GNSSモジュール

GNSSモジュールとは

GNSSモジュールとは、人工衛星からの信号を使って位置情報などのデータを取得するためのモジュールです。

GNSSは「Global Navigation Satellite System」の略で、全球測位衛星システムのことです。位置情報を割り出すシステムとして代表的な米国のGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国の北斗衛星測位システムBeiDou、日本のQZSSなどを指します。

様々な人工衛星のシステムから送られてくる信号を使用することで、より高精度の位置情報の測定を行うことができます。

GNSSモジュールの使用用途

GNSSモジュールは、車の位置や速度、進行方向の情報の測定や、スマートフォンのマップ機能などのための位置情報の取得に使用されます。また、タブレット端末、スマートウォッチ、ラップトップ、医療用途、スマート農業、高精度ロケーション、スマートトレイン、ロボティクス、自律車両、産業用オートメーション、物流および資産追跡、ドローン、農業用機械、建設重機などの用途もあります。

GNSSモジュールを選定する際は、モジュールの大きさやコスト、アンテナから受信した信号の処理の大きさなどの考慮が必要です。その他にも、スマートフォンやタブレットPCでは、落下に対する衝撃強度、車載用のGNSSモジュールでは、熱や振動強度を確保しなければなりません。

GNSSモジュールの原理

複数の人工衛星から送られる、人工衛星の位置と時間の情報を信号受信部で受信します。受信した時刻と信号が送信された時刻、信号の進行速度から、人工衛星とGNSSの距離を割り出し、それを複数の信号から行うことで、位置情報が判別可能です。

一方、人工衛星から送られてくる信号は微弱で、障害物があれば信号が届かなくなったり、受信環境周辺の影響でノイズが入ったり、正確な位置情報が割り出せなかったりする場合も多いです。そこで、正確な位置情報を割り出すために、高度な信号処理を実装している製品もあります。

GNSSモジュールの構成

GNSSモジュールの構成要素は、受信部、ローノイズアンプ、GNSSレシーバなどです。人工衛星から発信されている微弱な信号を信号受信部で受信し、ローノイズアンプで増幅させます。

その増幅された信号をGNSSレシーバで処理を行い、位置情報を算出します。その位置情報は、GNSSモジュールを接続している機器に送信され、位置情報を使ったアプリケーションに利用されます。

GNSSモジュールのその他情報

1. GNSSモジュールの主な誤差要因

GNSSモジュールは、人工衛星からのシグナルをキャッチすることで、クオリティの高い位置情報の測定を行うことができますが、衛星軌道、衛星クロック、電離層遅延、対流圏遅延、受信機 (アンテナ) 、マルチパスなどのファクターが原因による誤差が生じることもあります。各ファクターによって生じる誤差の理由は下記の通りです。

衛星軌道ファクター
測位計算は、人工衛星からエフェメリスデータ (衛星の軌道データ) 、アルマナックデータ (衛星の軌道歴) 情報をキャッチすることで行います。エフェメリスデータは2時間に1回、アルマナックデータは6日に1回アップデートされる情報です。そのため、両データがアップデートされていない期間は、直近のデータをもとに位置を推定する必要があるため、誤差が生じます。

衛星クロックファクター
人工衛星からのデータには、衛星クロック情報が含まれています。衛星クロック情報が人工衛星から発信されてから、受信機でキャッチするまでの時間にラグが生じます。

電離層遅延ファクター
電離層は、上空50kmから1,000km上空に存在している、太陽活動の影響により気体の種類や密度にばらつきが生じている領域です。人工衛星からの電波はこの電離層を通過するとき、光の屈折によって伝達速度に遅延が生じます。

対流圏遅延ファクター
対流圏は、地上から上空11kmの間に存在する領域です。人工衛星からの電波が対流圏を通過する際も電離層と同様、光の屈折により伝達速度に遅延が生じます。

受信機 (アンテナ) ファクター
アンテナで人工衛星の情報を受信した後に、ケーブル、回路、電波上の遅延、測位計算演算の速度やメモリーのアクセス速度等様々なファクターが影響し、誤差が生じます。

マルチパスファクター
マルチパスは、電波が反射物に跳ね返ることで、直接入射する電波よりも遅れて入射する電波のことです。人工衛星からの電波の場合、直接入射する電波よりも、マルチパスの電波出力の方が大きくなるケースがあります。この場合、出力の大きいマルチパスのデータを使って、測位計算が行われてしまうことがあります。

2. GNSSモジュールの測位方式

GNSSモジュールの測位方式は、単独測位と相対測位の2つに大別されます。

単独測位
単独測位は、4機以上の複数の衛星からのシグナルを1つの受信機で受信し、測位を行うものです。単独測定では、衛星クロックファクター誤差などが原因で、10~20mの測位精度が限界です。

相対測位
相対測位は、正確な座標が求められている基準点と測定したい点で同時に単独測位を行います。この場合、複数の受信機の情報を利用するため、単独測位よりもハイクオリティな測位が可能です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/reajshinrai/37/5/37_KJ00010077024/_pdf
https://www.adt.co.jp/works/2017/10/24/16
https://www.furuno.com/jp/gnss/technical/tec_what_gps

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