樹脂射出成形

監修:株式会社CLUDE LAB

樹脂射出成形とは

樹脂射出成形とは、プラスチック製品を作るための方法の一つです。

プラスチック製品の材料となる樹脂を加熱して溶かし、あらかじめ設計された金型に射出し一定の圧力を加えた後に冷却させて、求める形状のプラスチック製品を作る工法を言います。射出を意味するインジェクション成形やインジェクションモールドなどと呼ばれることもあります。

プラスチック製品を成形する方法には複数の工法がありますが、樹脂射出成形は代表的な工法の一つです。樹脂射出成形は大量生産に向いているため、私たちの日常生活で使う製品にも、樹脂射出成形によって製造されたものが多くあります。日常生活で使う小物製品から、自動車の内装やバンパーなどの大きな部品まで、幅広い大きさの製品の製造に利用されているのも、樹脂射出成形の特徴の一つです。

樹脂射出成形の使用用途

樹脂射出成形は、さまざまなプラスチック製品の製造に利用されています。製造される製品も広範囲にわたります。樹脂射出成形で作られる製品の中でも大きなものは自動車部品です。自動車の外観形状の一部となる前後のバンパーや、エアロパーツと呼ばれるスポイラーなどの部品も、樹脂射出成形で製造されます。自動車室内のインストルメントパネル、運転席と助手席にあるコンソールパネルなども樹脂射出成形で製造された部品です。一方でベンチレーターやアウトレットと呼ばれるエアコンの吹き出し口で風の方向を変えたり開閉する部品も、樹脂射出成形で作られています。

自動車部品以外では、家電製品、日用品、文房具、医療機器なども、樹脂射出成形で作られているものが多くあります。

樹脂射出成形の原理

樹脂射出成形は、プラスチックの材料が加熱されると溶けて流動性が高くなり、冷えると固まるという性質を利用したものです。ペレットと呼ばれるプラスチック製品の原料を射出成形機に投入し、高温で加熱し、樹脂を溶かします。材料はスクリューと呼ばれるねじ形状の羽根を持った回転軸によって装置内で移動していき、前方に設置された金型内に射出されます。金型は射出された材料が冷えて固まった時に、求める形状になるようにあらかじめ設計された形状に加工されたものです。金型に射出され一定の圧力によって充満した材料は金型によって熱を奪われ、冷却と共に固まります。金型内で固まったものを取り出すことによって、樹脂射出成形による製品が完成します。

樹脂射出成形のその他情報

樹脂射出成形の特徴

樹脂射出成形の特徴は、まず大量生産に向いていることです。樹脂射出成形機と金型、材料と適した製造条件が見出せれば、比較的短時間で多くの製品を製造することができます。

二つ目の特徴は形状の自由度が高いことです。金型内から取り出すためアンダーカットと呼ばれる取り出し時に引っかかってしまうような形状はできませんが、それでも他の工法に比べて形状の自由度が高い工法です。また一般的に、後加工を必要としません。

三つ目に、材料の選択肢が広いことも、樹脂射出成形の特徴です。プラスチック材料には多くの種類があり、それぞれの特徴を持っています。製品の用途に応じて適切なプラスチック材料を選定することが必要ですが、樹脂射出成形は多くの材料に使うことができる工法です。

樹脂射出成形の注意点

樹脂射出成形での製造で気をつけなければならない点の一つに、伸び尺があります。プラスチック材料は加熱されて金型に射出された時から冷却されるとともに、収縮していきます。

収縮する割合を成形収縮率といい、2/1000~20/1000程度が一般的です。そのため金型の形状は、成形収縮量を見込んだ形状にしなければなりません。成形収縮率は材料によって異なっており、中には射出される方向と、射出される方向と直角方向によって成形収縮率が異なる材料もあります。

本記事は樹脂射出成形を提供する株式会社CLUDE LAB様に監修を頂きました。

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縫製加工

監修:コーワ株式会社

縫製加工とは

縫製加工とは、工業用ミシンなどを用いて様々な布製品を製造したり、刺繍などの加工を施したりする加工です。

バッグやポーチ、モバイルケースなどの製作のほか、産業用のビニールレザーやマットなどの資材、保管ケースやカバーなど様々な種類の製品があります。工業用ミシンを用いる他、布地の取り扱いに裁断機をはじめとする様々な設備を必要とします。

縫製加工の使用用途

縫製加工は様々なファブリック製品や、産業用資材などの製造を行います。帆布、ターポリン、ゴム引き布、多孔質PTFE、フィルター、ビニールシート、皮革、キルティングなど、様々な布地の加工を行い、多様な製品製造が行われます。

主な製品例は下記の通りです。

  • バッグ、ポーチ、モバイルケース
  • クッションカバー
  • スポーツウェア、カジュアルウェア、白衣、ユニフォーム
  • テント、オーニング、間仕切り、サインマテリアル
  • 工業用カバー類: 縫製ジャバラ、粉体搬送用シューター用保護カバー、ケミカルタンクの蓋カバー、半導体装置用、ケーブルカバー

