レールシステム

監修:シンテック株式会社

レールシステムとは

レールシステムとは従来からある電動クレーンを簡易的に人が引っ張って動作させることができるシステムです。

天吊りすることにより、X・Y方向へ自在に移動させることができます。電動チェーンブロック、エアーホイスト、電動バランサー、エアーバランサーなどの昇降装置と組み合わせて三次元的な動きが可能になります。

レールの素材はスチールとアルミ製があり、耐荷重や操作荷重を考慮しながら選定します。比較的軽い重量のものや1t程度の重量物もスムーズに移動できます。操作荷重は持ち上げるものの重さの1%〜1.5%と言われており、運搬作業を効率的かつ安価に行うことが可能です。

レールシステムの使用用途

レールシステムは、様々な産業シーンで活用されており、主な用途には下記のようなものがあります。

  • 部品や製品の搬送用
  • 搭載補助装置のレール
  • 介護用レール
  • 昇降機器のガイド
  • 農業用途における省力化

製造業では、自動車産業をはじめとして、様々な産業分野で使用されており、主な運搬物には

  • 自動車部品
  • 段ボール/袋物
  • ロール材
  • 電子機器・機械
  • 缶・容器
  • 板材 (木材・鋼板・ガラス)
  • 建築資材

などがあります。また、クリーンルーム対応のレールシステムもあり、クリーンルームを必要とするような製品製造にも利用可能です。

農業分野においては、ビニールハウス内の搬入・搬出や、畑での収穫作業など作業の省力化・効率化などに活用されている機器です。また、介護用途では、病院や施設において、リフトを用いて要介護者を運ぶことに利用されています。居室・病室から、トイレ、浴室、デイルーム、リハビリ室や、手術室などへの移動に活用されています。

レールシステムの原理

1. 構成

レールシステムは、レールの他、下記のような部品から構成されています。

  • ハンガー:  上部の梁からランウェイレールを吊る金具
  • エンドトラック: ランウェイレールとガーターレールをつなぐ金具
  • トロリー: ホイストやバランサーを吊るす、レールの中を通る滑車
  • エンドキャップ: レールの端部に取り付ける金具
  • 中間ストッパー: トロリーやエンドトラックの停止位置を調整する可動式の金具

これらの部品と、直線レールやカーブレールを組み合わせて搬送経路が構築されます。万一トロリーが破損しても落下することの無いよう、落下防止ピンなどの装置が取り付けられていることが多いです。ハンガーやエンドトラックには、レール貫通式のボルトが入っているなど、製品によって落下の危険性を少なくする工夫があります。

2. レール

レールシステムには主にアルミ製とスチール製があります。

アルミレールは押出成形によって製造されるレールです。軽量で走行性・操作性ともに高く、腐食しにくいことが特徴です。サビが出ないため、作業空間を衛生的に保つことができ、劣化・破損のおそれも小さくなります。また、自重がスチールレールに比べて軽いので、操作荷重が小さいこと、耐荷重がスチール製に比べて小さいことも特徴です。

スチールレールは、アルミレールに比べて強度が大きいレールです。そのため、耐荷重が大きくなります。また、価格が安いという特徴があります。

レールシステムの選び方

レールシステムには様々な種類があります。形状には天井設置型や懸垂型があり、作業場所に合わせて選択されます。

また、前述の通りレールの材質にはアルミとステンレスの種類があり、レールの耐荷重は、材質やレールピッチ (長さ) 、使用するハンガーなどによって異なります。使用したい場所の可動範囲と耐荷重に合わせてコース設計・レール敷設を行うことが必要です。一般的には、レールピッチが短い方が耐荷重が大きくなります。レールは1mから1m刻みで6mまでの長さで製造されていることが多いです。最も短く耐荷重の多いものでは推奨荷重で1000kgまで耐え、レールが長く耐荷重の小さいものでは推奨荷重数十kg程度になります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事はレールシステムを製造・販売するシンテック株式会社様に監修を頂きました。

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DfAM設計サービス

監修:Primal Design.Labo合同会社

DfAM設計サービスとは

DfAM設計サービスとは、主に3Dプリントのための設計手法であるDfAMを行うサービスです。

DfAMとは、Design for Additive Manufacturing (付加製造のための設計) の略称です。付加製造とは材料を積層しながら立体造形する製法を意味しており、今日では一般的に3Dプリントのことを指します。既存の3D CADによる設計の多くは、切削加工や射出成形といった従来工法が前提とした設計です。そのため、単にこれらを置き換えるだけでは、3Dプリンタならではの強みやメリットを最大限に発揮することは難しくなっていました。DfAMは、3Dプリンタ特有の検討事項を検討したり、3Dプリンタの機能を生かした設計を実現したりすることに活用されています。

DfAM設計サービスの使用用途

DfAM設計サービスは主に3Dプリンタによる造形を行うために活用されているサービスです。使用される主な用途・目的として、

  • 部品形状の最適化、軽量化、熱マネジメント
  • 複数部品の一体化 (従来工法で不可能な複雑な構造の実現)
  • 部素材の機能や構造の最適化解析

などが挙げられます。部品形状の最適化では、特定の力に耐え得る形状の造形などが可能であり、部品の軽量化では、部品の中身などをラティスと呼ばれる格子構造にすることで従来のパーツを軽量化させることが可能です。DfAMを用いて複数のパーツを統合させることにより、機能性を損わずに (或いは増幅して) 組立てパーツの数を減らすことができます。また、パーツの数を減らすことにより、複数パーツのアセンブリに関わる時間や組立コストを削減することが可能です。

