鉛フリーメッキ

鉛フリーメッキとは

鉛フリーメッキとは、従来法のSn-Pbメッキに代わって、有害物質である鉛を含まないメッキのことです。

プリント配線板などにおける従来のはんだメッキでは、錫 (Sn) と鉛 (Pb) の混合物が古くから用いられてきました。Sn-Pbメッキは安価で導通性が高い優れた材質ですが、鉛の有毒性が高いため、現在では強い廃棄規制がかかっています。

鉛フリーメッキは、有毒物質である鉛を含まない、代替合金のメッキです。鉛フリーメッキとして使用される合金系の主な種類には、Sn、Sn-Cu、Sn-Bi、Sn-Ag、Ag、Pd、Ni-Pなどが挙げられます。 

鉛フリーの純粋なSnメッキでは、ウィスカー (皮膜中のSn粒子の内部応力により、結晶成分が針状に押し出されたもの) が発生しやすく、実装後の配線短絡の原因となることが指摘されてきました。現在実装されているSnメッキでは、提供各社固有の技術により皮膜状態や使用環境の管理によってウィスカーの発生を抑制する工夫がされています。

また、Sn-Cuをはじめとする様々な組成の合金系が開発されており、優れた実装効果を得ることが可能です。なお、はんだメッキの代替以外では、従来法の無電解ニッケルメッキにも安定化のために鉛が含まれており、こうしたメッキを鉛フリー化して提供する加工も鉛フリーメッキに含まれます。

鉛フリーメッキの使用用途

鉛フリーメッキは主に以下の用途で使用されます。

1. 接合・プリント基板

鉛フリーメッキは、電子部品とプリント配線板の接合をはじめとして、従来法のSn-Pbはんだを代替して様々な接合に使用されています。主な用途先としては、表面実装部品、リードピン、リードフレーム、コネクターなどがあり、フレキシブル基板、リジッド基板などの基板の種類を問わず使用されています。

基板製品に対しては、片面、両面、多層の各種メッキ、めっきレジスト、ワイヤーボンディング実装、部品実装など様々な実装・加工が可能です。

2. 皮膜

接合目的の部分メッキのほか、鉛フリーメッキは部品の表面に全体的に皮膜を形成する目的でも使用されています。下地素材の保護、装飾などさまざまな用途に使用可能です。鉛フリー無電解ニッケルメッキや、その他様々な鉛フリーメッキが利用されています。例えば、金メッキは 耐磨耗性を向上させる目的で電子部品のスイッチの接点部分など、動きの多いところに使用されることが多い傾向にあります。