濃度測定器

濃度測定器とは

濃度測定器のイメージ

図1. 濃度測定器のイメージ

濃度測定器とは、気体または液体中に含まれるある特定の物質の濃度を測定するための機器です。

フィルタを通して得た特定波長の光や一定刻みの波長に分けた光 (スペクトル) の吸収量や反射量を測定することで、測定対象物の濃度を得ます。測定対象物が固定の場合、対象物の吸収の高い固有の波長の光をサンプルに照射し、検出器で透過 (減衰) 量を測定することで濃度を測定します。パルスオキシメーターも、光の透過度を利用した吸光濃度計の一種です。

濃度測定器の使用用途

濃度測定器の主な使用用途は、液体や気体中にある特定の目的物質の濃度測定です。様々な産業分野において使用されています。

1. 食品・飲料分野

食品包装に用いられる酸素測定器のイメージ

図2. 食品包装に用いられる酸素測定器のイメージ

食品産業においては、酸素による酸化反応によって品質が低下する製品が多くあります。包装工程において、品質の低下を予防するため、酸素濃度を低く保つことが必要です。充填機、シール機、包装機などの設定値が正しいか、確実にガス充填がなされているかどうかなどを監視するため、酸素濃度計が用いられています。

2. 環境測定

環境監視用途では、空気中のNOX、SO2、CO、CO2、HClなどの各種ガス濃度を監視する目的で濃度測定器が用いられています。また、環境測定用途の酸素濃度計は、特にマンホール、下水道や、タンク、船舶など、酸欠の恐れがある場所での安全確認に用いられる装置です。

3. 医療用途

医療用では、血中酸素濃度の測定 (パルスオキシメーター) 、グルコース濃度測定などの用途で各種機器が用いられています。

4. 工業用途

工業用では、生産ラインにおける液体濃度の管理のために濃度計が用いられています。具体的な例では、ウエハー製造工程におけるレジスト剥離液の濃度管理や酸アルカリ系洗浄液の濃度管理、半導体製造工程におけるリサイクル薬液の濃度管理や酸化膜・窒化膜エッチング液の濃度管理などが挙げられます。

また、微量酸素分析計は、工業用ガス中のごく微量な微量酸素濃度をの測定が可能であり、半導体の製造工程やAr溶接などで用いられる装置です。その他特殊なものでは、印刷でのインクの色濃度の測定などを行う装置や、生コン用塩分濃度計などがあります。

5. 実験科学

実験科学においては、酵素反応による呈色反応を濃度測定して酵素活性値を換算する用途があります。その他では、タンパク質、核酸の濃度測定 (定量解析) などにも濃度測定器が利用されています。

濃度測定器の原理

液体濃度を測定する濃度測定器では、吸光光度法を測定原理とする製品が多いです。

1. 吸光光度法

吸光光度法では、ある波長の光を測定試料を入れる容器 (セル) に照射します。セルを透過した光を受ける受光部 (検出器) から得た電気信号を元に光の透過度 (減衰量) を検出し、物質濃度を測定することが可能です。

照射した光の強度をI0、透過光の強度をI、モル濃度をC、光路長 (厚さ) をl、モル吸光係数をεと定めたとき、-logI/I0を吸光度Aと定義すると下記のような式が成立し、吸光度Aは試料の濃度Cに比例します。この関係式から検量線を作成することで、未知の物質の濃度定量ができます。 (A = εCl)

2. 分光器

光源の白色光より特定波長を得るための方法としては色ガラスなどのフィルターを通すフィルタ式、水晶や石英を原料とするプリズムを用いて分光するプリズム式、回折格子を用いて連続的な分光を得るグレーティング式などがあります。

例えば、フィルタ式は試料と受光部の間に補色フィルタを設置し、光をレッド、グリーン、ブルーのフィルタを通して測定する方法です。

3. 光源・検出器

主に光源として用いられているものは重水素放電管、タングステン、LEDなどです。検出器には光半導体 (ホトセル) 、光電子増倍管 (ホトマル) などがあります。分光の方法や検出器の種類により測定可能な波長域が分かれるため、目的に応じて機器やセルの素材を選択することが必要です。

一方で、オキシメーターのように測定目的物質が決まっている濃度計の場合は、光源から目的物質で吸収の多い特定波長のみが照射され、検出器で得た光を電気信号に換算して濃度として表示されます。

濃度測定器の種類

酸素測定器などのガス測定装置のイメージ

図3. 酸素測定器などのガス測定装置のイメージ

濃度測定器には前述の通り様々な用途があり、気体を測定するや液体を測定するものなど、その種類は様々です。液体を測定する濃度測定器の中でも、吸光光度法の他にも、液体中でセンサー部分の振動片を振動させて生じる粘性抵抗から濃度を測定するものや、超音波と導電率を組み合わせた多成分濃度計などがあります。

また、酸素測定器にも様々な種類があります。例えば、チャンバーやグローブボックス、インキュベーター内の濃度測定を行う理化学用のものや、環境測定用のもの、生産ラインの微量酸素を検出するもの、包装内の酸素濃度を測定するものなどが挙げられます。それぞれの用途に応じて、測定範囲や測定限界が異なるため、用途に合わせたものを選択することが必要です。

その他では、水素ガス溶解液の水素濃度モニタとして使用する溶存水素計や、オゾン濃度計なども濃度測定器の一種として挙げられます。

参考文献
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html
https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/fluorescence_point/about/index.html
https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/fluorescence_point/concentration/index.html
https://www.environment.co.jp/study/stdy2.htm
https://www.hitachi-hightech.com/hhs/products/tech/ana/uv/basic/uv_course8.html
https://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-seminar/uv/uv2.html

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