特に、工業用のカバー類は、機械や工場のブースに取り付けられて使用されています。耐油性、耐薬品性などの目的で製造・使用される他、無発塵製品はクリーンルームでも使用が可能です。

縫製加工の原理

1. 概要

縫製加工は、工業用ミシンを用い、人の手で行われます。製品サンプルや仕様書に基づき、下記のような流れで製造されます。

  1. 設計・図面確認: 形状や寸法・素材選定を行い、予め図面が用意されている場合は、図面をもとに実際に製造可能か、性能は問題ないかについて確認を行います。
  2. 見積り: 設計図・図面を元に、試作・製造の見積りを出します。
  3. 試作: 外観や性能が問題ないか実際に小ロットにて試作します
    生地や糸などの候補が複数ある場合は、材料違いで製作する場合もあります。
  4. 試作品評価: 顧客評価を元に、変更が必要な点をヒアリングし、設計変更を行います。
  5. 量産品製造: 生地の裁断や縫製を行い、実際の製品を製造します。
  6. 品質検査: 寸法・外観の検査を行います。
  7. 梱包・出荷

2. 工業用ミシン

縫製加工における縫製作業では、工業用ミシンが使用されます。

工業用ミシンとは、縫製工場での生産を目的に高速性・品質性・耐久性・安全性を追求したミシンです。製造する製品や縫製する箇所に応じて、専門性を追求した数多くの種類があります。家庭用ミシンが1台で様々な縫い方を搭載しているのに対し、工業用ミシンは本縫い (直線縫い) 、千鳥縫い (ジグザグ縫い) 、ボタン穴かがりなど、それぞれの縫い方に特化して縫製作業を行います。衣服など、一つの製品を完成させるためには、数機種~30機種程度のミシンが必要です。

力強いモーターを内蔵しており、家庭用ミシンよりも高速で力強く縫い進めることが可能です。また、複数工程を自動で完成させる自動機も数多くあり、熟練の技能を要する縫製工程での品質向上と脱技能化も実現可能です。

3. その他設備

縫製を行う前の布地の取り扱いには、下記のような設備が使用されています。

  • 検反機: 裁断する前の布の検品を行い、不良品を見分ける機械です。
  • 縮絨機: 棒状に巻き付けられた状態の布の、シワ・歪みを整えたり伸ばす機械です。加湿や加熱を用います。
  • 延反機: 力をかけて布を均一の状態にする機械です。
  • 裁断機: 生地を重ねて裁断する機械です。

縫製加工の種類

縫製加工には、生地と生地を縫い合わせる通常の縫製のほか、生地の裁断面の糸のほつれを防止、美しく処理する縫製 (ロック縫製・バインダー二つ巻き・バインダー三つ巻き) や、ステッチ縫製』 などがあります。

その他にも、用途に合わせて、

  • ハトメ加工: ロープ等を通すための穴を金具で開ける加工
  • ウレタン入りマットや枕などのウレタンの組み合わせ加工
  • シルク印刷・インクジェットによるプリント加工
  • 生地の張り合わせ加工

などの追加の加工が施される場合があります。

本記事は縫製加工を提供するコーワ株式会社様に監修を頂きました。

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シールリング

シールリングとは

シールリングとは機械部品の一つで、相対回転や往復運動をする二つの部品の間において、気体や液体を密封するための部品です。

シールリングは円形状をしていますが、円周上に1箇所「合口」という切れ目があるのが特徴です。合口があることによって、シールリングを使用する部位に取り付けることができます。一方で合口はシール性を低下させる要因になるため、特に樹脂製のシールリングにおいては、さまざまな工夫が施されています。

シールリングは相対運動する二つの部品の間で使用されますが、摺動による抵抗が生じることが避けられません。シールリングの使用用途によっては抵抗を抑えたい場合もあり、低フリクション化のために、特殊な断面形状を持った製品も開発されています。

シールリングはOリングやオイルシールなど、回転シール全般を指すために用いられる場合もあるようですが、ここでは狭い範囲に限定して解説します。

シールリングの使用用途

シールリングは主に自動車などのエンジン、A/TやCVTなどのトランスミッションに使われています。エンジンでは主に排気系で使われる部品です。例えばターボチャージャー、EGR弁、その他軸のシールなどに利用される部品です。

1. トランスミッション

入出力軸などと、その軸に組み合わさる部品との間で、油圧を伝達する必要がある場合に用いられます。これらの部位においては、多くは相対回転する部品の間で、排気やオイルを密封するのが、シールリングの役割です。

2. CVT

プーリーの油圧室のシールのために、シールリングが使われています。ベルトやチェーンを使ったCVTでは二つのプーリー軸におけるベルトやチェーンの回転半径を無段階で変化させるために、油圧室が設けられたシーブ面という円錐部品をスライドさせます。このスライドをしながら油圧を保つために、シールリングが使われています。

CVTの油圧室でシールリングは相対回転ではなく、摺動運動しながら油圧を保持する役割を果たすのが特徴的な使われ方です。

シールリングの種類

シールリングには大きく、金属製と樹脂製があります。金属製は主にエンジンの排気系、樹脂製はトランスミッションで多く用いられています。

1. 金属製

金属製のシールリングは、シール性はもちろん、耐熱性が求められる部位に使われます。使用される材料はSUS、SKHなどです。耐熱性はもちろん、排気ガスなどによって腐食しにくいことも重要なポイントです。

