車両も大きな電流を取り扱うことから、大電流コネクタが活用されている分野です。EV、燃料電池車や電源車など、近年では需要が増加しています。

  • 電源設備、UPS (無停電電源装置)
  • 整流器やインバータ
  • パワートランジスタ
  • 自動結線器、及び、ジャンパーコネクタ

3. 情報機器

各種通信機器、コンピュータ、放送機器などにおいても大電流コネクタは使用されています。各種電源設備など他分野と共通の用途の他、情報機器特有の用途には、CATV分配器、中継車があります。

4. 製造・加工

各種製造・加工業においても、取り扱い電流が大きくなる場合に大電流コネクタは使用されています。

  • 半導体製造装置
  • 各種加工機 (放電加工、レーザー加工、プラズマ加工、マシニングセンター)
  • 溶接ロボット、溶接機
  • 射出成型機
  • 金型ヒーター、電気炉、高周波加熱炉
  • 連続鋳造設備、アルミ精錬設備
  • メッキライン、電解槽
  • 配電盤、電源設備

また、産業分野における各種試験・検査設備 (モータ試験装置、コンデンサ試験装置、バッテリー充放電検査装置など) においても使用される場合があります。

5. 医療機器・研究開発

医療機器の中にも大電流を通電させるものがあり、大電流コネクタは使用されています。

  • MRI
  • 高周波メス
  • 歯科機械
  • 各種電源設備、UPS

また、下記のような大規模な実験装置でも大電流コネクタは採用されています。

  • 加速器
  • プラズマ装置
  • 核融合装置、原子力実験装置
  • 超電導装置、電磁石
  • 航空宇宙

大電流コネクタの原理

1. 概要

大電流コネクタは、多面接触させる機構により、一般的なコネクタよりも大きな電流を通電させることが可能です。一般の汎用コネクタで大きな電流を通電させると発熱してしまいますが、大電流コネクタは多面接触接点により接触抵抗が抑えられており、温度上昇を抑えることが可能です。接触子にはルーバーやコイルスプリングなど、スプリング特性のある帯状ものが用いられることが多いです。

短絡電流にも強く、摺動・回転などの可動状態で通電させるところにも使用可能です。

2. 具体的な材質・構造

絶縁体無しの標準的な大電流コネクタの導体ボディ部分 (プラグ、ソケット) は真鍮製であり、銀メッキもしくは金メッキが施されています。接点材質にベリリウム銅合金が使用されていることも多いです。主な構造は下記の通りです。

  • ルーバー: 狭ピッチに高精度で羽が並べられており、多方向に多面接触。製品によっては、双曲線形状の格子に多くの接触点を発生させ、更に多接点化を実現。
  • コイルスプリング: スプリング特性を利用することで、常に多面での接触を維持。製品によっては、2種のスプリングの巻き方を使い分けることで圧縮力の方向を最適化。

このような構造上の工夫により、接触圧力が長期間安定化し、接触抵抗が最小化されており、大きな電流を、安全にロスを抑えて流すことができます。

大電流コネクタの種類

上述のように、大電流コネクタは各メーカーごとに形状などが工夫され、様々な種類があります。また、用途別でも種類が分類されており、燃料電池自動車用などではIP67の防水、防塵性を備えているものもあります。

標準的には、2φ〜100φであり、最大6000Aまでの通電容量の製品が用いられています。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

参考文献
https://www.globetech.co.jp/connector/basic/
https://www.globetech.co.jp/products/high-current/
https://www.solton.co.jp/products/connector001.html
https://www.amphenol.co.jp/military/techinfo/RADSOK_Technology.html

漏水検知帯

漏水検知帯とは

漏水検知帯とは、帯状のセンサー部です。

漏水検知器もしくは漏液検知器において用いられており、漏水や漏液を発見するための安全装置として使用されます。検知されるセンサ部分である帯に、漏れ出した水や液がかかると、電気抵抗が変化するため、水漏れや液漏れを検知して知らせることが可能です。

検知後は、漏れ出した水・液を完全に拭き取るとで再度使用することが可能なため、耐久性にも優れています。なお、床に設置するものと、配管の周囲に設置するもの2種類があります。

漏水検知帯の使用用途

漏水検知帯は、その優れた性能と多様な用途により、さまざまな場所で広く使用されています。

1. 住宅および建物

漏水検知帯は住宅や建物において重要な役割を果たします。床下や壁内などの隠れた場所に設置され、水漏れやパイプの破裂などの水の漏出を検知します。早期に漏水の発見が可能となり、建物や設備への損害を最小限に抑えることが可能です。

2. 商業施設およびオフィス

漏水検知帯は商業施設やオフィスでも広く利用されています。トイレやキッチン、洗濯機などの水回りや、設備の配管周辺に設置されます。水漏れが検知されると、警報や自動シャットオフ機能が作動し、被害を最小限に抑ることが可能です。施設の維持管理や業務のスムーズな運営へと役立ちます。

3. 工業施設および製造業

漏水検知帯は工業施設や製造業でも重要な役割を果たします。特に、化学物質や薬品の取り扱いが行われる場所では、漏水の早期検知が極めて重要です。漏水検知帯は、タンクや容器の底部に設置され、漏れた液体を検知することで、作業環境の安全性を確保します。