これらの技術は、車両、航空機、宇宙工学、電子部品、工具など、様々な製造現場・分野で活用されています。また、人工骨やインプラントなどの医療分野でも使用されている技術です。

DfAM設計サービスの原理

1. 概要

DfAMは、3Dプリンタならではの設計を可能にする設計手法です。主な設計要素には

  • インフィルの設計
  • トポロジー最適化
  • ジェネレーティブデザイン

などが挙げられます。

また、設計時にパーツの形状 (壁の厚さや自立する形状など) が3Dプリントに適切であるかどうかをチェックし、データを修復 (ノイズや穴など) したり、編集 (サイズオーバー、反り防止など) したりする機能もあります。

2. インフィル

インフィルとは、3Dプリントにおいて製品の内部を埋めるために使用される素材の形状パターンや密度です。インフィルのパターンには格子状、ハニカム (蜂の巣)、線形など、さまざまな形状があります。代表的なインフィルの構造にはラティス構造とポーラス構造があります。3Dプリントにおいては、内部の密度を下げて造形速度を速くすることが可能です (インフィルレート調整) 。

  • ラティス構造とは、格子状の構造です。素材の使用量を削減しつつ軽量化と強度の両方を実現できることが特長です。
  • ポーラス構造とは、多くの小さな空隙 (ポーラス=孔) を持つスポンジや軽石のような構造です。物体の表面積を大きくすることができ、冷却効率が向上します。そのため、金属3Dプリンターで特に適用されています。また、骨に似た構造のため、人工骨やインプラントなど医療分野でも使用されます。

3. トポロジー最適化

トポロジー最適化とは、材料の配置を最適化する手法です。元となるデザインに対して負荷の条件を設定し、最適化シミュレーションが実行されます。使用する材料を少なく保ちながら、大きな強度を持つ製品を設計することができます。

4. ジェネレーティブデザイン

ジェネレーティブデザインは、AIやアルゴリズムなどを使用して、多数の設計案を生成する手法です。トポロジー最適化と組み合わせて使用されますが、トポロジー最適化がオリジナルのデザインをシミュレーションによって最適化するのに対し、ジェネレーティブデザインは目的と要件からデザインを生成します。

設計者は要件を入力し、システムがそれを満たす多様な設計案を提供するため、これまでの常識にとらわれない斬新な形状設計が可能であるとされます。

DfAM設計サービスの種類

DfAM設計サービスは、製品製造の様々なステップで活用することができます。具体的には

  • 工法・機種選定
  • 機構部設計
  • 形状の最適化
  • 部品点数削減
  • メタマテリアルやメカニカルマテリアルの提案

などのサービスがあります。

製品の構造や工法を最適化するほか、メタマテリアルやメカマテリアルなどの提案では、自然界には無い振る舞いをする構造体、及び、形状や材質を制御して目的の機械的振る舞いをする構造体を提案することが可能です。既存のCAD/CAMなどと連携するサービスも各種用意されています。

本記事はDfAM設計サービスを提供するPrimal Design.Labo合同会社様に監修を頂きました。

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IR照明

監修:株式会社ユーテクノロジー

IR照明とは

IR照明とは、赤外線領域の波長の光 (赤外光) を発光する照明です。

赤外線 (IR) は、可視光線の赤色より波長が長く (約800nm以上) 、人間の肉眼で見ることはできません。赤外線はカメラなどのセンサーで検知され、IR照明は特に赤外対応レンズ・カメラと併用して使用され、赤外線の透過性や水分に吸収される特性を用いた製品検査に利用されています。リング照明、バー照明など、様々な形状の種類があります。

IR照明の使用用途

赤外線は、可視光では検出が難しいものを検出したり、物質を透過して撮像できるため非破壊検査に用いられたりします。また、可視光域に化学反応してしまう物質の検査にも赤外線撮影は有効です。

IR照明はこのような赤外線の特性を用いた検出において、その光源として使用される照明です。各種産業的検査の他、監視カメラなども赤外線カメラは使用されており、夜間や低照度環境において、赤外線照度を補う目的でIR照明が使用されます。主な検査には下記のようなものがあり、半導体、ウェハー、電子基板、太陽電池、農産物、食品、偽造防止、工程品質管理などの分野で活用されています。

  • 基板やシリコンウエハの検査
  • パッケージ製品の内容物検査や異物検出
  • ブラシ製品などの樹脂部分内部の検査
  • 完成品や内容物の検査
  • 工業製品・食品の水分の可視化・検出
  • 基板やシリコンウエハの検査
  • 液体の透過による内部の異物検査
  • 表面の印刷や塗装面を透過しての非破壊検査

IR照明は、これらの検査における光源として利用されています。また、波長域が狭いため、一般的なランプと比較しても照射熱が少ないため、熱によるダメージを受けやすい対象物の取り扱いにも適しています。