2. 樹脂製

樹脂製のシールリングは、金属製よりも複雑な形状に仕上げることができます。側面や合口の形状を工夫することによって、回転運動の摺動抵抗を低減させたり、合口からのリークを低減させることができます。

樹脂製のシールリングの材料はPEEK材やPPS材などです。シール性を確保しつつ、耐摩耗性を高める工夫が施されています。

シールリングのその他情報

シールリングという名称で部品販売サイトなどで検索すると、本稿で解説した製品以外に、Oリング、パッキン、ガスケットなども検出されます。JIS B 0116:2020によると”シールは流体の漏れ又は外部からの遺物の侵入を防止する機能又は部品。密封部品ともいう”、パッキンは”回転運動、往復運動などの運動部に用いるシールの総称、運動用シール又は動的シールともいう。注記 一般にはシールと同じ意味を表す”と定義されています。本稿で紹介したシールリングは、シール、パッキンいずれにも該当する部品です。

一般的にOリングは相対運動がなかったり、相対運動が比較的少ない部位において、ゴム部材などを圧縮させて積極的に漏れを防ぐもの、パッキンはリング形状によらず広く用いられている部品です。回転運動する部位の密封部品にはオイルシールもありますが、主に外部からの異物侵入を防止することも機能に加えられた製品を指します。

 

エアシリンダ

監修:有限会社双葉製作所

エアシリンダとは

エアシリンダとは、圧縮空気を動力源として直線的な運動へ変換する装置です。

エアシリンダは、圧縮空気源があるところで容易に動力が得られるので、生産ラインの自動化、産業用ロボット、搬送装置、扉の開閉、制御装置、工作機械、工具などに広く使われます。

エアシリンダの使用用途

エアシリンダは、軽量・安価で力がある特徴があります。したがって、ハンドリング、クランプ、圧入などに向いており、2点間の高速移動や重量物の搬送にも使われます。工程別の使用用途は次のようです。

1. ハンドリング装置

ロボットハンドなどが生産ラインで部品をつかむ場合です。

・ハンドチャックは力が強いので、変形しにくい部品のハンドリングに向いています。軽量なチャックを選びます。

・グリッパは、壊れやすい部品に衝撃を与えないように、速度可変が可能です。

2. 搬送・昇降装置

搬送機構では、製品や部品を生産ステージから次の生産ステージへ移動させます。エアシリンダは、重量を優先し速く動かしたい場合に使います。

昇降機構としても利用されます。例えば、工場内での材料の持ち上げや、作業台の高さ調整などに使用されます。

3. クランプ装置

クランプ工程は、部品やワークを特定の位置に正確に固定し、圧入、形状変更、検査、組み立てなどの作業を行います。エアシリンダは力が強く動作も速いため、硬い部品のクランプに適します。

4. プレス機構

エアシリンダは、プレス機構としても利用されます。例えば、金属板のプレス加工や、部品の圧入工程で使用されます。

5. ドアやバルブの開閉装置

ドアやバルブの開閉装置としても使用されます。例えば、自動ドアの開閉や、工業用バルブの操作に利用されます。

エアシリンダの原理

エアシリンダは、圧縮空気をシリンダ内に供給することでピストンを動かし、その動きをピストンロッドを通じて外部に伝えます。これにより直線的な押出し・引込みの動作が可能になります。

1. 押出し作動

圧縮空気をシリンダのヘッド側に入れると、ピストンは押出し方向に動き、ピストンロッドは外側に押出し作動します。また、ロッド側の空気が外部へ排出します。

2. 引込み作動

圧縮空気をシリンダのロッド側に入れると、ピストンは引き込む方向に移動し、ピストンロッドは引込みます。このとき、ヘッド側の空気が外部へ排出します。

3. 複動式エアシリンダの作動

圧縮空気を供給することでピストンロッドが両方向に動作する仕組みです。電車のドア開閉、制御装置、ロボットなどに使います。 空気消費量が単動式と比べ約2倍になります。

4.単動式エアシリンダ

圧縮空気を供給することでピストンロッドが一方向に動作し、ばねの力で初期位置に戻る仕組みです。 空気消費量が複動式と比べ少ないです。

エアシリンダの種類

エアシリンダは自動化・省力化に欠かせないものです。代表的なタイプを次に示します

1.一般形

標準形は一般に最も普及しているタイプです。シンプルな形状をしており、安価です。

2.省スペース型

標準形よりストロークを短くしたものです。したがって、コンパクトで軽量であり、狭いスペースに設置する場合などに便利です。

3. ガイド付き型

ピストンをガイドする部品を付加して、正確な直線運動ができるようにします。ガイド付きは、精密な位置合わせを可能にし、ピストンロッドに側面から外力を受ける場合などに使います。