4. 医療施設および研究施設

医療施設や研究施設では、貴重な実験材料や試料を保護するために、漏水検知帯が使用されます。実験室や冷凍庫、冷蔵庫などの水回りに設置され、漏水や水漏れによる被害を防止します。

 

この他にもボイラーなどの冷却配管・冷却装置周りや床下配管の漏水・漏液検知に用いられます。

漏水検知帯の原理

漏水 (漏液) 検知帯は、電極間抵抗検知方式によって、水漏れや液漏れを検知しています。

1.正常時

正常時は、2つの漏水 (漏液) 検知帯の間には、電流は流れておらず、検知帯を流れる電気信号はターミネーターでカットされ、検知帯電極間は開ループとなっています。

2. 異常時

水や液が漏れ始めると、漏水 (漏液) 検知器が流れた電気信号を検知して、その電気信号の強さが設定値を超えると、水漏れや液漏れとしてアラームを出すという構造です。

なお、漏水 (漏液) 検知帯そのものが断線し、不良となる場合もあります。しかし、漏水 (漏液) 検知帯を流れる断線検知信号が、断線により検知器に戻ってこなくなることを異常と判断し、漏水 (漏液) 検知帯の断線を検知し、修理を促すアラームを出せるタイプの検知器もあります。

また、抵抗の変化による検出のため、一度漏水・漏液を検知した後は、水もしくは液体をふき取ることで、正常状態の抵抗値範囲に戻すことができるので、すぐにセンサーとして復帰して使用できるものが一般的です。

漏水検知帯の種類

漏水検知帯の種類ですが、検知方式については2本の検知帯である漏水・漏液センサ部の抵抗の変化により、漏水・漏液を検知する方式が一般的です。検出部の検知帯の形状や材質、機能の違いでいくつかの種類に分かれます。

形状による違いで種類が分かれるものについては、ベーシックな帯状タイプと、ポイントタイプの2種類の検知帯があります。

1. 帯状タイプ

敷設したセンサ部の箇所であればどこでも漏水・漏液を検知することができます。

2. ポイントタイプ

その名の通り漏水・漏液を1か所で検知するタイプで、漏水漏液箇所が絞られその箇所でのみ検知する場合に使用されることが特徴です。

検知帯の設置場所を考慮し、材質や機能の違いもいくつかあります。一般的なタイプに比べて耐高温性や薬品性に優れており材質が異なるものや、埃・湿度などが高い環境で使用できるもの、床に敷設するものとは異なり配管用に設置できるものなどがあります。

信号変換器

信号変換器とは

信号変換器とは、さまざまな種類のセンサーからの電気信号を、工業用の電流信号に変換する装置です。

一般的にセンサーの役割は、温度や荷重、機械の回転軸の回転数といった情報を測定対象物から収集し、計測データとして私たちに伝えたり、得られたデータを制御用機器に伝えます。そして制御用機器は、新たな指令を出力することによって、システムを制御します。

この過程において、センサーが出力した電気信号を、制御機器が扱える電気信号に変換するのが、信号変換器です。信号変換器は信号の伝達以外にも、センサーから異常な電気信号が出力された際に、回路の後工程に設置された制御用機器などにトラブルが生じないよう電気的に切り離す役割を果たすものもあります。

信号変換器には、さまざまな機器が含まれます。いずれもセンサから情報を受け取り、制御機器などに情報を伝達する役割を果たすものです。

信号変換器の使用用途

信号変換器は、さまざまなセンサーが用いられている電子機器において使用されています。工業製品の製造工場にある工作機械から、実験室や測定室にある計測機器まで、使用用途は幅広いです。

そのほか、工場で熱処理などの加熱、または冷却をするような処理炉、タービンやスピンドル、回転軸の回転数を制御するための機器、工作機械、荷重の大きさの計測が必要な工作機械、試験装置にも使用されています。

信号変換器の原理

信号変換器は種類によって原理が異なります。代表的な種類は以下の通りです。

1. アイソレータ

センサーなどでトラブルがあった際に、センサーと制御回路の間に入り、信号を電気回路的に切り離すことのできる信号変換器のことです。アイソレータはそのシステムの中において、信号の回り込みを防ぐ、機器を保護する、ノイズの影響を低減させる、異なったメーカーの機器の間において、信号の取り合い点を分界するといった目的で使用されます。

2. パルス変換器

パルス変換器は、回転数の速度制御を行う回路の中で使われます。近接センサと呼ばれる測定対象物が近接センサに接近した際に、非接触で検出できるセンサが発する信号をアナログ信号に変換します。

回転数を計測する際に、磁界や電界の変化を近接センサがパルス信号という電気の波の信号で検知すると、パルス変換器はアナログ信号に変換して出力します。

3. カップル変換器

カップル変換器は、温度を計測するシステムの中で使われています。温度の検知で用いられるのは通常、熱電対と呼ばれるセンサです。

熱電対は2種類の異なる金属を組み合わせ、温度に応じて生じる熱起電力と呼ばれる信号を出力します。カップル変換器は熱起電力を、アナログ信号に変換して出力します。

4. ロードセル変換器

ロードセルとは、荷重の大きさを計測するセンサーのことです。ロードセルには歪みゲージという、力による変形によって、非常に細い電線の長さが伸び、太さが細くなることによって抵抗値が変化するセンサーが使われています。

