水密ゴムとは
水密ゴムとは、液体の浸入を防ぐために用いられる弾力性の高い合成ゴムです。
水門や建物の開口部などに取り付け、圧力がかかるとつぶれて隙間を密封します。素材には耐候性に優れた EPDMや天然ゴムが使われることが多く、紫外線や雨水に長期間さらされても硬化しにくい点が特徴です。加えて、ゴム内部を中空にしたチューブ形状や、金属との複合構造など、使用条件に合わせた断面設計が豊富に用意されています。用途ごとに最適な形状を選択できます。
製造時には、ゴムの硬さや繰り返し圧縮後の戻り具合を厳密に管理し、長期使用でのへたりを抑えています。また、耐熱老化試験や吸水率試験を実施し、劣化や膨潤を最小限に抑える配合を組まれます。こうした品質管理により、ダムや堰など信頼性が必要な施設でも採用される重要部材として定着しています。
水密ゴムの使用用途
水密ゴムは以下のような用途で使用されます。
1. 河川・ダム
河川の防潮水門やダムのゲートでは、水圧とゲート自重が直接かかるため、耐久性と復元性を兼ね備えた水密ゴムが必須です。断面形状を選べるため、適切な製品を選定します。直線ゲートには平型、曲面や隅角部には P 型や L 型を使い分け、長期運用でも止水性能を維持します。
2. 産業機器・配管
工場や浄水場の緊急遮断ゲートなどにも使用されます。また、薬液タンクのマンホールや、真空乾燥炉の扉などに採用されることも多いです。水密ゴムが薬液の漏洩や真空度の向上に寄与します。ゴムは化学薬品に合わせて配合を変えられるため、塩素水や酸性液を扱うラインでも膨潤やひび割れを防ぎ、安全運転を支えます。
3. 土木・トンネル
シールド工法で建設される地下鉄や道路トンネルでは、セグメントと呼ばれるコンクリートブロックを繋ぎ合わせてトンネルを構築します。その際、セグメント間の継ぎ目からの地下水浸入を防ぐために水密ゴムが不可欠です。高い水圧や地盤の動きに長期間耐えうる、極めて高い耐久性と復元性が求められます。