LoRa無線機

LoRa無線機とは

LoRa無線機とは、低消費電力で長距離通信を実現する無線機です。

LoRaは、Long Rangeの略称であり、低電力広域ネットワーク (LPWAN) の一種として設計されています。物理層にはチャープスペクトラム拡散方式が採用され、狭帯域信号よりも高い耐干渉性能を持ちます。これにより都市部や屋内外において障害物があっても安定した通信が可能で、環境に応じて数kmから十数kmの通信距離を確保できます。

通信速度は数kbpsから数十kbpsと低速ですが、センサーやモニタリング用途に十分な帯域を持ちます。また、無線局の免許が不要のISMバンドを利用するため導入コストを抑えやすく、ネットワーク構築の自由度が高いことも特徴です。産業用途においてはIoTデバイスの電池駆動期間を数年単位で延長できるため、メンテナンス効率の向上にも寄与します。

LoRa無線機の使用用途

LoRa無線機は以下のような用途で使用されます。

1. 産業分野

製造業では設備の稼働状況や生産ラインの状態を遠隔監視するためにLoRa無線機が利用されます。

振動センサーや温度センサーと組み合わせ、機械の異常兆候を早期に検出し、予防保全計画に活用します。通信距離が長いため工場敷地の内外を問わずデータ集約が可能であり、生産ラインの停止リスクを低減します。

2. 農業分野

農業では土壌水分、気温、湿度などの環境データを取得し、圃場管理の効率化にLoRa無線機が用いられます。

広大な農地の隅々までセンサーを配置でき、通信インフラが整備されていない場所でも安定したデータ送信が可能です。これにより灌漑や施肥の制御を適切に行い、資源の最適化を支援します。

3. インフラ分野

橋梁、ダム、送電設備といったインフラ構造物の健全性監視にもLoRa無線機が導入されています。

定期的な計測値を長距離伝送し、中央システムで集約することで、現場訪問の頻度を削減しながら安全性を維持します。高い耐干渉性により、過酷な環境でも信号品質を確保できます。

4. 都市・公共分野

スマートシティ構築では駐車場の空き状況、ゴミ収集の効率化、街灯の制御など多様なサービスにLoRa無線機が利用されます。

低消費電力で持続的な運用が可能なため、新たな都市サービスのインフラとして拡張が容易です。複数のセンサーやソリューションを統合し、都市全体の運営効率の向上に寄与します。