トランジスタアレイ

トランジスタアレイとは

トランジスタアレイとは、1つのパッケージにトランジスタを複数個並べた部品です。トランジスタはスイッチングに使われる半導体素子で、アレイ(array)は配列と言う意味を持つ英語です。

この部品のメリットは、複数個の出力リレーなどを省面積で制御できる点です。個別に実装すると基板面積を大きく設計しなければならず、基板のパターンが長くなってしまいます。これは、ノイズなどによる誤動作を引き起こす原因となります。トランジスタアレイを用いると、小型軽量かつノイズに強くなるため、経済的で機能性も向上します。

トランジスタアレイの使用用途

トランジスタアレイはマイコンなどに広く用いられます。マイコンは洗濯機などの家電にも頻繁に使用される制御基板のことであり、我々の生活になくてはならない存在です。

トランジスタアレイが登場するまでは、複数個のトランジスタを単品で実装していました。これで問題はなかったのですが、トランジスタアレイが登場した後は省スペースとコストダウンが実現しました。また、パターンの引き回しも悩まずに済むようになり、設計の手間も減り、ノイズに対する耐性も向上しました。現在、トランジスタアレイは制御基板上では必須電子部品です。

トランジスタアレイの原理

トランジスタアレイは、先述の通りトランジスタを複数個並べて、1個のパッケージに格納した電子部品です。トランジスタは、半導体素子です。P型半導体とN型半導体を3層重ねた製品であり、PNP型トランジスタとNPN型トランジスタがあります。

どちらも普段は回路上で絶縁体としてふるまいますが、真ん中の層に電圧を掛けると両端の層が導電体となります。これがトランジスタの仕組みです。

トランジスタは主にマイコンの出力先として使用されます。マイコンの出力容量が小さく、モーターなどの強電装置を直接制御できないためです。2000年代以前は、トランジスタアレイにはバイポーラトランジスタが広く使用されました。バイポーラトランジスタは大電流を導通可能で、ノイズに強い特徴があるためです。これらを複数個並べたトランジスタアレイが主流でした。

現在では、高速低損失なMOSFETが主流となっています。ほとんどのトランジスタアレイがMOSFETアレイに切り替わっています。

トランジスタアレイのその他情

1. トランジスタアレイの内部回路

トランジスタアレイには内部で構成されているトランジスタ違いにより種類があります。

  • DMOS FET
    大きな電流を制御でき、低電流で使用しても損失が少ない。
  • シングルバイポーラトランジスタ
    低電流で使用しても損失が少ないが、大きな電流を制御できない。
  • ダーリントンバイポーラトランジスタ
    大きな電流を制御できるが、低電流で使用すると損失が発生する。

また、入力ロジックがハイアクティブ(入力端子にHighレベルを入力すると電流を流す)か、ローアクティブ(入力端子にLowレベルを入力すると電流を流す)かの違いもあります。リレーなどを駆動する際に、必要なクランプダイオードの内蔵の有無などによっても種類が分かれています。

2. ソース型とシンク型のトランジスタアレイ

トランジスタアレイには出力電流の形式の違いにより、ソース型とシンク型の2種類があります。ソース型は負荷に対してプラス極側で接点のON/OFFを行います。トランジスタアレイから「負荷に向かって電流を吐き出す」動作モードになります。

対してシンク型は負荷に対してグランド側で接点のON/OFFを行います。トランジスタアレイが「負荷から電流を吸い込む」動作モードとなります。

3. トランジスタアレイの未使用端子の結線

1つのトランジスタアレイの中に使用しないチャンネルがある場合の処理は、使用するトランジスタアレイのデータシートなどに記載されています。製品により、特に入力ピンについて「どこにもつながずに放置で構わない」としているものや、「入力ピンを接地せよ」となっているものなど違いがみられます。

参考文献
https://tomoc.hatenadiary.jp/entry/2018/03/02/232509
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/product/linear-ics/transistor-arrays.html
https://toshiba.semicon-storage.com/info/docget.jsp?did=30611

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