コンパレータとは
図1. コンパレータのイメージ図
コンパレータとは、2つの入力信号を比較し、その結果によって異なる出力を行う素子です。
一般的には測定したい信号の入力と、基準となる信号の2つを入力します。これによって、基準値を上回る信号(電流や電圧)が入力された時に、特定の動作をさせるなどの条件分岐を回路上で行うことが可能となります。
コンパレータの使用用途
コンパレータは、入力信号(電流及び電圧)と基準信号を入力して比較を行う論理回路を組むことが可能です。例えば、電圧の過剰な上昇や低下をモニターして範囲外になるとアラートを出したり、装置の運転を制御することができます。
他にも、冷蔵庫やエアコンの温度を自動的に調節したり、携帯電話やPCでバッテリー残量が少なくなったらパフォーマンスを制限するなど、if/thenの条件分岐を行うことも可能です。
コンパレータの原理
コンパレ-タは5つの端子を持っており、正・負それぞれの電源端子と2つの入力、それと1つの出力端子からなります。これはオペアンプとほぼ同じ構成をしており、反転増幅を行うかどうかの違いでしかありません。もともとオペアンプは入力電圧に差がある場合、供給電源の電圧を出力するという性質を持っており、コンパレータはこの性質を利用しています。
逆に言えば、コンパレータの出力端子から負の入力端子にフィードバックをかけるような回路を組めば、オペアンプとして利用することも可能です。コンパレータは反転増幅を行う機構を持っていないので、オペアンプのように発振防止のための位相保償を行っていません。
そのため、コンパレータは、オペアンプに比べてコンパレータは応答性に優れているというのが最大の特徴です。また、複数のコンパレータを使用して、基準値を段階的に設定すれば、ADコンバータとして利用することができます。このような構造のADコンバータは高速な変換が可能です。
コンパレータのその他情報
1. コンパレータの入力はアナログ、出力される信号はデジタル
図2. コンパレータの入力と出力
コンパレータの入力はアナログですが、出力される信号はデジタルです。したがって、コンパレータはアナログ回路とデジタル回路のインターフェースとして利用されることもあります。
2. ヒステリシス・コンパレータ
コンパレータの比較のしきい値が一点の場合、アナログ信号に重畳された予期せぬ外来ノイズがあると、コンパレータはノイズに反応してHigh/Lowを繰り返すことになります。これは本来の入力値での切り替えではなく誤動作を引き起こすため、ヒステリシス・コンパレータという比較器が考案されました。
ヒステリシス・コンパレータは、出力状態に応じて二つのしきい値を有する特徴があります。出力の切り替わりと同時に、それまでのしきい値とは別のもう一つのしきい値に切り替わるため、予期せぬノイズ起因の誤動作を防ぐことが可能です。
ヒステリシス・コンパレータの回路構成は、従来のコンパレータの出力端子から入力端子に抵抗などを介して正帰還をかけます。ちなみに、この回路は考案者の名前(オットー・シュミット)をとってシュミットトリガーと呼ばれています。
シュミットトリガーは、ツェナーダイオードなどのアクティブ素子を併用して電源電圧変動対策を施し、より汎用性を高めた回路が一般的です。ヒステリシス・コンパレータのしきい値は0Vを基準にプラスマイナス対称に設定できる回路と、非対称に設定可能な回路がありますが、ここで重要な点としてヒステリシス幅を大きくとりすぎないことが挙げられます。
なぜなら、ヒステリシス幅を大きくすることで、外来ノイズへの耐性は改善しますが、本来判定したい入力値への感度が劣化してしまうためです。よって、実際のノイズの値以上に必要以上にヒステリシス幅は大きくしないよう注意が必要です。さらにバランスのとれた設計には、しきい値電圧とコンパレータの電源電圧の比率も考慮しましょう。
参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/opamps/op_what1