固定抵抗とは
固定抵抗とは、電気を流れにくくする基本的な電子部品の1つです。
回路に流れる電流の量を調節や、電圧の分割 (分圧) 、回路動作上必要な時定数を設定するなどの役割があります。固定抵抗は、回路上においていろいろな役割を果たす基本的な素子です。
なお、抵抗器には抵抗値を自由に変えることができる可変抵抗器、抵抗値の調整を行うことができる半固定抵抗器がありますが、これら抵抗値を変化させられる抵抗器に対し、抵抗値を変更できないものが固定抵抗です。
固定抵抗の使用用途
固定抵抗の基本的な用途は、回路に流れる電流のコントロールです。仮に回路上に抵抗が存在せずに全ての部品が直結されていた場合、回路には無制限に電流が流れ、その結果、回路部品は流れる電流により焼けてしまいます。
このような事態を回避する上で、抵抗は回路において適切な電流に調整する役割を果たすものです。 その他、固定抵抗を組み合わせて、所望の電圧を得るための分圧回路などいろいろな回路を構成することが可能です。
固定抵抗の原理
抵抗の大きさを表す抵抗値の単位は、オーム (Ω) と表現されます。これは、1Vの電圧を印可した時に流れる電流が1Aであった場合の抵抗値を1Ωとして定義されています。物質は導体、半導体、絶縁体に分類され、導体とは抵抗成分が極めて小さい鉄などの電流を良く流す物質、絶縁体とはプラスチックなど、電流をほとんど流さない物質、半導体はこれらの中間的な物質のことを示します。
抵抗は導体の中で比較的抵抗値が高いものが材料として採用されていて、例えば抵抗体としてカーボンを用いた炭素被膜抵抗や、薄い金属を用いた金属皮膜抵抗があります。固定抵抗は抵抗値が固定ですが、回路設計においては、いろいろな抵抗値が必要です。一方、生産性を考慮すれば、いくつかの種類に集約しなければなりません。
そこで、JISやISOでは抵抗値を集約し標準化するための数値が設定されています。これをE系列と言い、いくつかの種類が存在しますが、代表的なものにE6系列、E12系列、E24系列、E48系列があります。
E6系列は、1.0、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8の6種類の値を基礎にして規定されているものです。つまり、1.0Ω、1.5Ω、2.2Ω、3.3Ω、4.7Ω、6.8Ω、10Ω、15Ω、22Ω、33Ω、47Ω、68Ω・・・という具合に抵抗値が設定されています。E12系列/E24系列/E48 では、12種類/24種類/48種類の数値を使って、抵抗値を細かく規定しています。
固定抵抗の種類
固定抵抗は形状と素材によって、大まかに分類することができます。
1. 形状による分類
固定抵抗の形状によって分けると、リードタイプと面実装 (チップ) タイプです。
リードタイプ
リード線 (金属線) を持つ抵抗器です。基板の穴に差し込んで半田付けすることを前提としたもので、嘗ては主流として使われていました。
面実装タイプ
基板面に直接実装する抵抗器です。現在電子機器の回路基板に採用されている抵抗のほとんどがこのタイプであり、小さな角板状の形状をしているチップ抵抗器がそのうちの9割近くを占めます。なお、わずかですがメルフタイプと呼ばれる円筒型の抵抗器も使われます。
2. 抵抗体の素材による分類
抵抗体の素材によって分けると、主に炭素系、金属系、メタルグレーズの3種類になります。
炭素系
さらに、炭素皮膜抵抗 (カーボン抵抗) とソリッド抵抗に分類できます。炭素皮膜抵抗は非常に安価で、さまざまなケースに使えるため、最もよく使用されている小電力用の抵抗です。多くの場合、抵抗器というと炭素皮膜抵抗を指しますが、誤差は±5%です。そのため、高精度を要求される用途には向きません。
金属系
さらに、金属皮膜抵抗と酸化金属皮膜抵抗に分けられます。金属皮膜抵抗は皮膜部分にニッケル・クロム合金などの金属材料を使用した抵抗器です。炭素皮膜抵抗と比べると、抵抗値精度が高く温度特性が良いという特徴がありますが、価格は高くなります。
同様に、酸化金属皮膜抵抗は皮膜部分に酸化スズなどの酸化金属を使用した抵抗器です。熱に強いため、中電力用として用いられます。
メタルグレーズ
金属酸化や金属とガラスを混合し、アルミナ基板などに高温で焼結させた素材です。非常に腐食しにくく、経年劣化がほとんどしない安定性が抜群という特徴があります。
固定抵抗のその他情報
リードタイプの抵抗
リードタイプの抵抗にはその抵抗値や許容差が分かるように、一般に4本か5本の色を用いて表示されています。色は数字と対応しており、例えば茶色は1、赤色は2、橙は3… といった具合です。このカラーコードはJIS C 5062で定められたものであり、詳しくはその一覧表で確認できます。
4色線の場合
1本目から4本目の順に第1数字、第2数字、乗数、許容差となっています。例えば、「赤黒赤金」である場合、カラーコードによると赤は2、黒は0、乗数を示す赤は10の2 乗、金は誤差±5%を表します。従って2.0 kΩ ±5%です。
5色線の場合
1本目から5本目の順に第1数字、第2数字、第3数字、乗数、許容差となっています。線の色が「茶緑黒黒茶」である場合、カラーコードによると茶は1、緑は5、黒は0、乗数を示す黒は10の0乗なので×1、許容差を示す茶は誤差±1%を表します。従って150Ω ±1%となります。
参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/299/
http://sim.okawa-denshi.jp/keiretu.htm
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-resistor
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/resistors/r_what2
https://www.akaneohm.com/column/classification/
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/resistors-guide
https://www.akaneohm.com/column/marking/