自動分注装置

自動分注装置とは

自動分注装置とは、分注を自動で行う装置です。

分注とは、液体 (試料や薬品など) を一定量ずつはかり取り吐出することを指します。この操作をロボットなどにより自動で行うことで、効率的かつ正確な操作が可能です。

自動分注装置は、液体自動分注システム、オートメーションピペッティングシステム、分注ワークステーションとも呼ばれます。

自動分注装置の使用用途

液体や粉末などの試料を必要な量だけ取り出し、目的の容器に分注するなどの単純作業が取る時間と手間を省き、人為的ミスを避けるといった目的で使用されます。使用分野は研究分野、食品分野、臨床 (医療・検査) 分野、創薬分野等、多岐に渡ります。

1. 医療・薬学

自動分注装置は、医療や薬学の分野において重要な役割を果たしています。薬品や試薬の分注作業において、正確な量を迅速に供給することが求められます。自動分注装置は、その高い精度と安定性により、医薬品の製造や研究において欠かせない存在です。

2. 化学・生化学

化学や生化学の研究においても、自動分注装置は幅広く利用されています。微量の試薬を正確に分注することで、反応や分析の結果を信頼性の高いものにすることができます。また、高い作業効率により、研究者はより多くのサンプルを処理し、効果的な実験を行うことが可能です。

3. 食品・飲料

食品や飲料の製造工程においても、多くの活躍が見られます。特定の成分の正確な分注や配合作業に活用され、一貫した品質の製品を生み出すことが可能です。さらに、生産ラインのスピードアップや作業の自動化により、生産性の向上も実現されています。

4. 環境分析

環境分析においては、水質や大気中の汚染物質の検査など、微量の試料を正確に分注することが求められます。自動分注装置の持つ高い精度と再現性により、正確な分析結果を得ることができます。

5. 医療検査・診断

医療検査や診断の現場でも、自動分注装置は欠かせません。血液や尿などの生体試料の分注作業において、正確な量を迅速に供給することが求められます。環境分析同様、正確な操作性により、人為的なミスや無駄な手間を省きます。

自動分注装置の原理

自動分注装置は、複数の機構と制御システムが組み合わさって動作しています。大きく分けて分注装置は、試料を保持するための容器と分注するための注射器やチューブなどの供給部品、そしてこれらの動きを制御するコンピュータの3点構成です。

装置内には制御システムが組み込まれており、予め設定されたパラメータに基づいて分注の処理が行われます。制御システムは高精度な計測機構と連携し、試料の量を正確に計測・制御することが可能です。

装置内のモーターやポンプなどの機構が作動し、分注するための供給部品によって試料を必要な量だけ吸引し、目的の容器へと分注します。この過程では、試料の流速や流量などを制御するためのバルブやセンサーも活用されます。これにより、非常に高い精度で分注作業が行われ、効率化の効果も抜群です。

さらに、自動分注装置は複数の試料や複数の容器を同時に処理することも可能です。装置内には複数のチャンネルが設けられており、それぞれのチャンネルが個別に試料を分注する機能を持っています。これにより、複数のサンプルを同時に処理することで、作業効率が大幅に向上します。

自動分注装置の選び方

自動分注装置は、その性能や特徴によって様々な種類が存在します。そのため、用途にあった適切な装置を選ぶことが理想的です。

主なポイントとしては、分注量の範囲、使用する試料の特性、精度と再現性の3点です。どの程度の量を分注する必要があるのかを明確にし、装置が対応できる範囲を確認します。

また、使用する試料の特性によって適した装置が異なるため、試料の粘性、腐食性、温度などの特性を考慮し、装置が適切に処理できるかの判断も欠かせません。その結果、装置の精度が高く、分注の結果が一貫して再現されるよう、メーカーの仕様や評価値などを参考にし、装置の性能を確認します。

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