IR照明の原理

IR照明には、主に赤外線LEDが使用されています。赤外線LEDは発光ダイオードの一種です。赤外線LEDで照射される赤外線は、赤外線の中でも特に近赤外線 (NIR) と呼ばれる波長740nm~1000nmの領域や、短波赤外波長 (SWIR) と呼ばれる1000nm~1700nmの領域の光です。一般的にSWIRのほうが透過性が良いとされています。

紫外光や可視光と比較すると赤外光は散乱率が非常に小さいため透過率が高くなります。物質の中には、可視光を通さないものでも赤外線を透過するものが在るため、赤外線は透過検査に利用することができます。シリコンウエハ・パッケージ・液晶・活字を透過して検査・観察したり、有色液中の状態を把握することが可能です。

また、水は1450nm付近の波長を吸収するため、水分の有無を利用する検査に適しています。850nm波長の光では水を透過してしまいますが、1450nmの光は水に吸収されて黒く映ります。

IR照明の種類

IR照明には様々な種類の製品があります。光源にはLEDが使用される事が多く、製品によってピーク波長は異なっています。一般的には、780nm、850nm、940nm、1050nm、1100nm、1200nm、1300nm、1450nm、1550nm、1650nmなどの波長の種類があります。一般的なCMOSカメラの感度がおおよそ1000nmまでということもあり、波長850nmの照明は特に多くの製品が販売されています。

リング照明、バー照明、面発光型照明、ドーム型照明、スポット照明、ファイバー照明、光源照明、投光照射照明などの形状があり、用途に合わせて使い分けることが可能です。スポット照明や投光照射照明は、遠距離から明るく集光照射することに適した製品と、近距離から広範囲を照射することに適した製品などの種類があります。

また、その他にも、赤外線監視カメラで広い範囲を監視したい場合などには、赤外線投光器が用いられています。

本記事はIR照明を製造・販売する株式会社ユーテクノロジー様に監修を頂きました。

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バニシング加工

バニシング加工とは

バニシング加工とは、旋盤加工機にバニシングローラーという特殊工具を装着し、表面を削らずに面を押しつぶして塑性変形によって滑らかにする加工です。

内面・外面・端面などに対して行うことができ、特に、外径では、リング形状の製品で、外径面に高い面粗度を求められる製品などに施されている加工です。バニシングとは英語の「burnish:磨く・光らせる」を由来としています。旋削並みの加工精度と研磨並みの面粗度を両立していることが特徴です。

バニシング加工の使用用途

切削加工で加工した金属製品の表面には、微細な山形状の凹凸が発生します (挽き目) 。バニシング加工は、金属ワークの内面・外面・端面などに発生するこのような凹凸を押しならして、滑らかにする目的で行われる加工です。精密機器や自動車業界等の様々な分野で使用されています。

内面・外面・端面などに対して加工を行うことができますが、外径では、シャフトなどの軸形状の金属や、高圧油圧部品などのリング状の金属部品の外周面上などに適しています。また、半導体製造装置用継手のように、金属同士の接触によって流体をシールする機構などにも行われる加工です。この場合、表面粗さの改善と加工面の硬度向上を同時に目的とします。

バニシング加工の原理

1. 概要

外径等のバニシング加工では、旋盤加工機にローラバニシングツールを使用し、切削加工後の表面を押しならします。切削加工ではなく表面を塑性変形させる加工であり、切屑が出ません。更に、表面の硬度が上昇するという特徴があります。加工後の表面は鏡のように反射し、滑らかな仕上がりです。

内径におけるバニシング加工では、穴あけ加工と同時にバニシング加工を行うバニシングドリルが使用されます。

2. バニシング加工の特性

研磨で表面を滑らかにした場合、削るという特性の都合上小さなギザギザが残りますが、バニシング加工では山をならすことで表面が滑らかな形状になります。そのため、ほかの部品と擦れたときに相手を傷つけにくい表面に仕上がることが特徴です。その他、バニシング加工の特性には下記のようなものがあります。

  • 切り屑が出ない
  • 面粗度と強度が向上する
  • 汎用性が高く、使い勝手が良い
  • 納期が短く済み、効果的な方法で仕上り面を得ることが可能 (研磨加工との比較)
  • 粗さの大幅な低減(用途によって90%以上の低減が可能)
  • 表面の硬度化・耐摩耗性・耐食性の向上
  • 加工公差の向上

バニシング加工の種類

バニシング加工に用いられるツールにはいくつかの種類があります。

1. ローラーバニシングツール

ローラーバニシングツールは、旋盤加工機に取り付けてバニシング加工を行う代表的なバニシングツールです。外径、端面、テーパや穴など、様々な形状に対するツールがあります。

ローラーの圧力を調整することで、さまざまな研磨レベルを実現することができます。サイズや材質 (鉄系・非鉄系) を問わず、さまざまな製品に対応可能です。

2. バニシングドリル

バニシングドリルとは、穴あけ加工と同時にバニシング加工を行うことができるドリルです。

切削による穴加工を行いながら、金属の凹凸面を押しつぶして面をならします。ねじれのないストレートな形状が一般的で、チゼルで切削加工をしながら、ガイドと呼ばれる部分が追従するようにバニシング加工を行っていく仕組みになっています。