4. ブレーキ付き型

標準形にブレーキを追加してピストンを停止できるタイプです。ピストンを特定の位置で止めることができます。停止が必要な場合や電源トラブルでの安全対策に使われます。

5. ロッドレス型

ロッドレス型は、ロッドが無いのでそのぶん全体の長さが短くなり、スペースを小さくすることが可能です。非常に長いストロークのものは、移動や長さを最小限にしたい場合などに使われます。

エアシリンダの特徴

1.  シンプルな構造

エアシリンダはシンプルな構造を持ち、小型で軽量です。このため、設置やメンテナンスが容易です。

2. 高速動作

圧縮空気を利用するため、エアシリンダは高速で動作することができます。これにより、生産ラインの効率を向上させることができます。

3. コスト効率

圧縮空気は比較的容易に入手できるため、エアシリンダはコスト効率が高いです。また、エネルギー源としての空気は安全で環境に優しいです。

4. 多様な用途

エアシリンダは多様な用途に対応できるため、産業機械や自動化システムなど、さまざまな分野で利用されています。

5. 制御の簡便さ

エアシリンダは、電動アクチュエータに比べて制御が簡便であり、特に細かな制御が必要ない場合に適しています。

 

本記事はエアシリンダを製造・販売する有限会社双葉製作所様に監修を頂きました。

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メタレンズ

メタレンズとは

メタレンズとは、従来のレンズに比べて非常に薄いレンズです。

メタレンズという名前はメタサーフェスレンズ (英:Metasurface lens) の略です。メタサーフェスはナノスケールレベルの構造技術で製造された、薄膜表面を指します。従来のレンズがレンズ全体を厚くして屈折させるのに対して、メタサーフェスは非常に薄い層で同様の効果を得ることが可能です。

メタレンズは非常に薄いため、軽量でコンパクトです。これにより、携帯機器や小型デバイスへの組み込みが容易になります。ナノスケールの構造を用いることで、精密な光学特性の制御も可能な点が特徴です。

メタレンズの使用用途

メタレンズは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 情報・通信

メタレンズは通信業界で技術革新を支える重要な技術です。特にスマートフォンなどのデバイスに搭載されるカメラでは、メタレンズを利用することでモジュールを薄型に保ちながら高解像度の画像を取得することが可能です。これにより、デバイス全体のスリム化が進むと同時に、カメラの性能も向上します。

また、光ファイバー通信システムでは、メタレンズを使って光束を精密に整形することが可能です。データ転送の効率を高める役割を果たします。

2. 医療

医療分野では顕微鏡の性能向上にメタレンズが貢献しています。メタレンズを用いることで顕微鏡のデザインがコンパクトになりつつ、高解像度の観察が可能です。特にポータブルな医療機器において重要です。

内視鏡においても活用されています。メタレンズの導入によりデバイスのサイズを小さくしながら、視野の拡張や画像の鮮明度向上が図れます。これにより、より快適な検査が可能になります。

3. 航空宇宙

航空宇宙分野では、衛星や望遠鏡などの光学機器にメタレンズが使用されています。これにより、機器の軽量化と高性能化が実現します。メタレンズを用いることで、より精密な観測が可能となり、地球外の探査や宇宙の観測がより効率的に行うことが可能です。

また、航空機のセンサーにもメタレンズが利用されています。メタレンズによってセンサーの性能が向上し、正確なデータ取得が可能です。これにより、航空機の安全性などを向上させることができます。

4. エンターテイメント

エンターテインメント分野では、バーチャルリアリティ (VR) デバイスにメタレンズの導入が計画されています。メタレンズによってVRデバイスの光学系がコンパクトで高解像度になり、よりリアルな体験を実現できます。さらに、拡張現実 (AR) デバイスにおいても軽量かつ高性能な光学系を設計・製造することが可能です。

メタレンズの原理

メタレンズの原理は、メタサーフェスを利用して光を操作することに基づいています。メタサーフェスは数十nmの微細な構造を表面に配置しており、光の波動と相互作用します。これにより、光を屈折させたり、焦点を調整したりする仕組みです。

メタレンズは従来の光学素子に比べて非常に薄いです。これにより、光学素子を複数集積することが可能になり、より複雑な光学系を一つのデバイスで実現できます。

製造にはリソグラフィーなどの技術を使用しています。高エネルギーの電子ビームや紫外線を用いてレジスト材料にパターンを転写します。これにより、ナノスケールのパターンを形成することが可能です。

素材には誘電体材料や金属が使用されます。誘電体材料にはシリコンや窒化シリコンなどを採用することが多いです。金属には金や銀及びアルミニウムなどを採用します。

メタレンズの選び方

メタレンズ近年発達した技術であり、製造企業も限られています。以下は選定要素の一例です。

1. 光学的特性

メタレンズの性能を所要の能力とするために、設計・調整することが重要です。屈折率や波長範囲及び損失特性などをシミュレーションし、素材も個別に選定することが重要です。これらを実現できる技術力を有する企業を選定することが重要です。

2. コスト

メタレンズには高精度な製造プロセスが必要なため、製造コストが高いという課題があります。量産化が進むことでコストが低下する可能性がありますが、現段階では高価な技術です。必要な量を予算内で製造できる企業を選定することが重要です。

