ホットランナーシステムとは
ホットランナーシステムとは、プラスチックの射出成形において、溶融樹脂を送り込む流路を加熱し、成形部分のみが固化する (ランナー部分の樹脂が固着しない) ようになっている技術、及びその機構です。
ホットランナーではない、流路部分が非加熱の構造はコールドランナーと呼ばれています。コールドランナーの場合、樹脂を流す流路であるスプルー・ランナーも金型内で冷却され、スプルー・ランナー内の樹脂も成形品と共に取り出され、成形後に取り除く処理が必要です。
ホットランナーは、スプルー・ランナーが溶融状態に保たれて成形品のみが得られます。ランナーの廃棄処理が不要で、冷却が不要な分工程時間が短いことが利点です。別名では「ランナーレス成形」とも呼ばれることがあります。
ホットランナーシステムの構造は、スプル・ランナーと呼ばれる流路、流路を保持する金属パーツであるマニホールド、流路を加熱するヒーターや、その他センサー等の電子部品で構成されています。樹脂流路の加熱には、電気ヒーターが使用されることが一般的です。
ホットランナーシステムの使用用途
ホットランナーシステムは、様々な業種のプラスチック射出成形で使用されています。ホットランナーシステムはコールドランナーシステムよりも初期費用は高くなる傾向にありますが、ランナーの廃棄がなくなるため、長期的にはコストダウンが見込めます。
1. 自動車産業
自動車産業では、バンパー、インパネ、ドアトリム、ヘッドライト、テールレンズなど様々な部位にプラスチック製品が使用されています。このようなプラスチック部品の製造にホットランナーシステムが活用可能です。それ以外にエンジン周りの部品でもプラスチック製品が使用されています。
2. 食品包装
食品包装では、カップ、ガムケース、ペットボトル、バターケースなど、様々な形状の包装容器の製造が射出成形で行われています。ホットランナーシステムは、このようなプラスチック包装を効率的に製造することに活用されます。
3. 雑貨・化粧品・医療
日用品として使用される様々なプラスチック製品や、化粧品・シャンプーなどのボトル容器も射出成形で製造されています。また、医療機器部品などの細かなプラスチックも射出成形の製造物です。これらの製品では、一つ一つが小さくなることが多く、廃棄ランナーが出ると材料効率が悪くなりやすい傾向にあります。ホットランナーシステムを利用することで、これらの製品も廃棄率を抑えて製造することが可能です。