熱風乾燥機とは
熱風乾燥機とは、熱風を使用して物質や製品を乾燥させる装置です。
工業的なプロセスや製造業で広く使用されます。湿度を低下させることで物質や製品の水分を除去し、乾燥させることが可能です。これによって、製品の品質を向上させたり、保存性を延長したりすることができます。
例えば、食品産業では、果物や野菜、穀物、肉製品などを乾燥させるために熱風乾燥機が使用されます。乾燥時間や温度を制御することで異なる種類の物質に対応します。また、乾燥機の設計や機能は使用する産業や用途に応じたラインナップが豊富です。
熱風乾燥機の使用用途
熱風乾燥機はさまざまな産業や分野で幅広く使用されます。以下は一般的な使用用途の一部です。
1. 食品加工業
果物や野菜、穀物、乾燥肉製品、魚介類などの食品を乾燥させるために使用されます。乾燥することで、食品の保存性を向上させ、品質を維持します。また、乾燥果物やスナックフードの製造にも使用されることが多いです。
2. 製薬業
製薬産業では薬品や医薬品の製造プロセスにおいて使用されることがあります。薬品の湿気を取り除き、製品の安定性と保存性を向上させます。
3. 木材加工・陶磁器
木材の乾燥にも広く使用される場合があります。湿気を取り除くことで、木材の収縮や歪みを抑え、耐久性を向上させます。
また、陶磁器やセラミック製品の製造においても使用されることが多い機器です。湿度を低下させることで、製品の乾燥や焼成のプロセスを効率化します。
4. 化学プラント
化学プラントでは、化学物質や粉体の乾燥に熱風乾燥機が使用されます。石炭や鉱石などの粉体燃料は燃焼炉に投入して使用されますが、含水率が高いと燃料ロスに直結します。したがって、前処理として熱風乾燥機に投入して水分を除去します。
また、塗料の乾燥や化成品の合成にも熱風乾燥機が使用されます。化成品には顔料や触媒などの化学物質が該当します。
熱風乾燥機の原理
熱風乾燥機は乾燥室、加熱装置、排気装置などで構成されます。
1. 乾燥室
乾燥室は、乾燥対象物が配置される場所です。通常は箱型や筒型の構造を持ち、内部に乾燥を行う空間があります。
内壁は温度に応じて耐火煉瓦などの適切な材料で覆われており、熱や湿気の効果的な制御が行われます。
2. 加熱装置
加熱装置は、熱風を生成するために使用されます。電気ヒーターやガスバーナー、蒸気ヒーターなどが一般的な加熱源です。
加熱装置は熱風の温度制御に使用され、乾燥室内を必要十分な温度に保ちます。
3. 排気装置
排気装置は、湿気や排気ガスを外部に排出する要素です。ファンまたは送風機などで送気され、熱風を乾燥室へ送りつつ排気を外部へ排出します。
ファンには押込型と誘引型があり、通常は乾燥チャンバーの上部や側面に設置されます。
熱風乾燥機の種類
熱風乾燥機には、ワンパス型 (単通型) と循環型 (リサイクル型) の2つの主要な種類があります。
1. ワンパス型
加熱された空気が一度だけ乾燥室内を通過する熱風乾燥機です。加熱された空気が、一方向に流れて乾燥チャンバー内を通過します。通常、加熱装置から送風機までの空気の流れは一直線です。
一度の通過で乾燥チャンバー内の物質を乾燥させるため、熱効率が比較的高いです。また、乾燥チャンバー内の温度均一性は送風機の配置と乾燥チャンバーの構造に依存します。均一性を保つためには、適切な送風機の配置と風の分布制御が重要です。
ワンパス型は乾燥プロセスが比較的簡単であり、効率的な乾燥が求められる場合に適しています。
2. 循環型
乾燥チャンバー内の空気を循環させる熱風乾燥機です。加熱された空気が乾燥チャンバー内を循環し、再び加熱装置に戻ります。空気は繰り返し乾燥チャンバーを通過するため、効率的に熱を利用できます。
熱風を再利用するためワンパス型に比べて熱効率が高く、熱の損失が少なくなります。また、空気が繰り返し循環するため、温度均一性が高いです。乾燥チャンバー内の温度差が少ない点が特徴として挙げられます。
循環型は熱効率が高く、温度均一性が求められる場合や長時間の乾燥プロセスに適しています。
参考文献
https://www.nagato.co.jp/technical_doc/kansou03.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/transjtmsj1965a/21/7/21_7_P449/_pdf/-char/ja
http://www.kuroda-dryer.co.jp/sikumi.html