3. 信頼性

メタレンズはポータブル機器などに導入されるため、長期間の使用や過酷な環境での信頼性を確保する必要があります。材料や製造プロセスによる耐久性の問題が研究されています。これらを解決できる企業を選定することが重要です。

防犯センサー

防犯センサーとは

防犯センサーとは、不審者や侵入者を検知して知らせるためのセンサー製品です。

防犯センサーは、侵入者を検知し、警報音を鳴らして周囲に異常を知らせます。また、侵入者に心理的抑止力として働く効果も期待できる製品です。赤外線センサーをはじめとして様々な種類がありますが、アクティブセンサー、パッシブセンサー、マグネットセンサーなどに分類することができます。用途・使用シーンに応じて使い分けられています。

防犯センサーの使用用途

防犯センサーは、敷地内や建物内への侵入者を検知するもしくは抑止力として防止するために使用されます。空き巣などの侵入窃盗や不審者の不法侵入を防ぐことが可能です。主な効果には下記のようなものがあります。

  • 侵入者を検知する
  • 侵入者に心理的プレッシャーを与え、抑止力として働く
  • 周囲に異常を知らせ、被害の拡大を防ぐ

一般家庭における防犯用としては、

  • 玄関
  • 縁側
  • ベランダ

などに使用されることが多いです。

業務用としては、下記のような使用用途があります。

  • 事務所などにおける機密情報の保護、窃盗防止
  • 小売店、飲食店、商業施設などにおける窃盗防止
  • 農地・果樹園における農産物の窃盗防止
  • 建設業・倉庫などにおける資材窃盗防止

防犯センサーの原理

防犯センサーは、赤外線やマイクロ波などの電磁波を用いて侵入を検知します。侵入を検知した際は、警報音などで侵入を知らせる仕組みです。

アクティブセンサーとパッシブセンサーとがあり、アクティブセンサーは赤外線などの電磁波をセンサーから放出し、放出したり反射したりした電磁波を検出することで不審者を検知します。パッシブセンサーは、対象物によって放出される赤外線などを検知するセンサーです。アクティブセンサーが玄関や窓などの狭い範囲の侵入者を検知するのに対し、パッシブセンサーは室内に入り込んだ不審者などを検知することに長けています。

また、マグネットセンサーは、窓枠と窓、ドア枠とドアなどの開口部にマグネットバーとセンサーを取りつけることで、マグネットとセンサーが離れる動作を検知する仕組みです。開閉する場所に取り付けられます。振動検知式や集音式のセンサーを用いてガラスの破壊が検知される場合もあります。

防犯センサーの種類

防犯センサーには、様々な種類があり、用途に応じて使い分けられます。主な種類として、下記のようなものが挙げられます。

  • 熱線センサー・人感センサー
  • 開閉センサー
  • 赤外線ビームセンサー
  • ガラス破壊センサー

1. 熱線センサー・人感センサー

熱線センサーや人感センサーは、監視しているエリア内で、人や物の動きを検知するセンサーです。赤外線やマイクロ波などを用いて、人の動きを検出します。赤外線センサーは、室内の一定範囲内で温度変化を捉えることで、不審な動きを検知する仕組みです。マイクロ波センサーはマイクロ波信号を発信し、その反射波を分析することで物体の動きを検知します。
他にも音に反応する音感センサーを用いて動きを検知する場合もあります。

2. 開閉センサー

開閉センサーとはドアや窓などに取り付けるセンサーで、開閉したときに作動します。マグネットセンサーなどが主に使用されます。ドアや窓の開閉部分に1組の開閉センサーを取り付けると開いたときにセンサー同士が離れ、開閉を検知します。

3. 赤外線ビームセンサー・光電センサー

赤外線ビームセンサーや光電センサーは、赤外線や光ビームを送受信することで、人や物がビームを遮断した際に侵入を検知します。設置方法には下記の2種類があります。

  • センサーを1つだけ設置して、対象物で反射する赤外線を検知する方法
  • 2つのセンサーを左右に設置し、遮断されるセンサーの間の赤外線を検知する方法

4. ガラス破壊センサー

ガラス破壊センサーは、侵入者によるガラスの破壊時に発生する、特定周波数の振動を検知することができます。接触型と非接触型の2種類に分類されます。

接触型は、直接ガラス面に設置し、ガラスへ加わった衝撃や振動を検知します。非接触型は、天井や壁面に取り付けられ、ガラスが破壊される時に発する音を検知する仕組みです。

消防ホース

消防ホースとは

消防ホースとは、消火活動で使用されるホースです。

消防ホースは、高圧に耐えられるように設計されており、圧力に応じた大流量の水を供給できます。これにより、大規模な火災でも短時間で大量の水を放出し、火勢を迅速に抑えることができます。高圧に耐えることで、ホースの破損リスクが低く、効率的な消火活動が可能です。

また、強靭な素材で作られており、耐摩耗性や耐裂性に優れています。耐熱性もあり、火炎や高温にさらされても機能を維持します。これにより、過酷な条件下でも長期間使用でき、消火活動中のホースの破損を防ぎます。

