アナログフロントエンドとは
アナログフロントエンドとはセンサなどの信号を検出するデバイスとデジタル信号処理のデバイスをつなぐアナログ回路セットです。
Analog Front Endの頭文字から、AFEと呼ぶこともあります。アナログフロントエンドの主な役割はセンサから出力したアナログ信号をデジタル回路とつなぐために調整することであるため、信号調整回路と呼ばれることもあります。
センサなどで検知したアナログ信号は非常に弱く、雑音成分が数多く含まれている場合が多いため、このアナログ信号のノイズ除去や増幅などの調整をする必要があります。
アナログフロントエンドの使用用途
アナログフロントエンドの使用用途は、各種センサモジュールの制御に用いられます。
現在はIoTの時代と呼ばれることがしばしばあり、数あるセンサモジュールの中でもIoTセンサモジュールはIoTの時代に重要な役割を担います。基本的なシステム構成は、物理現象をアナログ値としてセンサを用いて検出し、デジタル信号に変換した後にマイコンでデジタル処理してから無線通信チップでクラウドにアップするという流れです。
この構成の中でセンサや無線通信チップとともに重要な役割を担うものがアナログフロントエンドです。IoTセンサモジュールの性能を高めるためには、センサの特性を極力引き出しながらデジタル処理ができるようにAFEを適切に設計する必要があります。
アナログフロントエンドの原理
アナログフロントエンドの原理は、センサ出力値のアナログ情報とデジタル回路を正確につなげるための各種の回路的な工夫にあります。具体的には、一般のセンサ出力はノイズが多く信号自体が微弱であるためノイズ除去や信号増幅用のフィルタやアンプを用いる必要があります。必要な回路はAFEに集積された後アナログ信号からデジタル値へ変換用のA/Dコンバータと一体化されます。
A/DコンバータはデルタΣ変調を用いたタイプが一般に用いられ、回路規模は扱うデータ量に応じて16bitから32bit程度までが通例です。アンプ回路にはインスツルメンテーションアンプやオペアンプ、トランスインピーダンスアンプなどが挙げられ、広範囲なセンサ信号の調整のため何段階かの切り替え機能や利得調整機能などを有しています。
AFE自体はSPIなどのシリアル通信制御のためのデジタル回路で動作する必要があり、そのためのシリアルインターフェイス用デジタル回路も具備されています。
アナログフロントエンドのその他の情報
半導体チップは高性能な場合が多く、アナログフロントエンドには自由度が高いディスクリート品をはじめ、多くの機能を集積した統合品まであります。複数の機能が集積していると比較的簡便に使用可能です。
高い集積度のアナログフロントエンドのチップはアナログフロントエンドを圧力センサ、温度センサなどに集積したものなど高機能なものも市場に多く出てきています。アンプやA/Dコンバータなどを1チップにまとめ、センサ素子の特性によって、AFE部の特性や電流源の特性を調整できる機能なども備えています。この理由は一般にセンサ素子は温度や強度に応じた各種出力ばらつきを有する事例が多いためです。その補正機能もAFEとしては非常に重要な特性になります。
また、光学センサ用アナログフロントエンドでは光学素子と統合し、パッケージとして入手できるものや光学素子を含まないAFE機能のみで接続する光学素子を自由に選択できるものなど多種多様なバリエーションがあります。
参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1305/20/news010.html
http://sp.chip1stop.com/interview-cypress-chip/
https://literature.rockwellautomation.com/idc/groups/literature/documents/wp/pflex-wp001_-ja-p.pdf
https://ednjapan.com/edn/articles/1305/20/news010.html