DC/DCコンバータとは
DC/DCコンバータは、一定電圧を出力する直流電源から異なる電圧の直流電圧を作り出す電源装置です。
入力する直流電圧よりも高い電圧を出力する場合を昇圧コンバータ、低い電圧を出力する場合を降圧コンバータと呼びます。
DC/DCコンバータの使用用途
DC/DCコンバータは、電子機器の内部で一部の回路に適した電源電圧を供給するために使用されます。
一般に電子機器は商用電源 (交流) を用いて動作しますが、電子回路には直流電源が必要なので、商用電源を一旦直流に変換します。この電源回路をAC/DCコンバータと呼びます。
一方、回路を構成するICなどの電子部品は、それぞれ最適な動作電圧範囲が異なるため、個々の回路に適した電圧を供給しなければなりません。そこで必要とする電圧に応じた電源を複数用意しますが、このような場合にDC/DCコンバータが使用されます。
DC/DCコンバータの原理
DC/DCコンバータは2種類あり、それぞれ原理が異なります。
1. リニア・レギュレータ
リニア・レギュレータでは、NPNトランジスタを入力端子と出力端子間に挿入し、このトランジスタのコレクタ-エミッタ―間の電圧を制御することで出力電圧を一定に維持します。トランジスタは入力側をコレクタ、出力側をエミッタとして、その出力電圧と所望の電圧の差を制御回路が検出します。
トランジスタのベース電流を制御し、出力電圧が一定になるようにコレクタ-エミッタ間の電圧を変化させるという流れが基本的動作です。NPNトランジスタの代わりにNチャンネルMOSFETを使うものもあり、この場合は入力側にドレイン、出力側にソースを接続し、制御回路はゲート電圧を制御します。
2. スイッチング・レギュレータ
スイッチングレギュレータは、入力端子と出力端子間にスイッチング素子を設け、出力電圧が所望の電圧になるまでスイッチング素子をON状態にして入力から出力へ電力を供給し、出力電圧が所望の電圧に達した時点で、スイッチング素子をOFF状態とする流れが基本的な動作です。
この動作を高速で繰り返し、出力電圧を所望の範囲に収めるよう制御します。スイッチング・レギュレータ方式のDC/DCコンバータでは、コイルと組み合わせて電流遮断時にコイルから発生する逆電圧を利用して、入力した電圧よりも高い電圧を得る昇圧動作が可能になります。
また、入力側の電圧にかかわらず一定の電圧を出力できる昇降圧レギュレータ、さらに正電圧から負電圧を作る反転レギュレータも実現可能です。
DC/DCコンバータの種類
DC/DCコンバータには、大きく分けて「リニア・レギュレータ」と「スイッチング・レギュレータ」の2種類があります。
1. リニア・レギュレータ
入力端子と出力端子の間にNPN型トランジスタを挿入し、出力端子の電圧が常に一定となる様制御するもので、この方式は、ノイズが少ない安定した出力電圧が得られますが、次の欠点があります。
- 出力電圧は入力電圧より低い電圧しか得られません。
- トランジスタによる損失が大きいので、エネルギー効率は悪く、発熱が大きくなります。
2. スイッチング・レギュレータ
入力端子と出力端子の間にスイッチング素子を設置し、入力端子から流れる電流をスイッチング素子でON/OFFして、出力端子の電圧を一定に保持するもので、次の利点があります。
- 回路構成により昇圧コンバータ、降圧コンバータどちらにも対応できます。
- エネルギー効率が高く、回路全体の発熱量が少なくなります。
一方、欠点としては次のようなものがあります。
- スイッチングノイズが発生し、出力にスパイク上のノイズやリップルが現れます。
- 部品点数が多く、回路規模が大きくなります。
DC/DCコンバータの使い方
リニア・レギュレータでは、ローノイズで安定した電圧出力が得られるので、各種センサーの微弱な信号を扱う場合などアナログ回路に適します。しかし、発熱量が大きいので、適切な放熱設計が求められます。ヒートシンクやファンを併用して発生した熱を機器外部に逃がすよう配慮が必要です。
一方、スイッチング・レギュレータは、出力電圧を広い範囲に設定できるとともに大電流の供給も可能ですが、ノイズの発生が避けられないので、その対策が必要になる場合があります。シールドケースに収めるなどが対策の例です。
しかし、アナログ回路へのノイズの廻り込みを防ぐためには、電源そのものを分離して、一点アースでDC/DCコンバータとアナログ回路のグランドレベルを共通にするなどの対策が必要になる場合もあります。
また、比較的発熱は少ないとは言え、大きな電力を出力する際は、リニア・レギュレータと同様に機器内部の放熱に十分注意して設計することが必要です。
参考文献
https://www.alu4all.com/what-is-a-heat-sink-and-its-working-principle/
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