3. ダイヤモンドバニシング

ダイヤモンドバニシングは、単結晶ダイヤモンドと加工に適切な圧力を保つスプリング機構を組み合わせてバニシング加工を行うバニシングツールです。単結晶ダイヤモンドは、高硬度で摩耗に強い素材であり、ダイヤモンドバニシングは、ダイヤモンドのチップを素材に押し当てて、旋盤後の挽き目の山をならします。ダイヤは再研磨を行うことができます。内径用、外径用など様々な形状・種類があります。

4. その他

その他、特殊なバニシングツールに、Oリング溝仕上げ加工用バニシングツールや、ディープローリング加工を行うことのできるローラーバニシングツールなどがあります。ディープローリング加工とは、シャフト形状の段差部分など、疲労破壊が懸念される部位に圧縮残留応力を持たせて疲労強度を向上させるためのバニシング加工です。

欠陥検査装置

欠陥検査装置とは

欠陥検査装置とは、製品や部品の欠陥を検出するための検査装置です。

特に外観の欠陥検査を行うための装置は、外観検査装置と呼ばれる場合もあります。装置の一部は、赤外線などを用いることで内部欠陥を検出することが可能です。金属製品や樹脂製品の欠陥検出の他、OCRなどを用いて食品パッケージの欠陥を検出することなどにも使用されます。

欠陥検査装置の使用用途

欠陥検査装置は、機械、電子・半導体、金属、食品など様々な製造分野で利用されている装置です。主に下記のような欠陥の検出に使用されます。

  • 製品表面のキズや汚れ
  • 布に付着した汚れや縫製不良
  • 樹脂やゴムの成型時に発生する欠けやバリ
  • 塗装面の変色や色ムラ
  • 食品パッケージなどの印字検査 (OCR) 、穴や異物

また、このような欠陥検査が行われる製品には、下記のようなものがあります。

  • リチウムイオン二次電池の部材 (電極、電極セパレータ)
  • ベアリング・ボルト・ネジ
  • プリント基板
  • 半導体ウエハ
  • フラットパネルディスプレイ⽤の各種フィルム
  • タッチパネル、タッチデバイス
  • 紙・不織布・炭素繊維
  • 板ガラス
  • FCCL用の金属箔
  • 自動車用の鋼板
  • リードフレーム
  • 圧延・電解銅箔
  • アルミ材
  • 食品パッケージ
  • 医薬品容器

欠陥検査装置の原理

1. 欠陥検査装置で検出される欠陥の例

  • 傷やクラック
  • 欠け・バリ
  • 汚れや凹み
  • 寸法異常
  • 位置・角度の異常
  • 異物付着・混入
  • 形状異常
  • 変色
  • 印字不備 (OCR検査)

2. 欠陥を検出する仕組み

欠陥検査装置が欠陥を検出する仕組みには、画像処理方式やレーザースキャン方式などがあります。

画像処理方式では、CCDカメラなどのカメラで撮影した画像データを処理して欠陥検査を行います。あらかじめ良品の情報を登録しておき、撮影したデータと照合して合否判定を行う仕組みです。また、AIを用いて不良検出を行う仕組みも近年取り入れられています。

レーザースキャン方式では対象物に光学レーザーを照射し、反射光の分析によって表面の傷や欠陥を検査します。一般的に、画像処理方式よりも高精度な検査が可能です。また、内部欠陥の検出が可能な製品もあります。レーザーの種類には、平行ビーム型とレーザー集光型、可変焦点方式があります。平行ビーム型が安定した照射が可能であるのに対し、レーザー集光型は検査精度が高いことが特徴です。可変焦点方式は、集光スポットが安定しないというレーザー集光型の弱点を克服しています。

欠陥検査装置の種類

欠陥検査装置には、検査対象物によって様々な種類があります。半導体産業で使用されるウエハ欠陥検査装置や、電子部品用検査装置、不織布向け欠陥検査装置、パッケージの検査などに使用されるOCR文字検査装置などがあります。

1. ウエハ欠陥検査装置

ウエハ欠陥検査装置は、半導体産業で使用されるウエハの欠陥検出に特に特化している欠陥検査装置です。

半導体ウエハには、同じパターンの電子デバイスが並んで製造されます。欠陥は、異物などのごみに起因してランダムに発生することが多く、特定の場所に繰り返し発生する確率は、非常に低いと考えられます。典型的なウエハ欠陥検査装置であるパターン付きウエハ検査装置は、隣接するチップのパターンの画像同士を比較し、その差分を取ることで、欠陥を検出します。

一方、パターン無し検査装置は、異物や欠陥にレーザー光線が当たると、光が散乱することを利用し、レーザー照射と散乱光の検出によって欠陥検出を行います。主に、ウエハメーカーによる出荷検査、デバイスメーカーにおける受け入れ検査、などに使用される装置です。

その他、赤外光による内部欠陥検査を行うことができる装置もあります。

2. 電子部品用欠陥検査装置

電子部品用欠陥検査装置では、各種基板やイメージセンサなどの外観検査を行う装置などがあります。

セラミック基板に発生するクラックや汚れ、オーバーエッチング、パターンショート等の欠陥検査に特化した装置や、出荷前イメージセンサ製品の素子面・ケース内面・ワイヤ接合部・ガラス面それぞれに適した欠陥検査装置などがあります。これらの装置では、微細な異物や欠陥の検出や、膨れや凹みといった立体的な欠陥も検出することが可能です。

