陽圧ダンパー

陽圧ダンパーとは

陽圧ダンパーとは、クリーンルームなどの内圧調整機器です。

差圧ダンパーもしくはリリーフダンパーと呼ばれることもあります。クリーンルーム内の陽圧を保つことを目的として、使用される機器です。

陽圧ダンパーの設置によってクリーンルームの外との差圧を調整し、クリーンルームなどの室内の気圧を常に一定の陽圧に保ちます。

陽圧ダンパーの使用用途

陽圧ダンパーは、クリーンルームなどで使用されています。外部からのホコリやチリの進入を防止するために、室内を陽圧にする必要があるからです。空気は、気圧の高い方から低い方へ流れるという性質があります。また、空気中のホコリやチリは空気の流れにのって拡散していきます。

そこで、クリーンルームでは室外の気圧よりも室内の気圧を高めることによって、室内から室外への空気の流れを作り出しています。これにより、クリーンルームへのホコリやチリの侵入を防止することが可能です。

しかし、室内の圧力が室外に比べて高すぎると、入出時にドアの開閉が困難になるなどの弊害も発生します。また、半導体製造に使われるクリーンルーム内では、常に2~3㎏の荷物を背負っていると言われるくらい作業員に負荷がかかります。

そのため、陽圧ダンパーを室外の空気との気圧差に応じて、時々開閉することによって、クリーンルームなどの室内の空気を常に一定の陽圧に保つことが可能になります。なお、設置方法によっては、逆に室内を陰圧にすることも可能です。

陽圧ダンパーの原理

陽圧ダンパーは、ダンパー本体、制御装置、アクチュエータから構成されています。 制御装置は、圧力センサからの情報に基づいてアクチュエータに制御信号を送る部分です。アクチュエータはこの制御信号に基づいて、ダンパーの開度を制御します。

そして、圧力センサがクリーンルーム内の気圧と外との気圧差を検知し、圧力差が一定程度になるように、ダンパー本体のバルブの開度を制御します。つまり、気圧が規定値よりも高くなるとダンパーを開いて空気を室外に排出し、気圧が低くなるとダンパーを閉鎖して、気圧を一定にします。

陽圧ダンパーの種類

クリーンルームで使用される主な陽圧ダンパーは、以下の通りです。

1. シャッターダンパー

開閉することで、気流の通り道を制御するタイプの陽圧ダンパーです。一般的には水平方向に設置され、開閉することでダンパーの開口部を調節します。シャッターダンパーは高速での開閉が可能なため、急激な気圧変化に対応することができます。

2. ダンパーユニット

クリーンルームの壁や天井に組み込まれた専用のダンパー装置です。ダンパーユニットには、制御可能な開口部があり、空気の供給と排気を制御します。ダンパーユニットは、ダンパーボックスや制御装置と組み合わせて使用されます。

3. オペレーティングシアターダンパー

複数のダンパーユニットを組み合わせたシステムです。このシステムは、クリーンルームの異なる領域ごとに気圧を調整するために使用されます。各領域ごとに独立した制御が可能であり、異なる清浄度レベルを維持できます。

4. レギュラトリーダンパー

気圧の制御だけでなく、風速や風量の制御も行うことができるダンパーです。これにより、クリーンルーム内の空気の動きをより詳細に調整することができます。レギュラトリーダンパーは、特に高度な制御が必要なクリーンルームに適しています。

5. 防火シャッター付きダンパー

特定の温度以上になると温度ヒューズが切れることで、開口部の羽根が自動的に閉じるタイプのダンパーです。空気の流れを遮断することが可能で、延焼防止や有毒ガスの充満を防ぐことが可能になります。

参考文献
https://www.hokuto-sk.co.jp/product/damper/
https://e-cleanbooth.jp/reference/damper.html
https://www.kankyo-eng.jp/recovery_room.html

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