柔軟で軽量なため、狭い場所や障害物のある現場でも取り扱いやすいです。曲がりやすく、障害物を回避しながら設置できるため、消火活動が効率的に行えます。ホースは簡単に巻き取って収納できるため、使用後の保管や移動もスムーズです。

消防ホースの使用用途

消防ホースは主に防災目的で使用されます。以下はその一例です。

1. 消防隊・消防団

消防ホースは火災消火において重要な役割を果たします。都市部の火災、例えばビルや住宅の火災では、ホースを使って高圧で水を放出し、火の勢いを抑えます。水を直接火元にかけることで広がりを防ぎ、効果的に消火することが可能です。

また、広大な森林火災でも火が広がるのを防ぐ役割を果たします。山岳地帯やアクセスの難しい場所では、ホースを適切に配置して消火活動が行われることもあります。

2. 工場

工場内で発生する火災に対処するために、消火設備としてホースが設置されていることが多いです。工場では化学物質や可燃物が多く扱われるため、高圧での水放出が求められます。また、工場内での冷却作業や設備の洗浄にもホースが活用される場合があります。

3. 商業施設・公共施設

商業ビルでは、火災時に備えてホースが常備されています。定期的な点検や消火訓練を行い、ホースの機能や配置状況を確認することが義務付けられています。また、学校や病院などの施設でも、消火訓練や緊急対応のために消防ホースが使用されることが多いです。

消防ホースの原理

消防ホースの主な機能は、高圧で水や消火剤を放出することです。消防車などに搭載されたポンプによって水を高圧に圧縮し、その圧力をホースを通じてノズルに送ります。高圧の水は火元に向かって強力に放出され、火の勢いを抑えるための重要な役割を果たします。

消防ホース内での水の流れは流体力学の原理に基づきます。ホースの内部は滑らかで摩擦が少ないため、水がスムーズに流れるように設計されています。また、ホースの直径も流量に影響を与える要素であり、直径が大きいほど大量の水をより迅速に放出することが可能です。

素材としては、ナイロンやポリエステルを使用されることが多いです。ナイロンは強度と柔軟性が高く、耐摩耗性にも優れています。ポリエステルは耐久性があり、化学物質や紫外線にも強い点が特徴です。

消防ホースの選び方

消防ホースを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 口径

口径はホースの内径を指し、流量を決定する重要な指標です。大口径のホースは大量の水を迅速に供給できるため、大規模な火災や工業施設での使用に適しています。一方、小口径のホースは取り扱いが簡単で、狭い場所や小規模な火災に適しています。

2. 長さ

ホースの長さは使用する現場の条件や作業範囲に影響します。短いホースは取り扱いが容易で、狭い場所や短距離の作業に適しています。長いホースは広い範囲や長距離の消火活動に向いています。

3. 素材

ホースの内層や外層には、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を使用することが一般的です。これらの素材は耐摩耗性が高く、軽量で柔軟性があり、火災現場の過酷な条件にも耐えることができます。また、ゴム製ホースも高い弾力性と耐圧性を有しますが、やや重くなることがあります。

4. 最大使用圧力

最大使用圧力はホースが耐えられる最大圧力であり、ポンプ性能などを考慮して選定します。高圧ホースは強い水流が必要な状況に対応することができ、工業用途や大規模な消火活動に適しています。一方、中圧や低圧のホースは小規模な火災や比較的軽い使用に適しており、小規模施設において有利です。

社旗

社旗とは

社旗とは、企業の象徴として使われる旗です。

企業のロゴやシンボルを記した旗であり、ブランドアイデンティティを強化する役割を果たします。これにより、社旗が掲げられる場所で企業の視覚的な一貫性が保たれ、ブランド認識が高まります。例えば、展示会やイベントで社旗が使われると、参加者の目に留まりやすくなり、企業の存在を際立たせることが可能です。

また、ロゴやシンボルによって社員に一体感や誇りを感じさせる役割も果たします。社内イベントや会議で社旗を掲げることで、社員は共通の目標や理念を再確認しやすくなり、一体感を高めることが可能です。これにより、社員のモチベーションが向上し、仕事への取り組みがより積極的になることが期待できます。

社旗の使用用途

社旗は企業活動において、様々な場面で使用することができます。以下はその一例です。

1. イベント

社旗は企業のイベントや展示会で使用されることが多いです。こうした場面で社旗を掲げることで、企業の存在感を強調し、ブースやステージが目立つようにすることができます。また、企業のブランドやメッセージを視覚的にアピールするための重要なツールとなります。

2. 社内イベント

社内でのセレモニーや社員集会など、社内行事でも社旗が活用されます。社旗を掲げることで、社員に対して企業のアイデンティティや理念を再確認させることができ、一体感や誇りを醸成する助けとなります。周年記念イベントや社内表彰式などが社旗使用の一例です。

3. 施設・オフィス

企業のオフィスビルや施設の入り口、ロビーなどにも社旗を掲げることがあります。これにより、訪問者に対して企業のブランドを強調し、企業のプロ意識を印象づけることができます。特に企業の本社や主要なオフィスでは、社旗は企業のアイデンティティを示す重要な要素です。

