監修:新明和工業株式会社
重合装置とは
重合装置とは、モノマーを重合してポリマーを生成するための装置です。
モノマーは比較的小さく単純な分子を指します。複数のモノマー分子が化学反応によって長鎖の高分子化合物であるポリマーを形成する化学反応を重合と呼びます。通常、重合は特定の条件下で、触媒や反応条件を調整しながら実行されます。
重合装置を使用することで、反応条件を精密に制御できるため、理想的な反応条件下でポリマーを生成することが可能です。これにより、反応の収率や生成物の品質が向上します。また、自動化された重合装置を使用することで、大量のポリマーを効率的に生産することができます。
重合装置の使用用途
重合装置は化学工業において必要不可欠です。以下はその使用用途の一例です。
1. プラスチック
プラスチックは重合装置を使用して合成される合成樹脂です。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどがあります。プラスチックは広範な用途に使用され、包装材料や建設材料または自動車部品など、生活に密接に関わる化学製品の一つです。
2. ゴム
合成ゴムは重合装置でモノマーからポリマー化して合成されます。合成ゴムは特定の物性を持たせることができ、重合装置で耐摩耗性や耐熱性などの特性を調整して製品を製造します。タイヤやシール材またはスポーツ用品などの製造に使用され、産業や日常生活に不可欠です。
3. 合成繊維
合成繊維は重合装置でモノマーを重合して作られる人工的な繊維です。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、耐久性や吸湿性などの特性を調整しながら製造されます。衣料品、や家庭用品などに広く使用されています。
合成繊維は天然繊維に比べて製品の特性をコントロールしやすい点が特徴です。したがって、日常品や産業機器において様々な応用が可能です。
4. 塗料
樹脂塗料には主にポリマーが使用され、重合反応を調整することで塗料の特性を調整しながら製造されます。一般的な樹脂塗料にはアクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料などがあります。これらに顔料や溶剤などを混ぜ合わせることで、塗料として販売されています。
重合装置の原理
重合装置の原理は、複数のモノマー分子を化学結合させてポリマーを生成することです。反応槽や加熱・冷却装置、撹拌装置などによって構成されます。
反応槽は重合装置において化学反応が行われる主要な容器です。化学的に安定で耐久性のある材料で作られており、ステンレス鋼やガラス強化プラスチックなどがその一例です。反応槽の材質は、化学反応の性質( 酸性、アルカリ性、高温、高圧など) に応じて選定されます。
加熱・冷却装置は反応槽内の温度を制御し、反応条件を最適化するための装置です。電気加熱装置や蒸気加熱装置によって加熱し、冷却水や冷却媒体を使用して冷却します。これらを制御装置によって制御し、設定温度に反応槽内の温度を維持する役割を果たします。
撹拌装置は反応槽内の反応物質を均一に混合し、反応速度を向上させるための装置です。機械的なシャフトに取り付けられたブレードや羽根、あるいは超音波振動子などがあります。反応物質を均一に混合し、触媒や添加剤を分散させる役割を果たします。
重合装置の選び方
重合装置を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。
1. 反応の種類・条件
どのような種類の重合反応を行うのかを明確にします。例えば、自由基重合やイオン重合、リビング重合などの種類があります。その後、反応の温度や圧力および反応物質の濃度などの条件を確認し、それに適した装置を選びます。
2. 生産量
どの程度のスケールで反応を行うのかを検討します。 実験室規模での重合反応と産業規模での重合反応では、装置のサイズが異なります。日産量や年間生産量の目標に応じて、装置のサイズと能力を選定します。
3. 反応物質の種類
使用するモノマーや触媒の種類や特性を考慮し、適した装置を選びます。特に酸・アルカリ性の物質を取り扱う場合は、ステンレス鋼や硬質ポリマーなどの容器が必要となる事が多いです。生成するポリマーの粘度や物理的・化学的特性などを予測し、製品要件に合致する装置を選定します。
本記事は重合装置を製造・販売する新明和工業株式会社様に監修を頂きました。
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