エアクランプとは
エアクランプとは、圧縮空気を利用して動作するクランプです。
クランプは、対象物を押さえつけて固定する器具を指します。手動より強い力で押さえることが可能です。工場などで広く使用されており、金属製品や木材などの素材を加工する際に必要不可欠なツールの1つです。
電気を使わないため、作業現場での火災や感電のリスクを低減できます。ただし、適切なメンテナンスが必要であり、定期注油によってクランプの動作をスムーズにし、寿命を延ばします。また、過剰な空気圧力によって、クランプや作業品の損傷を招くため、適切な空気圧力に設定することが大切です。
エアクランプの使用用途
エアクランプは工場などで広く採用されます。以下はエアクランプの主な使用用途です。
1. 金属加工
金属加工において、金属板やパイプを切断する際に使用されます。また、溶接やボルト締結などの工程でも必要不可欠なツールです。エアクランプは高いトルクと力を発揮できるため、高い精度で作業を行うことができます。
2. 木工
木工においては木材を切断や穴をあけの際に使われます。また、木材を接着する場合に用いられることもあります。しっかりと木材を抑えることができるため、作業精度が向上します。
3. 自動車整備
自動車整備ではエンジン部品の交換や調整、タイヤ交換などの作業で使用されます。エアクランプの高いトルクによって、重量がある自動車部品をしっかり押さえます。
4. 塗装
塗装においてスプレーガン固定のために使用される場合があります。エアクランプによって固定されたスプレーガンはブレが少ないため、均一な塗装を実現することができます。
エアクランプの原理
エアクランプは、圧縮空気を動力源として対象物を固定するトグルクランプの1種です。圧縮空気の排出源は、一般的にエアコンプレッサーなどの装置です。圧縮された空気をエアラインを通してエアクランプに送ります。
エアクランプの中には、クランプを開閉するためのシリンダーがあります。シリンダーは圧縮空気が流れ込んでくることでピストンを押し上げてクランプを閉じ、シリンダーから空気を抜くとクランプを開くことが可能です。動作を電磁弁などで制御する方法が一般的であり、ボタン操作やフットペダルによって電磁弁に指令を発信して動作させます。
クランプ部分はトグル機構を用いることが多いです。トグル機構は2つのリンクとスライダーにより構成されるリンク機構の1種で、加えられた力が倍力構造によって増大して対象物を強く固定します。
エアクランプの種類
エアクランプはさまざまな産業分野で広く使用されています。以下はエアクランプの種類一例です。
1. 一体型エアクランプ
一体型エアクランプは、クランプとシリンダーが一体化されたエアクランプです。コンパクトな設計であり、設置場所を選ばず使える点が特徴です。また、取り付けが簡単であることも魅力と言えます。
2. パラレルグリッパー
複数のアームを使って作られたクランプです。アーム同士が平行に動くことで、物品をしっかりと把持します。特に、大型物品を取り扱う際に威力を発揮することが多いです。
3. ロータリークランプ
物品を回転させながら加工することができるクランプです。物品を固定したままクランプを回転させることができるため、作業効率が大幅に向上します。
エアクランプの選び方
エアクランプは作業効率を大幅に向上させる便利な工具ですが、適切なエアクランプを選ぶためにはいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
1. 使用用途
用途に応じて、適切なサイズと力を選びます。大型の部品を取り扱う場合は大きなサイズと力のあるエアクランプ、小型の部品を取り扱う場合は小さなサイズのエアクランプを選ぶことが適切です。
2. 形状
ストレートタイプやアングルタイプなどさまざまな形状があり、ベース取り付けやフランジ取り付けなどの取り付け方法も選べます。作業内容や設置場所に応じて、適切な形状と取り付け方法を選ぶことが重要です。
3. クランプ速度・繰り返し精度
クランプ速度と繰り返し精度も重要な要素の1つで、作業効率に大きく影響します。短時間で多くの作業を行う場合は、速いクランプ速度が求められます。また、精密な作業を行う場合は、高い繰り返し精度が重要です。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0300000000/M0303000000/M0303090000/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0053.html
https://www.pisco.co.jp/dl/pdf/CBS1-01.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/387/
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https://jp.misumi-ec.com/ec/incadlibrary/detail/000534.html