4. スポーツイベント

企業がスポンサーとなっているスポーツイベントや大会などでも、社旗を使用することも多いです。社旗が会場に掲げられることで、企業のスポンサーシップをアピールし、企業のイメージを広めることが可能です。これにより、企業の認知度が高まるとともに、スポンサー効果を最大化することができます。

社旗の特徴

社旗のデザインは企業のロゴやシンボルが中心です。これにより、企業のブランドアイデンティティを視覚的に表現します。デザインには企業のコーポレートカラーや特定のシンボルが使われることが多く、特徴やメッセージが反映されます。シンプルでありながら印象に残るデザインが多いです。

素材は、使用される場所や耐久性に応じて異なります。屋外で使用される場合は、耐候性の高いポリエステルやナイロンなどを選定します。社旗の使用環境や目的に応じて選定されます。

社旗の掲揚方法には、ポール取り付けや壁掛けがあります。ポールに取り付ける場合、風に揺れることで目を引きます。壁に掲げる場合は、より静的にブランドを表示することができます。

社旗の選び方

社旗を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 素材

社旗の素材選びは、その使用環境に大きく影響します。屋外で使用する場合、風や雨に耐えるために耐候性のある素材が必要です。ポリエステルやナイロンは耐久性が高く、屋外の厳しい条件にも対応できるため、屋外イベントや長期間の掲揚に適しています。

一方、屋内で使用する場合は、軽量で柔らかい素材が適しています。サテンや綿は室内での展示やイベントにおいて高級感を演出するのに役立ちます。素材選びは、使用頻度や設置場所、気象条件に応じて決定するのがベストです。

2. サイズ

社旗のサイズは、使用目的と設置場所によって選定します。広い会場や屋外イベントでは大きめの旗が視認性を高め、遠くからでも目立ちます。狭いスペースや室内イベントでは中程度のサイズが適しており、バランスの取れた見栄えとなります。

3. 加工方法

加工方法にはデジタル印刷やスクリーン印刷、旗染色や刺繍などがあります。デジタル印刷は細かいデザインや多色使いに適しており、鮮明な仕上がりが特徴です。一方、刺繍は高級感があり、耐久性も高いため、長期間の使用に向いています。旗染色は伝統的な技法を用いて一点ものを作る時に適しています。また多彩な色を表現できることが特徴です。

4. 加工オプション

社旗の加工オプションは、機能性や見た目に大きく影響します。旗の端に縁取りや補強を施すことで、擦り切れや破れを防ぎ、耐久性を向上させることが可能です。取り付け部品にはハトメやリングがあり、風などの影響で旗が損傷するリスクを低減できます。

板鍛造

監修:株式会社寺方工作所

板鍛造とは

板鍛造とは、板金加工と冷間鍛造を融合させた加工サービスです。

板鍛造は、板金加工のコイル材を使って高品質で大量に生産が可能な点と、冷間鍛造の塑性変形を常温で行い高精度な成型が可能な点の両方のメリットを融合させた加工法です。板鍛造を活用すると、複雑な形状の肉厚部品を一気に成型ができます。しかも、高精度かつ低コストです。

FCF工法 (英:Flow Control Forming in Sheet Metal) とも呼ばれています。板鍛造の加工を引き受ける会社はまだ少ないが、依頼すれば、適切な加工サービスを受けられます。

板鍛造の使用用途

板鍛造は、板厚がほとんど変化しない通常のプレス加工に、鍛造要素を取り入れて板厚の変化を制御可能な加工法で、自動車部品や電機製品の小物精密部品などに多く使用されます。例えば、歯車構造を有するギヤ部品や、フランジのように部分的に増肉が必要な部品です。事例の一部を次に示します。

1. 自転車リアーディレーラー用ブラケット

外寸40mm以下の材質S45C、板厚4.6mmの部品です。鍛圧部の公差4.4±0.03、穴径10.15±0.08、座ぐり部11±0.1mmが主要寸法です。工法の特徴は、減厚・エンボス・座ぐり加工などの複合成形です。

2. シートリクライナー用ロックギア

材質S45C、板厚6.0mm、ギアモジュール0.55の部品で、特徴は、つぶしによりギヤとカム面を成形です。粉末冶金による成形部品や、溶接・圧入などによる部品を板鍛造に変更すると一体成形ができ、大幅なコスト削減が得られます。

3. 4輪ブレーキ用ブラケット

材質SAPH440、板厚6.0mmの部品で、ファインブランキング順送加工して、必要な部分のみ増肉することで、材料費を低減し軽量化を実現したものです。

4. ドアロック用ラッチ・ラチェット

前方押し出しによりエンボスを一体成形し、ピンの製作と圧入の工程を省きます。板鍛造により材料のファイバーフローが切断されないので、強度が上がり、ピンが抜ける製品不良もなくなります。

板鍛造の原理

板鍛造は、打ち抜き・絞り・曲げ・バーリングなどを行う板金成形工法と、据えこみ・しごき・押し出しなどの鍛造成形工法を取り込んだ複合成形加工法です。板鍛造の主なメリットを次に示します。