ダストモニタ

監修:株式会社マツシマメジャテック

ダストモニタとは

ダストモニタとは、集塵機からの発塵を監視する粉塵計です。

工場などから排出される排気中に含まれる粉塵は、大気汚染や健康被害の原因となるため、集塵機を用いて汚染を防止する必要があります。ダストモニタを用いて、集塵機からのダストの微量な漏れをモニタリングすることで、適切に集塵機が稼働しているかをチェックすることができ、また不具合の際も粉塵の漏れ始めをすばやく検出することができます (予知保全) 。

ダストモニタの使用用途

工場などから排出される粉塵は、大気中に放出されると環境と健康に悪影響を及ぼします。現在、多くの工場では粉塵を大気へ排出しないように集塵機を設置していますが、安全のためには集塵機の不具合やメンテナンスミスなどが発生しないよう、モニタリングを行うことが必要です。また、モニタリングを行うことで集塵機フィルターを最後まで使い切ることができるようになり、廃棄物削減とコスト削減に貢献することも可能です。

ダストモニタは、このような集塵機に不具合(故障や劣化など)が起きていないかをモニタリングするため、使用されています。業種を問わず、排ガスや粉塵の処理のある様々な工場で使用されている装置です。尚、通常の工場粉塵だけでなく、放射性物質の濃度を測定する場合に専用のダストモニタが用いられることもあります。

ダストモニタの原理

ダストモニタは集塵機の二次側配管に取り付けられます。24時間常時測定を行い、粉塵が規制値を超える前に警報を発します。

ダスト濃度を測定する機器の性能評価方法はJIS規格として規定されており、光散乱方式、光透過方式及び摩擦静電気検出方式の3種類の方式について性能評価方法が規定されています。

1. 光散乱法

ダストモニタの測定法の一つである光散乱法は、粉塵によって散乱する光を計測して粉塵濃度を測定する方法です。吸引ファンを用いて、空気吸引口から連続的に浮遊粉塵を取り込み、白色光やレーザー光を粉塵に照射します。

粉塵から発せられた散乱光の量を連続的に受光部で検知して、その光量を光電変換素子で電気信号に変換します。こうして得られた単位時間当たりの散乱光量 (cpm: counts per minute ) の濃度値にK値 (質量濃度変換係数 ) を掛けることにより、粉塵の質量濃度 (mg/m3) を求めることが可能です。

2. 光透過法 (吸光光度法)

光透過法 (吸光光度法) は、粉塵による光の減衰量を利用して計測する方法です。連続的に浮遊粉塵を取り込み、白色光やレーザ光を粉塵に照射して、粉塵による光の減衰量を光電変換素子で電気信号に変換します。この光の減衰量 (透過率) の対数値に比例する相対濃度を求めて、粉塵濃度 (mg/m3) とします。

3. 摩擦静電気検出方法

摩擦静電気検出方法とは、電荷の移動を利用する検出方法です。排ガス中にプローブ状の電極を挿入すると、ダストが電極に衝突する、或いは、近傍を通過する際に電荷の移動が生じます。この電荷の移動は、ダスト濃度と相関関係にあります。

集塵機に取り付けられるダストモニタには摩擦静電気検出方式の製品が最も多く、直胴ダクト内にプローブを差し込んで測定が行われます。

ダストモニタの種類

ダストモニタの製品種類には様々なものがあります。上述の検出方法の種類のほか、センサ部・変換器が一体型となっているものや、分離型となっている別置き構造のものがあります。別置き構造のメリットは、変換器側で測定レンジやデータ平滑化、表示方法を設定することが可能であり、また、変換器側のみを交換することもできるという点です。変換器側のデータの表示方法には、%表示の製品とmg/m3表示の製品などがあります。

温度耐性については、250℃以下の通常仕様の製品の他、400℃以下の高温仕様の製品もあります。また、防爆仕様の製品もあり、防爆仕様と共に防塵防滴構造になっている場合もあります。

本記事はダストモニタを製造・販売する株式会社マツシマメジャテック様に監修を頂きました。

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家具製造

家具製造とは

家具製造とは、様々な用途で使用される家具一般を製造するサービスです。

机・テーブル、椅子・チェア、収納家具など、様々な種類の家具が製造されます。箱物家具類と脚物家具類に分類されて区別される場合もあります。材質の種類は、木製家具やスチール家具など、製品や用途によって様々です。家具製造にあたっては、設計から、製材加工、組み立て、塗装など、製品完成まで様々な工程があり、様々な加工方法を用いて製品製造が行われています。