ロードセル変換器の役割は、歪みゲージの抵抗値の変化をアナログ電気信号へと変換することです。得られた電気信号を用いることによって、私たちは対象となる力の大きさを計測できます。

信号変換器のその他情報

信号変換器の注意点

信号変換器は電気信号を扱うため、ノイズ対策が重要になります。高い周波数を発生する機器や、サージと呼ばれる異常に高い電圧が瞬間的に発生するような現象を発生する機器からは、なるべく距離を離して設置することが大切です。

サージ以外にも、モータ、トランス、ソレノイド、マグネットコイルなどといったノイズを発生しやすい機器の近くに設置する際は、サージアブソーバやノイズフィルタなど、ノイズを取り除く機器の設置も検討することをおすすめします。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/63/312/index.html
https://e-sysnet.com/henkan2/
https://www.m-system.co.jp/products/signal/signal40.html
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/signals_tg_j_2_3.pdf

パイプ切断機

パイプ切断機とは

パイプ切断機

パイプ切断機とは、さまざまな素材のパイプを切断する際に使用する機械のことです。

ステンレス鋼炭素鋼などの堅固な金属の切断に適したものや、小型な塩ビ管やポリエチレン管の軽量なものの切断に適したものまで、さまざまな種類があります。一部の機種は、高速切断機としても知られています。いずれの種類も切断精度の向上や作業効率の改善を実現しています。

多くのパイプ切断機は、のこぎり刃を使用しているため、作業時には安全に注意が必要です。定期的なメンテナンスを行い、機械の状態を常に確認します。パイプ切断機は多様な材料に対応し、高精度な切断を実現する機械ですが、安全に取り扱わなければ事故や機械の故障につながる可能性が高いため注意が必要です。

パイプ切断機の使用用途

パイプ切断機は、ステンレスや軟鋼、アルミ、銅、真ちゅう、塩ビ管、ポリエチレン管などのパイプを切断する際に使用されています。業界によっては、のこぎり刃ではなくレーザーを用いたパイプ切断機も使用され、より高精度な加工が可能です。

例えば、建築業界では水道やガス管、空調配管の切断、工業製品の生産現場では、パイプ継ぎ手の加工や配管の切断が行われています。また、自動車や航空機、船舶、電子機器などの製造にも広く使用されています。高精度な切断が求められるため、レーザーを利用した高性能なパイプ切断機を使用する場合が多いです。

また、医療分野でも、手術で使用される鋼管や血管・神経の解剖学的研究において、パイプを切断する際に使用されています。切断精度が高く、加工品質が安定しているため、製品の生産ラインでも継ぎ手があるパイプや角パイプなど、細かな形状に合わせた切断が求められる場合には、パイプ切断機が必要です。

パイプ切断機の原理

パイプ切断機は、プラズマやレーザーで切断する機種もありますが、一般的に丸のこぎりを高速回転させてパイプを切断します。切断中は摩擦熱により火花や切り子が飛び散る可能性があるため、防じんマスク、ゴーグルなどの防護服が必要です。

のこぎり刃の設置位置は、内側のクランプ側か外側か、あるいは両側に設置するか、機種によって異なります。対象物をバイスに固定し、電動モータで切断速度を調整し、のこぎり刃を回転させて対象物の切断箇所に接触させ、切断します。切断する際は、切断面と刃は熱くなっているので絶対に触らないようにしましょう。

基本の原理は共通していますが、クランプ機構に硬化アルミニウムを使用して、パイプを変形せず切断できるように工夫されている機種もあります。

パイプ切断機の種類

パイプ切断機には、一般的なパイプ切断機、レーザーパイプ切断機、ウォータージェットパイプ切断機の3種類があります。

1. 一般的なパイプ切断機

のこぎり刃を使用するパイプ切断機です。ステンレスや軟鋼、アルミ、銅、真ちゅうなどの金属製パイプを切断できます。また、比較的小型で携帯性に優れた製品もあり、現場作業に向いています。

2. レーザーパイプ切断機

レーザーを使用するパイプ切断機です。高精度で直線的な切断が可能で、加工位置精度も高く、塩ビ管やポリエチレン管などのプラスチックパイプも切断できます。ただし、材料の厚みや種類によっては切断が困難な場合があります。

3. ウォータージェットパイプ切断機

水圧を利用するパイプ切断機です。高圧水流でパイプを切断するため、高い切断精度ときれいな切断面を実現できます。また、熱が発生しないので、材料によっては変形や劣化が起こる心配がありません。ただし、比較的大型で高価な製品が多いため、導入コストがかかる場合があります。

参考文献
https://www.mac-wels.co.jp/pipe_ace_power_assist_pipe_saw.html
http://www.fuji-kikai.co.jp/lineup/new/cutting/index.html
http://taihoeng.co.jp/