1. 後加工の切削が不要

後加工の切削加工が不要であり、「ネットシェイプ加工」の一つです。加工時間の短縮や材料歩留まりの向上などで大きなコスト低減が可能です。

2. 高強度

製品形状に沿ったファイバーフローができるので、高強度になります。また、鍛造加工で金属内部の気泡や欠陥を押しつぶして、金属の結晶構造を緻密にすることで、粘り強い金属になります。

3. 高精度

板鍛造の加工で、ファインブランキングを用い、高精度な平面度・直角度が得られます。また、従来のプレス成形では困難であった高精度、差厚・段差、歯形のような、高付加価値形状の成形が可能です。

ただし、板鍛造では金型の負担が大きくなるため、金型を高剛性・高精密にし、高剛性のプレス機械が必要です。

板鍛造のその他情報

加工サービス

鍛造は日本が発祥の技術で、2015年前後から普及が始まりました。コスト低減に大きな効果があり、今後の発展が期待されています。板鍛造用の金型を設計・製作できるメーカーはまだ少なく、現時点では専門メーカから加工サービスを受けるのが得策です。

本記事は板鍛造を提供する株式会社寺方工作所様に監修を頂きました。

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消煙灰皿

監修:株式会社ジー・スリー

消煙灰皿とは

消煙灰皿とは、自動でたばこの煙を消火する機能が備わっている灰皿です。

従来の灰皿は、たばこを捨てる前に確実に火を消す手間があったり、燃えカスの燃焼の危険、汚染水の廃棄など様々な問題がありました。消煙灰皿は、たばこが燃えて発生する二酸化炭素を利用し、自動で煙を消す仕組みの灰皿です。より確実に消火する機能だけでなく臭いを灰皿内に留めることができます。

健康志向の高まりと各種法整備の結果により、受動喫煙を防止するため、今日では各種施設などにおいて従来よりも高い分煙化が必要です。各種喫煙所や喫煙ブースなどで活用されています。喫煙ブースのオプションとしてセットで販売されることもあります。

消煙灰皿の使用用途

改正健康増進法が施工された2020年4月以降、様々な施設において、受動喫煙防止として全面禁煙もしくは分煙の措置が取られるようになりました。従来の灰皿は、火を消す手間があったり、臭いがつきやすいという問題がありました。また、水を使わない灰皿では火が完全には消えていない場合に燃えカスが燃える危険があったり、水を使う灰皿では、水に触れることでたばこの臭いが強くなったり、汚水の廃棄に関わる問題もあります。

消煙灰皿は、より安全でクリーンな灰皿としてこれらの問題を解決することができます。喫煙ブースなどの分煙に配慮された喫煙専用スペースなどにおいて活用されている製品です。

主な導入施設には下記のようなものがあります。

  • 各種飲食店
  • 商業施設、スーパーマーケット
  • 遊技場 (ボウリング場、カラオケ、パチンコ)
  • オフィス、事務所
  • ホテル、旅館
  • 結婚式場、パーティー会場
  • 公共施設、行政庁舎
  • サービスエリア・パーキングエリア
  • ゴルフ施設
  • ショッピングモール
  • 大学
  • 工場
  • レンタルスペース

これらの施設において、排気設備を備えた屋内用の喫煙ブースのほか、屋外の喫煙所などにおいて、消煙灰皿は使用されています。清掃性が高く、喫煙所周囲の環境美化にも貢献することが可能です。

消煙灰皿の原理

消煙灰皿は、一般に流入する酸素の量が制限されるようになっています。たばこが燃えて発生する二酸化炭素は、空気より重いため下方に溜まります。消煙灰皿は対流や滞留によって下の方にある吸い殻に二酸化炭素を充満させて消火する仕組みです。

水を使用しないため汚染水も発生せず、たばこ特有の臭いも発生しにくい仕組みです。燃えカスによる火災のリスクも抑えることができます。また、灰が飛び散らず、アルミ袋の使用により丸ごと廃棄できるため、より清潔です。また、安全のため、転倒しにくい設計です。

製品によっては、自動消火までの間に煙が出ますが、酸欠状態にて確実に消化します。この場合、瞬間消火ではないので、屋外での使用が推奨される場合もあります。

消煙灰皿の種類

消煙灰皿は、様々なメーカーで製造販売されており、多様な種類があります。

1. 容量

1人用の使用を想定したスリムな製品から、複数名で使用可能な製品まで様々な大きさがあります。容量は2〜3L程度のものから、不特定多数が使用する大型施設などを想定した15L以上のものまで様々です。1人用のものでも吸い殻400〜500本を捨てることができ、1,000本を超える吸い殻を捨てることができる製品もあります。

2. 形状・色

形状については、直方体型、円筒形など、様々なものがあります。据え置きで使用するものの他、取っ手がついているものは持ち運びすることも可能です。倒れないように重量があるため、小型の製品で数kgの重さがあります。

多くの製品で部品を取り外したり分割したりすることができるようになっており、清掃が容易です。投入口をすり鉢状に小さくすることでより清掃性が高くなっている製品もあります。色は、ブラック、ホワイト、メタリックなど、様々な製品があり、周囲の意匠に合わせて選定することが可能です。

本記事は消煙灰皿を製造・販売する株式会社ジー・スリー様に監修を頂きました。

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