家具製造の使用用途

家具製造には、様々な種類の家具の製造が総称して含まれています。製造される製品は、机・テーブル、椅子・チェア・ソファ、箱物家具、収納家具など、様々です。

製造される家具の用途は、家庭用のみならず、店舗・商業施設用、オフィス用、学校などの教育施設用など様々な用途があります。

家具製造の原理

1. 工程

家具製造は、複数の工程を経て行われます。実際に家具製品へと加工・組み立てる工程の他にも、様々な工程を経て家具へと加工されます。

  1. 製材加工: 材料となる木材などを板材へと加工します
  2. 設計・図面の製図
  3. 部材の寸法や枚数の拾い出し・リスト化
  4. 部材のカット
  5. 加工処理: 事前に作成した加工データを基に穴あけをはじめとする各種加工処理を行います
  6. 組み立て
  7. 仕上げ・塗装
  8. 検査
  9. 出荷

多くの場合において、機械化や分業によって効率化が図られている事が多いです。特に図面作成や、加工データの作成などは、コンピュータ化されている場合も多く、加工機械と連動して機械による効率的な管理が進められています。

また、この他にも木材の表面に高温のローラーで圧力をかけ、熱圧処理を施すことで強度や硬度を高める圧密加工や、板材に熱と圧力を加えて曲げる加工などが施される場合もあります。

2. 家具製造における加工と使用される機械

木製家具製造における切削、穴あけ、などにおいては、自動化・効率化を行う目的で、 NCルーター、CNCマシニングセンタなどが積極的に導入されています。また、スチール製の机・椅子など、鋼管を使用する製品では、切断・曲げ・溶接・塗装・組立の加工が行われており、パイプレーザー加工機や自動折り曲げ機、自動溶接機などの機械が使用されます。

また、加工や組み立ての際には、部材を正しい場所に配置するために治具と呼ばれる補助器具が使用されます。製品毎や部品ごとに多数の治具があります。治具を用いることにより、高品質で精度の高い製品を大量生産することが可能です。

製品によっては、接着におけるプレス加工や椅子張り加工なども必要となる場合があります。

3. 塗装加工

多くの家具で塗装加工が行われています。スチール家具などでは粉体塗装などが行われます。

木製家具に用いられる塗装は、主にウレタン塗装、オイル塗装、ラッカー塗装の3種類です。

ウレタン塗装仕上げは熱や水に強く、傷や汚れもつきにくい耐久性のある塗装です。最も一般的な塗装として使用されます。オイル塗装は木の質感を最大限に活かした塗装で、高級感のある仕上がりになりますが、一方で水シミなどの防汚性には劣ります。ラッカー塗装は木の質感を残しながら、傷や汚れをつきにくくした塗装です。ウレタン塗装ほどの強度はありませんが、オイル塗装よりは傷がつきにくくなっており、塗膜を張るのですべすべした感触になります。

家具製造の種類

家具製造で製造される家具製品には実に様々なものがあります。

木製家具は、大きく分けて箱物家具類と脚物家具類に分類することができます。箱物家具の例には、たんす、食器棚、書棚、ラック、テレビボード、サイドボードなどが挙げられます。脚物家具とは椅子、ソファ、ベンチ、机、ダイニングセットなどです。その他にもベッド、小物など多種多様な製品があります。

スチール製の机・椅子をはじめとするスチール家具は、耐久性が高いことから、学校用机椅子やオフィス用デスク、商業施設用テーブル・チェアなどとして活用されている製品です。

木工加工

木工加工とは

木工加工とは、木材に加工を施す加工サービス一般を指します。

用途や目的に応じて木材を最適な形状・寸法に加工する作業や、家具類の製造などがあります。木工という言葉は、広くは工作、美術などの領域をはじめ、建築や土木などの領域に用いられることもある言葉です。工業的には、プレス加工、張り合せ加工、ルーター加工など、様々な加工を経て木工製品が製造されています。

木工加工の使用用途

木工加工は、家具製造、ディスプレイ什器など、様々な木工製品の製造に使用されています。

家庭用の家具製品のほか、店舗・商業施設などで使用するテーブル・椅子などの家具、机・椅子などの学校家具、内装材などの建築資材の製造も行われます。

  • 椅子・ソファ・ダイニングチェア・スツール
  • テーブル・カウンター
  • 学校家具 (机・椅子など)
  • 木工小物 (トレー・ダストボックスなど)
  • 建物内装・建物外装造作材

木工加工の原理

木工加工は、木工製品を製造するために行われる様々な加工です。

加工の目的には、

  • 木材を適切な厚みにしたり、指定の寸法にカットする
  • 縁の部分を削り滑らかにする (面取り加工)
  • 表面を削って滑らかにする (表面加工)
  • 木の膨潤収縮効果によってでこぼこするのを防ぐ (しゃくり加工・さね加工)
  • 圧着接着などにより家具製品などを組み立てたり、圧力をかけて強度・硬度を上げたりする (プレス加工・圧密加工)
  • 製品に色を付ける・表面を保護する目的で塗装を行う (塗装加工)

などがあります。

木材は、そのままの板材では反りやたわみを生じたり、表面にささくれなどが生じるため、製品としての組み立て以外にも、様々な加工を施すことが必要です。

木工加工の種類

1. 面取り加工

面取り加工とは、木材の縁の部分を滑らかにする加工です。カットしたままの木材の断面はカット時の刃物のあとや焦げが残り、角も鋭利となっているため、怪我を防ぐために角を丸める必要があります。その他、デザインの上では、アールをつけたり、斜めにカットするなどの装飾的役割があります。

紙ヤスリや木工カンナでも簡単に面取りを行うことができますが、アール加工などの曲線的な場合には、電動トリマーなどの工具が使用される加工です。

2. 表面加工

表面加工とは、木材の表面を滑らかにする加工です。製材したての木材は、表面が毛羽立っており、ザラザラしています。カンナやヤスリで表面を滑らかにしていきます。

また、板材の木目や質感を活かす表面加工には、帯鋸仕上げ、丸カンナ仕上げ、うづくりなどがあります。帯鋸仕上げとは、木材を丸太から製材する時に使用した帯鋸の切断跡を生かした加工であり、丸カンナ仕上げでは木目に対して直角方向にカンナ掛けすることで横から見ると波模様に見える仕上げです。

3. しゃくり加工・さね加工

木材は吸放湿性材料のため、空気の乾燥によって木が収縮したり、反対に湿気によって膨張したりします。フローリング材など複数の板を組み合わせる製材では、湿度の変化による膨潤収縮効果によって、でこぼこやたわみが現れることがあります。

しゃくり加工・さね加工は、これを防ぐために行われる加工です。「しゃくる」とは「抉る」という意味であり、木を切り欠いて別の部材が納まりやすくすることであり、「さね」とは木の実の中心にある硬いところを指す言葉であることから、板の中心に設ける突起部のことを指しています。これらの板同士がすっぽりと嵌まるように加工することで、平坦で均一的な仕上がりを実現します。

4. ルーター加工・レーザー加工

木材をカットするための加工には、ルーター加工やレーザー加工があります。

ルーター加工で使用されるNCルーターとは、木材を一定の深さにくり抜くための工作機械です。デザインや意匠を施す加工や、彫刻や3D加工などを行うことができます。

レーザー加工とは、レーザー光線を照射してレーザーの熱エネルギーで木材をカットしたり形状を整えたりする加工方法です。レーザーの出力や照射時間を調整すれば、木材のカットはもちろん表面に細かなデザインを施すことも可能です。

木工プレス加工

木工プレス加工とは

木工プレス加工とは、プレス機などで圧力をかけて木材を加工する加工方法一般です。

木材を型に当てて曲げて成形したい場合や、パネルを製造する際、圧力をかけて強度・硬度を上げる加工 (圧密加工) や、引き出しなどの箱物を組む際などに用いられます。プレス機は、電子機器の部品、医療機器、ロボット製作、家具製作など、あらゆる製造に使用される機械です。木工では、合板の製造や、箱物の家具を製造する際に材料をプレスする際に使用します。

木工プレス加工の使用用途

木工プレス加工は、木材に圧力をかけて強度・硬度を上げる加工である圧密加工や、型に当てて曲げて成形する成型合板の製造、引き出しフレームの接着などの箱物製造などに用いられます。

特に成型合板は、美しい曲面・曲線を表現できるため、主に、デザイン性に優れた家具類を製造することに使用されます。家具以外にも内装材などに使用されますが、椅子類への使用が最も多いです。無垢材では表現できない、デザイン性の高い特殊形状の椅子の製造が可能です。

また、圧密加工は、木材の特性を生かしつつ、耐久性や表面の美しさを向上させる加工方法であることから、床材や壁材、家具として幅広く利用されています。

木工プレス加工の原理

1. 概要

プレス機を用いて行われる、プレス加工とは、素材に一定以上の力をかけることで変形が元に戻らない、「塑性」という性質を利用した加工方法です。「塑性加工」とも呼ばれます。

プレス機を用いて行われる木工加工には、圧力をかけて強度・硬度を上げる加工 (圧密加工) や、型に合わせて圧力と熱をかけることで曲げて成形する加工、箱物家具の接着などがあります。

2. 圧密加工

圧密加工とは、木材の表面に高温のローラーで圧力をかけ、熱圧処理を施すことで強度や硬度を高める加工です。この加工により、柔らかい針葉樹の木材にも広葉樹に匹敵する強度をもたせることができます。

圧密加工では、表面の細胞を1mmから1.5mmの範囲で圧縮し、強化します。桧の場合は普通の木材の1.5倍の、杉の場合は2倍の硬度を実現することが可能です。

3. 成型合板の製造

木工プレス加工のもう一つの役割には、成型合板の製造があります。

成型合板とは単板を何枚も重ねて接着した「積層合板」に対してプレス機で曲げ加工を施すことで製造されている合板です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しているだけでなく、無垢状態でのクセ、反りなどを軽減し、ムラがなく均一な仕上がりにする効果もあります。

4. 箱物家具の製造

箱物家具の製造において、引き出しやフレームなどの接着には、プレス機が使用されています。

木工プレス加工の種類

1. フラッシュプレス

圧着させるためのプレス機の一つに、フラッシュプレスがあります。フラッシュプレスとは、複数のおもりをフラッシュ板の平面部分に乗せることで全体に均一に圧力をかけ、芯材に表面材を圧着させる機械です。熱をかけずに常温でプレス加工を行うことから、コールドプレスとも呼ばれます。フラッシュプレスは、複数枚積み上げまとめてプレスを行うことも可能です。

2. ホットプレスと高周波プレス

熱をかけながら行われるプレス加工の種類には、主にホットプレスと高周波プレスがあります。加熱を行うことから、フラッシュプレスよりも一般的にプレス時間が短時間になります。

ホットプレス機は、機械の熱を与えながら加圧を行うプレス機です。扱う製品に合わせて圧力や加熱時間を変え、蒸気によって接着剤を硬化させます。微妙な圧力の調整を行いながら同時に熱を加え、接着剤を硬化させ、強度を高めることが可能です。学校関係の椅子、机など量産品の製造を得意としています。

高周波プレス機は、木材に塗布された接着剤に高周波を加えることで接着剤を発熱硬化させるプレス機です。加熱高周波電力による誘電体損失に伴う発熱作用と機械加圧を利用し、曲面成形接着を行います。椅子の座板、背板などの薄い合板のものから、フレームのような厚い成型まで対応可能です。

成型合板

成型合板とは

成型合板とは、薄い板材を重ね合わせて接着し、熱と圧力を加えて曲げて様々な形状に成型した合板です。

成形合板は、湾曲した椅子や家具などの製造に使用されることが多い板材です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しています。型を使って合板を加圧成型し、多種多様な曲面デザインを製造することが可能です。

成型合板の使用用途

成型合板は、美しい曲面・曲線を表現できるため、主に、デザイン性に優れた家具類を製造することに使用されます。家具以外にも内装材などに使用されますが、椅子類への使用が最も多いです。無垢材では表現できない、デザイン性の高い特殊形状の椅子の製造が可能です。

その他具体例な用途例には下記のようなものがあります。柱などの角を丸くして安全面に考慮し、木材を利用する事で暖かい雰囲気の空間を作る建築素材として使用される場合もあります。

  • 椅子・ソファ・ダイニングチェア・スツール
  • テーブル
  • トレー
  • ダストボックス
  • 建物内装
  • 建物外装造作材
  • 自動車内装部品
  • 防潮堤などの波返し

成型合板の原理

1. 概要

成型合板とは単板を何枚も重ねて接着した「積層合板」に対して曲げ加工を施すことで製造されている合板です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しているだけでなく、無垢状態でのクセ、反りなどを軽減し、ムラがなく均一な仕上がりにする効果もあります。

また、成型合板に使用する単板の歩留まりは丸太の60%と高いことから、環境にも優しい資材です。

2. 成型合板の製造工程

  1. 木材の選定・単板製造: しっかりと乾燥させた木材を薄さ1~1.5mmにスライスします。
  2. 木材のカット: 単板を製造する家具に合わせてカットします。
  3. 接着: 単板に接着剤を塗り重ね合わせます。強度を高めるため、木目が縦目、横目になるように重ね合わせますプレッダーと呼ばれる、糊付け専用の機械に単板を通して行われる場合や、手作業で行われる場合があります。
  4. 成型: 型にはめてプレス機で加圧し、成型します。
  5. それぞれのパーツを切り出します。

3. 成型方法

成型合板の成型方法には、主にホットプレスと高周波プレスがあります。

ホットプレス機は、機械の熱を与えながら加圧を行うプレス機です。扱う製品に合わせて圧力や加熱時間を変え、蒸気によって接着剤を硬化させます。微妙な圧力の調整を行いながら同時に熱を加え、接着剤を硬化させ、強度を高めることが可能です。学校関係の椅子、机など量産品の製造を得意としています。

高周波プレス機は、木材に塗布された接着剤に高周波を加えることで接着剤を発熱硬化させるプレス機です。加熱高周波電力による誘電体損失に伴う発熱作用と機械加圧を利用し、曲面成形接着を行います。椅子の座板、背板などの薄い合板のものから、フレームのような厚い成型まで対応可能です。

成型合板の種類

1. 材質・寸法

成型合板の木材には、ブナ材やカポール・ラワン等の南洋材などが使用されます。表面材には、シナ、ラワン材などが用いられる他、MDF・メラミン・ポリ板などの加工が可能な場合もあります。

ラワン曲げ合板には、3mm、4mm、5mm、9mm、12mmといった種類があります。大きさには、サブロク3×6(915×1825㎜)やロクサン6×3(1825×915㎜)などがあり、曲がる方向で呼び名が変わります。

2. 成型方法

成型合板の成型方法にもいくつかの種類があります。均一な厚みのまま曲げ加工を行う通常の等厚成型合板の他、コマと呼ばれる木片を挟み込んで曲線に分岐を作る成型する方法もあります。ホゾ組みやダボ組みといった各パーツを接合する方法と比較すると各パーツが一体化した成型フレームの製造が可能であるため、強度の高い製品を作ることが可能です。コマの使用は椅子の座部分への使用の他に、立ち座り時に握りやすくするための持ち手部分にも応用されています。

通常のコマの他、分岐点を多くすることができる大コマ入れ成型合板と呼ばれる種類の成型合板もあります。通常は1つのコマにたいして3つの分岐を行いますが、大コマは4つの分岐を行うことが可能です。

その他、成型時に入れていたコマを成型後に抜く成型方法や、成型型の端になるにつれて厚みを調整して成型する方法などもあり、様々な方法で自由なデザインの成型合板製品が製造されています。